単勝二頭流

秋華賞の注目穴馬、そして人気馬の評価は!?

『単勝二頭流』編集者(以下、編) 石橋さん、ちょうどいまJRAの発表で土曜日と日曜日の東京開催が中止になると。で、土曜日分は火曜日に出馬再投票なし(馬番変更なし)で、日曜日分は出馬投票をやり直して行うとのことです。

石橋 武(以下、石) 11日の14時半現在の情報です。このあとのJRAからの発表にもご注意下さい。

編 石橋さんの勝負予想はどうなります?

石 「競馬がある限り」なので(笑)、開催がある日はすべて予想を出しますよ。

編 あとは京都ですよね〜。

石 土曜日に関しては早めに発表してあげてほしいよね。当日輸送の馬もいるだろうし、ファンも関係者のなかにも動きを決めかねている人も多いので。

編 ですよね。一度輸送して、またトレセンに戻って、火曜日に再輸送とか馬によっては力を発揮できないケースもあるでしょうし、そのまま京都競馬場に滞在するにしても日曜日のG1の歓声とかでテンションが上がっちゃったり、調整も難しいでしょうし。

石 そうね、早いに越したことはない。ま、いずれにせよ、今日ここで取り上げる秋華賞はやれるんじゃないかということで。

編 ですね。それと開幕週となった先週は本命馬はかなり馬券に絡みましたけど、勝つ、要は「単勝二頭流」としては物足りなかったと思うので、巻き返しも必要ですからね。

石 仰る通り。

編 先週の勝負予想は全部で9レース。そのうち7レースで本命馬が馬券に絡んでいて、なかには京都大賞典の◎シルヴァンシャーとか、あとすごかったのは日曜日の東京最終で◎トークフレンドリー(10人気2着)とかありましたけどね。

石 本命馬には勝ってもらわないとね。

編 そうですね。やはり「単勝二頭流」は本命馬に勝ってもらわないと。まあ、先週の馬場を見たうえで、修正はできているでしょうけど。

石 まあ、そのあたりは大丈夫かなと。先週にしても運のせいにするわけではないけど、抜け出しのタイミングとか、そういうところでほんのちょっとやられてしまったのが痛かったというところなので。ただ、もちろんそれを言い訳にせず見直していきますけど。

編 まあ、石橋さんならほっといても大丈夫でしょうけど。ま、今週末からG1が続きますし、さっき聞いたところでは、秋華賞は大荒れ、菊花賞は中〜大荒れ、天皇賞(秋)はガチガチ(笑)とのことですし、そこまで見通せているなら楽しみしかないなと。

石 菊花賞は馬場状態で配当が左右されるかなと。秋華賞はパンパンの良馬場は考えづらくて、それを加味するとまあ荒れるでしょうと。天皇賞(秋)はアーモンドアイとサートゥルナーリアが出てくるんでしょ(苦笑)?

編 となると、今週、来週で稼いで天皇賞(秋)へドーン!というのが見えてきますね。

石 ダメでしょ(笑)。残すものは残しておかないと。堅いところに全額投入とか、センスないわ〜。だったら荒れるレースに決めた額を入れてローリスクハイリターンを狙いたい。

編 たしかに。じゃあ、今週末はそのチャンスだし、実際、大荒れ予想とのことなので、秋華賞を楽しみにしていますね。ただ、秋華賞って毎年難しくないですか?

石 そう? 僕としてはかなり好きなレースだけどね。わかりやすいし。

編 わかりやすい? マジか。え、どんな馬を狙えばいいんですか?

石 すごくざっくりわかりやすく言うと、春のクラシックの上位3頭と、4〜6位の馬が入れ替わる感じ。春のクラシック、桜花賞とオークスで重要なのは瞬発力と軽いスピード。一方、秋華賞で要求されるのは持続力か一瞬の切れ。

編 ふ〜ん。

石 ピンときてなさがすごいな。古いカメラか。桜花賞とかオークスで勝ち負けする馬って、瞬発力があるのよ。スローからのヨーイドンで、長い直線を利して差し切るような。切れないけどバテないタイプ、もちろん能力は必要だけど、そういう馬も善戦はするんだけど、最後は切れ負けする。めちゃ切れるけど使える脚が短いタイプも、長い直線で脚が上がっちゃう。だから春のクラシックでは惜敗しているわけ。

編 あ、ようやくピンときた。ガラケーのカメラくらいにはなってきた。

石 余計なこと言わんでよろしい。で、反対に秋華賞は京都内回りで行われるだけあって、どの馬も早め早めに仕掛ける展開になりがち。

編 一時期、魔の秋華賞ペースって言葉がありましたよね。

石 そうね。いまではそこまで単純にハイペースになるわけではないけど、それでもスロー→ヨーイドン!を得意とするタイプにとっては脚が溜まりづらい厳しいペースになりがち。そんな流れで能力を発揮するのが、切れないけどバテないという持続力があるタイプ。そして後方に構えて、ハイペースに乗じて短い直線で末脚を爆発させられるタイプというわけ。

編 最新iPhoneのカメラだわ。

石 わかったって(笑)。最初に余計なこと言ったオレが悪かった。すまん。それに加えて、今年の秋華賞は台風の影響でパンパンの良馬場というわけにはいかなそう。となると、そこにパワフルさも必要となってくるという。まあ、そこは土曜日の降雨量とかを見たところで判断するけど。

編 で、それを加味すると具体的にはどの馬に注目しています?

石 まずはシェーングランツ。この馬の阪神JFの4着というのは能力の証なんだ。まったく不向きとは言わないけど、向いているとは言えない距離で善戦しているのは。ある意味桜花賞の9着は順当だし、オークスで小差の7着にパフォーマンスを上げてきたのもこの馬の能力。

編 オークスでは10番人気にもかかわらず印を打っていましたしね。

石 流れ次第では3着ならあり得るかなという見立てだったので。ただ、シェーングランツにとって、牝馬3冠のなかでもっとも向いているのは秋華賞だというのは春から思っていたし、こういう切れなくてもバテない脚を使えるタイプは合っている。距離延びたオークスでパフォーマンスを上げてきたのも、距離が合って、長く脚を使える点を活かしたところだから。

編 さすがにマイルは合わない。オークスもベストじゃないけど、距離が延びるぶん太刀打ちできる下地はあったと。

石 そうそう。今回は厳しい流れというのも向いているし、さらにパワフルな馬場になればさらにプラス。好走が期待できるよ。

編 続いては?

石 エスポワール。

編 前走で道悪を勝っているのもいいですよね。

石 そうね。パワーを求められれば同馬。古馬2勝クラスであの圧勝なら能力的にも足りるし、小回りの立ち回りの上手さもある。願わくば内枠だったけど、中団からの競馬でも走れているし、立ち回りの上手さを活かして徐々に上がっていく競馬ができるなら、むしろそれもありかなとも思うし。

編 そこは出たなりでと。

石 いま決めつけてもいいことないからね。

編 じゃあ、そこは週末の状況を見つつということですね。

石 あとはフェアリーポルカ。使える脚は短いけど、器用さがあるし、京都の内回りはベストだね。この馬にとっては。道悪でペースが上がらずに器用さが求められる展開になれば、この馬の出番。前走は2着とはいえ、内で窮屈になったぶんの差だしね。明らかに余裕残しだったし、上がり目も含めて期待かな。

編 ちなみに人気馬はどうですか? 冒頭の話だとダノンファンタジーも秋華賞で合うんじゃないですか? クラシックを惜敗して。

石 あ〜、この馬は違う。明らかにクラシック向き、とくに桜花賞向きなのに勝てなかったというタイプ。枠は前向きすぎるこの馬にとってベストと言える最内枠だけど、馬場が重くなるのも合わないだろうし、前走で走り過ぎているのも気になる。

編 反動ですか?

石 そう。使ってよくなる印象もないしね。本命にはしないと思うよ。

編 なるほど。クロノジェネシスは?

石 めっちゃ聞いてくるじゃん。クロノジェネシスは鞍上。G1では鞍上の慌てっぷりで負けているレースが目立つし、内回りでゴチャつきやすい京都で捌いてこられるかどうか。枠は本来はベストだけど、捌く必要を考えると……といったところかな。まあ、もう少し考えます。

編 わかりました。では、現時点ではこの3頭の穴馬に注目しつつ、週末を楽しみに待っておきます。

石 あとは秋華賞がちゃんと行われればと。

編 ホントそうですね。行われたら最新のiPhoneを持って写真撮りに行くのに。

石 話のピントが合ってないわ。





田原基成 さん

ダノンファンタジーほか、2019秋華賞出走予定馬18頭分析
秋華賞が行われる今週。グランアレグリア、ラヴズオンリーユーと春のGI馬2頭不在は混戦ムードに拍車をかける。ローズS・紫苑S組の王道ローテ以外から参戦する馬も多く、どこからでも入れそうなメンバー構成と言えるだろう。

そこで今回のコラムでは、2019秋華賞に出走予定の18頭をあらゆる角度から分析してみたい。私なりの視点で捉える18頭の判断基準が、あなたの予想の参考になれば幸いだ。

・エスポワール
ワールドプレミア、メイショウテンゲン、タガノディアマンテ……重賞好走馬3頭を輩出したエスポワールの新馬戦は世代屈指のハイレベルレースだった。その後わずかな足踏みもあったが、休みを経て臨んだ近2走はいずれも上がり3F最速の脚で連勝。いよいよ本格化の香りが漂う。前走シンガポールTC賞の勝ち時計2分0秒8は中京競馬場リニューアル後における最速。重賞11連対中9連対が急坂というオルフェーヴル産駒の適性は気がかりだが、GI即通用の可能性は十分だ。

・カレンブーケドール
12番人気の低評価を覆す激走をみせたオークス。ディープインパクト×ストームキャット系の配合馬だけに春の東京高速馬場は大好物なのだろう。1分58秒台が珍しくないこの舞台でも期待が集まるが……日曜京都は台風19号の影響で渋った馬場が濃厚。休み明けとはいえ外からパッシングスルー、内からフェアリーポルカに差された前走紫苑S内容も気がかりで、初の関西圏も含め上積み材料には乏しい。

・クロノジェネシス
悲願のGI制覇を期した春競馬は3.3着。着順だけで判断すれば惜しいと思われるが、勝ち馬とは0秒4差離されていた点から本質広いコース向きではないのだろう。最後の一冠はもっとも適性の高さを感じる平坦内回りコース。加速ラップで制した新馬戦の内容は素晴らしく、極端な枠さえ引かなければ好勝負が期待できる1頭だ。

・コントラチェック
古くはファビラスラフイン、テイエムオーシャン、カワカミプリンセス。直近ではアーモンドアイが成功を収めた春のGIからの直行ローテで挑むのがこの馬だ。スピード能力には目を見張るものがあるが、前述の4頭はいずれも関西圏での出走歴あり。3歳春までに経験を積めなかったことはマイナスと言わざるを得ない。過去10年の秋華賞において、関西圏未出走の関東馬は【0-0-0-28】。評価を上げるには厳しい印象だ。

・サトノダムゼル
未勝利勝ち後、3カ月という短い期間でトントン拍子に3連勝。秋の大舞台へと駒を進めた。底を見せていない点は魅力も、今回は初の2000mに関西圏、前走比3キロ増の斤量と不安要素が目白押し。経験値に勝る強豪相手に即通用とは簡単に言い切れない。

・シェーングランツ
デビュー時は482キロだった馬体重。オークスではとうとう458キロまで減ってしまっていた。馬体減=成長なしとは一概に言い切れないが、後方からチョロッと差すだけの近走内容に見どころを求めるのは難しい。滞在競馬もしくは関東圏が狙い目か。

・シゲルピンクダイヤ
「ゲートを出てハミを噛んだ」と鞍上が振り返った前走ローズS。やはりこの馬には道中後方で脚を溜め、切れ味を活かす競馬が合っているのだろう。馬群を苦にせず割ってこれる勝負根性に加え、ハイシャパラル、シンダーと欧州競馬のチャンピオンホースが並ぶ血統背景から道悪は歓迎。見限るにはまだ早い。

・シャドウディーヴァ
左回り成績【1-3-1-1】に対し、右回りでは【0-0-0-2】。ひと夏を越してもなお右回りへの不安が解消されることはなかった。左回りの2000m替わりが最大の狙い目だろう。

・シングフォーユー
2勝クラスを勝ち上がったばかりの馬だが、春にはスイートピーS2着。当時の勝ち馬カレンブーケドールとは未勝利時代も含めタイム差なしの競馬を2度にわたって繰り広げている。前走は差す競馬で勝利を収めたが、私が望むのは上がり3F最速の脚で逃げ切った未勝利戦のような積極策だ。京都芝2000mで4角3番手以内を進んだジャスタウェイ産駒は【4-1-2-0】馬券圏内率100%。コントラチェックが控える競馬を示唆している点も穴妙味をくすぐる。

・ダノンファンタジー
春のGI2戦は、同馬の実績からすれば物足りなく映るもの。それでも前走ローズSはきっちり勝利を収め、世代トップクラスの実力をアピールした。ここは2つめのGIタイトル奪取を狙う一戦だが、気がかりなのは共同記者会見における陣営のコメント。「上積みが大きくあるという印象ではない」「距離は1600がベスト」「重馬場は得意ではないと思う」……こうも弱気に来られると疑ってしまうのは当然だろう。シレッと3着に差し込むパターンを考える必要はあるが、それ以上となると厳しい印象は否めない。

・トゥーフラッシー
芝での馬券圏内は未勝利戦に限定。関西圏での良績に乏しい厩舎でもあり、前進を期待するのは酷か。

・パッシングスルー
外回りコースで切れ味に屈した4・3走前から一転、2000mへの距離延長で先行押し切りを決めた近走。とりわけ1000m通過59秒7の前傾ラップを4角先頭で突き抜けた2走前は小回り適性の高さを証明するものだった。関東馬のなかで数少ない関西圏経験馬。念には念をと栗東滞在で臨むローテーションにも好感が持てる。

・ビーチサンバ
この馬の戦績で思い出すのはマイネイサベル。2010-11年の牝馬クラシック戦線で好走を繰り返し、息の長い活躍をみせた馬だ。そんな同馬の主戦場は直線の長いコースかつ1600-1800m。まさにビーチサンバの適性そのものだ。京都芝2000m重賞成績【0-0-1-11】のクロフネ産駒でもあり、評価を上げるには躊躇してしまう。

・フェアリーポルカ
オール野芝の前走紫苑Sを上がり3F33秒台、1分58秒3で走破。時計のかかる馬場巧者のイメージを持っていただけに、この好走には驚かされた。秋華賞当日は渋った馬場が想定されるが、同馬の近親リオンリオンは馬場が渋った青葉賞、セントライト記念を勝利。デニムアンドルビーも稍重-重で行なわれた重賞2勝と一族の道悪適性は折り紙済みだ。これで内枠を引き当てることができれば、単なる穴馬にとどまらない可能性を秘める。

・ブランノワール
直線の長いコースでの成績【3-1-0-1】に対し、内回りコースでは【0-0-1-1】。広いコースで決め手を発揮するタイプであることは明らかだ。ペースの差こそあれ、夕月特別の勝ちタイムはローズSに0秒9劣るもの。当時負かした相手も強いとは言い難く、厳しい戦いが予想される。

・メイショウショウブ
前走ローズSは不思議なレースだった。行こうと思えば行けた状況にもかかわらず「絶対に逃げたくない」という鞍上の意思を感じるような位置取り……結果的に【4-8】とチグハグな競馬に終始してしまった。私がこの馬の評価を上げるとすれば、渋った馬場かつ内枠を引き当てること。時計のかかる馬場で施行されたデイリー杯2歳Sはアドマイヤマーズと僅差の2着。京都では一度も馬券圏外がなく、前述の条件が揃えば面白い。

・レッドアネモス
全3勝はいずれも1000m通過61秒5以上のスローペース。60秒切りが当たり前の秋華賞においてハイペース適性のなさは致命的と言えるだろう。広いコースのスロー勝負でこそ狙いたい1頭だ。

・ローズテソーロ
左回り成績【2-0-0-1】に対し、右回りでは【0-0-0-3】。典型的なサウスポーで、得意の左回りに替わった際に見直したい。


ラッキーライラックほか、2019府中牝馬S出走予定馬16頭分析
府中牝馬Sが行われる今週。かつてはエリザベス女王杯との関連性が低いレースだったが、2016年以降は毎年連対馬を輩出。秋の牝馬GI戦線を見据えるうえで注目すべき戦いと言えるだろう。

そこで今回のコラムでは、2019府中牝馬Sに出走予定の16頭をあらゆる角度から分析してみたい。私なりの視点で捉える16頭の判断基準が、あなたの予想の参考になれば幸いだ。

・エイシンティンクル
牡馬GI馬4頭相手に先手を主張した前走札幌記念。結果は6着も、上位5頭の顔ぶれをみれば評価が下がることはないだろう。左回りでは【2-0-2-0】と大崩れのない馬。全兄エイシンヒカリが重賞を制した舞台替わりで変わり身の可能性は十分だ。

・オールフォーラヴ
左回りでの3戦はいずれも馬券圏外。マイルがベストの印象もあり、一変を望むのは酷か。

・カンタービレ
こちらも左回りでの2戦はいずれもフタ桁着順。厳しい印象は否めないが……唯一気に留めるべきは【3-0-0-0】と負け知らずの芝1800m替わりであること。ノーマークは避けたいところだ。

・クロコスミア
一昨年のこのレース勝ち馬。コース適性は評価すべきだが、昨秋以降は叩き3戦目での一変が好走パターンとなっている。休み明けの札幌記念を使われ、おそらく次走はエリザベス女王杯。2年連続2着と相性抜群の条件だ。陣営の思惑を読み解くと、やはり11月京都が大本線だろう。

・サトノガーネット
これまで地元関西圏の京都・阪神、そして滞在競馬の北海道を使われ続けている馬。輸送競馬も左回りも経験がなく、GI連対馬4頭が揃ったここは経験値で見劣りしてしまう印象だ。

・ジョディー
馬券圏内4戦すべて東京というサウスポー。舞台適性は申し分ないものの、やはり重賞連対歴なしの実績は見劣りしてしまう。エイシンティンクルやクロコスミアなど同型も多く、古馬相手の戦いは簡単ではないだろう。

・スカーレットカラー
直線平坦コース【1-2-0-1】に対し、直線急坂コース【1-2-0-6】。明らかな平坦巧者で、3走前に先着したサラスにはマーメイドSで逆転を喫してしまっている。東京での良績にも乏しく、さらなる上積みには疑問を抱かざるを得ない。

・ソウルスターリング
内枠を引き当て、スローの展開でロスなく運べたクイーンS3着が一昨年秋以降の最高着順。全盛期の力にはないとの判断が妥当だろう。

・ダノングレース
前走クイーンSは再三再四にわたりスムーズさを欠く競馬。参考外と言えるだろう。今回は3走前に制した東京芝1800m替わり。極端な馬場悪化はマイナスも、ヒモ穴として一考したい。

・ディメンシオン
マイル路線で研鑽を積む馬だが、この馬にとって1600mは短いという認識を私は抱いている。ベスト条件は【2-1-0-0】連対率100%を誇る1800m。寒い時季に着順を落とす傾向があるだけに、10月開催は年内で言えばギリギリだ。さらに今回は【4-1-0-2】と好走目立つ左回り替わり……道悪適性も高く、条件好転だ。

・プリモシーン
意外なことに、これが初の非根幹距離参戦。マイル路線を主戦場に牡馬相手でも怯まず好走を続けている点は立派だ。とはいえ先週の毎日王冠が示すように、東京芝1800mはコース適性が特に重要視される舞台。高すぎるほどの高速馬場適性を踏まえたとき、馬場が渋った際の懸念材料も依然として残る。

・フロンテアクイーン
内枠からスムーズに運べた前走クイーンS。絶好の競馬が叶ったにもかかわらず掲示板内を外したパフォーマンスはいただけない。ここは静観が妥当か。

・ペルソナリテ
重賞では【0-0-0-6】と厚い壁に跳ね返され続ける現状。厳しい戦いが予想される。

・ラッキーライラック
昨秋以降、馬券圏内を確保したのは抜群の立ち回りを発揮した中山記念のみ。ガクッと衰えたわけではないが、やはり2歳時の走りとの比較で物足りなさは拭えない。過去10年の府中牝馬Sにおいて、前走ヴィクトリアマイル組の成績は【0-0-1-12】。中心として据えるには躊躇してしまう。

・ランドネ
4角先頭時成績【2-1-2-0】に対し、4角2番手以下では【1-0-0-6】。ハナを切ってこそのタイプで、中途半端な競馬はまったく合っていない。今回こそ先頭を……と思いたいところだが、ここはエイシンティンクルにジョディー、クロコスミアと同型馬がズラリ。いつかは穴をあけると信じているが、そのタイミングはもう少し先になりそうだ。

・レッドランディーニ
勝利を余勢を駆って臨んだ前走マーメイドS。51キロの軽量、外差し馬場の恩恵を得て2着に食い込んだ。当時のパフォーマンスをフロック視する声もあるかと思われるが、重馬場で次位に1秒2の上がり3Fを記録し突き抜けた未勝利戦から切れ味は際立っていた。この舞台でも軽視は禁物だ。




田中正信 さん

秋華賞、全頭の調教診断

皆さんこんばんは。
今週は秋華賞の全頭追い切り診断。桜花賞馬、オークス馬が不在の3冠最終戦ですが、情報規制の対象となっている事情もあり、今回はこちらの全頭診断をご参考にしていただければ幸いです。なお、月曜開催の府中牝馬Sをピックアップレースとして日曜に更新いたしますので、そちらもご覧ください。よろしくお願い致します。

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秋華賞・全頭診断
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■エスポワール
坂路で単走。馬任せだが脚さばきには力感があり、ウッドチップも適度に舞い上がっている。前脚を高く上げるのではなく、後方へと蹴って推進力をつけるタイプ。首の動かし方を見ても気持ちがしっかりと入っており好感が持てる。今が伸び盛りというイメージ。

■カレンブーケドール
紫苑当時はさばきの硬さがあり、今ひとつ「切れ」で物足りないところがあった。その状態を使って体調はグーンとアップ。体の使い方が柔らかくなり、伸び脚も実にしなやか。今週は津村騎乗で坂路で併せ馬を行ったが、スピードに乗った走りで、ゴール前でも手綱は持ったまま。素晴らしく加速を見せると、どこまでも伸びて行きそうな勢い。中身がシャキッとして、すでにスイッチも入っている。文句なしの出来だ。

■クロノジェネシス
CWコースで併せ馬。3着だったオークス以来という点が鍵だが、動きを見る限りは全く問題ない。僚馬に馬体を並べる時もサッと取り付く感じが非常にいい。重心が低くなり、首の位置が僚馬と全く違うことがよく分かる。最後はかわしそうでかわさず、というところ。メディアによっては「併せて遅れた」と表現するところもあるかもしれないが、ゴーサインを出せばかわしていたはずで全く気にかける必要はない。むしろ、レースに向けて闘争心をため込めたとプラスに捉えるべき。好印象の残った追い切りだった。

■コントラチェック
輸送を考慮して直前はしまい重点。北村宏を背に3頭併せ。ゆったりとした前半にもしっかりと我慢。ラストは回転の速いフットワークで一気に伸びて1F12秒3。体もパンパンに張った状態で、入念に乗り込んで久々を感じさせない出来だ。

■サトノダムゼル
オーバーワークを避けるように今週は半マイルから。ピッチが上がってもフットワークの乱れはなく、直線も重心を低く構えたまま真っ直ぐな伸び脚。馬体減りもなく、好調をガッチリとキープしている。

■シェーングランツ
同じく秋華賞に出走するコントラチェックと併せてきたが、その相手と比べると動き、気配は一枚落ちる。今週はしまい重点で食らい付いたが、もうワンパンチ欲しい。

■シゲルピンクダイヤ
坂路で単走。一見して姿勢が非常に低く、効率の良いフォーム。しかも、ゴーサインにすぐに反応できる態勢だ。後肢によるウッドチップの蹴り上げもなかなかのもの。わずかに行きたがっている感じがあり、これはマイナスでなく、やる気の表れとプラスに捉えたい。ローズS4着からの上積みは非常に大きそうだ。

■シャドウディーヴァ
栗東滞在中。CWコースで併せ馬。直線を向いて僚馬が前に出た。しばらくは行かせていたが、残り1F付近からグングンと加速して、最後は捉えてしまった。この瞬発力こそが、この馬の最大の魅力で、調教でもそこを磨き上げたかったのだろう。狙いがはっきりとしていて分かりやすい。ただ、このラスト11秒5でレースに向けての気持ちが高まりすぎてしまう危険もある。ここから数日間の調整には気を使うはずだ。

■シングフォーユー
1週前にコース、直前坂路の予定通りの調整。併せ馬で追われ、手応え、脚勢で上回る走り。モタ付きがなくなり、ゴール前もグンと伸びるようになった。肩回りの筋肉量、トモの張りなども目立ち、鍛えられてきたことが分かる。状態はかなりいい。

■ダノンファンタジー
CWコースで川田騎手が乗って単走。相変わらず頭は上げる。そのあたりはローズS前の調教でも見せていたもので、レースでは快勝したのだから、過度に気にする必要はないだろう。直線を向くとサッと手前を替えて勢い十分。ピッチ走法で、これでもかというくらいに四肢が動く。首もしっかりと使い、活気の良さが全身からあふれている。それでもラストは夢中にならず、気持ちの余裕を少し残したままフィニッシュ。このあたりの「遊びの部分」は非常にいい。こういう点が見られればレースも余裕を持って運べる。ローズSより、はるかにいい追い切りだった。

■トゥーフラッシー
2頭の間に入れて、余力を持って同入フィニッシュ。ただ、馬体、動きに迫力がなく、こぢんまりとした印象。パワー不足。

■パッシングスルー
坂路で併せ馬。馬場の荒れた時間帯ということもあるのだろうが、飛ばすウッドチップの量がハンパない。グッと地面をつかんで走るという特徴がよく出ている。だいぶ負荷が掛かっているなと思わせ、美浦の坂路ではこうはいかないことを思えば、栗東に滞在した効果は大きかったと結論づけていいのではないか。

■ビーチサンバ
CWコースで単走。コースの中央に近いところを通っており、おとなしめの調教だなという印象を受ける。前脚は高く上がっており、活気は感じられた。姿勢も低く、胸前の張りの大きさも目立つ。ラストは四肢をしっかり伸ばしてフィニッシュ。友道厩舎は普段からかける負荷の量が多く、しかも1週前の段階であらかた仕上げてしまう。この追い切り内容で良さそうだ。

■フェアリーポルカ
CWコースで3頭併せ。先行して僚馬を待つ形。2頭に迫られると明らかに気になっている様子で闘志にあふれた馬なのだと思わせた。当然、四肢の動きは力を増し、重心も低くなった。首の下がり方はお見事。再び前に出てフィニッシュ。負荷も掛かり、馬の負けん気に火を付けることもできた。思い通りの併せ馬になったことだろう。

■ブランノワール
坂路で併せ馬。相当に負けず嫌いな馬と見えて、僚馬のことを随分と気にしている。その分、突っ立ったようなフットワークになっていることは否めない。そんな感じで2連勝中なのだから、フォームを矯正するより負けん気を伸ばしてあげた方が良いのだろう。僚馬に並び、かわしてしまうとフットワークが安定した。やはり気持ちで走る馬なのだ。

■メイショウショウブ
池添騎手が乗って坂路。さすがはG?を何勝もしている名手。馬のフットワークに合わせて、細かく手綱を動かしている。それに呼応して首が動き、四肢のさばきも連動している。ハミを何度もかけ直して、気持ちを鼓舞した。手綱をしごいたり、ムチを入れたりするよりソフトだが、個人的には「頑張れ」という鞍上の思いが通じるアクションだと思う。

■レッドアネモス
CWコースで併せ馬。随分と後方から追い上げたが、その時の脚はなかなかのもの。しかし、並びかけたところでパートナーもスピードを上げるから嫌らしい。ここでどんな動きを見せるかがポイントだったが、根性を振り絞ってジリジリと前に出た。そういう気持ちを引き出すことが狙いだったはず。負荷もかかり、先着して気持ちの面でも馬は満足した。

■ローズテソーロ
ポリトラックで併せ馬。直線は追われる相手を突き放す軽快な伸び脚を見せたが、終始テンションは高め。この1本でガス抜きができればいいのだが…。





亀谷敬正さん

今年の秋華賞はちょっとタフな馬場になってもパフォーマンスを落とさない血統から

重視したいのは「欧州型」の血


 先週の凱旋門賞は、個人的にはショックな結果でしたが日本の上級馬には「タフな馬場が得意な馬は、あまりいない」ことは改めて強く認識させられました。

「ちょっとタフな馬場」になった時には「あまりパフォーマンスを落とさない馬」は、上位に走る。実績馬でも「ちょっとタフになったら大きくパフォーマンスを下げる馬」を拾っていくアプローチを心がけたいものです。

 そしてJRAの馬場なりに「タフな馬場」になった際に注目は、やはり欧州で育まれた「欧州型」の血。(各血統の国別タイプは「スマート出馬表」を参照)

 タフな馬場になった一昨年も「父欧州型」のハービンジャーが1、3着。ちょっとタフだった昨年も2-4着は母父欧州型。2着馬ミッキーチャームは母父ダンジリ。3着カンタービレは母父ガリレオ。いずれも凱旋門賞でも実績を残す「欧州型」の種牡馬。

 今年も「ちょっとタフな馬場」になる可能性は高そうで「欧州型」血統を重視します。

 クロノジェネシスは父がバゴ。凱旋門賞勝ち馬で欧州型。ノーザンダンサーも出した超名牝系ナタルマの一族。バゴの産駒は京都芝2000m巧者も複数。17年の同コースOP特別勝ち馬にブラックバゴ。

 姉にヴィクトリアマイルをレコード勝ちしたノームコア。

 牝系が速いからこそ、JRAの馬場でも勝ち上がれるわけですが、父の影響で「やや不利な馬場」でもパフォーマンスを落としづらそうなのは有利。

 オークスは軽い馬場を先行する競馬で持ち味を出せなかったので、ややタフな馬場でタメる競馬をすればオークスよりもパフォーマンスを上げるでしょう。

 エスポワールの父は凱旋門賞で2年連続2着のオルフェーヴル。他にもステイゴールド産駒はナカヤマフェスタが凱旋門賞で連対。欧州指向の馬場が得意なタイプのサンデー系種牡馬。

 母父もタフな馬場得意のロベルト系のシンボリクリスエス。母系には凱旋門賞馬トニービン。欧州の名血サドラーズウェルズ。近親には同じ芝2000mG1の皐月賞勝ち馬アンライバルド、ヴィクトリー。ダービー馬のフサイチコンコルド。他にもリンカーン、アドミラブルなどなどG1で実績を残す名牝系。G1での更なる上昇へ期待を抱かせる牝系です。
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