「虎の子」の一頭

【ジャパンC】これまでとは異なる「新時代の馬場」に強い馬を狙おう

今の東京は従来とは次元が異なる「新時代」の馬場


 先週の東京芝はCコース替り。月曜以降の降雨はなく、週末の天気予報も良好。軽めの馬場コンディションで行われた。

 特に土曜は直線でスピードに乗りやすい追い風。より軽い馬場コンディション。2歳戦でレコードが2つ出た。

 芝2000mで行われた土曜東京2Rは従来の2歳レコードを0.3秒更新。1番人気の勝ち馬は能力も高く、最初のコーナーを8番手で通過し最速の上がりを出して圧勝。人気薄の2~4着馬は二桁位置取り。前半から流れにのっていた馬、内枠の馬は凡走が目立つレースだった。

 この日のメインレース東京スポーツ杯2歳Sは従来の2歳レコードを1.4秒も更新する圧巻の内容。

 そして上位馬の「位置取り」と「通った場所」も注目に値する。

 勝ち馬と2着馬は外めの枠から道中でも後方の外めを追走。4着馬はやや離れた最後方から「直線は大外」に出していた。

 従来の2歳レコードは2013年のイスラボニータ。もう一つ前のレコードを出したコディーノは最内をロスなく通ってレコード出していた。しかし、今の馬場は「外」を回してもタイムが出る「新時代」の馬場なのだ。(詳細は単行本「馬場を読んで馬券で勝つ方法」を参照)

 今週の東京も月曜時点の天気予報をみると雨の影響はなさそうで、先週に引き続き軽めの馬場コンディションが想定される。

 近年のジャパンCが軽めの馬場コンディションで行われたのは2017年と2018年。どちらの年もトラックバイアス「内有利」と判定。内を通る馬や先行が有利な状況になっている。

 しかし、先に述べたように今の東京は従来とは次元が異なる「新時代」の馬場。今年は従来とは異なる傾向の決着になるだろう。

 道中で前にいることや内にいることは、さほど重要ではない。「直線の伸び」「直線のスピード」に優れた馬が走る馬場だ。

 前哨戦となる天皇賞秋で5着だったワグネリアンは7枠14番からのスタートだった。あのレースはトラックバイアス「内有利」と判定され、内を通る馬に有利なレース。

 外枠から道中も後方の外めを追走。コース取りによって、2馬身弱の不利はあった。2着だったダノンプレミアムにもコース取りで1馬身強の不利があったと考えているので、実質的な内容では2着馬と同着程度の価値がある。

 古馬になってからの3戦は物足りない内容が続いていたが、札幌記念と大阪杯はどちらも馬場コンディションが「稍重い」と判定する重めの馬場コンディション。

 3歳時に唯一連対を外した皐月賞も札幌記念や大阪杯と同じで直線の短いコースに加えて、「稍重い」馬場コンディション。(既存のJRA発表の馬場状態ではなく、オリジナルの馬場状態での判定)

 得意な直線の「軽い」馬場コンディションはG1級の能力を発揮するが、苦手な馬場、条件になった場合は大幅にパフォーマンスを落とすタイプ。

 古馬になってからは苦手な条件ばかりに出走していた馬。軽い馬場で真ん中より外の枠を引いた場合は、G1級の能力を発揮するだろう。

レース傾向と馬場状況からの狙い
想定馬場コンディション「標準」
想定トラックバイアス「内・ 」

今週の東京は金曜からの雨量が多く、土曜は降雨のなかでの開催。芝は重い馬場コンディションで行われた。

土曜夕方時点の天気予報を参考にすると、日曜の朝には雨があがる。
今の東京芝は路盤の状態と水捌け自体は良い。開催中の降雨がなければ、メインレースの頃には標準的な馬場コンディションには回復しそう。
また、東京芝は真ん中あたりの水捌けが最も良いため、Cコース時に乾きかけの段階では相対的に内を通る馬が有利になりやすい。

過去のジャパンカップでは2014年に近い馬場コンディション、状況が想定される。
2014年はトラックバイス「超内・ 」と判定。
2枠のエピファネイアが圧勝。1枠のジャスタウェイが2着。3着のスピルバーグは外枠だったが、道中は内めを追走していた。

内枠を狙いたい。
予想印
2ワグネリアン(2人気)
1カレンブーケドール(5人気)





回収率向上大作戦・須田鷹雄

乗り替わりの多い今年のジャパンC

外国人騎手へのスイッチが目立つのが今年の特徴


 今年のジャパンCは、外国人騎手が多く、それによって乗り替わりが多いのも特徴。そこで今回乗り替わりになる馬というかその騎手の組み合わせについて、過去の成績をご紹介してみよう。それほど該当例の多いものではないし余興のようなものだが、なにかのきっかけになれば幸いである。なおダイワキャグニーだけは執筆時点で騎手が発表されていないので割愛する。また騎手は18日時点での想定に基づくものであり、期間は設けずJRAにおける過去の全該当事例を対象とする。

191119_02.jpg

 あくまで資料として示しただけなのでどの馬・乗り替わりがおすすめというわけではないのだが、皆さんの印象と実際の数字と、比較してみてはいかがだろうか。





重賞データ分析・小林誠

【ジャパンC】天皇賞・秋で人気薄だった馬が巻き返す!

■ジャパンカップ(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録16頭

★3行でわかる!ジャパンカップ 攻略の糸口
1.近年は堅め。もっとも信頼できる指標は「前走人気」。
2.馬も騎手も完全に西高東低。牝馬が鬼強いレース。
3.5歳以下馬が圧倒的優勢。内枠有利かつ先行有利。

データ特注推奨馬
★現時点ではなし

 そろそろ来るだろう──とは思っていたが、今年はついに外国馬の参戦ゼロ! ジャパンカップではなく「チャンピオンズカップターフ」といった様相となってしまった。日本馬が手薄な今年ならば、外国馬が上位に食い込める可能性だって十分にあったと思われるだけに、惜しい。そして正直、寂しい。

 そんなジャパンカップの特徴だが、近年は「堅い」というのが、その最たるものだろう。勝ち負けしているのは上位人気馬ばかりで、人気薄の激走はほぼゼロ。今年はかなりの混戦模様となりそうだが、例年の傾向通りならば、それでも堅く決まる可能性が高い。荒れそうで荒れないのが、今のジャパンカップだ。

 それがよくわかるのが、前走人気別での成績。今回は、前走が「天皇賞・秋」だった馬とそれ以外を分けて、データ集計を行っている。ジャパンカップは前走人気が今回の結果に直結する傾向が強いレースで、前走4番人気以下から巻き返しているのは、前走が天皇賞・秋だった馬だけ。それ以外のレースで4番人気以下だった馬は、1頭たりとも馬券に絡めていない。今年もスパッと「消し」勝負といきたい。

 逆に、前走が天皇賞・秋だった組は、今年は「4番人気以下馬」を積極的に狙っていきたいところ。なぜなら、天皇賞・秋の1番人気馬であるアーモンドアイが出走しないからである。そのまま買っても単勝適正回収値96.2、複勝回収値111と、爆発力は文句なし。スワーヴリチャード、マカヒキ、ユーキャンスマイル、ワグネリアンの4頭のうち、強力な買い材料のある馬を積極的に狙っていくのをオススメする。

 あとは、馬も騎手も完全に「西高東低」で、ホームであるはずの関東馬や関東所属騎手が大不振であること。牝馬が牡馬を圧倒する強さを見せていること。5歳以下馬と6歳以上馬で極端なまでの成績差が出ていること、内枠有利&先行有利の傾向が強いことなども、重視すべきレース傾向といえるだろう。

191115_01.jpg
191115_02.jpg


【コース総論】東京芝2400m Cコース使用
・コースの要所!
★1番人気は高信頼度も人気薄の激走率もけっこう高め。どこからでも入れる。
★基本的に外よりも内のほうがベター。外枠はやや評価を割り引く必要アリ。
★先行勢と中団待機組が互角に張り合う結果も、クラスが上がると差し優勢。

191115_03.jpg
191115_04.jpg
191115_05.jpg

 ダービー、オークス、そしてこのジャパンカップと、最高峰のレースが3つも行われる東京芝2400m。その舞台にふさわしい公平なコース──であってほしいところだが、近年のデータからは、かなり大きな「偏り」が感じられる。とはいえ、幅員に余裕があってコーナーも緩く、さらに直線も十分に長いという、実力馬が能力をキッチリ発揮しやすいコースであるのは間違いなしだ。

 まずは人気別だが、1番人気は信頼度だけでなく、回収値ベースの数値もかなりの高さで、かなり優秀な内容といえる。それ以外では、中穴である4~6番人気も好内容。さらに、大穴である10~12番人気も優秀だ。さすがに13番人気以下となると期待薄だが、ここを除けば入ろうと思えばどこからでも入れるコース。高配当もけっこう狙いやすい。

 次に枠番だが、こちらは外枠である馬番13~18番がイマイチな内容。対照的に、内枠である馬番1~6番は高信頼度で、単勝適正回収値や複勝回収値も優秀だ。ギャップ値も加味して考えると、「外枠の評価を少し割り引く」のが適切なはず。たとえ人気馬でも、外枠を引いてしまった場合には少し評価を下げたいところである。

 最後に脚質面。直線の長い東京芝だけに、イメージ的にはかなり差し優勢なのだが、実際は先行勢と中団待機組が互角に張り合っている。ただし、クラスが上がると道中のラップが厳しくなり、徐々に差し優勢へとシフト。最速上がり馬が好成績を残しているように、鋭い決め脚は大きな武器となる。「差し→差し」や「差し→先行」が、もっとも想定しやすい決着パターンだろう。


【レース総論】ジャパンカップ(G1) 過去10年
・レースの要所!
★近年は順当決着傾向がきわめて強い。極端な穴狙いは推奨できないレース。
★牝馬が猛烈に強いレース。馬と騎手の両方がいまだに「西高東低」の一戦。
★内枠の強さはかなり目立つ。脚質はコースデータよりも格段に先行勢優勢。
★5歳以下であるのはもはや必要条件。ローテは前走G1組を素直に信頼すべき。

191115_06.jpg
191115_07.jpg
191115_08.jpg
191115_09.jpg
191115_10.jpg
191115_11.jpg

 レースの平均配当は、単勝611円、馬連2644円、3連複1万8950円と、いずれもかなり低めの水準。それもそのはずで、過去10年の勝ち馬はすべて5番人気以内、連対馬もオール7番人気以内と、順当決着傾向が非常に強いレースと化している。3着もほとんど紛れておらず、ふたケタ人気馬はトータル[0-0-2-78]と大不振。人気サイドからどう買って儲けるかという、馬券の買い方が問われるレースである。

 枠番は、内枠である馬番1~6番の好調ぶりが目立つ。コースデータでは「外枠やや不利」という結論だったが、レースデータでは「内枠が飛び抜けて有利」という結論となる。勝率、連対率、複勝率のいずれも圧倒的な高さで、回収値ベースの数値がギャップ値の高さも文句なし。「内枠かなり有利・外枠やや不利」くらいのカンジで捉えておくのをオススメしたい。

 次に脚質面だが、こちらはコースデータとは大きく異なる結果が出ている。4コーナーを6番手以内で回った先行勢が、圧倒的なまでの強さを見せているのだ。中団からの差しもそれなりには届いているが、2~3着に惜敗するケースのほうが多く、後方待機組となると信頼度はさらに大幅ダウン。最速上がり馬が1勝しかできていないことが、先行勢優勢をハッキリと物語っている。「前重視」の姿勢を推奨する。

 重視したいのが年齢別での成績だ。勝ち負けになっているのは5歳以下馬だけで、6歳以上の高齢馬は3着にくるのが精一杯。5歳以下であるのは、ジャパンカップで好走するための必要条件といっても過言ではない。そして前走レース別では、前走が中央G1や海外遠征だった組が好成績。最強馬決定戦だけあって、前走レースの「格」がしっかり求められている印象を受ける。

 最後に騎手関連だが、ここでは「関東所属騎手の弱さ」が浮き彫りとなっている。トータル[0-1-1-44]で複勝率わずか4.3%というていたらくで、最後に連対したのはもう10年前の話。このところ存在感を強めているマジックマン・横山典弘騎手であっても、ここはサクッと「消し」で勝負したほうが効率がよさそうだ。関西所属騎手、または外国人騎手が乗る馬で勝負すべき一戦といえる。


【血統総論】

191115_12.jpg

 血統面は、ディープインパクト産駒とルーラーシップ産駒をプラス評価の対象とした。今年の登録馬は血統が「ものすごく」偏っている上に、コース適性が低そうな血統の馬も見当たらないという、やや特殊なメンバー構成となっている。あくまで私見ではあるがブッチャケ、血統というファクター自体を軽視してしまっていいような気がする。


★特別登録馬 総論×各論

 フルゲートは18頭だが、特別登録を行ったのは16頭。ラヴズオンリーユーの回避が発表されているので、実際は15頭以下となりそうだ。そして、ハッキリ言えば「うっすうす」のメンバー構成。ハイレベル戦だった天皇賞・秋やマイルCSとはうってかわって、ハンデG2と言われても納得できそうなほど小粒なメンツである。過去の傾向とはガラッと変わった結果が出ても不思議ではない。

 とはいえ、データの裏付けがない馬を推奨するワケにはいかない。そうなると、現段階でのトップ評価は「内枠に入った場合の」ワグネリアンだ。今年は勝てていないが、いずれもレース内容に見どころアリ。天皇賞・秋での5着も、不利な外枠だったことを考えると高く評価できる結果だ。問題はジョッキーで、現時点でも調整中。鞍上次第では、ここはかなり力を入れて買いたい。

 二番手評価にユーキャンスマイル。新潟記念からという実績のないローテながら、前走の天皇賞・秋では4着に好走。上がりも最速と、本当に力をつけている。距離延長は何の問題もなく、相手関係は一気に楽になるここは、大いに注目したい一戦といえる。後方に置かれる脚質は割引だが、今の勢いはそれを補ってあまりあるほど魅力的。一気の末脚で突き抜けるシーンまで考えられそうだ。

 三番手評価にスワーヴリチャード、四番手評価にカレンブーケドールと、ここまでが上位評価組。以下はレイデオロ、シュヴァルグラン、ムイトオブリガード、ダンビュライトという序列である。とはいえ、鞍上や枠番によって最終的な評価はここからかなり入れ替わるはず。例年よりは少しだけ「荒れる」方向を期待しつつ、最終的な買い目をしっかり考えたい。




鈴木康弘「達眼」馬体診断

【ジャパンC】レイデオロ95点!完成形だ風林火山“信玄の風格”

 戦国JCを制すのは風林火山の名将か、下克上の猛将か――。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。大混戦ムードの「第39回ジャパンC」(24日、東京)ではレイデオロとルックトゥワイスを1位指名した。達眼が捉えたのは武田信玄の旗印を背負ったようなダービー馬の立ち姿と、G1初挑戦でも織田信長ばりの気性の激しさをのぞかせる面構え。戦国JCに挑む有力馬のボディーを戦国武将になぞらえながら解説する。 【ジャパンC】

 スペイン語で「黄金の王」(レイデオロ)と名付けられた鹿毛の強じんな肉体。その進化の過程を向こうずね(若馬に見られる管骨の炎症の跡)が残っていた3歳春から論評してきましたが、ついに完成形に達しました。成長のバロメーターともいえるキ甲(首と背の間の膨らみ)は山の頂のようにそびえ立っています。東京競馬場の1コーナー先にかすむ富士八峰になぞらえてダービー時は最も低い駒ケ岳、3歳秋は5番目に高い朝日岳、4歳秋には2番目の白山岳に到達したと書きました。そして迎えた5歳の晩秋。馬の背と呼ばれる急斜面の頂上にそびえる日本最高峰、剣ケ峰に届きました。

 キ甲に合わせて首差しも完全に抜けている。肩とトモは鍛え抜かれた筋肉で、はち切れそうなほど膨らんでいます。円熟から完熟へ。進化の終着点を示す体つきです。

 馬体の完成とともに、その立ち姿には馬名にふさわしい王の風格が漂っている。頭を起こし、大地に根を張るように四肢を踏みしめた不動の姿勢。穏やかな目を正面に向け、ハミをゆったりと受けながら、太い尾だけが前進気勢を示すように上がっています。威風堂々たるたたずまい。疾(はや)きこと風のごとく、徐(しず)かなること林のごとし、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとし。風林火山の旗印を背負ったような立ち姿です。

 今年は有力馬が群雄割拠する“戦国JC”。そこで出走馬を戦国武将になぞらえてみると…。レイデオロは「風林火山」の大将旗の下、戦国最強の騎馬軍団を率いた武田信玄。「将来を第一に考えて、気長に対処することが肝要である」。信玄公の名言通り、将来を見据えて急がず仕上げられてきました。ダービー優勝後も先細りせず、翌年には天皇賞・秋を制した。そして、今戦国JCは集大成の大一番。晩年に「風林火山」の軍旗を信玄公自ら筆書きして陣頭に掲げたと伝えられる三方ケ原の戦いのように。

 今春の宝塚記念時に指摘した気負いはどこへ飛んでいったのか。別馬のような落ち着きです。当時の立ち馬写真に納まっていたのは替え玉の影武者だった。そんなジョークも笑えないほど静穏な立ち姿。徐かなること林のごとしです。宝塚記念ではクリッピングと呼ばれる毛刈りをして臨みましたが、今度は自然体。毛の生えそろったヒ腹には新陳代謝の良さを示す銭形の斑点がうっすら浮かんでいます。私が記憶する限り、G1ではこの斑点を見せたのは初めて。尾にも表れた前進気勢、前向きからベストの舞台は2000メートルだと思いますが、体調曲線は成長曲線と共に剣ケ峰に到達しました。(NHK解説者)


【ジャパンC】ルック95点!“天下布武”信長思わせる闘争心

 名は体を表すと言います。英語で「二度見」(ルックトゥワイス)と命名された鹿毛馬。その美しい身だしなみに思わず二度見してしまいました。前髪から蹄の先まで手入れが行き届いている。姿は俗性を表すともいいます。容姿を見れば、生まれ育った環境を知ることができるとの意味。二度見君も最高の環境で育ってきたのでしょう。
 馬体重440キロ前後の小ぶりな体でも理想的なバランスを保っています。前後肢の均整が取れ、各部位が無駄なく機能的にリンクしている。絶妙な角度でつながるトモと飛節は推進力の源泉。前後肢の筋肉量にも不足はない。欲を言えば、ひ腹にもう少し張りが欲しいが、細い腹周りは多くのステイゴールド産駒に見られる特徴。シャープなボディーラインを描いています。

 激しい気性をうかがわせる顔立ち。これもステイゴールド産駒の多くに共通しています。切っ先鋭い刃のように立てた耳、目力の強い瞳。ハミのくわえ方も非常にきつい。私はこのいきり立った面構えをステイ面(づら)と呼んでいますが、ステイの一流産駒は気性の激しさを闘争心に転化できるのです。


【ジャパンC】ワグネリアン90点 毛ヅヤ抜群!ハンサムな“明智光秀”

 馬のイケメンコンテストが開催されれば、優勝候補はワグネリアンです。鼻筋がスラリと通った美男子。ハンサムな戦国武将といえば、貴公子然とした肖像画が残る明智光秀でしょうか。顔だけでなく馬体も美しい。赤褐色に輝く抜群の毛ヅヤ。薄い皮膚の下から肋がパラッと映っている。出色の仕上がりです。460キロ前後の馬体とあって筋肉量は目立ちませんが、その分、質がいい。疲労がたまりづらい柔らかそうな筋肉を身につけています。

 立ち姿も理想的。目、耳、鼻を前方の一点、まるで本能寺の方角に向けるような集中力を示している。それでいて、力みがない。中距離体形でも柔軟な筋肉と落ち着きがあれば2400メートルに対応できるのです。明智光秀の短い治世は「三日天下」と呼ばれています。ワグネリアンはダービーの「一日天下」で終わらないように願っています。


【ジャパンC】シュヴァルグラン90点 海外で成長!水軍の総大将“村上武吉”

 旅は人を成長させます。未知の世界に触れることで人間の幅が広がるからでしょう。競走馬も成長させます。欧州遠征からの帰国初戦を迎えるシュヴァルグラン。昨年の有馬記念では事もあろうに陰部をさらけ出して写真に納まっていましたが、今度はきちんと収めて集中しながら立っている。少しは大人になったようです。筋肉量も増えています。マイラーっぽく見えるほど肩とトモのボリュームが増した。顔が小さく見えるほど首が太くなりました。英国のタフな馬場で2度のレースと調教を重ねた影響でしょうか。
 戦国時代でいえば大陸に進出し、海外貿易で巨万の財産を築いた村上水軍(日本最大の海賊)の総大将、村上武吉。海外とは勝手が違う日本の高速馬場に戸惑うリスクも抱えていますが、遠征のダメージはどこにもない。あるのは旅で得た成長という名の財産です。


【ジャパンC】スワーヴリチャード90点 巨体熟した“浅井長政”

 目は口ほどにものをいうといいます。スワーヴリチャードの一変した目は何を告げているのか。立派な上半身と頼りない下半身のアンバランスさは天皇賞・秋と何も変わっていませんが、顔つきが全然違う。きつい目が優しくなり、耳の立て方から力みがなくなった。心優しい戦国武将で知られる浅井長政の肖像画のような穏やかな顔。気性の成熟なのか、あるいは闘争心の欠如なのか。私は成熟と受け止めたい。理想的なハミの受け方をしているからです。強からず弱からず。闘争心を失ったとすれば、ハミのかみ方はもっと弱くなるでしょう。
 巨漢だった長政よろしく、サラブレッドの長政も510キロを超す大型馬。腱が浮いているので脚元に狂いはありませんが膝下の硬そうなつくりは速い時計に対応しづらい。ひと雨欲しいところ。ちなみに、長政を助けた重臣は雨森清貞でした。


【ジャパンC】ユーキャンスマイル85点 分厚い筋肉“前田慶次”

 ユーキャンスマイルは父キングカメハメハ譲りの分厚い筋肉を身につけています。長くて立派なキ甲にふさわしい発達した肩の筋肉。トモは筋肉のボリュームに加えて角度もいい。そのトモのパワーを大きな飛節が推進力に換えています。馬のボディービルコンテストが開催されれば、ユーキャンスマイルが優勝です。戦国のかぶき者と称される前田慶次は一度の合戦で馬を乗りつぶしてしまうほどの怪力でしたが、この馬なら慶次を背にしてもスマイルを浮かべて疾走するでしょう。


【ジャパンC】エタリオウ85点 鬼の顔つき“島津義弘”

 「得たりおう」とは事がうまく運んだことに発する感嘆語。現代語に直せば「しめた」「やったぜ」「でかした」ぐらいの意味です。その馬体は今年に入って筋肉量がガ然増えてきた。厩舎から「得たりおう」の気勢が上がりそうな成長力。ステイゴールド産駒の多くは筋肉の量より質が優れているのですが、この青鹿毛馬は質量ともに備えている。顔つきはステイ面。目つきは鋭く、耳先と鼻をとがらせている。角のない鬼面のようです。戦国時代で言えば「鬼島津」と恐れられた猛将、島津義弘。「軍法戦術に妙を得たり」と評された家久の兄です。


【ジャパンC】カレンブーケドール75点 頑丈な牝馬“井伊直虎”

 秋華賞時には毛ヅヤが良好でしたが牝馬だけにこの時季になると冬毛が伸びてくる。その半面、体つきは立派。2400メートル向きの体形で肩には牝馬らしからぬボリュームがある。柴咲コウが主演した一昨年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井伊直虎になぞらえます。


【ジャパンC】ムイトオブリガード75点 警戒心強い“北条早雲”

 毛ヅヤはさえていますが、立ち姿はお世辞にも褒められません。耳をしょっている(後ろに向けている)。不安そうな目つきで鼻をとがらせています。視覚に入らない真後ろを警戒しているのです。警戒心が強い武将といえば北条早雲。家の戸締まりも自ら行うよう家臣に求めたといいます。


【ジャパンC】ダンビュライト75点 健脚目立つ“豊臣秀吉”

 馬体は今春と変わっていないが、立ち方が力強くなった。目を引くのは丈夫そうな枯れた(腱の浮き出た)脚。足軽出身説もある豊臣秀吉の健脚になぞらえておきます。明智誅伐(ちゅうばつ)のため岡山から京都までの200キロ強を10日間で踏破する中国大返しを可能にした脚。


【ジャパンC】マカヒキ75点 戦に嫌気?“上杉謙信”

 体つきも立ち方も申し分ありません。顔立ちも鋭く立っている。秋の天皇賞ではそんな寸評で復活の可能性に言及したのですが、結果を出せなかった。表に出ない部分で嫌気を差しているのかも。長引く戦に嫌気が差して毘沙門天堂にこもった上杉謙信のように…。




【漆山“教授”のGI因数分解】ユーキャン好勝負必至
©サンケイスポーツ:2019年11月19日(火) 05:05

 東大卒の知性派、漆山貴禎記者がGI的中への解法を探る「漆山教授のGI因数分解」。今週末のジャパンCは、種牡馬と上がりタイムなどを分析。ユーキャンスマイル、レイデオロの2頭に注目した。

 39回目にしてついに外国馬の参戦がゼロになったジャパンC。寂しさは拭えないが、“不確定要素”が消えたという意味では分析しやすくなった。解析を進めて週末の結論につなげたい。

 (1)急上昇種牡馬

 グッと気温が下がってくるこの時季、反比例するように成績を上げてくるのがキングカメハメハ産駒だ。今月は芝で連対率1位の37・9%(出走回数10回以上)。2014~18年の産駒成績を調べても、11月は連対率21・2%で月別トップだ。ジャパンCでは10年にローズキングダムが優勝している。さらに、父の父キングマンボが2頭の勝ち馬(1998年エルコンドルパサー、05年アルカセット)を送り出した点も心強い。

 (2)上がり最速馬

 GIでの上がり3ハロン最速タイムには相応の意味がある。過去10年のジャパンCで、前走がGIで上がり最速だった馬は【3・1・3・6】複勝率53・8%だ。13年デニムアンドルビーが7番人気2着、15年ショウナンパンドラが4番人気Vと好配当を演出している点も見逃せない。

 (3)白帽を狙え

 近年の東京芝2400メートルでは、レースの格が上がるほど〔1〕枠の強さが際立ってくる。14年以降の高額条件戦(1600万下、現3勝クラス以上)では【7・10・10・40】連対率25・4%の好成績。ジャパンCでは何と5年連続3着内と驚異の成績を収めている。



★注目馬

 キングカメハメハ産駒のユーキャンスマイルは、天皇賞・秋で勝ったアーモンドアイを上回る上がり3ハロン33秒7をマーク。過去10年で前走・秋の盾組は5勝、2着5回で、上位3頭が出走してこないなら好勝負必至だろう。

 同産駒ではもちろんレイデオロも有力。「寒くなると毛づやが良くなってくる」と藤沢和調教師が語るように、10~12月では【4・2・0・0】と連対率100%だ。この2頭のどちらかが〔1〕枠を引き当てれば、本命候補に浮上する。 (漆山貴禎)
スポンサーサイト