坂井さんのレース回顧

【天皇賞・秋回顧】レイデオロは無類の安定感がある/マカヒキ&スワーヴリチャードは出遅れがすべて

■レイデオロ【展開向いたが内容は完勝の部類】
五分にスタートを切ってポジションは中団。道中は馬群の切れ目でゆったり運んで折り合いもバッチリ。直線を向いた時の手応えは良かったし、追い出してからもキッチリ伸びて勝ち切った。有力馬2頭が出遅れて前残り&ヨーイドンの競馬になったとはいえ、、内容としては完勝の部類だろう。なかなか調教ではよく見せない馬だけど、展開やコースを問わない無類の安定感は何よりの持ち味。今後どれだけタイトルを上積みできるか注目したいね。

■サングレーザー【直線手前でモレイラの手は動いていた】
こちらもスタートは五分に出て中団から。道中はレイデオロをマークする位置取りで運び、終いも上がり最速で伸びたものの、2着までがやっとだった。レイデオロより後ろにいたとはいえ、エンジンを掛けるタイミングが少し早かったんじゃないかなと、個人的には見えたね。直線に入る前の時点ですでにモレイラの手はかなり動いているから、実質的に残り500m以上スパートを続けていることになる。まあ勝ちに行く競馬をしての結果だし、しょうがないところではあるけどね。

■キセキ【中距離ではキレ負けも復調ムード】
スタートから積極的に促してハナを切る競馬。コーナーの入りが絶妙で、あの時点で外枠の不利はほぼ帳消しにできたね。その上ゆったりしたペースの割に後続のプレッシャーもほとんどなくて、まさに理想的な展開に持ち込むことができた。ただ、残り100mまで先頭を守ったものの、最後の最後で決め手のある馬に差されたあたり、中距離向きのキレ味がちょっと足りないかな。とはいえ、ようやく菊花賞後のスランプから抜け出せたのは何より。折り合いさえつけばスタミナはあるし、中?長距離路線ならいつでも好勝負だろう。

マカヒキとスワーヴは出遅れがすべて。マカヒキに関しては馬体もちょっと減りすぎていたかな。そういう意味では2頭とも度外視可能なレースと見ていいと思うよ。



【スワンS回顧】ロードクエスト復活の裏にあるもの/キレ過ぎがアダになったモズアスコット

■ロードクエスト【前走までの我慢の競馬が良い方に出た】
追い切り診断に「デムーロの乗り方次第」と書いたけど、まさに最高の乗り方をしてくれた。ゲートの出はひと息で後方から。直線に向いてもまだ最後方にいたんだけど、腹をくくって脚を溜めた分終いの伸びは素晴らしかったね。ただ、デムーロが上手かったのはもちろん、前走までに競馬を教えてきた皇成(三浦皇成騎手)の手柄も僕としては認めないわけにはいかない。彼は追込み一辺倒だったこの馬を何度か先行させていて、そのおかげで馬が我慢を覚えたんじゃないかな。もともとハマっても前に届かない競馬が続いていただけに、先行策の経験が今回の末脚爆発につながった可能性はある、そう思っているよ。

■モズアスコット【極上の瞬発力が裏目も…】
互角のスタートから中団待機。直線では素晴らしい瞬発力であっという間に先頭に躍り出たんだけど、あまりにキレ過ぎたぶん先頭に立つのがワンテンポ早かったかな。おかげでロードクエストの格好の目標になって、最後はハナひとつぶんだけ差されてしまった。とはいえ、レース内容はさすが安田記念馬というべき強烈なもの。負けたはしたものの、前哨戦としては十分すぎる競馬だったと思うよ。

■グァンチャーレ【決め手不足も内容は御の字】
やはりなかなか勝ち切れないタイプだね。中団のインで不自由ない競馬ができたし、直線最内を突いていい具合に伸びたんだけど、最後は脚が一杯でなだれ込む形に。まあオープンでも2?3着続きだったことを考えると、重賞で好走しただけでも御の字じゃないかな。



【アルテミスS回顧】シェーングランツは追われる前と後でフォームが一変した

■シェーングランツ【追われる前と後でフォームが一変】
スタートは遅めで後方からの競馬。道中も流れには乗りつつ若干フワフワするようなところがあったんだけど、直線でムチを入れられるとフォームが一変。グッとクビを沈めて一気にエンジンに点火すると、最後は良い決め手を使って前を捉えきった。スイッチのオンオフの具合は、まるで歴戦の古馬かと見紛うほどこなれたもの。前が潰れる展開が向いたとはいえ、なかなかレースセンスを感じさせる走りだったね。

■ビーチサンバ【卒のない立ち回りも展開が誤算】
こちらもゲートの出がひと息で中団から。道中はいい感じで運べていたものの、淀みない流れで前が早々に一杯になり、直線半ばで先頭に立つ展開。終いまでこの馬なりに伸びていたものの、最後勝ち馬に目標にされる形は厳しかったかな。とはいえ卒のない立ち回りでよくやっていると思うし、2歳秋でこのぐらい走れば上出来。今後の成長に期待したいね。

■エールヴォア【ペースの緩急に対応できず】
五分のスタートから中団待機を選択したんだけど、ペースががくんと落ちた地点で若干リズムを崩したのが痛かった。あのタイミングでポジションを下げてしまっているし、経験の少ない2歳馬だからなかなか立て直すのも難しい。直線は馬群を割ってジリジリ伸びたものの、序盤からスムーズに運べていればもっと差は詰まったはずだよ。ま、今の時点でこういう経験ができたことは、後々を考えれば悪くないんだけどね。



柏木さんのレース回顧

勝ち時計歴代2位の中身あるGI・2勝目/天皇賞(秋)

前年のクラシックホースが上位を独占

 2017年の日本ダービー馬レイデオロ(父キングカメハメハ)が、1分56秒8の快時計で完勝した。日本ダービー馬がその後にGIを制覇したのは、2011年のオルフェーヴル以来、7年ぶりのこと。それも、勝ち時計は2011年の勝ち馬トーセンジョーダンの1分56秒1に次ぐ天皇賞(秋)史上2位。非常に中身のあるGI制覇だった。

 また、1着レイデオロ、2着サングレーザー(父ディープインパクト)、3着キセキ(父ルーラーシップ)、4着アルアイン(父ディープインパクト)……。上位を独占したのはすべて4歳牡馬であり、前年のクラシックホース(皐月賞馬、日本ダービー馬、菊花賞馬)がみんなそろって上位に名をつらねる珍しい結果だった。

 日本ダービー馬レイデオロを筆頭に、3歳時に頂点のビッグレースを制した馬がそのあともトップグループを形成するのはきわめて希なこと。同世代3頭のクラシックホースがのちに同じレースに出走したのは、グレード制が導入された1984年以降、初めての記録とされる。

 C.ルメール騎手は、これで秋の中山が開幕して以降、重賞は【10-3-1-1】。うちGI・3勝となった。ビッグレースを展望する陣営の奪い合い状態が激化している。それも関係しレイデオロの次走はジャパンCではなく、有馬記念ではないかとされる。

 流れを作ったのは、菊花賞馬キセキ。同じ4歳のダンビュライト(父ルーラーシップ。3冠3、6、5着)が興奮しすぎて落馬後に逸走のため除外となり、ますます先行タイプが少なくなった中、意欲的に自身の前後半「59秒4-57秒6」=1分57秒0の流れをつくり、レースの中身を高めた。結果、格好の目標となり惜しい3着だったが、レースを作って1分57秒0で乗り切ったのは、馬場差は別にして、2008年に先手を奪って2着したダイワスカーレットの1分57秒2(前後半58秒7-58秒5)に遜色ない価値ある内容だろう。

 先手を奪ったキセキから、前半1000m通過地点では約9馬身ほど離れた6番手にいたのがレイデオロ。その2馬身ほど後方でマークする形がサングレーザー。レイデオロはリズムを大切にしての追走で、まだ先頭との差を詰めに出る場所ではなく、同馬の前半1000m通過は推定「60秒8」前後か。すると4コーナー手前から動いたこの勝ち馬の1分56秒8は、前後半推測「60秒8-56秒0」となる。この速い全体時計で上がりは33秒6だった。

 ディープインパクト一族のレイデオロは、スピード能力にあふれたチャンピオンとされるが、これでロードカナロア、ドゥラメンテなどとともに「キングカメハメハ系」のさらなる発展に貢献することになる。祖母レディブロンド(父シーキングザゴールド)はディープインパクトの半姉ではあるが、ディープインパクト牝馬との交配も可能な範囲と思える。

 2着に突っ込んだサングレーザーは、前走比マイナス12キロでも、絞って究極の仕上げでGI制覇に臨んだもので、カリカリしていても細くなかった。テン乗りとなったJ.モレイラ騎手は、作戦ということもないが、道中ずっとルメール(レイデオロ)をマークする位置取り。レース後半があまりに高速になったため届かなかったが、レイデオロの後半1000mが推定56秒0とするなら、この馬はおそらく56秒を切っていたことになる。京都1600mのレコードは自身の「1分31秒3」なので、もし反動がなく11月18日のマイルチャンピオンシップに挑戦できるようなら、チャンス十分。

 残念なことに、1番人気の4歳スワーヴリチャード(父ハーツクライ)は後方のままレースに参加できなかった。休み明けでも仕上がりに不安はなく、落ち着いていた。しいていえば、休み明けのわりにはやけに落ち着きすぎて、気迫が乏しいように感じられたことだが、やはり、スタートの接触が最大の敗因。あまりスタートの巧みな馬ではなく、自身もあおり気味になったが、その瞬間、隣のマカヒキ(父ディープインパクト)が内によれたためいきなり第一完歩でぶつかって挟まれた。出遅れというよりダッシュつかずのスタートになった。

 そのあと、気迫満点のスワーヴリチャードなら追い上げて行く気をみせただろうが、まったく闘志に火がつかなかった。ぶつかったマカヒキも武豊騎手が接触を気にしたのか、同じように後方追走となり、向こう正面では早くも2頭ともに黄信号どころか赤信号。

 縦長になった隊列は、ちょうど中位のサングレーザーが推定1000m通過61秒0前後なので、決して追い上げ不可能なペースではないが、スワーヴリチャードは3コーナーあたりですでに戦意喪失。ほぼ同じ位置にいたマカヒキも加速することができず、2頭ともに直線は形作りに追う姿勢をみせただけ。前方のキセキ、レイデオロ、サングレーザーが激しい競り合いを展開する中、最初から最後まで圏外のままだった。

 スワーヴリチャードは続けて出走しないタイプだが、まったくレースをしていないので、陣営は「一応、ジャパンCを目標に…」というトーンになったが、ダメージがなく巻き返す気力が戻ることを期待したい。マカヒキも絞った身体は決して悪くはなかった。スタートでよれ(スワーヴリチャードにダメージを与え)、自身も後方差詰めの7着では、とうとう8連敗の悲しいダービー馬になりかねない。なんとしても、立ち直ることを期待したい。



境和樹の穴馬券ネオメソッド

天皇賞・秋&アルテミスS&スワンSの回顧
第158回天皇賞・秋(GⅠ)
1着レイデオロ
2着サングレーザー
3着キセキ

ラップ:
12.9-11.5-11.8-11.5-11.7-11.6-11.3-10.9-11.6-12.0
時計:1.56.8


とにかく光ったのは、3着キセキに騎乗した川田騎手。この馬の持ち味であるスタミナをフルに活かす持続力ラップを自ら作った格好。最後は踏ん張り切れずに3着まで落ちてしまいましたが、今年の天皇賞・秋を好レースにしたのは、間違いなく川田騎手の力です。馬の個性を最大限に活かし、GⅠの大舞台で臆せずそれを実現した度胸に拍手。

勝ったレイデオロは、道中の位置取りから追い出しのタイミングまで、本当に正攻法も正攻法。勝つべくして勝ったという表現がピッタリです。あまりに完璧な立ち回りすぎて、それ以上書くことがないくらいです。

2着に私の本命馬サングレーザー。これもほぼ完璧に乗られていたと思います。4角で少し手応えが悪くなり、そこで勝ち馬と差を付けられてしまったことが、最後の差に跳ね返った印象。それでも、距離不足が懸念される中で粘るキセキをちゃんと交わしたわけですから、納得の競馬でした。

この馬の好走により、来年も今年の予想テーマがそのまま使えることになります。「ダート型Nダンサー系保持馬」「マイル実績馬」「GⅠ未勝利馬」。この3つのポイントは、来年も思い出したいものです。

意外だったのは10着に敗れたスワーヴリチャード。スタートで出遅れて流れに乗り損ねたということもあったと思いますが、さすがにあの負け方はデキの問題なんでしょうね。まったく動くシーンがありませんでしたから。

日曜3R 1着マジックリアリズム 上がり34.0秒① 父ディープインパクト
日曜5R 1着ルヴォルグ 上がり33.6秒① 父ディープインパクト
日曜8R 1着ブレステイキング 上がり33.0秒① 父ディープインパクト
日曜10R 1着レッドオルガ 上がり32.9秒② 父ディープインパクト
日曜11R 2着サングレーザー 上がり33.4秒① 父ディープインパクト

天皇賞・秋当日の芝1600以上では、上がり最速(または2位)の脚を使ったディープ産駒が全て勝っていました。なぜ、本番の天皇賞だけ2着止まりなのか……と、少しだけ悲しくなったのは内緒です。


第7回アルテミスS(GⅢ)
1着シェーングランツ
2着ビーチサンバ
3着エールヴォア

ラップ:
12.3-10.4-11.2-12.3-12.5-11.8-11.4-11.8
時計:1.33.7

前半3F33.9秒で入り、中盤で一度緩んで再び11秒台が続く瞬発力ラップ。典型的な差し馬有利の流れになり、それに乗じた勝ち馬シェーングランツ。正直、ここまで走るとは全く考えていなかったので、この結果には驚きました。しかも、位置取り13-13から上がり最速の33.8秒を使っての差し切り勝ち。抱いていたイメージを180度覆される結果でした。

姉にソウルスターリングがいる良質牝系で、しかも父は優等生のディープインパクト。フランケルのような一触即発の気がないだけに、この勝利を契機にスターダムにのし上がる可能性は大いにあるでしょう。

2着ビーチサンバは、早期重賞に強いクロフネ産駒。相手の決め手が一枚上だっただけで、決して悲観する内容ではありませんでした。
ただし、常に指摘している通り、クロフネ産駒はGⅠの一歩手前でピークを迎えてしまうという泣き所があります。トライアルや前哨戦では好走しても、本番になるとパフォーマンスを落とすのが常。この馬に関しても、その危険性は考えておいた方がいいでしょう。

期待したエールヴォアは3着まで。正直、物足りない結果でした。ただ、初の左回り、若干忙しいマイル戦と、一応、情状酌量の余地はあります。道中で少しスムーズさを欠く場面もありましたし、むしろよく3着まで来たなという見方もできると見ています。まだ見限りは早計です。


第61回スワンS(GⅡ)
1着ロードクエスト
2着モズアスコット
3着グァンチャーレ

ラップ:
12.4-11.1-11.2-11.3-11.9-11.5-12.1
時計:1.21.5

まず2着に負けたモズアスコットについて。

まあ、これは仕方ないというか、想定の範囲だったと思います。安土城Sではダイメイフジに負けて、その後に安田記念を勝つ馬ですから、この敗戦でピリッとさせて次走で勝負という流れを持っていたのでしょう。始動戦としては上々で、次走は当然有力です。

ロードクエストは、そのモズアスコットを負かせば勝てるだろうとイメージできる立ち位置。レースの組み立てもしやすかったと思います。下り坂を上手く使っており、さすがデムーロ騎手という手腕が光った一戦でした。

3着グァンチャーレは、成績を紐解けば一目瞭然の関西圏ワンターン巧者。今回は距離が1400だったことで、どうか? という見方でしたが、距離云々よりもワンターンのリズムが合っているんでしょうね。外差し馬場を考えれば額面以上に評価できる内容だったと思います。
ちなみに、2016年以降の京都芝1400外におけるスクリーンヒーロー産駒の成績は【1-1-3-6/11】複勝率45.5%、複勝回収率176%あります。日曜最終レースでも、やはりスクリーンヒーロー産駒のアルジャーノンが8人気3着と穴を開けていましたね。




アンカツさんのつぶやき

スワンS
「スワンSは馬体重どおりモズアスコットが余裕残しやった。そもそも使ってグンと上向く厩舎やし、安田記念を連闘で制したくらい。本番ではキッチリ変わってくると思うね。ロードクエストは相手が完全にルメールやで、ミルコが決め撃っての差し切り。先週から続く流れで明日はどうなるか興味が尽きない。」

アルテミスステークス
「シェーングランツ。東はユタカちゃんや。ちょっと反応が鈍いくらいで、姉ソウルとはタイプが違う。奥ならむしろこっちかもしれない。グランアレグリアもおるで、藤沢さんとこは来年も凄いことになりそうや。ビーチサンバは勝ちに動いて強い2着。これも友道厩舎で、明日の主役級が総じて大活躍しとる。」

グレイシアの大敗は今後に影響しそうですか?
「気性的になかなか乗り難しそう。ただ、前走の競馬ができるなら、タメる戦法に定めたほうがいいかもしれない。負けないと分からないこともあるからね。悲観しなくていいでしょ。」

天皇賞秋
「レイデオロ。レースに行くとパドックや返し馬とは別馬。スタート後に接触して位置を悪くしたスワーヴとマカヒキを背に、ハイペースをバッチリ折り合って完璧な位置取り。より能力をコントロールできるようになったし、それを簡単そうに操るルメールは流石やね。モレイラも腕で2着まで持ってきとる。」

「キセキはスタートが上達して、返し馬の高テンションに逆らわなかったユウガの好判断。あのペースで残すんやから力がある。ただ、今後も逃げ馬になりかねない作戦でもあった。スワーヴリチャードは出負けと接触でリズムを崩したとはいえ負けすぎ。とりわけ、道中の走る気のなさは尾を引きそうやった。」

タイム速いからハイペースに見えるけど実は、馬場が速いからでスローと言っても過言でないですがね
「文字数の問題やで勘弁して。菊花賞とは逆に、思ったよりも流れたという意味でね。たしかにタイムだけ見ればハイペースではない。今の時代は細かいことで突っ込みがあるでしんどい。」

勝ちタイムが速すぎます!次走、反動が出ると思いますか?
「サングレーザーあたりは特に気になるね。寂しく見せるほど仕上がってて、手応えがあやしいところから、またモレイラが走らせとる。マイルCSに向かうなら当然有力やけど、中間の過程には注目したい。」
スポンサーサイト