データde出~た

第1308回 前走の人気と着順から皐月賞を分析する

先週行われた桜花賞では、朝日杯FS以来の休み明けだったグランアレグリアが優勝。これで昨年のアーモンドアイ(シンザン記念以来)に続き、前走「桜花賞トライアル以外」の組が2連勝となった。一方、今週行われる皐月賞では、2014年から17年に「皐月賞トライアル以外」(以下「別路線」とする)の組が4連勝を飾っていた。しかし昨年は、トライアル組のワンツー決着。これを機に流れが変わっても不思議はない。どちらを上位に取るべきか、近年の傾向からは判断が難しいのが今年の皐月賞だ。そこで今回は、前走レースを問わない「前走時の人気と着順」に注目してこのレースを分析したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV、馬天楼 for データde出~たを利用した。


■表1 前走レース別成績(1)
前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
スプリングS 4-1-2-37/44 9.1% 11.4% 15.9% 79% 40%
共同通信杯  4-0-1-7/12 33.3% 33.3% 41.7% 397% 139%
弥生賞    1-5-3-32/41 2.4% 14.6% 22.0% 5% 89%
毎日杯    1-0-0-10/11 9.1% 9.1% 9.1% 203% 59%
若葉S    0-3-1-20/24 0.0% 12.5% 16.7% 0% 99%
アーリントンC0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 106%
京成杯    0-0-2-3/5 0.0% 0.0% 40.0% 0% 250%
きさらぎ賞  0-0-1-8/9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 16%
すみれS   0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
その他のレース0-0-0-17/17 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

まず表1は、皐月賞の前走レース別成績である。出走数、好走馬数ともに多いのが、スプリングS、弥生賞、そして若葉Sという皐月賞トライアル組。中でもスプリングS組は最多の4勝を挙げているが、これに並ぶのが別路線・共同通信杯組だ。


■表2 前走レース別成績(2)
年 前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2009~13年
皐月賞トライアル4-5-3-46/58 0.9% 15.5% 20.7% 39% 73%
トライアル以外 1-0-2-29/32 3.1% 3.1% 9.4% 22% 46%
2014~18年
皐月賞トライアル1-4-3-43/51 2.0% 9.8% 15.7% 28% 70%
トライアル以外 4-1-2-27/34 11.8% 14.7% 20.6% 185% 75%

前走を「皐月賞トライアル」と「トライアル以外」に分け、さらに5年ごとに区切ってみたのが表2である。冒頭でも触れたように、近5年では別路線組が4勝を挙げ、好走確率でも優勢だった。ただ、3着以内の好走馬数ではトライアル組8頭に対し、別路線組は7頭。そして直近の昨年は、トライアル組のワンツーで馬連万馬券決着になったことも考えると、今年、別路線組ばかりで馬券をかためてしまうのは少々危険な印象もある上、別路線組には人気馬が多く配当妙味にも欠ける。


■表3 前走着順、前走人気別成績
前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走1着  8-5-4-52/69 11.6% 18.8% 24.6%  128%73%
前走2着  2-3-2-26/33 6.1% 15.2% 21.2% 57% 96%
前走3着  0-0-2-21/23 0.0% 0.0% 8.7% 0% 64%
前走4着  0-2-0-8/10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 73%
前走5着  0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6~9着0-0-2-21/23 0.0% 0.0% 8.7% 0% 61%
前走10着~0-0-0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

前走1人気 6-7-6-23/42 14.3% 31.0% 45.2% 77% 123%
前走2人気 2-1-2-24/29 6.9% 10.3% 17.2% 101% 70%

前走3人気 1-0-0-20/21 4.8% 4.8% 4.8% 69% 20%
前走4人気 0-1-0-17/18 0.0% 5.6% 5.6% 0% 81%
前走5人気 0-1-2-17/20 0.0% 5.0% 15.0% 0% 110%
前走6~9人 1-0-0-36/37 2.7% 2.7% 2.7% 83% 14%
前走10人~ 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

「トライアル組」か「別路線組」かという分類以上に、はっきりと成績に差がつくのは、前走時の人気と着順別の成績だ。表3にあるように、過去10年の優勝馬すべて、連対馬では20頭中18頭が前走1~2着馬。そして連対馬20頭中16頭は前走1~2番人気馬から出ており、特に前走1番人気馬の複勝率は45.2%と非常に高い。

なお、優勝馬10頭のうち、馬券圏外に敗退した経験があったオルフェーヴル(京王杯2歳S10着)とロゴタイプ(函館2歳S、札幌2歳Sともに4着)、そしてアルアイン(シンザン記念6着)は、すべて前走で1着。前走2着から優勝したドゥラメンテとエポカドーロは、ともに複勝率100%を維持して本競走に出走していた。


■表4 前走人気+前走着順別成績
前走人気 前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1~2番人気
1~2着 8-7-5-33/53 15.1% 28.3% 37.7% 117% 103%
3着以下 0-1-3-14/18 0.0% 5.6% 22.2% 0% 95%
3番人気以下
1~2着 2-1-1-45/49 4.1% 6.1% 8.2% 92% 55%
3着以下 0-1-1-53/55 0.0% 1.8% 3.6% 0% 34%

前走時の人気と着順の組み合わせで見ると、「1~2番人気に推されて連対」を果たしていた馬が【8.7.5.33】で勝率15.1%、複勝率37.7%を記録し、他に圧倒的な差をつけている。この組の3着以内好走馬20頭はすべて、本競走での単勝オッズは40倍以下。単勝40倍を超えた馬を除けば【8.7.5.23】勝率18.6%、複勝率46.5%、そして単複の回収率は144%、128%と、さらに信頼性は高まる。


■表5 前走1~2番人気で連対+皐月賞の単勝オッズ40倍以下の馬の成績
条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 参考:過去10年全馬前走距離
1600m 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 160% 0-1-0-7/8
1800m 7-1-2-9/19 36.8% 42.1% 52.6% 314%129% 9-1-4-67/81
2000m 1-5-3-12/21 4.8% 28.6% 42.9% 10% 130% 1-8-6-56/71
2200m 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-13/13

間隔
中2週  1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 2240% 650% 1-0-0-12/13
中3週  3-3-2-8/16 18.8% 37.5% 50.0% 128% 123% 4-4-3-58/69
中4~8週4-4-0-11/19 21.1% 42.1% 42.1% 100% 77% 5-6-3-54/68
中9週~ 0-0-3-4/7 0.0% 0.0% 42.9% 0% 200% 0-0-4-16/20

その「前走1~2番人気の連対馬」かつ「皐月賞の単勝オッズ40倍以下」の馬ついて、さらに振り分けるデータを探ると、前走の距離とレース間隔が挙げられる。前走で1800m戦に出走していた馬は7勝、勝率36.8%を記録するのに対し、2000m戦出走馬は1勝で勝率4.8%止まり。連対率や複勝率では差が詰まるものの、1着候補には1800m戦出走馬を据えたい

そして前走からのレース間隔では、中9週以上開いていた馬が【0.0.3.4】と連対なし。皐月賞出走全馬でみても、中9週以上は【0.0.4.16】に終わっている。「別路線組」が4連勝した2014~17年の間でも、16年には1番人気・サトノダイヤモンドが中9週で3着に敗退。翌17年には、順調さを欠いていたとはいえ、後のダービー馬・レイデオロがホープフルS以来の休養明けで5着に敗れた。ここ2年の桜花賞の結果を受ければ、このデータは今後覆される可能性もありそうだが、一方で牝馬と牡馬では違うという考え方もできる。いずれにせよ、現時点の「皐月賞過去10年」では、連対まで届いていないのが中9週以上の馬だ。


■表6 前走1~2番人気で3着以下→皐月賞で3着以内に好走
年 馬名 人気 着順 前走人気 着順 年明け 主な勝ち鞍
2009 セイウンワンダー 4 3 弥生賞 2 8 1戦 朝日杯FS、新潟2歳S
2011 ダノンバラード  8 3 共同通信杯 1 9 1戦 ラジオNIKKEI杯2歳S
2013 エピファネイア  2 2 弥生賞 1 4 1戦 ラジオNIKKEI杯2歳S
   コディーノ    3 3 弥生賞 2 3 1戦 札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳S

表5に該当しなかった皐月賞3着以内馬も見ておこう。まず表6は、前走で1~2番人気に推されながら3着以下に敗れていた馬である。4頭すべてに共通するのは、2歳時に重賞勝ちがあり、前走が年明け初戦だったことだ。賞金面で皐月賞出走をほぼ確定させており、前走では人気を裏切ったものの、本番ではしっかり馬券に絡んできたというパターンだ。


■表7 前走3番人気以下で連対→皐月賞で3着以内に好走
年 馬名 人気 着順 前走 人気 着順 キャリア
2009 トライアンフマーチ 8 2 若葉S 4 2 4戦
2015 キタサンブラック  4 3 スプリングS 5 1 3戦
2016 ディーマジェスティ 8 1 共同通信杯 6 1 ※4戦
2018 エポカドーロ    7 1 スプリングS 3 2 4戦
※ディーマジェスティは出走を取り消したホープフルSを除く

続いて表7は、前走3番人気以下で連対し、皐月賞で好走した馬。表5以外から優勝馬を出しているのはこの組だけで、過去3年で2勝を挙げている。この4頭に共通するのは、キャリア3~4戦だったこと。また、表には記していないが、4頭すべて前走がオープン・重賞初出走だった。キャリアが浅く、前走の段階では秘めた実力に人気や実績が追いついていなかった形だ。なお皐月賞全体では、キャリア5戦以上の馬も2010年や14年に1~3着を独占するなど、3着以内馬の半数近くを占めている。


■表8 前走3番人気以下で3着以下→皐月賞で3着以内に好走
年 馬名 人気 着順 前走人気 着順 皐月賞前までの着順推移
2017 ダンビュライト 12 3 弥生賞 5 3 1→2→13→3→3着
2018 サンリヴァル  9 2  弥生賞 5 4 1→1→4→4着

最後に表8は、前走3番人気以下かつ3着以下に敗れながら、皐月賞で馬券に絡んだ2頭。こちらは近2年連続で好走しており、侮れない存在だ。この2頭は、ともに前走が弥生賞5番人気で3~4着。該当馬が少ないため、少し広めに「弥生賞3~5番人気で掲示板を確保」くらいに考えればいいだろうか。また、2頭とも新馬勝ちを収め、2戦目は重賞・オープン特別で2、1着。その後は重賞で連対までは届かずとも、ダンビュライトの朝日杯FS(13着)以外は大きく崩れていなかった。


【結論】
表3~4にあったように、皐月賞は「前走1~2番人気で1~2着」だった馬が好成績を残している。今年の登録馬では6頭が該当するが、このうち、前走で芝2200mのすみれSに出走していたサトノルークスとアドマイヤジャスタは、表1や表4から推奨しづらい。残る4頭は、アドマイヤマーズ、ヴェロックス、サートゥルナーリア、そしてファンタジスト。いずれも表4本文で触れた「単勝オッズ40倍以下」には該当しそうで、有力な馬券候補になる。

ただ、1着の候補となると「前走1800m戦」かつ「中8週以内」(表5)。ヴェロックスは前走が2000m戦、サートゥルナーリアはそれに加えて休養明けという点で、やや評価が下がる。また、優勝馬10頭はすべて「前走1着」または「複勝率100%」で駒を進めてきており(表3本文)、ファンタジスト(2走前・朝日杯FS4着、前走・スプリングS2着)はこれを満たしていない。よって、4頭の中で優勝にもっとも近いのはアドマイヤマーズだ。

ほかに優勝馬を輩出しているのは、表7の「前走3番人気以下で連対」した馬。今年の登録馬のうち、表7の好走条件「キャリア3~4戦」「前走がオープン・重賞初出走」に該当するのはダノンキングリーだ。前走の共同通信杯では、本馬の斤量が1キロ軽かったとはいえアドマイヤマーズに1馬身1/4の差をつけて優勝。同斤量になっても、連勝を伸ばす可能性は十分にある。

その他の組は2~3着候補。表6の「前走1~2番人気で3着以下」からは、2歳重賞2勝で弥生賞(4着)が年明け初戦だったニシノデイジー。そして表8「前走3番人気以下で3着以下」の組では、デビュー勝ちを飾り、続く京都2歳Sで2着に好走したブレイキングドーンが、前走・弥生賞を4番人気で3着にまとめて好走条件をクリアする。ここ3年は馬連6000円以上、そして3連単は一昨年が106万馬券、昨年が37万馬券と波乱が続いているだけに、穴を狙うならこの2頭や、前記各馬の中では人気を落としそうなファンタジストを絡めた馬券がおもしろそうだ。




水上学の血統プロファイリング

過去10年・トレンドジャッジ
●面白いことに、トライアルレースを勝った馬が制覇する例が極端に減っている。2013年ロゴタイプを最後に、弥生賞、スプリングS、若葉Sの勝ち馬が制した例はない。消耗度の問題、ローテーションの多様化がその背景にあると思うが、勝ち馬選びの重要なポイントと考える。

●東京施行の2011年含めて、去年まで8年連続で前走1800m戦連対馬が勝利をつかんでいる。つまり共同通信杯、毎日杯の1,2着馬とスプリングS2着馬ということになるが・・・

●枠の偏りはない。また勝ち馬の父を見ると、ネオユニヴァース、フジキセキ、ローエングリン、ディープインパクト、オルフェーヴルなど、現役時に中山で強い勝ち方をした経験のある馬が目立っている。そして父が現役生活を日本で送っていなかった種牡馬の産駒は、一昨年2着のペルシアンナイト(ハービンジャー産駒)しか連対がない。

今年のポイントは?
●水曜に大雨が降った中山だが、その後は当日まで降水はなさそうな予報。このところ馬場が高速化しており、今週末も時計が速くなる公算が大きい。そうした馬場への対応力はどうか。

●まだ中身の裏付けのないサートゥルナーリアの3連勝の評価。

●トライアルで力を出せなかった馬からどれを伏兵視するか。


有力馬・血統MMチャート

サートゥルナーリア 8点
(牡3、栗東・角居厩舎)
ロードカナロア産駒の距離適性は、母方に左右される面が強く、その点で母シーザリオのこの馬は問題なし。またレース間隔は今の競馬では半年以上でなければ不問だろう。 初戦はスロー先行からイン差し、萩Sは前週の新馬戦より1秒6も遅く、ホープフルSは1週目の葉牡丹賞より2秒も遅い。またニシノデイジーに不利もあった。目一杯で走っていないことは確かだが、追ったからといってさらに伸びるとは限らないのも競馬の常だし、稽古の動きや完成度といった見た目の印象が先行していると考えることもできる。消耗していない点は大きいし、血統面の不安も少ないが、アッサリ負ける事態もあり得る。なお高速決着は割り引く必要はないが、プラスにもならない。雨は問題なし。

ダノンキングリー 9点
(牡3、美浦・萩原厩舎)
前走1800m重賞勝ち、4年前の2着馬リアルスティールと同配合、終始外回しからひいらぎ賞ぶっちぎりのレース内容、レース史上2番目のタイムでの共同通信杯勝ち、上がり特化レースも平均的に速くなって上がりが掛かるレースも勝ってきた経験値を考えると、机上の計算ではサートゥルナーリアより上の評価をせざるを得ない。雨はやや割り引き。

アドマイヤマーズ 8点
(牡3、栗東・友道厩舎)
母父に入ると名馬輩出となるマキャヴェリアンの産駒メディチアンが母父で、さらにシングスピールも入った母の血統が素晴らしい。決してマイル向きとは決めつけられない。ダイワメジャー産駒は短距離のイメージもあるが、母方次第では長距離馬もいるし、自身が現役時皐月賞馬。ただ牡馬産駒はカレンブラックヒル以外、スケールが小さい点が問題。上がりが速くなる競馬を苦手とする血統だけに、前走は良く走ったとも言える。中山なら前走以上に走れる可能性はあるが、2強の上には置けない。

ヴェロックス 7点
(牡3、栗東・中内田厩舎)
母はドイツ馬。ただ意外と出世馬は出ておらず、それほど名牝系というわけではない。母父モンズンなので、底力が強いタイプだ。父ジャスタウェイの産駒は軽さが目立つので、その点はうまく補完できている配合だ。問題は、ジャスタウェイ産駒は中山だと末が甘くなる傾向がここまで見られること。先行馬だけに切れを意識する必要はないのだが、母の血でどこまで補えるか。本格化はもう少し先の気がするのだが・・・。万一、馬場悪化なら急浮上。


伏兵馬・血統MMチャート

ファンタジスト 7点
(牡3、栗東・梅田智厩舎)
短距離から徐々に距離を延ばしていくという、昭和のようなステップでクラシックに望む。ロードカナロア産駒で、母がディープ×デインヒル×ロベルトなので、2000mもこなせると考える。ダンチヒ系デインヒルが入っているので高速馬場適性は高い。レースの器用さは上位馬に優るもので、内枠を引けたら一角崩しは十分にある。

ニシノデイジー 7点
(牡3、美浦・高木登厩舎)
外国から輸入された種牡馬として、近10年唯一の連対馬を出したハービンジャー産駒。しかも高速馬場になれば強いダンチヒ系なので、馬場適性も小回り適性もある。祖母の父セイウンスカイは皐月賞馬で、母の父アグネスタキオンも皐月賞馬。オールドファンとしては推したいところもあるのだが、パフォーマンスが頭打ちになってきた感は否めない。

シュヴァルツリーゼ 5点
(牡3、美浦・堀厩舎)
ハーツクライにドイツ血統という配合でヴェロックスと近い。母は独オークス2着、さらに一族には独ダービー馬やオークス馬が居並ぶ名門だ。スタミナ要素が強く、2000mの高速になるとツラい。前走のような道悪になった場合に活路が開けそうだ。もっと距離が延びてから本領発揮となるのではないだろうか。

メイショウテンゲン 6点
(牡3、栗東・池添兼厩舎)
ディープインパクト×フレンチデピュティの配合は、マカヒキやカミノタサハラと同じで、皐月賞への適性は高いはず。ただ母がメイショウベルーガで、パワーが強く出過ぎているような印象もあるし、本格化は秋以降という牝系でもある。今回はあまり評価できない。

ラストドラフト 6点
(牡3、美浦・戸田厩舎)
ノヴェリスト産駒から初めて出た一流馬。母が桜花賞馬のマルセリーナという血統が大きいだろう。ノヴェリスト産駒は、父が異系のモンズンということもあり、スピード不足と瞬発力不足が目立つのだが、母がカバーしているというケースだ。京成杯は見かけほど内容が高いわけではなく、また母も切れは補えるが底力は足らないので、芝中距離GⅠで好レースのイメージは薄い。

サトノルークス 5点
(牡3、栗東・池江寿厩舎)
タッチングスピーチやムーヴザワールドの全弟で、基本は晩成血統だ。高速馬場への適性はあまりないだろう。思い切った戦法を取れば面白いかもしれないが、買える要素は少ない。あとは大雨の場合に注意するか。

クラージュゲリエ 6点
(牡3、栗東・池江寿厩舎)
キングカメハメハ産駒は万能でここでも勝ち馬は出しているが、母の父タニノギムレットは中山の急坂適性が少ない。ここまで大崩れがないのは評価できるが、中山ではこれまでのように走れない恐れはある。

タガノディアマンテ 7点
(牡3、栗東・鮫島厩舎)
スプリングSは内容的には凡戦だったが、後ろから行って終始外を回って追い込んできたこの馬にはかなり不向きだったことを踏まえると、よく詰めてきたと言える。混戦に強そうで、また去年勝ち馬を出したオルフェーヴルの産駒、母がダート色濃い血統だけに、高速馬場でも対応は可能だ。複穴で面白い。

ランスオブプラーナ 5点
(牡3、栗東・本田厩舎)
崩れていない点は評価できるが、近走はいずれも展開に恵まれた面が否めない。今回は同型馬もおり、これまでのようにはいかないだろう。ただ、もし雨が降ったら、適性はかなり高そうな血統。毎日杯勝ち馬がここまで不人気なら押さえる手もあるかもしれないが、強調要素はあまりない。

アドマイヤジャスタ 7点
(牡3、栗東・須貝尚厩舎)
冷静に見直せば、ホープフルSでサートゥルナーリアの小差2着、前走も消耗を押さえての2着で崩れてはいない。出走賞金がほぼ確定していた前走は無理をしていなかったように映った。小回り適性が高く器用さもあり、複穴要素は必要だが、絶対能力の無さを補うには内枠を引くのが必須だろう。兄アドマイヤラクティの4分の3同血だが、ジャスタウェイ産駒だから兄よりスピードに優るのは強みだ。ただ、できれば時計はかかってほしい。1分58秒台前半になるとどうか。


皐月賞総括
サートゥルナーリアとダノンキングリーの戦いとみるが、敢えてダノンを上に採った。実績ありながら軽く見られている馬からは、ファンタジストとアドマイヤジャスタを評価したい。複穴一発ならタガノディアマンテの差し。





調教Gメン研究所・井内利彰

平成最後のクラシック!有力馬の追い切りをチェック!

やはり「超一流」か 迫力満点サートゥルナーリア


 今週は皐月賞。各馬の最終追い切りが気になるところですが、あいにく10日水曜日の栗東は大雨。レースと同じで、晴れている時、雨が降っている時で走りが違ってくる馬もいるだけに、その部分と「調子」の見極めが少し難しくなってきます。とはいえ、たくさんの方が参考にしてくださっている『重賞捜査網』と『ウマい馬券』。いつものことながら、少しでもみなさんのお役に立てるように頑張ります。

 皐月賞は人気の序列がハッキリとしていますが、中位あたりに人気する馬も曲者揃い。枠の並びやレース当日の天気によっては、決して堅く収まるというわけでもなさそうな気がします。レース当日は中山競馬場の内馬場でイベントがあるだけに、晴れている方がうれしいのですが、馬券的には雨が降った方が波乱かも知れませんね。


【アーリントンC/ヴァルディゼール】

 渡辺薫彦厩舎は先週の桜花賞がシゲルピンクダイヤで2着。同じ3歳という意味では厩舎の勢いを無視することはできませんし、この馬自身の調子も良さそう。1週前追い切りではCWで3頭併せでしたが、一番後ろから追いかけて、最後はきっちりと先着。6F83.9秒は特筆するほどの数字ではありませんし、1F12.0秒もまあまあ。ただ、安定した走りは印象的でした。

 最終追い切りは前回と同じく坂路。前回は4F目が最速になるラップを踏みましたが、今回は3F目12.5秒、4F目12.6秒。僅かながら減速するラップになってしまいましたが、これは馬場が影響したもの。後半2Fが12秒台という意味では決して悪くありませんし、あとは競馬場が京都から阪神に替わるという点についての適性でしょう。


【アンタレスS/グリム】

 レパードSの後は地方交流競走で4戦。すべて55キロ以下で走れるところを使っており、賞金加算のローテーションとしては申し分ない使い方だったというのが個人的な印象です。ただ、今回は57キロ。さすがに斤量面で有利さはありませんし、多頭数で揉まれるレースになった時の心配はあります。

 ただ、追い切りを見るかぎりはそんな不安が吹き飛んでしまいます。CWで3頭併せの最後方追走でしたが、最後の直線は最内から楽々と抜け出してきます。追い切りでは動くタイプとはいえ、時計は6F81.9~5F66.9~4F52.7~3F38.3~1F12.4秒。馬場状態を考えれば、素晴らしく速い数字ですし、あとはこの動きがレースにも直結すれば。


【皐月賞/サートゥルナーリア】

 ホープフルS以来となりますが、別記事にも記したように、2歳時よりも精神的に落ち着きが出てきたことで、いろんな面がパワーアップしています。もちろん他の3歳馬も年齢と経験による成長はあると思いますが、やっぱりこの馬は「超一流」としてのパワーアップがあり、1週前追い切りまでの動きを含めて、魅力的な馬です。

 最終追い切りもC.ルメール騎手が騎乗。ただ、先週に比べると、CWでの併せ馬は少し前を追いかけるような仕草がありました。きっと馬自身がもうすぐレースであることを察知しているのでしょうし、それは許容範囲の動きだと思います。後ろから追いかけてきたシャケトラには追い抜かれないあたりが、引っ掛かっていなかった証拠だと思いますし、状態としてはほぼ万全でレースを迎えることができると思います。


【皐月賞/アドマイヤマーズ】

 共同通信杯から皐月賞というのは、前走後すぐに発表されたローテーション。それゆえに共同通信杯が少し緩めの仕上げになることは承知していました。それでも勝てると思いましたが、レース当日のテンションは高めだったようですし、馬自身のパーツとしては2000mに全く不安はありませんが、気性という面では、多少の不安があるのかも知れません。

 ただ、1週前追い切りのCWでは迫力満点。あのパワーならサートゥルナーリアと互角に叩き合うことができるかもと思いたくなります。最終追い切りは前回と同じく坂路でサッと仕上げましたが、時計的には前回よりもかなりしっかりやりました。しかし単走だった点は朝日杯FS時の最終追い切り併せ馬先着とは違う内容。ここをどう評価するかでしょう。


【皐月賞/ヴェロックス】

 コーナー4つの芝中距離で負けていません。というか、常に完勝というレースぶり。しかも3勝はすべてメンバー最速上がりをマークしており、先行しながら後続を完封するというレースぶりはいかにも皐月賞向きと思える戦績です。ただ、その3勝は相手がどうだったかという話。さすがにこのメンバーでも同じ芸当が通用するかどうか、そういった意味では人気先行だろうというのが、最終追い切りを見るまでの印象でした。

 ところが。川田将雅騎手が跨った芝馬場での最終追い切りが絶品。素晴らしいフットワークで併せた相手をぶっちぎる先着の内容でした。時計は5F70秒そこそこですから、全く速くありません。ラストも1F12.0秒。ただ、余裕の手応えであの伸びは感心するしかありません。しかもレース当日に雨が降るようなら、この追い切りと同じ状況。さあ、どう評価しましょうといった感じです。


◆次走要注意

・4/6 阪神牝馬S【ラッキーライラック】(1人8着)

 レースはご覧いただいた通り。ただ、馬の状態に関しては、担当者の丸内永舟調教助手に確認しても「良かった」とのこと。また、レース後のダメージも無いようですし、その根拠については同助手からしっかり教えていただいたので、それはまたヴィクトリアMの時にでも。

[メモ登録用コメント] [ヴィクトリアM]最終追い栗坂4F目最速ラップ

◆今週の追い切り特報

・3歳未勝利【エガオノメガミ】

 最終追い切りは併せ馬先行で最後まで手応えが楽だったように、自分のリズムで走ることができれば、すぐにでも結果が出そう。初出走の前走は仕方ないにしても、今回きっちり結果が出なければ、くらいの気持ちです。




栗山求コラム「血統の裏庭」

皐月賞(G1)血統的考察

​ 先週の桜花賞(G1)は、
好位を追走した○グランアレグリア(2番人気)が4コーナー手前で早め先頭に立ち、
後続の追撃を寄せ付けずそのまま押し切った。

勝ちタイム1分32秒7は桜花賞レコード。

1番人気◎ダノンファンタジーは勝ちに行く競馬をしたのが災いし、
最後は逆に苦しくなって後退、4着に敗れた。

1番人気を背負っていたのでこの競馬は致し方ないだろう。

結局、グランアレグリアの強さだけが目立つ結果となった。

次走については発表がないが、
いまのところオークス(G1)とNHKマイルC(G1)の両睨みのようだ。

3歳春時点の牝馬戦線は、距離適性よりもスケールの大きさがモノを言う。

ルメール騎手が2400mへの懸念を表明したとはいえ、
どちらに出ても勝ち負けになるだろう。


さて、今週は皐月賞(G1・芝2000m)。


今年初出走だったグランアレグリアがぶっつけで桜花賞を制したように、
近年、G1レースとトライアルレースのあり方が急速に形を変えつつある。

外厩の利用と調教設備の充実、調教技術の進歩によって、
レース間隔が空くことによるマイナスがほとんど無くなった。


レースレベルが上昇することで、
1レースあたりの競走馬の消耗度が激しくなったため、
レース数を使うことはいまやデメリットとなりかねない。

十分にレース間隔を取って新鮮な状態で大一番に臨み、
そして勝つ、というのが最近のスタイルだ。

以前ならトライアルを使う馬がぶっつけ本番で臨むため、
トライアルレースが空洞化し、そこで好走した馬の信頼性が落ちた。

過去5年間の連対馬10頭中、
3月以降に使わなかった馬は4頭を数える。

それ以前の5年間は1頭、そのさらに前の5年間は0頭だった。

皐月賞好走馬は明らかにレース間隔を空けるようになってきている。


今年、1番人気に推されるであろうサートゥルナーリアは、
昨年暮れのホープフルS(G1)以来の実戦だ。

近年の皐月賞で、
クラシック戦線の主役級と見なされた馬が
年明けのレースを使わなかった例はごく稀で、
一昨年のレイデオロぐらいしかいない。

レイデオロはソエのために弥生賞をパスしていた。

サートゥルナーリアは、肉体的に何の不安もなく、
トライアルを使おうと思えば使えたにもかかわらず
ぶっつけ本番を選択した。

こうした例は皐月賞史上初となる。


【サートゥルナーリア】

「ロードカナロア×スペシャルウィーク」という組み合わせで、
母シーザリオはオークス(G1)や
アメリカンオークス(米G1・芝10f)などを制した名牝。

半兄にエピファネイア(ジャパンC、菊花賞)、
4分の3兄にリオンディーズ(朝日杯FS)がいる。


ほぼ馬なりで楽勝した新馬戦と萩S(OP)は、
さほど強い相手がいなかったという点を考慮しても
圧巻のパフォーマンス。

前走のホープフルS(G1)は直線で壁をこじあけて抜け出した。

ここまで3戦ノーステッキで勝ち続けている。

稽古時計もケタ違いで超大物である可能性がきわめて高い。

ロードカナロア産駒はスピードが武器だけに、
芝1800m以上では成績が低下する傾向が見られるが、
「スペシャルウィーク×サドラーズウェルズ」という
スタミナ豊富な母から誕生していること、
兄2頭と違って落ち着きがあることを考えると、
アーモンドアイのように2400mを苦にしない大物だろう。

アーモンドの母フサイチパンドラは
オークス(G1)2着でエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬だった。


重箱の隅を突いて不安点を探せば、
兄2頭が皐月賞を勝っていないこと。

エピファネイアは皐月賞で2番人気に推されて2着、
リオンディーズは2番人気で4位入線も5着降着。

ただ、どちらも気性的に難があり、乗り難しい馬だったので、
それが小回りの中山コースで足を引っ張った感が否めない。

サートゥルナーリアは
父ロードカナロアのおとなしい気性を受け継いだため、
普段も、そしてレースへ行っても優等生で、
鞍上の意のままに操れる乗りやすさがある。

杞憂に終わる可能性が高い。


【ダノンキングリー】

「ディープインパクト×ストームキャット」という組み合わせで、
ダノンレジェンド(父マッチョウノ/JBCスプリントなどダート短距離重賞9勝)、
ダノングッド(父イルーシヴクオリティ/東京スプリント4着)の半弟。

全兄2頭は条件クラスだったが、
この馬はデビュー以来の3戦を見ても明らかなようにモノが違う。


「ディープインパクト×ストームキャット」は
キズナ、アユサン、ラキシス、リアルスティールなどが出ているニックス。

母マイグッドネスはウェストコースト(トラヴァーズS)の半姉で、
2代母カレシングは米2歳牝馬チャンピオンという良血。

「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせは、
中山芝2000mで13戦8連対(連対率61.5%)と驚異的な成績を挙げている。

皐月賞ではリアルスティールが2着となっている。


前走の共同通信杯(G3・芝1800m)では
2歳王者アドマイヤマーズを撃破。

2000mまでは守備範囲で、
前々走のひいらぎ賞(2歳500万下・芝1600m)を楽勝したように
中山コースも問題ない。

それどころか前出の血統傾向を見ると中山芝2000mでは相当怖い馬だ。


【アドマイヤマーズ】

「ダイワメジャー×メディチアン」という組み合わせ。

母ヴィアメディチはリウレイ賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬。

本馬の半姉にヴィアピサ(伊G3リディアテシオ賞-3着)、
ヴィアフィレンゼ(ベルトランドタラゴン賞-仏G3・2着)、
半兄にフレッチア(現7戦3勝)がいる。

母の父メディチアンは現役時代にエクリプスS(英G1・芝10f)と
ロッキンジS(英G1・芝8f)を制し、種牡馬としては中堅級ながら、
マキアヴェリアンの息子で堅い馬場を得意とするので日本向きの血といえる。


母ヴィアメディチはマキアヴェリアンを介したヘイローのクロス、
という繁殖牝馬として高い成功率を誇る配合構成。

このパターンの繁殖牝馬には他に、
ハルーワスウィート(ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグランの母)、
プチノーワル(ローブティサージュの母)、ルミナスポイント(ジューヌエコールの母)、
ライツェント(ディアドラの母)、モンローブロンド(サーブルオールの母)、
クイーンオブハルカ(クイーンズテソーロの母)などがいる。

本馬はダイワメジャー産駒なので
距離はあまり長くないほうがいいが、2000mは守備範囲。

前走の共同通信杯(G3)は勝ったダノンキングリーよりも1kg重い57kgを背負い、
逃げたため目標にされる不利もあった。

悲観するような敗戦ではない。


【ヴェロックス】

「ジャスタウェイ×モンズーン」という組み合わせ。

母セルキスはドイツ産馬で、
現役時代に独オークストライアル(G2・芝2000m)を勝った。

母の父モンズーンはスタミナ型。

母方にチーフズクラウンを持つジャスタウェイ産駒は4頭中3頭が勝ち上がり、
本馬のほかにラブミーファイン(函館2歳S-2着)、マスターフェンサー(伏竜S-2着)が出ている。

前走の若葉S(OP・芝2000m)は実力馬ワールドプレミアに3馬身差をつけて優勝。

好位で器用に立ち回ることができるので、
中山コースは初めてだが苦にするとは思えない。

大崩れもないだろう。


調教の動きや枠順などを加味しつつ、週末に最終結論を出したい。
スポンサーサイト