栗山求コラム「血統の裏庭」

​ローズS(G2)血統的考察

​ 先週のセントウルS(G2)は
◎タワーオブロンドン(1番人気)が力強く抜け出して快勝。

開幕週の絶好馬場だったこともあって
勝ちタイムの1分06秒7はコースレコードだった。

10月のスプリンターズS(G1)は
ダノンスマッシュとの対決となる。

対戦成績は3勝2敗。

前走のキーンランドC(G3)では
1着ダノンスマッシュ、
2着タワーオブロンドンという結果だったが、
後者が1kg重い斤量を背負っていたので力は互角だろう。

3歳牝馬のグランアレグリアも
参戦するとの情報があるので熱い戦いとなりそうだ。


さて、今週はローズS(G2・芝1800m)

G1レースとトライアルの関係のなかで、
秋華賞とローズSは結びつきが深く、
秋華賞好走馬はほとんどローズS出走組だった。

しかし、紫苑S(G3)が重賞に昇格し、
調教技術の進歩で久々でも力を発揮できる馬が増えた影響か、
ここ3年は、秋華賞連対馬6頭中5頭がローズS以外からの参戦だった。


本番で好走できないということは、
要するにメンバー構成が小粒になっているということ。

そのせいか過去3年間のローズSは荒れ模様。

16年は1番人気と11番人気、
17年は8番人気と6番人気、
17年は5番人気と2番人気での決着だった。


当コースに実績のある種牡馬はディープインパクト。

連対率は29.1%で、
過去、12年のジェンティルドンナ、
13年のデニムアンドルビー、
15年のタッチングスピーチ、
16年シンハライト、
18年カンタービレがこのレースを勝ち、
12年と18年は1~3着、15年は1、2着を占めた。

今年はダノンファンタジー、
ビックピクチャーの2頭が登録している。


【ダノンファンタジー】

「ディープインパクト×ノットフォーセール」という組み合わせ。

母ライフフォーセールはアルゼンチン産で、
現役時代は同国で
ブエノスアイレス州大賞(亜G1・ダ2200m)、
セレクシオンデポトランカス大賞(亜G1・ダ2000m)など
6つの重賞を制し、
通算10戦8勝の成績を残した名牝。

ダートで実績を残した馬だが、
アルゼンチンのダートは
日本式の砂ではなくアメリカ式の粘土質で、
タイムは芝並みに速い。

母の父ノットフォーセールは
芝1000mのG1を勝っているので
スピード能力は高かった。

日本にはバラダセール、
ミスセレンディピティ、
サファリミスなど、
何頭かの繁殖牝馬が輸入されている。


前述のとおりディープインパクト産駒は
ローズSで過去5勝、2着4回と抜群の実績を誇る。

本馬は回転の速いフットワークで
スピードが勝っているため、
前走のオークスは距離が長く5着と敗れたが、
勝ち馬から0秒5差と大きく負けたわけではない。

1800mのスピード勝負なら対応できるだろう。


【ビーチサンバ】

「クロフネ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。

フサイチリシャール(JRA賞最優秀2歳牡馬)や
サイオン(エルムS-5着)の全妹、
ライラプス(クイーンC)の4分の3妹にあたる良血で、
母フサイチエアデールは重賞4勝の名牝。

ビーチサンバ自身は
「父クロフネ、母フサイチエアデール」という血統なので、
クロノジェネシスの母クロノロジスト
(父クロフネ、母はフサイチエアデールの全妹インディスユニゾン)
と配合構成が同じだ。


「クロフネ×サンデーサイレンス+ミスタープロスペクター+ラトロワンヌ」
というクロフネ産駒のニックスに合致しており、
本馬を出産したとき母は20歳と高齢だったが、
兄姉に引けを取らない資質を披露している。

父クロフネは
カレンチャン、
ホエールキャプチャ、
スリープレスナイトなど、
とくに牝馬は短い距離で大成するものが目立つ。

オークスでは15着と大敗してしまったが、
敗因は距離にあるので致し方ない。

1800mはこなせる範囲なので今回は見直したい。


【シゲルピンクダイヤ】

「ダイワメジャー×ハイシャパラル」という組み合わせ。

母ムーンライトベイは不出走で、
2代母ムーンライトダンスは
アイルランドで芝8ハロンのG3を勝った。

母の「ハイシャパラル×シンダー」という組み合わせは
欧州2400m向きだが、
父がマイラー型のダイワメジャーで、
同産駒の牝は距離をこなせないものが目立つだけに、
オークスの2400mは長かった。

12着と敗れたのも致し方ない。

1800mなら対応できる。

ダイワメジャー産駒にしては切れるタイプで、
チューリップ賞(G3)と桜花賞(G1)で
連続2着となったように阪神コースは得意。

仕上がりさえ問題なければ凡走は考えづらい。


【ウィクトーリア】

「ヴィクトワールピサ×ウォーエンブレム」という組み合わせで、
半兄にブライトエンブレム(札幌2歳S、弥生賞-2着)と
アストラエンブレム(新潟記念-2着、エプソムC-2着)がいる。

母ブラックエンブレムは
アワエンブレム≒ヘクタープロテクター2×2という特殊な凝縮を持っており、
秋華賞(G1)を勝って競走馬として成功しただけでなく、
繁殖牝馬としても成功した。

ウィクトーリアはフローラS(G2)を勝ち、
オークスはスタートで出遅れながらも
最後よく伸びて4着と健闘した。

ヴィクトワールピサ産駒は芝1800mがベスト。

ただ、中央4場の芝1800m戦を比較すると
阪神芝1800mは最も連対率が悪い。

ウィクトーリア自身は
芝1800mで3戦2勝だが、この点は少し気がかり。


枠順と脚質、調教の動きなどを加味しつつ、
週末に最終結論を出したい。






調教Gメン研究所・井内利彰

【ローズS・セントライト記念追い切り】最後の1冠に向け好スタートを切るのは!?

高速の馬場状態が今週どうなるか?も焦点


 先週は学生対抗予想イベントで土日ともに中山競馬場。というわけで、とにかく速かった中山芝のレースをライブで体感してきました。どんなに速いペースで飛ばしても「ほぼ」止まらない。ここに「ほぼ」と付けたのは、逃げ先行有利と読んで本命を打った馬だけが、なぜだか止まったので。たとえば、京成杯AHのプールヴィルとか(笑)。

 今週も同じような馬場になるのか。これは週中の天気も関係してくるでしょうから、現時点では予測も難しいところ。ただ、基本的に前有利は大きく変わらないでしょう。セントライト記念は今年のメンバーだと、そもそも逃げ先行が人気しそうですが、ここでは馬の状態に関して、調教を踏まえた情報をお届けします。


【ローズS/ダノンファンタジー】
 8月18日から坂路で本格的に時計を出し始めて、2週前追い切り、1週前追い切りがともにCW。最終追い切りはいろんなパターンを経験してきているだけに、どの選択になるかと思いましたが、今回はチューリップ賞と同じCWでの4F追い切りでした。

 川田将雅騎手が跨って、3コーナーからCWへ入場。スタート直後は折り合う様子を見せていましたが、カーブ地点のあたりでは頭を上げる仕草。最初のラップが13.7秒でしたから、これを遅くて嫌がっていたのかも知れません。だからといって折り合いを欠くわけではなく、鞍上がうまくなだめながら最後の直線。ここは力強く伸びて、時計は4F50.4~3F36.7~1F12.0秒。特に問題ない仕上がりでの出走となりそうです。


【ローズS/シゲルピンクダイヤ】
 桜花賞2着後に期待されたオークスは惨敗。ここは仕切り直しの1戦となりそうですが、調教パターンに変化が出てきました。それが1週前追い切りのCW。デビュー戦の2週前追い切りでCWを利用したことはありましたが、それ以降はすべて坂路での追い切り。そんなこともあって、時計は速くても、少し内にささりながら走っている印象でした。

 最終追い切りもCWになりましたが、やっぱり併せる形だとなかなか追い抜けません。相手が2歳ということもあって、最終的には突き抜けていますが、このあたりが課題なのかも。抜けてからは11.8秒でまとめていますから、その脚力はさすがですが、やっぱり競馬スタイルには注文がつくタイプでしょう。


【セントライト記念/リオンリオン】
 青葉賞を勝って、期待された日本ダービーでしたが、急遽の乗り替わりといったこともあり、15着の惨敗。ただ、松永幹夫調教師は「これでうちが出走すれば、ハナは譲らないということを分かってもらえたと思うし、秋に向けては決して悪くない内容だったと思います」と前向きに捉えていました。

 今回は函館競馬場に入厩して、ウッドチップで乗り込んでからの栗東入厩。1週前追い切りはCWであまりにも後ろから追いかけすぎたため、追いつくのがやっという内容になりましたが、負荷としてはしっかりしたものになったと思います。それだけに最終追い切りでどんな動きを見せるか注目ですが、それ以上にレースで予想される逃げっぷりにワクワクしてしまいます。


【セントライト記念/エングレーバー】
 プリンシパルSの最終追い切りがCW、宮崎特別の最終追い切りが坂路。同じ2着ですが、さすがに前者の2着の方が価値があると思いますから、やっぱり最終追い切りはCWがベストでしょう。ちなみに中山で500万下(現1勝クラス)を勝ち上がった時の最終追い切りは坂路で15-15でしたが、これは変則日程が関係しています。

 今回の最終追い切りは藤岡佑介騎手が跨っての単走。そもそも2勝馬は抽選というところにジョッキーが固定されている状況が、この馬の期待された能力を感じますし、実際に最終追い切りのCWでの動きを見ていても、自分のリズムで競馬した時の強さはイメージできます。今回は自らハナを切る必要がなさそうなだけに、ベスト条件でレースを進めることができそうです。


【セントライト記念/タガノディアマンテ】
 中山競馬場でのレースはスプリングS、皐月賞と2走していますが、いずれも二桁番手からのレース。明らかに今の馬場状態には有利とは言えない脚質ですが、中間の調教内容を見るかぎり、トライアルだからといって軽視できない状態であることは間違いありません。

 前記2レースが1週前追い切りがCWで併せ馬に先着しているので、その時点で今回の追い切りも評価できますが、強調したいのは追走して先着したところ。しかも外を回って、前を捕まえたところです。京都新聞杯のように先行すれば伸びはひと息ですから、やっぱり差してナンボの馬。そこに磨きをかけるような内容は本当に魅力的。まして、先週の馬場で差し馬に乗った時の田辺裕信騎手のライディングは素晴らしかったと思いますから、馬と騎手の呼吸がうまく嵌ると思います。


◆次走要注意

・9/8 習志野特別【サトノエルドール】(1人1着)

 単勝1.5倍の人気に応えたものの、パドックでの様子を見ていると、そこまでの安定感がない幼さがあります。ただ、出雲崎特別のパドックよりは落ち着いて周回できていたと思いますし、一戦ごとに集中力も出てきました。より落ち着いて周回できるようになれば、重賞勝ち負けレベルの素質馬でしょう。

[メモ登録用コメント] [パドック]常に落ち着いて周回できれば勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・阪神ジャンプS【ブライトクォーツ】

 CWでの追い切りでは、常に1F13秒台のラップを持続できるタイプですが、今回は12秒台を踏みながら、最後は13.0秒でまとめて、6F78.2秒。ある程度のスピードを持続できるスタミナは、まさに中山大障害向き。ここで負けるわけにはいきません。

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