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恵まれたとかではなく文句なしの実力勝ち/宝塚記念
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やっと完成期に達しまだ強くなるだろう
 懸命に粘るキタサンブラック(父ブラックタイド)を交わし、猛然と追い込んだドゥラメンテ(父キングカメハメハ)を封じたのは、5歳牝馬マリアライト(父ディープインパクト)だった。昨秋のエリザベス女王杯2200mを勝ったときが、やっぱりタフなコンディションの稍重。今回も、厳しい流れで多くの馬が後半失速したタフな「稍重」。馬場のいいところを通ったというより、阪神の内回り2200mをずっと外々と回り、さらには蛯名正義騎手の大きなアクションに応えての差し切り勝ちだから素晴らしい。

 倒した相手は2冠馬ドゥラメンテ、同じくビッグレース2冠のキタサンブラック、昨年の勝ち馬で古馬GI・2勝のラブリーデイ(父キングカメハメハ)。馬場や展開に恵まれたとかではない。定量56キロで、近年の選手権距離の2200m。文句なしの実力勝ちである。それにしてもタフでパワフルな牝馬がいたもので、成長してやっと430キロ台の小柄馬ながら、切れるディープインパクト産駒というより、力を要する馬場のほうがいいあたりは、母の父エルコンドルパサーの良さも前面に出している。

 現6歳の兄クリソライト(父ゴールドアリュール)は、2013年のジャパンダートダービーなど7勝し、今週29日の帝王賞(大井2000m)に出走する。弟の4歳リアファル(父ゼンノロブロイ)は神戸新聞杯など4勝。キタサンブラックが勝った菊花賞で3着だった。

 母クリソプレーズ(父エルコンドルパサー)は3勝馬。その全弟には2006年のジャパンCダートなどダート5連勝で、最優秀ダートホースになったアロンダイトがいる。母の半姉タンザナイト(父サンデーサイレンス)は3勝馬。7月3日のラジオNIKKEI賞に出走予定のブラックスピネル(父タニノギムレット)の祖母になる。

 祖母キャサリーンパー(父リヴァーマン)の半兄にはローマ賞など長丁場を中心に英、伊、仏で5勝のオーバンなど。3代母リーガルエクセプション(父リボー)は愛オークス馬。英オークス2着、輸入牝馬サンサンの凱旋門賞4着馬でもある。

 3歳時は410~420キロ台の小さな牝馬で、久保田貴士調教師と、生産育成のノーザンファーム陣営が「時間をかけていく」方針で、間をあけつつこれで17戦【6-2-5-4】。大事に出走しながら、未完成だった3歳春のスイートピーSで小差6着以外、すべて5着以内。オープン入りしてからは、有馬記念を筆頭に男馬相手でも好勝負の連続である。やっと完成期に達し、まだ強くなるだろう。軽い快速レースより、みんなが苦しいレースでこそ真価の「本物」である。

 牝馬の勝ち馬は史上3頭目。1966年の勝ち馬エイトクラウン(父ヒンドスタン、27戦10勝)は、1975年の「宝塚記念」など30戦13勝をのナオキ(父サウンドトラック)の母となった。2005年の勝ち馬スイープトウショウ(父エンドスウィープ)は、トウショウ牧場の廃業でノーザンFに移っている。そろそろ活躍馬を送るだろう。

 直線、猛追して2着に追い込んだドゥラメンテは、直後にバランスを崩しM.デムーロ騎手が下馬。その後の診断で左前の球節が腫れていると伝えられるが(月曜日現在)、歩様異常のハ行だけにとどまることを祈りたい。どこにも不満なしの仕上がりだったが、休み明けのためか妙に気負いすぎ、スタート直前に馬場内の退避所でうながしても動かないなど、なんとなく不安を思わせた。チャンピオン特有のオーラもなかった。

 ドバイで落鉄を克服して激走し、疲れて帰国。このあと凱旋門賞に挑戦する予定があったドゥラメンテには、宝塚記念に出走したとなると、実はチャンピオンゆえの厳しい試練が待っていた。あくまで慎重な陣営は、遠征して10月2日の凱旋門賞に挑戦するために、たちまち8月に遠征に出発して前哨戦を使うことはしないだろう。しかし、凱旋門賞にぶっつけで挑戦するための調整となると、もっと厳しくなる。夏休みなど論外であり、宝塚記念を激走したドゥラメンテには、大変な夏から秋が待っていることが予測された。不利を克服はしたが、ドバイで順調に戻ったエースとしてのリズムを崩した敗戦はあまりにも痛かったのである。

 連敗したドゥラメンテの凱旋門賞挑戦は、ハ行の原因の判明を待つまでもなく、即座に「断念」が発表された。6月末の阪神がタフな芝コンディションになるのはみんなが分かっている。それを4馬身差で楽勝した06年のディープインパクトを上回るぐらいであって初めて、この秋には…。それがドゥラメンテの宝塚記念出走の最大のテーマだった。

 ゴール寸前、失速しながらも粘り続けたキタサンブラックは強い。全体に時計のかかる稍重馬場は少しも苦にしなかった。しぶとさをフルに発揮したが、レースの流れは「前半1000m59秒1-(12秒4)-後半1000m61秒3」=2分12秒8であり、単騎マイペースの逃げ馬なら前半のリードを保てる可能性はあるが、前半から行きたがった伏兵の先行型につつかれている。最後は「11秒9-12秒2-12秒7」=36秒8だった。でも、残り200mあたりでは完全に交わされそうだったマリアライトと「クビ、ハナ」の同タイム、その外から突っ込んだドゥラメンテとは「ハナ」差。あえて中距離タイプ仕立てに馬体を大きくしたと伝えられるが、この粘り腰はさすが天皇賞・春をしのぎ切り、菊花賞3000mも差し返すように制した総合力である。距離は大丈夫でも、天皇賞・秋の2000mを1分57秒台で粘り通すイメージは、同じくタフなマリアライトとともに少々描きにくいが、まだ完成途上であり、さらに進化するだろう。

 3番人気アンビシャス(父ディープインパクト)は、マリアライトと同様に母の父エルコンドルパサーだが、こちらは4歳。テンションが高いというよりレース前からイレ込み気味で、まだ若かった。タフなファミリー出身でも、本物になるのはもう少しビッグレースの経験を積んでからか。

 4番人気ラブリーデイ(父キングカメハメハ)は立ち直っている。今年の秋も侮れないが、今回は昨年よりタフな宝塚記念であり、スタミナ能力を問われて最後に鈍ってしまった。

 4歳シュヴァルグラン、5歳ステファノスは、ともに大負けしたわけではないが、タフなコンディションで、まだそれほどしたたかではない一面が出たということか。復活を期待されたトーホウジャッカルは強気に先行したというより、かかり気味に持っていかれてしまった。
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