単勝二頭流

さすがの◎ダイメイプリンセス! 2歳重賞も重か瀬!

『単勝二頭流』編集者(以下、編) 石橋さん、先週も大仕事がありましたね。

石橋 武(以下、石) 土曜日?

編 日曜日(笑)。逆に土曜日なにがあったんですか(笑)。あ、配信全レースで本メンバが馬券絡みしているのか。そっちじゃなくて……

石 北九州記念ね。

編 そうです。◎ダイメイプリンセスです。単勝30.8倍の9番人気ですからね。これを本命にはなかなか推せない。

石 近走の成績にとらわれ過ぎ。前年の2着時もCBC凡走からアイビスSDで勝って、北九州記念を2着。

編 今回と全然違うじゃないですか。

石 キミは見解の何を読んだんだ(笑)。今年もアイビスの前のレースで凡走、アイビスで好走。そして北九州記念でしょ? 加えて小倉が合う理由も書いた気がしたけど。

編 意外とあっさりしていたような……。まあ、見てみましょう。

「◎ダイメイプリンセスは去年の2着馬。ギアチェンジにモタつくところがあり、緩急がつく競馬では足りないが、スパイラルカーブを採用している小倉芝コースでは大崩れなく走れている。小倉の3コーナー過ぎから加速し、スピードを落とさずに回って来られる、そして直線入り口で馬群がバラけるというコース形態が非常に合っている。今年に入って調子を落としていたこともあり凡走が続いたが、それも徐々に復調。前走のアイビスSDでは不利な内枠からかなり脚を使わされながらも6着に善戦。ベストの小倉芝1200mなら去年以上の走りが期待できる。勝ち負けまで期待したい」

石 たしかにあっさりし過ぎか。去年の経緯も詳しく説明するべきだったかな。

編 まあ、このコースには合う、その理由もわかる、アイビス好走から今年も好走というローテもよさそう。というのは伝わりますね。

石 それがすべてですが(笑)?

編 もうちょっと詳しく書いたら、僕みたいな素人にもわかりやすいかもとは思いました。まあ、見解見ずに単勝買ってましたけど(笑)。

石 おい!

編 (笑)。それだけ石橋さんの馬券を信用しているってことです。

石 ってことです。キリッじゃねーわ(笑)。まあ、獲ってくれたならいいけど。

編 あと3連単の話をすれば、先々週同様、人気馬の抜けがありましたよね。北九州記念も2着のディアンドルも抜けましたし。

石 はい、そこは反省しています。ただ、ディアンドルに関してはもう一度やってもあのレースでは買わなかったな。たしかに連勝で来ていて、斤量も52キロ。たしかに買っておいてもいいのよ。

編 でも買わなかった。

石 この馬が連勝してきたレースって、相手が弱かったり少頭数だったり、正直レベルが高いとは言えない。言い換えれば、陣営のレース選びがすごく上手いなと感じるんだけど、それが古馬相手の重賞に入って即通用とは思えなかったんだよね。勝ってきたのもスローで緩急のついた展開で最後にスッと脚を伸ばす競馬だったし。

編 基本的には小倉芝1200mには合わないと。

石 そうなんだよね。今回はハナから速い流れになると見ていて、そういう流れには向いていないので。未だに合っているとは思えないし。いや、誤解のないように言っておくと、今回のこの馬のパフォーマンスを否定する気は全くないですけど、結果的に内枠から先行して脚を伸ばしたのはこの馬だけだし。

編 そうか、ちゃんと印を打たなかった理由があるんですね、

石 当たり前だろ(笑)。まあ、今となっては見る目がなかったということになってしまうんだけど。

編 いや、「単勝二頭流」として穴馬の単勝をきっちり当てるという大仕事はしていますからね。でもさらなる大仕事を期待している方が多いですからね。今週末はキーンランドC、新潟2歳Sと石橋さんが好きなレースですし、相手抜けに気をつけて(笑)、がんばっていきましょう!

石 ひと言多いけど、がんばります(笑)。で、今週はどっちにしますか?

編 2歳戦がよくわからないという人が多いので、新潟2歳Sでお願いできますか?

石 了解。

編 新潟2歳Sなんですけど、キャリアも浅いし、どんな馬を狙えばいいかわからないんですよね。

石 あ、それはわりと簡単で、距離実績と瞬発力。たしか瞬発力には過去の見解にも書いたことがあって、去年、あ、一昨年のこれがそうか。当時の見解に「新潟2歳Sはとにかく瞬発力。なにはなくとも瞬発力。新潟の長い直線を見越してというジョッキー心理もあるだろうが、ラスト3ハロンまではかなり緩いペースで進めて末脚を温存。ラスト3ハロンにかけて一気に加速。そのままゴールまでなだれ込むというのが、このレースのパターンだ。ゆえに狙うのは前走、あるいは前々走でメンバー中速い上がりをマークしているタイプ」と書いたんだよね。

編 あ〜、覚えてなかったです(笑)。

石 だろうね(笑)。例えば近5年で言うと、前走が1600m未満だったのは5頭だけ

編 お〜、すごくはっきりしている。

石 瞬発力、上がりの速さに関して言うと前走でメンバー中1位か2位の上がりを出している馬しか馬券に絡んでいない。まあ、当てはまる馬は多いけどね。

編 なるほど。そのなかでも瞬発力に秀でたタイプを買うと。ではそれを踏まえて注目穴馬を挙げていただくと?

石 ウインカーネリアン、セツメンノトビウオ、タイムマシンの3頭かな。ウインカーネリアンは、前走もいいけど、2着に負けた新馬戦でこのレースと相性のいい東京で速い上がりを出しているんだ。ここ2戦ともに評価できる。

編 たしかに前走の上昇ぶりはすごかったですよね。

石 セツメンノトビウオはちょっと馬場に恵まれないところがあったけど、それでも前走はしっかりマイル戦を勝ち上がってきた。しかも当時の2着馬は(未勝利馬ながら)仕上がり早で能力も高い馬。あの馬を末脚で競り落としたからね。

編 地味と言ったら失礼ですが、完全にノーマークでした。でも言われてみると馬券に入れておいて損はなさそうですね。

石 タイムマシーンは人気しちゃうのかな? これは前走の新潟のパフォーマンスを素直に評価。まだ余裕があるしね。

編 現時点ではこの3頭に注目ですね。では、さっきも言いましたが、今週末は抜けに気をつけて……

石 わかったって。あ、あとキーンランドCもかなり面白いと思うので、合わせてご注目いただければと。

編 わかりました。では石橋さん、今週末もよろしくお願いします!







田原基成さん

ダノンスマッシュほか、2019キーンランドC出走予定馬16頭分析
キーンランドCが行われる今週。先週の北九州記念に負けず劣らずの好メンバーによる熱戦が期待されるレースだ。秋のGIを見据える実績馬と近走好調な上がり馬との比較がキーポイントとなるだろう。

そこで今回のコラムでは、2019キーンランドCに出走予定の16頭をあらゆる角度から分析してみたい。私なりの視点で捉える16頭の判断基準が、あなたの予想の参考になれば幸いだ。

・アスターぺガサス
芝1200mでは【2-2-0-0】連対率100%。早熟説を覆した近2走はこの馬の奥深さを感じさせる内容だった。今回はトップグループに食い込むための試金石となる一戦だが、スプリント適性が「高すぎる」ことに不安を覚える。過去10年、キーンランドCで馬券圏内に入った3歳馬4頭はいずれも1400m以上での好走歴あり。ラスト1Fの我慢比べでスタミナ切れする可能性は頭に入れておきたい。

・カイザーメランジェ
適性外のオール野芝・直線競馬から2戦2勝の洋芝替わり。足し引きだけを考えれば今回は上積み材料しかない馬だが……引っかかるのは函館スプリントSの「勝ち方」。過去10年で函館スプリントS勝ち馬は7頭参戦しているが、同レース上がり3F3位以内馬の成績【2-0-1-1】に対し、上がり3F3位4位以下は【0-0-1-2】。唯一3着に入ったグランプリエンゼルも上位入線馬降着による繰り上がりとなっており、過大評価は禁物だ。

・サフランハート
オープン昇級後は一度も掲示板内なし。強豪ひしめく今回の相手はいかにも分が悪い。

・シュウジ
2017年以降、芝での馬券圏内は非重賞に限定。そのレースも10、12頭立てと少頭数だったことを踏まえると、フルゲートの重賞競走での一変は想像しにくいところだ。

・セイウンコウセイ
低迷期もあったが、再度スプリント路線のトップグループに返り咲いた馬。この勢いでGI2勝目を……陣営に色気が出るのは当然だ。それを踏まえたとき、考えるべきはここへの参戦意図。近2年は函館スプリントS→スプリンターズSのローテーションを採用していたが、今年はキーンランドCを間に挟む形。これには中10週以上の休み明け【0-1-1-6】、叩き3戦目成績【2-0-0-1】が影響しているものと推測可能。ここは叩き台と判断するのが妥当だ。

・ダイメイフジ
洋芝を使われた近走の着順は4.3着。一定の適性は満たしていると捉えて良さそうだ。とはいえ今回のメンバーは相当に強力。寒い時季が合う馬だけに、暮れの中山・阪神開催が最大の狙い目だろう。

・ダノンスマッシュ
1番人気を裏切ってしまった高松宮記念。本命を打った際の見解に記した「平坦→急坂替わりに不安がないとは言い切れない」が的中した格好となってしまった。直線急坂コースでの成績【1-0-0-5】に対し、平坦コース【4-2-0-0】。除外によりローテーションに誤算が生じたとはいえ、極端な枠を引き当てない限りは高く評価すべき1頭だ。

・タワーオブロンドン
私は京王杯SCの見解で「1400mなら現役最強」とこの馬を評した。それを踏まえ評価を落とした前走函館スプリントSは3着……やはり非根幹距離巧者はどこまでいっても非根幹距離で狙いたい。斤量57キロ以下では【0-0-1-2】と人気を裏切るケースが目立っており、再度の58キロは不安要素と言わざるを得ない。

・デアレガーロ
それなりにキャリアを積んだ5歳馬だが、依然として出遅れ癖は解消されず。4角10番手以下を進んだ馬の成績【0-1-1-45】のレース傾向を見るより、ゲート難を抱えるこの馬には真っ先にリスクが浮かんでしまう。オープンクラスでの好走は牝馬限定戦。現スプリント路線で上位にランクされる牡馬が集結したここは厳しい戦いとなりそうだ。

・ナックビーナス
J.モレイラを背に会心の逃げ切りを決めた昨年。この乗り替わりが示すように、当時は賞金面でスプリンターズS出走が確約されていない状況下にあって「勝負駆け」での参戦だったことは明らかだ。必勝体制をとった昨年と違い、今年は海外帰りかつ【0-1-1-6】と良績に乏しい斤量55キロ以上。評価は下げざるを得ない。

・ハッピーアワー
終始大外を通ったNHKマイルCはロスの激しい競馬。それでもデビュー時から続く上がり3F3位以内を外すことはなかった。芝1400m以下では連対率100%かつ、距離短縮ローテでの成績は【2-0-0-0】。無理のないローテーションも含め、ノーマークは禁物だ。

・パラダイスガーデン
6戦連続でハンデ戦を狙い撃ちしたローテーション。別定戦に替わるここは厳しいだろう。

・ペイシャフェリシタ
インをロスなく立ち回った昨年は、あれ以上の競馬はないと言い切れるほど完璧なレース運び。しかし、裏を返せばその競馬が叶ったにもかかわらず連対に届かなかったとも捉えられる。叩き3戦目で変わり身を見せた昨年が示すように、使われつつ良化するタイプ。好走へのハードルは高そうだ。

・ライオンボス
直線競馬に対する圧倒的な適性を見せ付けた近3走。あの舞台であれば向こう2年は最強の座に君臨することだろう。翻って、今回の舞台は洋芝1200m。コーナーがあるコース以上にオール野芝→洋芝替わりが最大のネックとなる気がしてならないのだ。キーンランドCで馬券圏外→オール野芝のスプリンターズSで大駆けの可能性は残しておきたい。

・ライトオンキュー
出走取消明けの前走は2着と洋芝適性を証明。今後の選択肢が広がるレースぶりと言えるだろう。全4勝中3勝が前走から1カ月以内と間隔を詰めての参戦。そのローテで臨める点はプラスだし、4戦3勝の内枠を引き当てることができればチャンス到来だ。

・リナーテ
この馬で今回強調したいのが滞在競馬との相性。連闘で勝ち上がった小倉競馬、そして函館・札幌開催と輸送のない環境下でこそ輝く馬なのだ。6年連続で斤量54キロ以下の牝馬が連対をはたすレース傾向に加え、同馬を管理する須貝厩舎は北海道開催の重賞成績が【3-8-3-19】複勝率42.4%。ノウハウを知り尽くした陣営が送り出す点も魅力に映る。


モーベットほか、2019新潟2歳S出走予定馬16頭分析
新潟2歳Sが行われる今週。近年ノーザンファーム生産馬が力を入れているレースで、昨年の勝ち馬ケイデンスコールはのちのNHKマイルC2着馬。関西馬の好走が目を引く点もポイントと言えるだろう。

そこで今回のコラムでは、2019新潟2歳Sに出走予定の16頭をあらゆる角度から分析してみたい。私なりの視点で捉える16頭の判断基準が、あなたの予想の参考になれば幸いだ。

・ウインカーネリアン
東京での新馬戦後、福島で勝ち上がった馬。マイネル系列にある「ウイン」軍団特有、仕上がり早のタイプだ。切れ味では劣る印象も、最大の武器は当該距離以上をこなせるスタミナ。先行粘り込みによる穴もチラホラ見られるレースだけに、ヒモ穴として警戒すべき1頭だ。

・ウーマンズハート
夏の時季に2歳馬がこの舞台で上がり3F32秒0。これは2年前のウラヌスチャーム以来2頭目となる事例だ。これだけでもレアケースなのだが、上がり3Fで次位につけた1秒3は破格中の破格。ただ、唯一の懸念材料は過去10年の新潟2歳Sで前走から中3週以内で臨んだ馬が【1-0-0-36】である点。前走並みのパフォーマンスが叶えば上位争いは必至だが……。

・エレナアヴァンティ
デビュー戦から2戦続けて内回りコースを使われ器用に立ち回ったあたり、レースセンスは抜群。いかにも仕上がり早な牝馬と言えるだろう。ポイントは距離延長への対応だが、過去10年の新潟2歳Sにおいて前走ダリア賞勝ち馬は【0-0-0-5】。外回りの1600mは大きな壁となりそうだ。

・カイアワセ
1200→1800mの距離延長で一変をはたした前走。ゆったり運べる広いコースが合っているのだろう。とはいえお世辞にも前走はハイレベルとは言いがたく、過去10年の新潟2歳Sにおいて前走新潟芝1800m組【0-0-0-11】という数字も引っかかる。ここは静観が妥当か。

・グライユル
前走芝1200m組は過去10年で4度の激走歴あり。この馬にも期待したいところだが……激走をみせた4頭は「初戦で上がり3F2位以内」の共通点を有していた。デビュー戦のパフォーマンスから現状切れ味勝負では分が悪い印象。年内なら時計のかかる秋の福島or冬の中山開催で警戒したい。

・グランチェイサー
2着馬との着差だけで判断すると、前走はあまり目立った印象にない勝ち方にも映る。しかし、改めてじっくりレースをチェックすると完全に大勢が決したような状況から差し切った脚は高く評価すべきだ。このレースで3度の馬券圏内と好相性を誇るダイワメジャー産駒。侮れない。

・クリアサウンド
デビューして間もないとはいえ、キズナ産駒は母系の特徴をハッキリ出す傾向が見受けられる。ビアンフェ(函館2歳S勝ち)は母父サクラバクシンオー、ルーチェデラヴィタ(コスモス賞勝ち)は母父トウカイテイオー。そしてこの馬の母父Smart Strikeはダート適性の高い血統だ。道悪が向いた可能性は高く、サンプルが少ないとはいえキズナ産駒は新潟芝外回りで【0-1-0-9】。同産駒自体に道悪・洋芝での好走率が高い点を踏まえると、過大評価は禁物だ。

・サナチャン
他馬が内を避けて通るなか、馬場の内目をスイスイと駆け抜けた前走。この馬、相当な道悪巧者だ。舞台替わりのここは速い上がりへの適性が問われる一戦、デビュー時にそれを証明していないゆえ評価を上げるのは困難。私は同じ馬主のキョウヘイやサヤカチャンのような雨降り馬場巧者だと思うが……。

・シコウ
内回りの利を活かした先行策で押し切った前走。正直なところ、同馬以上に2着馬の伸び脚が目立ったレースだった。舞台替わりで強調できる材料は乏しい。

・セツメンノトビウオ
新馬戦から一転、終いの脚を活かす競馬で結果を残した前走。現状あのスタイルがベターだとは思うが、少頭数でロスなく馬場の良いところに出せた点は考慮すべきだろう。捌く頭数が増える今回の条件、速い上がりが求められるレース傾向も含め厳しい印象は否めない。

・タイムマシン
新潟芝1600mの未勝利から臨むローテーションは昨年の勝ち馬ケイデンスコールと一緒。ただ、同馬とのタイムを比較すると1分34秒3に比べて1分35秒4と1秒以上劣ってしまっている。その前走ラスト3Fは11秒4-11秒0-12秒2と最後のひと踏ん張りのところで急激に減速しており、現時点で本命級の評価は下せない。

・トライフォーリアル
追って追って末脚爆発のデビュー戦。ズンズンと伸びる脚は他馬が苦しむ道悪でこその印象を受けた。その前走ラスト3Fを並べると11秒4-12秒1-12秒7。いわゆる「減速ラップ」が味方した点は否定できず、当時の2-4着馬が揃って次走惨敗を喫した点も気がかりだ。

・トロワマルス
ハイペースを渋太く抜け出した前走。馬群をまったく苦にしなかったように、大人びた完成度の高い馬だ。翻って、今回は立ち回りの上手さより破壊力が問われる舞台替わりとなる。キングズベスト産駒は新潟芝1600mで【0-0-0-14】。レースぶりや血統背景から、条件替わりがプラスに働くとは思えない。

・ビッククインバイオ
新馬戦は展開ありきの3着という見立てだったが、ほぼ同じようなペースで逃げて上がり3F33秒5の前走で評価は一変。レースを使われることでパフォーマンスを上げるのは母アニメイトバイオの血筋が影響しているのだろうか。トロワマルスの項目で挙げた血統面は懸念材料も、前走基準で判断すれば逃げて直線大失速するイメージは想像しにくい。

・ペールエール
500キロの馬体重が示すように、いかにもパワー満点なダイワメジャー産駒。それでいて前走ラスト3Fは12秒0-11秒6-11秒4と「加速ラップ」を刻んでいる点は心強い。過去10年の新潟2歳Sにおいて、前走中京芝1400mを上がり3F2位以内で制した馬は【2-1-1-4】複勝率50%。2019年のM.デムーロ×安田コンビの成績【6-2-1-0】複勝率100%も含め、強調材料に事欠かない1頭だ。

・モーベット
出遅れもなんのその、慌てず騒がずムチ打たずで突き抜けたデビュー戦。スケールの大きさを感じずにはいられない1頭と言えよう。ペールエール同様、前走ラスト3Fは11秒8-11秒4-11秒2の加速ラップ。極端なタテ長にならなければ再度末脚爆発のシーンが見られそうだ。




田中正信 さん

キーンランドC出走馬、全頭の調教診断

皆さんこんばんは。
今週はサマースプリントシリーズの第4戦キーンランドCについて追い切り診断を行っていきます。アイビスSDの勝ち馬ライオンボスの参戦や、函館スプリントSを禁止薬物騒動で除外の憂き目に合ったダノンスマッシュ、その函館SSで2、3着だったアスターペガサス、タワーオブロンドンなど、馬名を挙げただけでも混戦が伝わってきそうですね。

では早速、全頭診断をご御覧ください。

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キーンランドC・全頭診断
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■アスターペガサス
札幌ダートコースで戸崎が手綱をとって単走。ゴール前仕掛けられるとグイっと伸び脚を見せてフィニッシュ、出来は平行線。前走の函館SSは少頭数とはいえ52キロの軽量を活かして2番手追走から2着に踏ん張った。引き続き状態は良さそうだが、相手強化のここでどこまでやれるかだ。

■カイザーメランジェ
函館ウッドで5F67秒9-1F12秒9。内の2頭に楽に並ぶと、抑えきれないほどの手応え。最後は無理せず馬の気に任せたが、迫力のある動きは好調時と遜色なし。馬体の張りも保てている。

■サフランハート
函館ウッドコースで単走。序盤から、やや夢中で走ってしまっている感じはあるが、活気という点では申し分ない。首をしっかりと前に出しており、四肢の回転も上々。追われれば、もっとタイムを詰められただろう。悪くない。

■シュウジ
気性に課題のある馬だが、直線を向くまではしっかりと鞍上の指示を待っていた。直線を向くと迫力満点の走りに。前脚はしっかりと前方の芝をつかみ、後肢の回転も非常に鋭い。胸前の筋肉は非常にたくましく出来の良さをうかがわせる。

■セイウンコウセイ
函館ウッドで5F69秒1-1F12秒7。うまく折り合いがついて、滑らかなフットワークを披露。直線は馬場の大外に持ち出すと、リズム良く、一直線にはじけた。中間はナックビーナスと併せるなど意欲的な攻めを消化してきた。その効果もあってか、いつも以上に活気がみなぎっている。

■ダイメイフジ
函館ウッドを単走で追い切られる。ラスト強めに追われると、首を使って、軽快な伸び脚。上々の動きでフィニッシュした。涼しい北海道に滞在して、体調も良くなったようで前走は、しぶとい脚を使って3着と好走。出来は変わらずといった感じで、流れ次第。

■ダノンスマッシュ
札幌芝コースで単走。禁止薬物騒動でローテーションの変更を余儀なくされたが、アクシデントを感じさせないほど、馬体にはいい筋肉がついている。直線を向き、手前を替えるとスイッチが入った。首をしっかりと使い、リズム感は素晴らしい。特に後肢の回転の良さは目を引く。後方に蹴り出した後、前へと引っ張る動きが非常に俊敏。万全の追い切りだった。

■タワーオブロンドン
札幌芝で6F83秒5-5F67秒5-1F11秒9。ルメールを背に併せ馬。5馬身追走して外に併せると勢いの違いは明らか。抜け出しそうなところを我慢させたまま、躍動感にあふれたフォームでキッチリと伸びきった。胸前に厚みを増して、トモの筋肉量も申し分なし。出来の良さが際立っている。

■デアレガーロ
函館ウッドで5F68秒6-1F12秒6。4馬身追い駆けると、力みもなく徐々に差を詰めてペースアップ。直線で内に潜ると軽々抜け出して2馬身の先着。もともと仕上げやすいタイプとはいえ、うまく仕上がった。

■ナックビーナス
函館ウッドで5F70秒9-1F12秒0。先週はセイウンコウセイと併せてクビ差先着。今週は僚馬に4馬身追走でスタートすると、直線は脚力の違いを見せつけて3馬身の先着。ハードに乗り込んで、仕上がりに抜かりはない。

■ハッピーアワー
重心が高く、パワーをきっちりと推進力に替えられていない。ラストのタイムは決して悪くないのだが、もう少し重心が低くなればエネルギーを消費することなく、同じタイムを出すことができるだろう。

■パラダイスガーデン
函館ウッドで4F55秒8-1F13秒4。日曜に5Fから乗って1F12秒4。直前はテンションを上げないように軽めに止めた。調整は順調も、フットワークの切れ、スピード感は今ひとつ。前走からあまり変わった印象はない。

■ペイシャフェリシタ
函館ウッドで5F69秒4-1F12秒4。促すと一気に加速。内目を通ったとはいえ、グーンと伸びたラストの脚は威力は十分で、馬体も太め感なし。態勢は整っている。

■ライオンボス
美浦で1週前追い切りを済ませて札幌入り。直前は札幌芝で5F73秒1-1F13秒8。意識的に控えたとはいえ、さすがにスピード、迫力はひと息。気配は目立たない。

■ライトオンキュー
姿勢が低くて安定感があり、前を向いてしっかりと集中できているのもいい。前脚もしっかりと前に出て、フットワークとしては申し分ない。以前より、トモに筋肉がついたような感じもあり、そのあたりがパワーアップにつながっているのだろう。

■リナーテ
函館芝で併せ馬。僚馬の背後につく際も落ち着き十分。やや左右離れてしまったのは誤算かもしれないが、相手の2歳馬が馬体的に見劣りするので、これでいいだろう。馬体を寄せすぎたら相手が萎縮したかもしれない。最後は型通り、前に出て圧倒フィニッシュ。フットワークには最後まで活気があり、馬も先着して気持ちは満足だろう。





亀谷敬正さん

キーンランドCもダンチヒの血に注目

ダンチヒもダーレーにも共通するのは「洋芝の一流血統」


 今年の札幌芝も「ダンチヒ系」と「ダーレー生産馬」は好調。(全出走馬のすべての系統、生産牧場は「スマート出馬表」にて無料公開中)

 先週日曜のメインレース札幌記念の勝ち馬ブラストワンピースもダンチヒ系。そして最終レースのプリディカメントもダンチヒ系。生産はダーレージャパン。

 なお、札幌開幕週に行われたクイーンSで9人気ながら3着に走ったカリビアンゴールドも母父がダンチヒ系。ダーレー生産馬。

 ダンチヒ系とダーレー生産馬に共通するのは「洋芝の一流血統」であること。札幌は洋芝。ダンチヒもダーレーも「洋芝」で行われる海外のビッグレースでも一流の結果を残していますから、札幌の芝で特に結果を出すのです…。

 ということは、先週の最終レース前にも「亀谷競馬サロン」にてコメントしまして、勝ち馬のプリディカメントを推奨しました。今週末も引き続き、ダンチヒ、ダーレー生産に注目したいです。

 タワーオブロンドンはダーレー生産馬。父レイヴンズパスも洋芝の欧州G1マイルを連勝した馬。同牝系に皐月賞馬のディーマジェスティ。また、同馬は○×(好走凡走)の戦歴リズム。過去7走を振り返っても連対→3着以下を交互に繰り返しています。前走は2走前の反動。型通りは反動が癒える順番となりますか。

 ダンチヒ系の血を母父系に持ち○×のリズムを刻みやすいのがペイシャフェリシタ。先に書いたように、今の札幌芝はダンチヒの血が好調。前走は人気で凡走したのも、今回へ向けてはいいステップ。

 ハッピーアワーは札幌記念勝ち馬ブラストワンピースと同じダンチヒ系のハービンジャー。

 ブラストワンピースは前走からの「距離短縮」が得意で「延長」が苦手な馬。(このことは2走前の目黒記念の前にyoutubeチャンネル「血統の教室」でも紹介しましたね)

 ハッピーアワーも全3勝のうち2勝は「距離短縮」ブラストワンピース同様、今回は得意な臨戦過程に有利な馬場での出走となります。
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