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【秋華賞】伏兵ポールヴァンドル100点!強烈な光を宿す瞳

 今週も眼力発揮だ。鈴木康弘元調教師がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。第22回秋華賞(15日、京都)ではディアドラ、リスグラシューとともに伏兵ポールヴァンドルを満点に評価した。スプリンターズSでは5番人気レッツゴードンキ(2着)とレッドファルクス(1着)の“2強対決”と見事に診断。その達眼が捉えた伏兵の魅力とは…。 【秋華賞】

 目は心の窓だと言ったのは古代ギリシャの哲学者プラトンだったか。窓から家の中がのぞけるように、目を見れば心の中がうかがえるという意味。競走馬にもそのまま当てはまるのではないか。ポールヴァンドルの目に触れて、哲学者の名言が頭をよぎりました。

 凄みのある目力。強い意志を宿した目の輝きです。放牧地で休養している牡馬のようにのんびりとたたずんでいるのに、なぜか目だけは強烈な光を帯びている。立ち姿とアンバランスな眼光。ミステリアスな馬です。G1で人気になるような競走成績ではないが、魅力はある。目という心の窓から精神力の強さがうかがえるからです。

 芦毛の体つきはまるで牡馬。よろいを着たような分厚いトモ(後肢)と肩、岩肌のような胸前…。とても牝馬とは思えない野太い骨格に多すぎるぐらいの筋肉を付けています。四肢にも狂いなし。しっかり浮き出た腱が分厚い上体を支えています。深すぎず浅すぎず、絶妙な角度の飛節がトモのパワーを推進力に変えています。筋骨隆々としていた父ダイワメジャーの特徴をそのまま受け継いだ、いや、受け継ぎすぎた体です。

 全身を貫く重厚感。牝馬の繊細さが全くありません。芝を走るには重たすぎる気もしますが、そんな馬体を動かすのが目に表れた精神力です。馬群にモマれても、前走のように全くひるまないでしょう。少々のアクシデントがあっても、やめないでしょう。激しい攻防戦となるG1ではメンタルの強さが大きな武器になります。今週末の京都は雨の予報。道悪になっても、諦めずに走り切れるでしょう。唯一の道悪経験は重馬場の新馬戦(2着)。勝ったレイデオロに直線で馬体を並ばれてから抵抗していました。

 目は心の鏡だと言ったのは古代中国の思想家、孟子だったか。強い心を映す目力にふさわしい馬体のボリューム。名言が馬にも当てはまるなら、どこかで大仕事をやってのけるかもしれません。ひょっとしたら、今回かも…。


【秋華賞】リスグラシュー100点!量より質の“天然ゴム”
 リスグラシューは筋肉マッチョのポールヴァンドルとは真逆です。牝馬らしい繊細なつくり。首は細く、飛節、球節も小さい。管囲は細め。トモも筋肉量が少ないため薄手に映ります。その代わり、筋肉の質は柔軟性に優れている。ポールヴァンドルの筋肉を岩に例えるなら、こちらは天然ゴムでしょうか。天は二物を与えずと言いますが、量が少なくても質が高い。疲労がたまりづらく、しなやかな走りを可能にする筋肉です。

 ただし、こういうタイプは自分のフォームになるまで時間がかかる。急がせるとバランスを崩してしまう。武豊君がいつも後ろからじっくりとレースを進めるのはそんな特性を知り抜いているからでしょう。せいては事をし損じる。小さな飛節、薄手でも上質なトモを持つ馬に当てはまる格言です。

 ポールヴァンドルほどの目力はありませんが、こちらも負けん気の強い目をしています。毛ヅヤも良好。オークス時との違いといえば、腹周りぐらいでしょうか。当時は栗東から東京への長距離輸送が控えているため腹に少し余裕をもたせていました。今度は地元戦。アバラが浮き出るまで絞ってきた。G1タイトルを狙えるだけの仕上がりです。


【秋華賞】ディアドラ100点!小さく見せる馬体でバランス◎
 バランスを欠いた馬の立ち姿(静止した姿)は実際の体重よりも大きく映ります。逆に小さく見せるのはバランスが整っているから。ディアドラは明らかに後者です。オークス時もそうでしたが、460〜470キロとは思えない姿。前肢と後肢、上半身と下半身のバランスがとてもいい。全てに均整のとれた馬体がコースを問わない安定した走りを可能にしています。

 オークスから変化した部分もあります。トモの厚みが増しています。それに呼応するように肩の筋肉も付き、腹袋もしっかりしてきた。四肢の腱も浮き立っている。全体のバランスを保ちながら成長した跡が見られます。

 オークスの馬体診断では毛ヅヤがさえないため70点にとどめました。毛ヅヤは体調のバロメーター。被毛が輝くはずの春シーズンにくすんで映るようでは…と指摘しました。その毛ヅヤも今回は良好。立ち方も申し分ありません。今春よりも少し重心を前肢に乗せて、やる気を示している。今にも走りだしそうな姿です。すぐにレースを迎えてもOK。心身ともにスタンバイ完了です。あえて欠点を探すなら、皮膚が少し厚いように映る点。まあ、懸念するほどではないでしょう。

 ディアドラとはケルト神話に登場する悲劇のヒロインの名前だそうですが、悲劇を予感させる要素は皆無。順風満帆にG1に臨めます。文句なしに100点満点。


【秋華賞】モズカッチャン95点 成長力は一番!気性も大人に
 モズカッチャンの変化はプラスと出るか、マイナスになるか。判断するのが難しい。3歳夏を越して、目を見張るほど成長しました。オークス時には未発達だったキ甲(首と背中の間の膨らみ)がはっきりと抜けてきた。今春はリングバミを口の中でチャカチャカ遊ばせながら撮影に臨みましたが、今回は制御力の弱いモグシ(簡易頭絡)だけでゆったりと立っています。気性も大人になった。

 ただし、キ甲の発達により凹背(おうはい=へこんだ背中)も目立ってきました。凹背は鞍が背に当たりやすい。当たらなくても背中をうまく使えない場合がある。何の問題もないケースもあります。判断するのが難しい。もちろん、成長力なら一番です。


【秋華賞】アエロリット95点、後肢立ち気味も寝肩で関節補う
 採長補短という古代中国の故事があります。長所を生かせば、短所を補えるとの意味。アエロリットの馬体にも当てはまる故事です。飛節は立ち気味、四肢の球節も立っている。芝でも大丈夫なのかと、首をひねりたくなる関節の短所。でも、肩に目を移すと、実に滑らかな傾斜。肩甲骨がしっかり寝ている。前肢は肩甲骨の角度まで前に伸びます。大きなストライドを可能にする寝た肩が立った関節を補っている。

 今春に比べてトモや肩の筋肉量も増えてきました。当時よりも耳をしっかり立てており、気性の成長もうかがえます。半面、立ち方に少し力みが感じられる。そのため全体像が硬く映るのです。距離延長が課題になるでしょう。


【秋華賞】レーヌミノル90点 マイル仕様の張りは断トツ!
 体の張りならレーヌミノルが断トツです。ふっくらしていて、筋肉が自己主張するように浮き立っている。今度は走れますよと訴えかけてくるようです。尾を自然に垂らしながら落ち着いて立っている。精神状態もすこぶる良さそうです。マイル戦なら満点超えの採点をしたいが、2000メートルはどうでしょうか。マイラーらしい詰まり気味の体形。厚ぼったい筋肉のつきかたもマイル仕様です。


【秋華賞】ファンディーナ90点、馬体安定も不安見える立ち姿
 馬体は安定しても、気性が不安定。ファンディーナの立ち姿からはそんな現状を読み取れます。皐月賞時に比べて体がフックラしています。当時は腹周りが細くなったせいで浮き出ていたアバラが見えなくなった。バランスもいい。毛ヅヤも良好。その半面、尾を少し上げて、不安そうに立っています。春のストレスが抜けていないのかもしれない。ゆったりと立ってくれれば満点なのですが…。


【秋華賞】ラビットラン80点 毛ヅヤ良く小柄な割に硬質筋肉
 首の短いマイラー体形。440キロ台の体重の割には硬質な筋肉を豊富に身につけています。1Fの距離延長が課題になるでしょう。ただ、おっとりした顔つきでハミを柔らかくくわえた立ち姿から従順さがうかがえる。折り合いはつきそうです。毛ヅヤも良好。


【秋華賞】カワキタエンカ80点 気持ち充実おてんば娘かも…
 ディープインパクト産駒らしからぬ前駆の勝った体形。発達した肩に比べてトモが少し寂しい。とはいえ、毛ヅヤは抜群。余裕のある目つきから気持ちも充実しているのでしょう。左前球節、左飛節の外側に少し擦り傷の跡があります。おてんば娘なのかも。


【秋華賞】ミリッサ70点 キリッとした姿も警戒心が強い印象
 体は小づくりでも、キリッとした立ち方です。山しょうは小粒でも…のことわざを地で行く姿。ただ警戒心が強すぎる印象


【秋華賞】カリビアンゴールド70点、ハミ受けて立ってほしい

 オークスよりトモの張りが増しています。毛ヅヤも良くなった。ただ、首を伸ばした立ち姿。ハミをしっかり受けて立ってほしい。


【秋華賞】ブラックオニキス70点、牝馬でもコンパクトすぎ
 今春に比べて腹下が少し長くなったように映ります。ただ、牝馬とはいえコンパクトすぎる。関西遠征して馬体を保てるかが課題。


【秋華賞】リカビトス70点 流麗な馬体も“険しさ”が不足…
 流麗なシルエットの小さな馬体。愛くるしい顔つき。長距離遠征を克服して浅いキャリアでG1を勝つにはもっと険しさが欲しい。
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