回収率向上大作戦・須田鷹雄

【マイルCS】8枠がよく走っている京都芝1600m外回り

最近の馬場は内枠有利の印象だが、データ上では...


 先週のエリザベス女王杯は2番枠のラッキーライラックが優勝。6番枠から逃げたクロコスミアが2着で、内寄りの枠に入った馬がそれを生かす結果になった。

 最近は馬場が良くなったので、内枠のアドバンテージが増し、外枠が不利になっているイメージがある。今年はダービーが内枠先行馬の優勝だったし、安田記念では外枠に入った人気馬が、スタート直後の不利はあったにせよ勝てない結果になった。それが印象に残っていることもあり、内枠はプラス、外枠はマイナスというイメージを筆者自身も持っていた。

 しかし実際に集計してみると、そうでもなかったりする。マイルCSが行われる京都芝1600m外回りを例に取り、2017年以降の枠番別成績を見てみよう。枠番別にするのは少頭数時を考えると良くないのだが、コンパクトにまとめるためにそうさせていただいた。

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 1~7枠に極端な差はないが、8枠は勝率・複勝率・回収率ともに高い。対象期間内にマイルCSと同じCコース利用は17レースあったのだが、8枠は[8-2-2-24]で勝率22.2%・複勝率33.3%。回収率は単198%・複106%だった。マイルCSでは15、16、17年に外枠馬が勝っているが、過去10年では単68%・複35%とそう走っていない。ただ、入る馬によっては敢えて狙う手もあるように思う。




達眼

【マイルCS】アスコット95点 今春と段違い最高の毛ヅヤ

 ダノン2強の獲物を奪うのはモズの必殺技「ジャッカル」だ。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。マイルCS(17日、京都)ではダノンプレミアムと共にモズアスコットを1位指名した。達眼が捉えたのは「ジャッカル」のように黄金色に変化したモズの毛ヅヤと、ダノンの「肉肉しい」プレミアムボディー。6日に発表された新語・流行語大賞候補を例に挙げながら馬体を解説する。

 タンザニアには乾季になると黄褐色の毛衣を薄金色に変えるジャッカルがいるそうです。ジャッカル種の中で最も大きくて美しい、その名もキンイロジャッカル。オオカミやコヨーテに似た頭をもたげて、ハゲワシを威嚇する獰猛(どうもう)なジャッカルとして知られています。トラやライオンの獲物を奪うこともある。薄金色の輝きは獰猛さを隠すための美装かもしれません。

 明るい栗毛をかぶったモズアスコット。その毛ヅヤはキンイロジャッカルを想起させます。安田記念時のくすんだ黄褐色の被毛を脱ぎ捨て、新たに黄金色の毛皮を着込んだような変身ぶり。オイルで磨き抜いたのかと錯覚させるほどの輝きです。馬にまとわりつくのが大好きなアブやハエも滑り落ちると思って近寄らない。そんなジョークも真に受けてしまうぐらい毛ヅヤが光っている。

 毛ヅヤは新陳代謝のバロメーターです。キンイロジャッカルが乾季なら、モズは秋季に新陳代謝を上げて金色に輝くのでしょうか。ともあれ、今春とは段違いの体調になっています。

 年末恒例の「新語・流行語大賞」の候補30語が6日発表されました。今年の候補には日本代表の快進撃で熱く盛り上がったラグビーW杯に関する言葉が5つも含まれていますが、その原動力となった姫野和樹選手の必殺技は「ジャッカル」。簡単に言えば、タックルで倒れた相手から立ったままボールを奪い取るプレー。その姿が獲物を捕らえるジャッカルに似ていることから名付けられたそうです。

 モズアスコットは姫野のように野太い首と臀部(でんぶ)の持ち主。四肢には腱がしっかり浮き出ている。脚元が丈夫だから加減せずに鍛えることができるでしょう。必殺技「ジャッカル」は立ったままボールを奪おうとした時にタックルされても簡単に倒れない強固な肉体と姿勢、スピードが求められるそうです。馬のジャッカルもタフな体とスピードを持っている。姿勢も悪くない。引き手に遊びがあるほどリラックスしながら立っています。顎を上げ、耳を立て過ぎているのは余計ですが、おそらく頭上に気になるものでもあるのでしょう。まさか、秋を告げる猛禽(もうきん)、モズが栗東の上空を旋回しながら鋭い声で高鳴きしているのか。

 関西には秋季になると黄褐色の毛衣を黄金色に変えるジャッカルがいるそうです。トラやライオンに例えられるダノン2強の獲物も必殺技「ジャッカル」で奪い取る。金色モズアスコットと名付けられた競走馬です。 (NHK解説者)


【マイルCS】プレミアム95点 天皇賞から中2週ダメージ問題ない

 ダノンプレミアムはマイル界のエースと呼ぶにふさわしい姿です。ライバルを圧倒する筋肉量。強じんな筋肉を誇るインディチャンプさえトモ肉のボリュームで上回っています。特にトモの軸となる臀部の容積は特大。トモのパワーを立派な飛節が余すところなく推進力に変えています。
 2強を形成するダノン勢のもう1頭、キングリーよりもマイラーらしい体つき。昨年のダービー時も胴の詰まったマイラー体形だと指摘しましたが、古馬になってますますマイル色を強めています。ライオンのように太くなった首。せり上がったトモと肩。どっしりと風格の出た腹袋。全身が肉の塊です。

 料理のレシピで多用されている「肉肉しい」が最近の肉ブームに乗って新語・流行語大賞の候補になりました。肉っぽさを感じさせる料理に使う表現。ダノンプレミアムのように肉付きのいい体にも用いる。秋の天皇賞から中2週の短い間隔ですが、筋肉が全く落ちていない。肉肉しい馬体はダメージが残っていない確かな証です。

 立ち姿には天皇賞・秋以上に力強さを感じます。鼻をとがらせているのは不満ですが、目と鼻は真正面の一点に集中し、四肢はしっかり大地をつかんで立っています。それだけ気持ちが入っているのでしょう。中長距離戦なら立ち姿に少しは遊びが欲しいが、マイル戦だけにこれでちょうどいい。

 気になっていた蹄も両前にエクイロックス(接着装蹄)を施して万全の備え。青鹿毛の毛ヅヤがさえています。ラグビー日本代表の北出卓也選手が考案して話題になった「キタデ丼」は流行語候補から漏れましたが、ダノンプレミアムの被毛はこの丼の中のごま油を垂らした高菜のように黒光りしています。

 筋肉量ばかりか、ファンの支持もキングリーを抑えて1位になるか。穴党にとっては憎々しいかもしれませんが、本命党には頼りになるマイル界の肉肉しいエースです。


【マイルCS】インディチャンプ90点 強じんな筋肉でマイル体形

 インディチャンプはどこから見てもマイル体形。野太い首、肩やトモが強じんな筋肉でせり上がっています。しかも、各部位のつながりに遊びがない四角張ったガチッとした馬格が際立っています。距離には融通が利きませんが、スピードと瞬発力に特化したマイル仕様の体つきです。
 四角張った強じんな体格といえば…。真っ先に思い浮かぶのがラグビーW杯のスコットランド戦で代表初トライを決めたプロップの稲垣啓太選手。こわもてのラガーマンで、スコットランド相手に大金星を挙げた後の集合写真でも笑顔なし。「笑わない男」のニックネームが流行語になりました。

 インディチャンプも安田記念で希代の名牝アーモンドアイ相手に大金星を挙げましたが、今回の立ち姿は当時よりも素晴らしい。頭をしっかり起こして、キリッと立っています。左右の耳と四肢に気持ちが入っている。尾の太さをより鮮明に見せる覇気に満ちた立ち姿です。

 再びマイルのチャンプに輝いて優勝記念撮影に臨んだとしても、馬なので笑顔はありません(笑うように歯をニュッと突き出すのはにおいを嗅いでいる)。稲垣形の強じんな肉体を持つ笑わない男なのです。


【マイルCS】ダノンキングリー90点 融通が利く柔軟な馬体

 ダノンプレミアムがマイル界のエースなら、ダノンキングリーはその名の通りマイルの「王にふさわしい」。中距離で結果を残してきましたが、胴が詰まり気味のマイラー体形です。黒鹿毛の馬体にはプレミアムのような肉肉しいボリュームがない代わりに、とても柔軟。肩から腰、首に柔らかい筋肉をつけています。柔軟な筋肉には疲れがたまりづらい。ダービーでも2着するなど距離に融通が利くのは柔らかいからです。
 今春の段階でかなり完成度が高かった。ひと夏越しての成長は特に感じられませんが、四肢の腱がしっかり浮き出るなど健康そうです。ダービー時には見せなかった白目で写真に納まっていますが、興奮しているわけではない。リラックスしたハミ受け。頭の位置も正常。心身共に良好なコンディションと言えます。

 惜敗続きのG1。そろそろ勝つ順番が回ってくるでしょう。テレビドラマ「あな番(あなたの番です)」。交換殺人のミステリードラマで、展開を予想する“考察合戦”がネット上で過熱し、流行語大賞候補になったとか。マイルのキングリー(王にふさわしい)。今週はあなたの番です。


【マイルCS】プリモシーン80点 4歳秋でも成長曲線

 プリモシーンのマイラー型の馬体は4歳秋になっても成長曲線を描いています。ヴィクトリアマイル時よりも筋肉量が増えている。キャリアを積んでも鼻筋が通った美少女のような穏やかな顔立ち。ゴルフの全英女子オープンで日本人としては42年ぶりに海外メジャーを制した渋野日向子。あの天才美少女の顔がプリモシーンに重なります。「スマイリングシンデレラ/しぶこ」。試合中にも欠かさない笑顔が話題になりました。プリモ嬢は馬なので笑いませんが、尾を上げて気持ちを高ぶらせながら表情は涼しげ。マイル界のしぶこです。


【マイルCS】レイエンダ80点 各部位の結束がパワーに

 レイエンダは中距離体形とはいえバランスが取れています。各部位が申し合わせたように絶妙な角度と大きさでリンクし、推進力を生み出している。各部位の結束がパワーになっているのです。「ONE TEAM(ワンチーム)」は1つに結束することを訴えたラグビーW杯日本代表のスローガン。流行語大賞の最有力候補にもなっていますが、そんなスローガン通りの馬体です。穏やかな顔つきをしている半面、前肢を前に投げ出しながら立っています。全兄レイデオロほどの前向きさはないが、ワンチームのつくりが魅力。


【マイルCS】アルアイン75点 立ち姿には力強さなく

 上半身がラガーマンのように重厚。下半身は寂しいが、腱が浮いているので問題ない。一生に一度しか出られない3歳クラシックを制した唯一の馬。「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」。ラグビーW杯のキャッチコピーを体現しました。ただし、立ち姿には力強さがありません。


【マイルCS】マイスタイル75点 中距離体形だけにマイルでどこまで

 冬毛が伸びているが、体には張りがあります。今夏流行した「ハンディファン(携帯扇風機)」を顔に向けられたような涼しげな顔でゆったりと立っている。心身共に好コンディションです。ただし、中距離体形だけにマイル戦にどこまで対応できるか。


【マイルCS】ペルシアンナイト75点 目がおとなし過ぎる

 目がおとなし過ぎるが、筋肉は落ちてない。いつも通り左トモの蹄を浮かせて後ろへ流している。まるで引退したイチロー選手の打撃フォーム。体の右側を突っ張らせてスイングするため負重の抜けた左足が浮くのです。「後悔などあろうはずがありません」は引退会見の言葉。悔いのない走りを。


【マイルCS】クリノガウディー70点 子供っぽさ残る

 良くもあしくも子供っぽさが残っています。肌ツヤが若い。その一方、目線が定まらず耳を少し開きながらスタッフに頼るように立っています。子供ユニット「Foorin」のダンス「パプリカ」を一緒に踊りだしそうなほど気性が子供っぽく映ります。


【マイルCS】ダイアトニック70点 勢いも力み減点

 今年に入って5戦4勝。5月から2連勝で重賞初Vを飾りました。その勢いはターフの「れいわ旋風」。ただし、立ち姿は非常に不安定です。トモを落としながら尾を上げて四肢を力ませている。きつい目をしながら鼻をとがらせ警戒心をむき出しにしています。


【マイルCS】グァンチャーレ70点 筋肉量まだまだ冬毛も出てきた

 安田記念時には不安そうに上げていた尾を自然に垂らしている。ただ、つなぎが硬そうで、冬毛も出てきた。グァンチャーレとは豚頬肉の塩漬け。8%の「軽減税率」が適用される食料品です。筋肉量を増やして、馬名通りの肉肉しい体つきになってほしい。




重賞データ分析・小林誠

【マイルCS】超ハイレベル戦でレースも馬券も面白い!

■マイルCS(G1・京都芝1600m外)フルゲート18頭/登録17頭

★3行でわかる!マイルCS 攻略の糸口
1.レースもコースも中穴が強い。少しひねって買うべし!
2.内枠有利かつ中枠不利。中枠は人気馬でも過信禁物。
3.強い買い材料のある4歳馬が中心。やや差し優勢か。

データ特注推奨馬
★ダノンキングリー・ダイアトニック

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 マイルCSの特徴として真っ先に挙げられるのが、中穴の強さと内枠の強さ。詳しくは後述するが、「上位人気は強いが1番人気はあまりアテにできない」レースであり、少しだけひねって馬券を買ったほうが好結果を呼び込めそうだ。また、中枠が極端に弱いというのも、予想をする上でしっかり意識しておきたいポイントといえる。

 そして今回の特注データは、使い勝手がいい「前走人気別成績」を挙げている。データを見ていただければ一目瞭然だが、マイルCSは基本的に、前走での「人気」が今回の結果に直結する傾向が強いレース。そして、「前走2番人気以内馬」の信頼度がとくに高く、しかも爆発力も意外なほどある──というのが、主な推奨理由だ。

 特別登録馬17頭のうち「前走2番人気」という条件を満たすのは、ダイアトニック、ダノンキングリー、プリモシーン、モズアスコットの4頭だけ。そのうち、買い材料の多いダノンキングリーとダイアトニックの2頭を、特注推奨馬とした。2~5番人気になってくれれば、信頼度はさらにアップするはずである。


【コース総論】京都芝1600m外 Cコース使用
・コースの要所!
★4~6番人気や7~9番人気など中穴ゾーンの活躍が目立つ。多少ひねるのが吉。
★内枠が非常に強いコース。不振なのが、外枠ではなく中枠である点に注意!
★基本的には前有利もクラスが上がると徐々に差し優勢になる傾向が見られる。

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 今週からB→Cコース替わりとなる京都芝コース。芝1600mは、2コーナー奥のポケットがスタート地点だ。バックストレッチをフルに使うコース形態で、最初のコーナー進入までは約700mと、かなり余裕がある。よって、序盤からポジション争いが激化することは基本的には少ないが、そこはG1。序盤からそれなりに速いラップが刻まれて、底力勝負となる可能性もありそうだ。

 まずは人気データだが、目立っているのは人気サイドではなく、4~6番人気や7~9番人気といった中穴ゾーンの強さ。上位人気が2~3着に取りこぼすケースが多く、そのぶん中穴ゾーンの成績がよくなっている印象である。ふたケタ人気馬もそれなりには馬券絡みしているが、ここを狙うのは効率があまりよくない。中穴から流す馬券などでの勝負をオススメしたいコースだ。

 次に枠番だが、こちらは内枠が優秀な内容。最初のコーナーまで十分に距離があるコースとは思えないほどで、これは京都の外回りコースに共通する傾向でもある。面白いのが、内枠有利だが外枠不利ではないという点で、成績が不振なのは「中枠」。信頼度だけでなく、回収値ベースの数値も非常に低く、けっこう割り引いて考えたほうがいい。評価順は「内>外>中」という序列となった。

 脚質については、基本的には先行勢のほうが優勢。最速上がり馬よりも、上がり2位の馬のほうが勝率が高いというのも、その裏付けとなるデータである。ただし、クラスが上がれば上がるほど差し優勢にシフトするのは、このコースも同じ。重賞に関していえば、先行勢と中団待機組が互角──と考えたほうがいいはずだ。


【レース総論】マイルCS(G1) 過去10年
・レースの要所!
★人気サイドが好成績も1番人気の信頼度はイマイチ。2~5番人気が美味しい。
★コースデータ以上に内枠の強さと中枠の不振が目立つ結果。中枠軽視を推奨。
★コースデータよりは差し優勢。前走最速上がり馬は高く評価する価値アリ。
★4歳馬が飛び抜けて好成績。外国人騎手への乗り替わりも大いに期待できる。

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 レースの平均配当は、単勝1269円、馬連5114円、3連複1万7584円と、獲りやすい程度で「適度に」荒れているイメージ。本命党から穴党まで楽しめる、馬券を買いやすいレースといえそうだ。1番人気は[1-2-2-5]と半数が馬券に絡むも、2着や3着に取りこぼすケースが多い。単勝適正回収値は35.6という低さで、ここを1着で狙うような馬券だと、ちょっと素直すぎる。多少はひねって買ったほうがよさそうである。

 人気別で目立っているのは2~5番人気の強さだ。1番人気の信頼度が低いのは前述の通りだが、それでも基本的には人気サイドが強いレース。コースデータよりも順当決着傾向ではあるのだが、「上位人気同士で決まったわりには配当がつく」といった決着が多く、ここをうまく狙えるとかなりオイシイ。ふたケタ人気はトータル[1-2-0-86]と3回の馬券絡みがあるが、近年に限れば大不振で、けっして買いやすくはない。

 馬番については、「内枠が強くて中枠が弱い」というコースデータで見られた傾向が、さらに加速している。これをよりハッキリさせるために、今回は成績が優秀な5番人気以内馬に限定したデータも用意した。内枠である馬番1~6番がトータル[5-2-2-6]で複勝率60.0%、複勝回収値140をマークしたのに対して、中枠である馬番7~12番は[0-6-0-15]で複勝率28.6%、複勝回収値50と低調な結果。中枠は、かなり割り引いて考えたい。

 脚質は、コースデータよりも差し優勢。芝G1なので当然といえば当然なのだが、こちらでも「最速上がり馬よりも上がり2位の馬のほうが勝率が高い」という結果となった。これはつまり、極端に差し優勢ではなく、先行勢と中団待機組が互角に張り合っているということ。直線が平坦で、さらにCコース替わりのタイミングでもあり、前が残るケースも十分に考えられる。

 面白いのが、前走での上がり3F順位別でのデータ。末脚のキレが相応に求められるレースで、前走が「最速上がり」の馬は[3-3-2-11]で連対率31.6%、単勝適正回収値136.6、複勝回収値109という好内容を残している。しかし、コレが2~5位だった馬は意外なほどに不振で、対照的に6位以下だった馬は7勝をあげる大活躍。つまり、前走で「先行していた組」と「最速上がり馬」が狙い目ということになるのだ。

 年齢別では、4歳馬が連対率25.0%、複勝率36.1%と、抜けて高い信頼度を誇っている。それに次ぐのが5歳馬で、6歳以上になると一気に信頼度が低下する傾向にある。つまり、基本的には「若くてフレッシュな馬のほうが強い」レース。近年の傾向や結果から考えるに、斤量面で有利な3歳馬も積極的に狙ってみる価値があるはずだ。

 最後に騎手関連データだが、G1ながら鞍上の乗り替わりがまったくマイナスにならないのが大きな特徴。また、関東所属騎手が不振であるのも、押さえておきたいポイントである。目立っているのが外国人騎手の強さで、昨年も一昨年も外国人騎手によるワンツー決着。今年も多くの外国人ジョッキーが騎乗予定だけに、二度あることは三度ある──という結果となる確率は、かなり高いと思われる。


【血統総論】

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 血統面は、ディープインパクト産駒、ロードカナロア産駒、スクリーンヒーロー産駒をプラス評価の対象とした。京都芝のマイル戦でディープインパクト産駒が強いのはよく知られるところだが、それ以上の強さを見せているのがロードカナロア産駒。昨年の勝ち馬であるステルヴィオも、ロードカナロア産駒である。

 スクリーンヒーロー産駒の好成績は、そのほとんどがグァンチャーレの好走によるものだが、このレースに出てくるのはそのグァンチャーレ自身。高いコース適性を有しているのは間違いなく、安田記念のような積極的なレースをすれば、今度は馬券圏内への食い込みがあるかもしれない。


★特別登録馬 総論×各論

 登録段階でフルゲートは割ってしまったが、出走馬の「レベル」は非常に高い、今年のマイルCS。G1で勝ち負けしてきた実績のある馬がこれだけ出てくると、レースも馬券も面白くて仕方がない。高いレベルでの混戦模様で、どういった人気分布になるのかも興味深いところである。

 トップ評価は、1番人気にならなかった場合のダノンキングリー。毎日王冠で見せた末脚には、正直なところ驚かされた。主戦の戸崎騎手が負傷したことで、鞍上が横山典騎手に乗り替わる予定ではあるが、乗り替わりがマイナスに働かないレースであることから、大きな割引材料にはならないはず。まだG1を勝っていない「胸を借りる」身ではあるが、そのポテンシャルの高さは大きな魅力である。

 二番手評価にダイアトニック。こちらは、前走のスワンSでも手綱をとったスミヨン騎手が継続騎乗するとの想定である。こちらも実績面では見劣るが、モズアスコット以下を差し切った決め脚の鋭さや、接戦をモノにした勝負強さは大きな魅力。ロードカナロア産駒であること、4歳馬であること、前走が最速上がりであったことなど、買い材料もじつに豊富だ。勢いに賭けるなら、この馬だろう。

 三番手評価にダノンプレミアム。ハイレベル戦だった天皇賞・秋で2着に好走して、その強さを改めて実感した次第だ。実績のあるマイルへの距離短縮はいい方向に出るはずで、先行勢に展開利がありそうな組み合わせや、Cコース替わりもプラス。久々を叩かれての上積みもあるはずで、久々のG1勝利も十分に期待できる一戦といえる。懸念材料は、成績がイマイチである1番人気に推された場合か。

 四番手評価にインディチャンプ。デビューから一度も5着以下になったことがないという安定感は素晴らしく、毎日王冠での3着も久々としては悪くない内容。安田記念ではアーモンドアイやアエロリットに先着しているのだから、ここでは能力上位といえる。競馬センスがよく、スッといいポジションを取れる操縦性の高さも、この馬の大きな武器。相手は骨っぽいが、それでも勝ち負けできるだけの力がある。

 以下は、アルアイン、レイエンダ、グァンチャーレ、ペルシアンナイトという評価の序列。ただし、内枠に入った馬は評価を大きくプラス、中枠に入った馬は大きくマイナスする必要があるため、この評価順はけっこう入れ替わると思われる。あとは、外国人騎手が強いレースだけに、鞍上がどうなるかも要注目だろう。






【漆山“教授”のGI因数分解】キングリー&レイエンダに熱視線
SANSPO.COM:2019年11月12日(火) 05:03

 秋の京都GIは常に波乱のイメージがつきまとう。マイルCSも過去10年で1番人気の優勝は2009年のカンパニーだけで、前6年は連対もなし。GI馬5頭と群雄割拠の今年もひと筋縄ではいかない。

 (1)“スーパーGII”勝ち馬

 このレースと密接にリンクするのが毎日王冠だ。の通り、勝ち馬は同年のマイルCSで【5・2・1・3】連対率63・6%の好成績を誇る。昨年Vのアエロリットが唯一、掲示板外の12着に終わっているが、代わりに2着ステルヴィオがVを飾った。さまざまな路線から有力馬が集結する“スーパーGII”の好結果は軽視禁物だ。

 (2)富士S経由の4歳馬

 単純な前走別成績でみると、近年台頭しているのが富士S組。過去10年中8年で馬券に絡んでいる。全体成績は【3・5・1・44】連対率15・1%で的を絞りづらいようにも思えるが、4歳馬に限定すると【1・4・0・5】同5割だ。09年にマイネルファルケが14番人気で2着、11年エイシンアポロンが5番人気でVと配当的な面からも見逃せない。

 (3)京都マイルの常勝厩舎

 14年以降の京都芝1600メートル(外回り)・高額条件戦(3勝クラス以上)での調教師成績ベスト5が。1~4位をマイルCS出走厩舎が占めたのはさすがだが、なかでも特筆すべきは藤原英厩舎。【6・5・3・15】連対率37・9%もさることながら、回収率が単勝434%/複勝164%と高配当を演出している。先週のD杯2歳Sをレッドベルジュールで制したのは記憶に新しい。さらに、牝馬に限定すると【3・0・1・1】だ。

★注目馬

 ダノンキングリーは毎日王冠を最後方から直線一気の離れ業で快勝。勝ち時計もコースレコードに0秒2差だった。マイルにも2戦2勝と良績を残している。

 富士S2着の4歳レイエンダは、勝ち馬を上回る上がり3ハロン33秒0。過去10年で前走・上がり3ハロン最速馬が【3・3・2・11】連対率31・6%というデータも後押しする。同3着で藤原英厩舎のレッドオルガは、7年連続で3着内のディープインパクト産駒だ。(漆山貴禎)
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