データde出~た

第1328回 海外帰りは条件が厳しい!? 宝塚記念を占う

今週は宝塚記念が行われる。登録の段階でフルゲート割れという寂しい頭数だが、G1馬が6頭参戦する予定。グランプリにふさわしいレースとなりそうだ。レイデオロらが人気を集める模様だが、果たして結果はどうなるか? 週末の天気は崩れるとの予報で、予想はかなり難しいものとなりそうだ。いつものように過去10年のデータを分析し、今年のレースを占ってみたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。


■表1 宝塚記念出走馬の前走レース別成績(過去10年)
レース名 着別度数
天皇賞春G1     5- 2- 2-33/42
鳴尾記念G3     1- 2- 1-12/16
金鯱賞G2      1- 1- 1- 6/ 9
目黒記念HG2    1- 0- 1-15/17
大阪杯G1      1- 0- 0- 2/ 3
メトロポH     1- 0- 0- 0/ 1
ヴィクトG1     0- 2- 3- 5/10
ドバイシーマCG1  0- 1- 1- 5/ 7
(香港)QE2世G1 0- 1- 0- 3/ 4
ライオンロックTG3 0- 1- 0- 0/ 1
安田記念G1     0- 0- 1- 5/ 6
産経大阪G2     0- 0- 0- 5/ 5

まずは過去10年の宝塚記念に出走した馬の前走レース別成績(表1参照)を調べた。天皇賞(春)組の頭数がかなり多く、勝ち馬5頭を出している。大阪杯はG2時代が【0.0.0.5】の成績だが、G1となってから1頭勝ち馬が出た。ヴィクトリアマイル組は【0.2.3.5】で、勝ち馬こそ出ていないが、複勝率は50%で高い好走率を誇る。なお、安田記念組は【0.0.1.5】でひと息。とはいえ、全体的には今春に行われた国内の芝G1組の成績がいい。

近年は同じG1でも海外組の出走が目立つ。特に多いのがUAEのドバイシーマクラシック組と、香港のクイーンエリザベス2世C組。どちらも勝利こそないが、2着、3着馬は出ている。あとは、鳴尾記念や金鯱賞、目黒記念などからも勝ち馬は出ている。G1ではないが、近い時期に行われた芝中長距離戦であり、宝塚記念へのステップの性格を持つレースとしては自然と言える。


■表2 前走天皇賞(春)出走馬の前走着順別成績(過去10年)

前入線順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
前走1着  0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0 21
前走2着  0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0 26
前走3着  1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 118 26
前走4着  1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1310 390
前走5着  1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 96 46
前走6~9着 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 30 80
前走10着~ 1- 1- 0- 8/10 10.0% 20.0% 20.0% 32 82

続いては天皇賞(春)組について掘り下げていく。表2は同組の前走着順別成績。特徴的な傾向が出ており、1着馬と2着馬の成績が悪い。宝塚記念3着馬が出ているだけで、連対馬はゼロ。5頭の勝ち馬はすべて前走3着以下に敗れていた馬だった。2018年の優勝馬ミッキーロケットも、前走天皇賞(春)は4着だった。このデータから言えることは、天皇賞(春)と宝塚記念はつながりにくいということ。要求される適性がかなり異なるため、大きく敗れていてもあまり気にしない方がいいだろう。


■表3 前走天皇賞(春)出走馬の前走着差別成績(過去10年)

前走着差 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
勝0.6~0.9 0- 0- 0- 1/ 10.0% 0.0% 0.0% 0 0
勝0.3~0.5 0- 0- 0- 0/ 0
勝0.1~0.2 0- 0- 0- 3/ 30.0% 0.0% 0.0% 0 0
勝0.0   0- 0- 1- 2/ 30.0% 0.0% 33.3% 0 50

負0.0   0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
負0.1~0.2 1- 0- 1- 4/ 6 16.7% 16.7% 33.3% 218 91
負0.3~0.5 2- 0- 0- 5/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 140 47
負0.6~0.9 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 58 156
負1.0~1.9 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 35 81
負2.0~2.9 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
負3.0~3.9 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

天皇賞(春)での着順は度外視できるとして、着差はどうだろうか。表3では同組の前走着差別成績を記した。勝ち馬から1.0~1.9秒負けていた馬は【1.1.0.7】という成績。通常は負けすぎと言われる着差だが、ここでは平気で巻き返しがある。しかし、2.0秒以上離された場合はさすがに厳しそうだ。


■表4 前走ドバイSC・クイーンエリザベス2世C組の成績
年 馬名 人気 着順 前走レース名 前着
18年 サトノクラウン  6 12 DSCG1 7
18年 ダンビュライト  5 5 QE2G1 7
16年 ドゥラメンテ   1 2 DSCG1 2
16年 ラストインパクト 11 7 DSCG1 3
16年 ワンアンドオンリー13 14 DSCG1 5
16年 ラブリーデイ   4 4 QE2G1 4
16年 サトノクラウン  9 6 QE2G1 12
15年 ワンアンドオンリー4 11 DSCG1 3
14年 ジェンティルドンナ3 9 DSCG1 1
13年 ジェンティルドンナ1 3 DSCG1 2
12年 ルーラーシップ  2 2 QE2G1 1

天皇賞(春)組と同じように、前走着順が重要となりそうなレースがあった。それは海外組。表4では前走ドバイシーマクラシック組と香港のクイーンエリザベス2世C組の成績を記した。表1で示したように、過去10年では3頭の好走馬がいる。16年のドゥラメンテ、13年のジェンティルドンナ、12年のルーラーシップ。いずれも実力馬であり、前走で連対を果たしていた。天皇賞(春)組とは対照的に、前走着順が良くないとここでは厳しいという傾向が出た。海外遠征明けなので調整は難しく、好調を維持できているかがポイントとなるが、まずは前走での好走が、単純ながら重要な条件だ。


■表5 前走天皇賞(春)・DSC・QE2C組以外の宝塚記念好走馬(過去10年)
年 馬名 人気 着順 前走レース名 前着 備考
18年 ワーザー      10 2 ライオG3 6
   ノーブルマーズ   12 3 目黒記念HG2 2
17年 サトノクラウン   3 1 大阪杯G1 6 京都記念1着
   ミッキークイーン  4 3 ヴィクトG1 7
16年 マリアライト    8 1 目黒記念HG2 2 エリザベス女王杯1着
15年 ラブリーデイ    6 1 鳴尾記念G3 1 京都記念1着
   ショウナンパンドラ 11 3 ヴィクトG1 8
14年 カレンミロティック 9 2 鳴尾記念G3 4
   ヴィルシーナ    8 3 ヴィクトG1 1
13年 ダノンバラード   5 2 鳴尾記念G3 3 AJC杯1着
12年 ショウナンマイティ 6 3 鳴尾記念G3 2
11年 アーネストリー   6 1 金鯱賞G2 3 宝塚記念3着
   ブエナビスタ    1 2 ヴィクトG1 2 宝塚記念2着
10年 ナカヤマフェスタ  8 1 メトロポH 1 セントライト記念1着
   ブエナビスタ    1 2 ヴィクトG1 1 京都記念1着
   アーネストリー   3 3 金鯱賞G2 1
09年 サクラメガワンダー 3 2 金鯱賞G2 1 京都記念2着
   ディープスカイ   1 3 安田記念G1 2

表5では前走天皇賞(春)組、ドバイシーマクラシック組、クイーンエリザベス2世C組以外の好走馬を記した。前走レースは何でもいいが、できるだけいい着順であるのが理想。ただ、ヴィクトリアマイル組だけは大きく負けていても、軽視しない方がよさそうだ。あとは、過去1年以内に芝2200mの重賞で好走経験があるかどうかが重要。G1であれば3着以内、G2やG3であれば連対していることが望ましい。そうした実績を保持していた馬は、17年のサトノクラウン、16年のマリアライト、11年のアーネストリー、10年のナカヤマフェスタなどがいる。勝ち馬は例外なく該当しており、距離実績・適性はかなり重要だと考えられる。


【結論】
それでは今年の宝塚記念を占っていくことにする。出走予定馬は表6の通り。

■表6 今年の宝塚記念出走予定馬
馬名 前走レース 前着 備考
アルアイン    大阪杯G1 1 オールカマー2着
エタリオウ    天皇賞春G1 4 前走着差1.0
キセキ      大阪杯G1 2
クリンチャー   天皇賞春G1 10 前走着差2.7
ショウナンバッハ エプソムG3 4
スティッフェリオ 大阪杯G1 7
スワーヴリチャードDSCG1 3
タツゴウゲキ   宝塚記念G1 15
ノーブルマーズ  鳴尾記念G3 5 宝塚記念3着
マカヒキ     大阪杯G1 4
リスグラシュー  QE2G1 3 エリザベス女王杯1着
レイデオロ    DSCG1 6 オールカマー1着

まずは前走天皇賞(春)に出走していた馬は2頭。エタリオウとクリンチャーだ。エタリオウは勝ち馬から1.0秒とやや引き離されてしまったが、許容範囲内の着差。有力馬の1頭と考えたい。一方、クリンチャーは勝ち馬から2.7秒離されており、一変は厳しいと見る。

前走海外組は3頭。スワーヴリチャード、レイデオロ、リスグラシューといずれも実力馬であることは間違いないが、データ的には推奨しにくい。特に上位人気が予想されるレイデオロは、ドバイシーマクラシックが6着。不本意な展開とはいえ、大きく敗れた。スワーヴリチャードとリスグラシューはともに前走3着。好走はしているが、前走連対という条件からは外れる。ただリスグラシューは、2着馬とタイム差なしなので非常に惜しい。なおかつ前年のエリザベス女王杯を勝っている。同馬だけは捨てがたいところだ。

その他では、やはり前走大阪杯の連対馬になるだろう。芝2200mの実績ではアルアインが上だが、キセキが逆転しても全く不思議はない力関係だ。あとは、昨年の宝塚記念で激走したノーブルマーズを今年も押さえるかどうかといったところだろう。





水上学の血統プロファイリング

2019年 宝塚記念の血統トレンド
◆上がりがかかるGⅠで、持続力重視。母方が重い血統であることは重要な要素。

◆種牡馬としてはステイゴールドが以前は注目されていたが、近年はキングマンボがポイントになっており、2011年3着、12年2着、15年1,2着、16年1,2着、18年1着馬が、父か母の父がキングマンボ系だ。

◆もちろん、ステイゴールド産駒も引き続き注意。この10年で5勝している。ただし、2015年以降は馬券圏には入っていない。


重視すべき血統トレンドは?
キングマンボ系/ステイゴールド産駒

3カテゴリーで出走予定馬を解説!MMグラフ
           合計 レース適性評価  状況評価  絶対能力評価
1位アルアイン    14点 5点 5点 4点
1位キセキ      14点 4点 5点 5点
3位エタリオウ    13点 5点 4点 4点
3位リスグラシュー  13点 4点 5点 4点
3位レイデオロ    13点 5点 4点 4点
6位スティッフェリオ 12点 5点 4点 3点
6位スワーヴリチャード12点 4点 4点 4点
8位クリンチャー   11点 4点 4点 3点
8位ノーブルマーズ  11点 4点 4点 3点
10位マカヒキ     10点 3点 4点 3点
11位ショウナンバッハ 9点 4点 3点 2点
12位タツゴウゲキ   6点 3点 1点 2点


2019年 宝塚記念登録馬総合分析

【キセキ】
ルーラーシップ産駒なので、阪神内回りのような力の要るコース、今開催のような時計の掛かる芝は本質的に向いている。父はこのレース2着。また去年は8着に敗れているが、脚質が後方からマクって不発を連発していた時期であり、今と同様に扱うわけにはいかない。使い込むとイレ込んでくるので、3ヶ月ぶりはプラス。なお道悪は全く心配ない。しいて不安を挙げれば、坂コースの場合は距離がもう少し短い方がいいということくらい。

【レイデオロ】
好走傾向が強まってきたキングマンボ系、そして母父は、今春に場やコース、芝ダート問わず急に好走が集中してきたシンボリクリスエス。さらに祖母の弟にディープインパクトがいるという良血。血統面では問題ないのだが、他の不安点がいくつかある。まずは週末の雨予報。そして気性面が難しくなってきたこと。2200でも長くなってきた恐れもある。

【スワーヴリチャード】
去年の大阪杯を勝ってはいるが、右回りどうこうよりも小回りで手こずっている感はぬぐえない。その意味では舞台はベストではない。また母方のダート色が濃い血統なので、本来は高速馬場がベストだろう。ただ父、母父も道悪はこなせる。最も気になるのは、ハーツクライ産駒の当レース成績が【0-1-0-11】であること。

【エタリオウ】
後方からマクリの脚質は、前走のような不発を招くこともあるし、馬への負荷も掛かる。そのために勝ち切れないでいるが、今回は横山典弘騎手を迎えての戦法転換が最大の注目だろう。血統からはステイゴールド産駒でコース相性に疑問を挟む余地はない。母方はダート色が濃く、速い馬場がベターだが、父の血から道悪も問題なし。

【リスグラシュー】
牝馬の相性の良いレースで、2010年以降8回馬券に絡んでいる。その意味では今年の紅一点だけに馬券対象には必須。ただし、先述のようにレース相性今イチのハーツクライ産駒だけに、その点はかなり気になる。稍重、重で連対を外したことがないほどの巧者で、雨は歓迎だ。

【アルアイン】
小回り巧者で、持ち前の器用さが活かせるのが武器。ただ、内枠が欲しい。あとは、母のダート色が濃く、道悪は割り引いた方がいいだろう。重馬場は2歳時に勝っているが、それ以降は完敗している。距離的にもギリギリだろう。

【クリンチャー】
使ってよくなるタイプで、今回は休み明けではないのはプラスだ。また、ダンチヒのクロスを持っているので、本来は2000m以下がベター。このところの大敗続きは、順調度を欠いたことだけでなく、2400以上に集中している距離にもあるのではないか。2200はギリギリかもしれないが、前走から大きく短縮されるのはプラスには違いない。また母の父ブライアンズタイムの血が強いのか、道悪は歓迎だ。

【マカヒキ】
今度こそはと言われながら、なかなか復活できないでいる。いささか早熟というか、本来はもっと後に完成するタイプだったはずで、3歳春にピークを持ってきたことでお釣りが無くなっているのは否めない。小回り向きではないが、渋るのはプラスだろう。他の馬が崩れた場合にどこまで浮上するか。

【スティッフェリオ】
ステイゴールド産駒で、母方はダート要素がほとんどないクラシカルな欧州血統だ。小回り得意で持続力や底力を問われるコースが合っており、今の時計の掛かる阪神、雨、共に歓迎だろう。血統からは惑星の一頭。

【ノーブルマーズ】
去年の3着は大健闘。ジャングルポケット産駒らしい内回り向きのパワーがモノを言った。道悪はとても巧いので、もし今年も渋った場合は、3着あたりに余裕があれば入れておくかというところ。

【タツゴウゲキ】
一昨年の夏は大活躍だったが、その後は夏場使い込んだ反動が出て、長期休養が2度あり、今回も1年ぶり。常識的には厳しい。

【ショウナンバッハ】
ステイゴールド産駒でキタサンブラックの兄という血統ではあるが、今や左回りの直線の長いコースで直線だけの競馬に賭けてどこまでというタイプ。舞台設定も違うし、さすがにこの相手では直線だけでは通用しないだろう。中1週のローテも厳しい。


2019年 宝塚記念総括
仕上がってさえあれば、天候不問という点でキセキの優位は確かだろう。リスグラシュー、アルアインあたりは馬券対象必須。大穴候補はスティッフェリオか。いずれにせよ、雨の降り方がどうなるかが最大のカギ。その結果では結論が大きく変わる可能性はある。
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