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第1152回 春のG1や前哨戦との関連性は?

今週日曜日に中山競馬場でスプリンターズSが行われる。秋のG1開幕を飾る芝のスプリント王決定戦である。今回は春のスプリントG1である高松宮記念の優勝馬、そして前哨戦の中でも最も重要とされているセントウルS。この2つのレースの勝ち馬が、同年のスプリンターズSに出走してきた場合、どのような成績を収めているのか。そうした観点から両レースの関連性を調べ、今回のレースを占ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。


■表1 同年の高松宮記念とセントウルS優勝馬の、スプリンターズS結果
年  高松宮記念優勝馬 スプ  セントウルS優勝馬 スプ
17年セイウンコウセイ??    ファインニードル??
16年ビッグアーサー12着    ビッグアーサー12着
15年エアロヴェロシティ不出走 アクティブミノル9着
14年コパノリチャード12着   リトルゲルダ不出走
13年ロードカナロア1着    ハクサンムーン2着
12年カレンチャン2着     エピセアローム4着
11年キンシャサノキセキ不出走 エーシンヴァーゴウ3着
10年キンシャサノキセキ2着  ダッシャーゴーゴー2→4着
09年ローレルゲレイロ1着   アルティマトゥーレ5着
08年ファイングレイン10着   カノヤザクラ7着
07年スズカフェニックス9着  サンアディユ2着

今回は同年の高松宮記念やセントウルSと、スプリンターズSとの関連性という切り口からレースを分析する。そのため、まずは同年の高松宮記念とセントウルSの優勝馬を調べてみることにする(表1参照)。表は過去10年のデータ。07年は高松宮記念を制したスズカフェニックスだったが、同じ年のスプリンターズSでは9着に敗れた。翌年はファイングレインが10着だったが、09年はローレルゲレイロがスプリンターズSも制し、春秋のスプリントG1制覇したことになる。

スズカフェニックスなどは実績ある強い馬だったが、やはり同じ年に2つのスプリントG1を制することは容易ではないと言える。時期も違うし、コース形態もだいぶ異なる。昨年はややアクシデントのようなレース展開になり、ビッグアーサーが1番人気で12着と崩れた。短距離戦だけに展開や枠順で不利があると、大きく敗れてしまうケースがある。

一方、前哨戦であるセントウルSの優勝馬はどうか。こちらは施行時期が近い関係で、勝ち馬は高確率でここに出走してくる。状態もいい雰囲気で挑んでくる可能性が高い。しかし、結果は優秀とは言えない。むしろ、苦戦しているというイメージすらある。何せここ10年はスプリンターズSでの勝ち馬が出ていない。2着に好走したのも07年サンアディユと13年ハクサンムーンだけ。大崩れするケースも少ないが、勝ち切るケースが見えない。G2とはいえ、本番前の前哨戦。明らかにひと叩きで臨んでくるケースもあり、セントウルSでの勝ち負けにはあまりこだわる必要はないと言えるだろう。よって、どちらかと言えばセントウルSの優勝馬よりも高松宮記念の優勝馬の方を評価してみたい。


■表2 過去10年のスプリンターズS優勝馬
年 馬名     人気 前走レース名 前着 備考
16年 レッドファルクス 3 CBC賞HG3 1 連勝中
15年 ストレイトガール 1 セントウG2 4 Vマイル1着
14年 スノードラゴン  13 キーンラG3 8 高松宮記念2着
13年 ロードカナロア  1 セントウG2 2 安田記念1着
12年 ロードカナロア  2 セントウG2 2 高松宮記念3着
11年 カレンチャン   3 キーンラG3 1 連勝中
10年 ウルトラファンタジ10 シャVG3 14 香港馬
09年 ローレルゲレイロ 6 セントウG2 14 高松宮記念1着
08年 スリープレスナイト 1 北九州記HG3 1 連勝中
07年 アストンマーチャン 3 北九州記HG3 6 前年阪神JF2着

それは実際のスプリンターズSの勝ち馬を見ても明らかだ。表2は過去10年の同レース勝ち馬。前走レースはセントウルS組が多く、主力と言えるがそこで勝っていた馬は1頭もいない。歴史的な名馬であるロードカナロアですらもセントウルSでは2年連続で2着だった。そして、同年の高松宮記念で3着以内に好走していた馬が多いことがわかる。14年スノードラゴン、12年ロードカナロア、09年ローレルゲレイロが該当する。

その他の優勝馬もいくつか明確なパターンに分けられる。まずは連勝中で底を見せていない馬。08年スリープレスナイトや、11年カレンチャン、そして昨年のレッドファルクスが該当。できれば重賞を含み、連勝中で勢いがある馬がいいだろう。このようなタイプが一気に頂点まで上り詰める。それから春にマイルのG1を勝っている馬。ストレイトガールやロードカナロアが該当する。厳密に言うと、マイルもこなせるスプリンターか。かなり能力が高いタイプであり、なかなか出現しない稀有な存在であると言えるだろう。

あとは、海外馬。過去10年ではウルトラファンタジーだけだが、それ以前にはサイレントウィットネスなど、強い実績馬が来日して、期待に応えた。07年アストンマーチャンだけはやや異色のタイプ。本質的には短い距離がいい馬だったが、前年に阪神JFで2着の実績があった。やはりマイルのG1にも対応したという意味で、高い評価を下すべきなのかもしれない。


■表3 スプリンターズS出走馬の前走レース別成績(過去10年)
順位 前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1 セントウG2  4- 4- 4-50/626.5%12.9%19.4%
2 キーンラG3  2- 3- 5-30/405.0%12.5%25.0%
3 北九州記HG3 2- 0- 0- 7/ 922.2%22.2%22.2%
4 CBC賞HG3 1- 0- 0- 2/ 333.3%33.3%33.3%
5 シャVG3   1- 0- 0- 0/ 1100.0%100.0%100.0%
6 安田記念G1  0- 1- 0- 7/ 80.0%12.5%12.5%
7 函館スプG3  0- 1- 0- 5/ 60.0%16.7%16.7%
8 高松宮記G1  0- 1- 0- 4/ 50.0%20.0%20.0%
9 オータムHG3 0- 0- 1- 4/ 50.0%0.0%20.0%

最後に表3はスプリンターズS全出走馬の前走レース別成績。勝ち馬に限らず、2、3着馬においてもその傾向はあまり変わらない。セントウルS組の出走が多く、好走馬もかなり出ている。次はキーンランドC組。2~3着馬が多く、複勝率はセントウルS組よりも上だ。あとは北九州記念やCBC賞組。要は同じ年のサマースプリントシリーズからの直行馬がかなりを占める。安田記念や高松宮記念からの直行もOKだが、2着までとなっている。


【結論】
それでは今年のスプリンターズSを占ってみよう。出走予定馬は表4の通り。

■表4 今年のスプリンターズS出走予定馬
馬名        前走レース 前着 備考
シュウジ     キーンラG3 13 
スノードラゴン  セントウG2 8 
セイウンコウセイ 函館スプG3 4 高松宮記念1着
ダイアナヘイロー 北九州記HG3 1 連勝中
ダンスディレクターセントウG2 3 
ネロ       キーンラG3 8
ビッグアーサー  香港SG1 10 
ファインニードル セントウG2 1 
フィドゥーシア  セントウG2 9 
ブリザード    HKS2 香港馬
メラグラーナ   セントウG2 4 
モンドキャンノ  キーンラG3 6 昨年朝日杯FS2着
ラインミーティア セントウG2 2
レッツゴードンキ ヴィクトG1 11 高松宮記念2着
レッドファルクス 安田記念G1 3 高松宮記念3着
ワンスインナムーン朱鷺S 1 連勝中
※フルゲート16頭。ノボバカラ他7頭が登録。


まずは今年の高松宮記念を制したセイウンコウセイに注目。春秋のG1制覇はかなりハードルが高いはずだが、軽視もできない。少なくともセントウルS優勝馬ファインニードルよりも上位に評価したい。同レース勝ち馬自体が厳しいことと、連勝馬でもない点が大きい。それならば春のG1からの直行になるが、高松宮記念で2着だったレッツゴードンキ、同3着のレッドファルクスに注目してみたい。

海外からはブリザード(香港)が出走予定。実績的には見劣る感じがするが、10年に10番人気で制したウルトラファンタジーと同じ厩舎に所属。それだけでも何とも不気味な存在に映る。半信半疑ながら押さえておく手はありそうだ。あとは、穴でモンドキャンノ。昨年の朝日杯FSでは2着。近走の成績は良くないが、スプリント能力は高いと思われる。
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