水上学の血統トレジャーハンティング

【朝日杯FS】プレNHKマイルC?

【今週のポイント】
経験の浅い馬たちの難しさを改めて教えられた阪神JF。今週の朝日杯FSは、牡馬だけにまた違ってくるとは思うが、それでも経験値の多寡を精査することは古馬戦以上に大事であることは確か。心して予想に臨みたい。

阪神マイルに移って過去5回、好走馬のステップレースもバラバラ。血統傾向も、ディープ産駒が3勝しているといっても去年は1番人気を裏切っており、確たるものが見えない。掴みどころがないレース。

ただ、すでに週刊誌上などにも指摘があったことだが、不思議なことに前走オープン特別出走組はこの10年、中山時代を入れても1頭も馬券になったことがない。ハッキリした理由は分からないが、少頭数になることが多い2歳のオープン特別から、一気に16~18頭になり、揉まれてしまうことが多いからかもしれない。

ただ近年続いているのは距離経験に関すること。1200mベストではさすがに短いが、1400mで速い流れを経験し結果を出している馬が、2,3着に入って穴をあける傾向がある。

直線長い阪神だけに、もちろん切れは重要。しかしクラシックよりも来年のNHKマイルCを占うレースとしての価値が高まっているだけに、純正マイラーの姿をイメージすることも、勝ち馬選びには大事かもしれない。

★土曜阪神11R 中日新聞杯(G3)
◎本命馬&お宝馬 カヴァル 4番人気12着
ペースは平均やや遅めだったが、前に行った馬は息が入らず直線はズブズブの追い込み決着に。ならばこの馬に向きそうなものだったが、馬群でドン詰まってしまい、前の馬に乗り上げそうになってしまった。後は馬群に包まれたまま流れ込んだだけ。全く競馬が出来ていない。不運というしかないが、外へ出せていればまた変わっていたかもしれない。

★日曜阪神11R 阪神ジュベナイルF(G1)
◎本命馬 リアアメリア 1番人気6着
終始シンガリ付近、鞍上が押しても位置取りが上がらず、直線は外へ持ち出して、やっとジリジリ伸び程度。高速馬場でかつ前半が流れていく展開は初めてで、これまで自身の3F通過37秒台のレースしかしていなかったことがモロに裏目に出てしまった。これを経験したことで次走は変わってくるかは正直分からない。つまり次が試金石。

$お宝馬 ルーチェデラヴィタ 9番人気16着
終始競馬に参加できず。いくらなんでも1頭だけ大きく離れたシンガリ負けはペース対応云々では説明できず、故障かと思ったが、レース後の談話では、フケが来てしまったとのこと。生理的現象では諦めるしかない。逆に言えば次走は一気の挽回も可能か。

【次回の狙い馬】
日曜 中山10R 5着
ウインガナドル
逃げられはしたが、終始オウケンブラックやアドマイヤスコールに競られ、かなりキツイ展開に。ただ最後の坂もしっかり昇って粘っていた。得意の中山ではやはり走りが上向く。次走、相手に同型が不在なら押し切れる可能性大。

土曜 阪神6R 3着
エイシンファイター
同冠号の勝ち馬は圧倒の逃げ切り勝ち、しかも前に行った馬たちが上位を占める中、この馬だけが後方から差し込んできた。直線はフラフラする幼さを見せてのもので、次はこの馬の番だろう。





回収率向上大作戦・須田鷹雄

登録馬の過半数が距離延長の朝日杯FS

例年の傾向通りなら馬券の対象は絞られるはず


 先週の阪神JFではファンタジーSから臨んだレシステンシアが距離延長・初距離を克服して優勝した。

 ただ、朝日杯FSのほうは舞台が阪神に移って以降、距離延長組の苦戦する度合いが強まっている。

 中山時代の最後5年は前走芝1400m組が[1-3-2-26]で複勝率18.8%。これでも正直低いのだが、阪神に移ってからは[0-1-2-24]で複勝率11.1%とさらに下がっている。前走芝1200m組については中山時代も[0-0-0-11]でもともと機能していないが、阪神になってからは[0-0-0-3]でそもそもほとんど出てこなくなった。

 また、中山時代の最後はショウナンアチーヴ(13年2着)やダイワバーバリアン(09年3着)のように500万条件の芝1400mから来た馬が少しは馬券に絡んでいたが、阪神になってからの5回はオープン特別以下の芝1400mから来た馬は[0-0-0-11]。馬券に絡んだ3頭はいずれも京王杯組で、かつ4着以下から来た馬は一切馬券に絡んでいない。

 今年は登録17頭中、前走芝1400m組が過半数の9頭。京王杯1、2着組にはまだ3着以内の可能性があると考えても2頭いっぺんにとは考えづらい。

 さらに、前走1600mでもダートや未勝利戦から来た馬もおり、前走1勝クラスで負けてきた馬もいる。例年の傾向通りになるなら、かなり馬券の対象にできる馬は絞られるのではないだろうか。

 先週は一本かぶりの馬が大敗することになったが、傾向重視ならひるまずもう一回堅く行く手かとも思う。逆に傾向外の波乱になるなら、いよいよ馬場の変化が枠順と位置取りメインの競馬を生み出しているということになってくるだろう。




重賞データ分析・小林誠

【朝日杯FS】ヒモ荒れ決着を狙い打て!

■朝日杯フューチュリティS(GI・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録17頭

★3行でわかる!朝日杯フューチュリティS 攻略の糸口

1.連対馬のほとんどが上がり2位以内。末脚のキレ重視!
2.早生まれの馬が明らかに優勢。1~2月生まれはプラス。
3.前走芝マイル組が好成績。前走プラス体重の馬も期待大。

データ特注推奨馬
 ★サリオス
 ★ジュンライトボルト

 阪神開催となって、今年で5年目となる朝日杯フューチュリティS。中山で開催されていた頃とはかなり傾向が異なっているので、その「要点」をここで触れておこう。まずは、瞬発力の要求度が非常に高いレースであるということ。これは阪神ジュベナイルFにも共通する傾向で、スローの瞬発力勝負になりやすい阪神芝1600m外のコース形態も、大きく関係しているはずだ。

 そして、目立っているのが「早生まれ」の強さである。この時期の2歳馬における1ヵ月や2ヵ月の差は非常に大きく、それだけに早生まれは大きなメリットに。実際にデータを見ても、1月~2月生まれの馬はトータル[2-4-2-16]で連対率25.0%、複勝率33.3%と、3~5月生まれの馬を圧倒している。

 あとは、この時期の「成長力」も重要。その指標といえるのが前走馬体重で、これがプラスだった馬のほうが格段に期待できる傾向が見受けられる。少なくとも、前走がマイナス体重だった馬よりも期待できるのは間違いなし。ちなみに、もっとも期待できるのは「前走も今回もプラス体重」というパターンである。

 その他のデータも加味した上での特注推奨馬は、人気馬ではサリオス、人気薄ではジュンライトボルト。とくにサリオスは「1月生まれで前走馬体重プラス、前走でマイル重賞を制覇」と、いかにもここで好走できそうなプロフィル&実績の持ち主だ。ヒモ荒れ傾向の強さを考えると、ここから人気薄に流す馬券をオススメしたいところだ。

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【コース総論】阪神芝1600m外 Aコース使用
・コースの要所!
★人気による成績の偏りが小さいコース。あえていえば7~9番人気が優秀か。
★好成績なのは中枠である馬番7~12番。外枠はやや信頼度が落ちる傾向あり。
★先行勢と中団待機組の成績が拮抗。外回りらしく、上がり上位馬は好成績。

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 先週の阪神ジュベナイルFが行われたのも、今回と同じく阪神の芝1600m外。1週間が経過したが、フルゲート18頭立てのレースは行われていないので、掲載しているデータの数値は先週とまったく同じである。当然ながら、「コース総論」の内容も前回とまったく同じとなるので、さらっと流す程度の解説にとどめたい。

 人気による成績の偏りが小さいコースで、極端な人気薄でもないかぎり、どこからでも入りやすい。あえていえば7~9番人気や10~12番人気の内容が良好なので、穴狙いに徹してみるのも面白いだろう。枠番については、中枠である馬番7~12番がもっとも優秀な内容。それとは対照的に、外枠である馬番13~18番は信頼度が少し落ちる傾向で、やや不利な面があるようだ。

 脚質については、先行勢と中団待機組が互角に張り合っているイメージ。最後の直線が長い外回りコースではあるのだが、同時に道中のペースが緩みやすいコースでもあり、意外に前も踏ん張れる。上がり上位馬が好成績であるように、勝ち負けに決め脚が要求されるコースである点も、しっかり意識しておきたい。


【レース総論】朝日杯フューチュリティS(GI) 過去5年
・レースの要所!
★人気サイドが強いが相手はけっこう紛れる。ヒモ荒れ決着を警戒すべき一戦。
★内枠が好成績。連対馬は上がり3F順位の上位ばかりで、展開的には差し優勢。
★前走でも芝1600m戦を使われていた組が好成績。前走クラスは不問といえる。
★鞍上の乗り替わりを割り引く必要なし。レースキャリアは4戦以内が望ましい。

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 2014年から阪神開催となって、今年で6回目となる朝日杯フューチュリティS。トリッキーな中山芝1600mで開催されていた頃から考えると、好走馬のパターンはかなり異なっている。レースの平均配当は、単勝632円、馬連6162円、3連複1万5116円と、単勝平均が低いわりに馬連平均や3連複平均がソコソコ高いのが特徴だ。

 そこから導き出されるのは、ヒモ荒れ傾向の強さ。過去5年で2番人気以内馬が4勝をあげているように、基本的には人気サイドが強いレースである。しかし、人気薄がコンスタントに馬券絡みしているように、2017年のような「人気通りのガチガチ決着」は少ない一戦。人気馬から7~9番人気や10~12番人気に流すような馬券が面白そうである。

 枠番は、内枠である馬番1~6番がトータル[3-2-3-22]で複勝率26.7%、単勝適正回収値121.1、複勝回収値104という好内容をマーク。平均人気の高さもあるが、それ以上の結果を残しているのだから、これはプラスに評価すべきだろう。中枠は、パッと見た印象は冴えないのだが、コレでも人気以上には走っている。ギャップ値のマイナスが大きな外枠の評価を少し割り引く──というのが、おそらく正解だろう。

 脚質は差し優勢。複勝率は先行勢のほうが高いが、勝率や連対率は中団待機組が先行勢を上回っている。注目すべきは上がり上位馬の好成績で、過去5年の連対馬10頭のうち実に9頭までが、上がり2位以内。「中団から差した馬が連対し、3着には先行勢が残る」といった決着パターンがたいへん多い。今年も、差し馬を中心に考えたい。

 前走距離別では、前走でも芝1600m戦を使われていた組が好調。具体的には、1勝クラスのベゴニア賞やG2のデイリー杯2歳S、G3のサウジアラビアRCからのローテで出走した馬が、好成績を残している。芝1800mや芝2000mからの距離短縮組も、出走数こそ少ないが内容は悪くない。逆に、大きな割引が必要となるのが距離延長組で、こちらは2~3着に食い込むのが精一杯。人気になっても軽視したいパターンである。

 前走クラスについては「不問」というのが結論。前走重賞組のほうが信頼度は高いが、能力さえあれば新馬戦を勝った直後でも勝ち負けになるレースだ。これは阪神ジュベナイルFでも見られた傾向だが、キャリアの浅い馬のほうが好成績であるように、ここは経験値ではなく「素質の高さ」が問われる一戦なのである。

 最後に騎手関連データだが、鞍上の乗り替わりを割り引く必要はまったくなし。それが外国人騎手へのスイッチであれば、大きなプラスだと考えるべきだろう。あとは、「関東馬に関東以外の騎手が騎乗」というパターンも注目したいところ。3年連続で馬券に絡んでいるようにかなり信頼度が高いので、今後も要チェックだ。


【血統総論】

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 血統面は、ディープインパクト産駒とロードカナロア産駒をプラス評価の対象とした。芝のマイル戦における現在の「二強」であるのは言うまでもなく、仕上がりの早さにも定評がある。今年はハーツクライ産駒のサリオスが人気に推されるだろうが、こちらは「中の上」といったところ。もう少し長い距離でよさが出る産駒が多いのもあって、血統的にそう強くは推せない印象である。


★特別登録馬 総論×各論
 中距離適性の高い馬はホープフルSに向かうため、中山の頃よりも高いレベルで芝マイル適性を問われるレースとなった、朝日杯フューチュリティS。クリノプレミアムの回避が発表されているため、今年は最高でも16頭立てとなる。人気の中心はおそらく、マイル重賞であるサウジアラビアRCの覇者サリオスと、デイリー杯2歳Sの勝ち馬であるレッドベルジュールの2頭だろう。

 面白味には欠けるが、上位に評価したのもその2頭。とくに、冒頭の特注データ推奨馬でもあるサリオスは、かなりの確率で勝ち負けになると思われる。今年の登録馬で1~2月生まれはサリオス、タイセイビジョン、ラウダシオンの3頭だけで、このコースで問われる「ハイレベルな瞬発力」があるのも間違いなし。極端な外枠に入った場合でもないかぎりは、好走必至とみている。

 二番手評価にレッドベルジュール。2走連続で最速上がりをマークするなど、こちらも末脚のキレ味はかなりのものだ。前走でプラス28キロと、馬体重を大幅に増やしているのも好印象。登録馬で唯一のディープインパクト産駒であるという点も魅力的である。さらに、スミヨン騎手に乗り替わる予定であるのもデータ的にプラス。サリオスを負かす可能性がありそうなのは、この馬くらいだろう。

 三番手評価にジュンライトボルト。1勝クラスで3着、2着と取りこぼしているようにキレでは見劣るが、ソコソコの先行力とソコソコの瞬発力を併せ持つのは大きな魅力。レッドベルジュールと同様に、阪神芝の外回りで初勝利をあげているのもプラスに働く。1着よりも2着、2着よりも3着の可能性が高そうだが、内枠からスッといい位置を取って粘り込むような競馬をすれば、侮れない面がある。

 以下はトリプルエース、ウイングレイテスト、タイセイビジョン、ペールエール、ラウダシオンという評価の序列。あとは枠番次第、オッズ次第だろう。堅く決まりそうな雰囲気ではあるが、2~3着に1頭くらいは人気薄が絡んでくるはず。そこをうまく拾えれば、少ない点数で悪くない配当にありつけるはずだ。







鈴木康弘「達眼」馬体診断

【朝日杯FS】サリオス100点 四肢力みなく余裕ある精神状態 立ち姿は「悠」

 2歳王者のキーワードは「傑」と「悠」。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。第71回朝日杯FS(15日、阪神)ではデビュー2連勝中のサリオスに唯一満点をつけた。達眼が捉えたのは一流馬にふさわしい傑出した馬体と悠然たるたたずまい。1年間の世相を1文字で表す「今年の漢字」が12日、京都・清水寺で発表されるが、それに先立って有力馬のボディーを漢字1字で表しながら解説する。
 新元号になった今年の世相を漢字1字で示すなら「新」か、それとも「令」か。元号改元に消費税の改定も加わったので「改」かもしれません。首里城焼失や千葉県などの台風被害から「災」を2年連続で挙げる向きもあります。朝日杯FSで人気を集めるサリオスの特徴を1字で示すなら…。視点の置き方次第でいくつもの文字が浮かんできます。

 立ち方を見れば「悠」。ゆったりハミを取りながら、悠然と四肢を大地につけています。涼しい目、自然に垂らした尾、集中しながら過敏になり過ぎることもない耳の立て方。四肢にも全く力みがない。穏やかな気性、余裕のある精神状態をうかがわせる立ち姿です。朝日杯のマイルではなく、ホープフルSの2000メートルに向かった方がいいのではないか。そう思わせるほど「悠」がにじみ出たたたずまいです。

 体つきを見れば「傑」。筋肉量が凄い。トモや肩が鎧(よろい)をまとったように盛り上がっています。腹袋も立派。分厚い上半身を支える下半身も丈夫です。飛節が大きく、膝のつくりも頑丈。四肢の腱がしっかり浮いているので脚元に不安もありません。加減せずに調教を積めるでしょう。540キロ前後の大型馬なのに全ての部位が優れているため目立った部分がない。この見事な均衡も「傑」をイメージさせます。毛ヅヤも良好。体調は申し分ありません。

 血統を見れば「新」。ハーツクライの2歳産駒といえば、多くはトモが頼りなく映ります。加齢とともにトモに力をつけていく晩成型血統です。ところが、サリオスのトモは2歳暮れの時点で非常に発達している。母系のドイツ血統の影響か。ともあれ、ハーツの新しいタイプの産駒です。

 キ甲(首と背の間のふくらみ)はまだ抜けていません。成長途上の段階でこれほどの体になるとは、ちょっと驚かされます。「驚」も加えておきたい。キ甲が抜ければ、どんな姿に変わるのか。来年の12月にはアーモンドアイのように「超」が付く一流馬になっているかもしれません。クラシックを意識させる大物。前途洋々たる未来が待っています。(NHK解説者)


【朝日杯FS】ベルジュール95点 すべての部位バランス良く整う「和」

 今年の漢字には「和」も有力候補に挙がっているそうです。令和の和。あるいは、チームの和。ラグビーW杯日本大会のチームスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」は流行語年間大賞に選ばれました。平和への願いもこの一文字に込められているのでしょう。和には「和らぐ」の他に「仲良くする」「整う」の意味があります。レッドベルジュールの最大の特徴も1文字で示すなら「和」。肩、首から背、トモ、尾に至るまで全ての部位がスムーズにリンクされ、バランス良く整っている。
 パワーみなぎる筋肉マンなのに美しく映ります。無駄のない造形が生み出す機能美です。下半身に目を移せば、腱が浮き立ち、蹄も左右均一。前後肢、上下半身のいずれもバランスが整っている。ディープインパクト産駒らしいアカ抜けた馬体です。

 ただし、立ち姿には少し力みが感じられる。胸を張ってきちっと立っていますが、頭の位置が少々高すぎ。耳に必要以上に力を入れながら、鼻をとがらせています。尾離れ(尾の付け根の力の入れ方)も良すぎる。もっと穏やかに立てる気性なら、朝日杯FSではなく、ホープフルSに矛先を向けていたかもしれません。現状ではマイルがベスト。来春、2000~2400メートルのクラシックディスタンスでも通用するかは気性次第です。距離延長に対応するには気性が和らぐ必要がある。サリオス同様に2戦2勝で重賞を制して、G1に駒を進めたレッドベルジュール。その馬体の特徴が「和」なら、気性の課題も「和」です。


【朝日杯FS】ビアンフェ90点 「絆」父に似つかぬガッチリ型

 新種牡馬キズナには意外にもガチッとした体形の産駒が多い。阪神JF2着のマルターズディオサしかり今週のビアンフェ、エグレムニもまたしかりです。キズナは言わずと知れたディープインパクト産駒のダービー馬。スラリとした体形でしたが産駒はガッチリ型に出る。繁殖相手次第では自身と似ても似つかぬ産駒を出すのが一流種牡馬。キズナもあまり自己主張しないから繁殖相手(サクラバクシンオー産駒の短距離馬ルシュクル)の特徴がビアンフェに表れたのか。
 それにしても、立派な体つきです。分厚い首差しと腹袋、トモの筋肉量も豊富。マイルは初経験ですが、体のつくりに余裕があるので対応できるはずです。

 ただし、顔つきは子供。目が幼いし、口角を開けてリングバミを受けています。後肢を前踏みしている立ち方も子供っぽい。体調は申し分ないのであとは気性の成長待ちです。


【朝日杯FS】タイセイビジョン85点 「輝」体調の良さ表す淡黄色

 冬毛が伸びる季節なのにタイセイビジョンはつくば市内で収穫される秋の味覚、筑波栗のような淡黄色の輝きを放っています。冬毛が全く交じっていない。冬を迎えても新陳代謝がいいからです。飛節の角度が少し浅く、腹周りにももう少し余裕がほしいが、全体的にバランスは取れています。臀部(でんぶ)が盛り上がったトモには力強さを感じます。
 立ち姿を見ると、四肢と尾に力が入り過ぎていますが、これは尾の先を後ろになびかせる風のせいでしょう。顔つきは穏やか。ハミの取り方にも余裕がある。力んでいるわけではありません。体形から1Fの距離延長は微妙ですが、体調の良さは栗毛の輝きが伝えています。


【朝日杯FS】ウイングレイテスト80点 「臀」トモのボリューム満点

 少し冬毛が伸びていますが、肩やトモにいい筋肉を付けています。特にトモは臀部(でんぶ)が盛り上がってボリューム満点。その一方、キ甲は抜けていないし、顔つきは幼い。もっと厳しい顔が欲しい。心身とも成長の余地を十分に残しています。


【朝日杯FS】エグレムニ80点 「短」典型的な短距離体形

 460キロ前後の体重の割にボリュームがある。特に肩から首にかけて重厚な筋肉を付け、タテガミのあたりが盛り上がり気味です。典型的な短距離体形。今回は距離延長が課題です。耳を左右に開き、鼻をとがらせながらカメラマンに白眼をむけています。


【朝日杯FS】マイネルグリット80点 「穏」テンション維持できれば…

 レースでうかがわせるハイテンションは競馬場に置いてきたのか栗東トレセンでは穏やかな立ち姿を見せています。のんびりとハミを取り、耳を弛緩させている。マイラー体形で腹周りにも余裕がある。競馬場に行ってもこの穏やかさを維持できれば面白い。


【朝日杯FS】ラウダシオン80点 「飛」トモのパワー推進力に換えるバネ

 飛節が際立っています。大きくて絶妙な角度の飛節がトモのパワーを余すところなく推進力に換えています。馬体を飛ばすバネのようなこの部位はG1ロードの通行証。牡馬ならもっと腹袋が欲しいが、首、肩、トモの筋肉は立派。余裕のある立ち姿にも好感。




【漆山“教授”のGI因数分解】穴っぽいのはジュンライトボルト
©サンケイスポーツ:2019年12月10日(火) 05:04

 中山から阪神に移設されて5年が経過。上位馬の傾向には、明らかに変化が見られる。

 (1)絶好ステップ

 阪神移設後の5回で、前走を東京芝1600メートルで走った馬は【3・1・2・5】。連対率36・4%、複勝率54・5%の好成績を残している。1986~2013年の中山開催28回では、前走、東京芝マイル組が5勝しか挙げていなかった。トリッキーなおむすび形コースから直線の長い外回りに替わったことで、広々とした東京での同距離戦が絶好の“足慣らし”になっている。

 (2)無敗の重賞V馬

 過去10年、無敗の重賞ウイナーは【3・2・1・6】連対率41・7%。これだけでも魅力的な数字だが、芝1600メートル以上の重賞を勝っていた馬(白抜き馬名)に限ると【3・2・1・1】同71・4%とさらに好走確率が跳ね上がる。先週の阪神JFではレシステンシアがデビューV3で女王に輝いたが、これで無敗のGIウイナーは今年4頭目。“無敗V”の当たり年なのかもしれない。

 (3)大ブレーク

 当たり年といえば、現2歳世代のハーツクライ産駒も当てはまる。芝の1勝クラス&オープン戦でトップの【7・1・1・4】連対率61・5%は驚異的といえる。ハーツ産駒といえば晩成のイメージがつきまとうが、実は2歳戦での連対率は16年22・1%→17年24・1%→18年27・0%→19年30・1%と上昇一途。育成方法が確立されてきたのか、はたまた種牡馬としての“キャラ変”か。いずれにしても興味深い現象だ。

★注目馬

 ハーツクライ産駒で、サウジアラビアRCをレコードV。サリオスにはあらがいがたいムードが漂う。同じくデビュー2連勝でD杯2歳Sを制したレッドベルジュールがどこまで対抗するか。穴っぽいのはジュンライトボルトだ。前5年で2頭の勝ち馬を送り出しているベゴニア賞で2着。半兄に中京記念勝ちのグルーヴィット(父ロードカナロア)、曽祖母に名牝エアグルーヴと血統的な魅力も大きい。 (漆山貴禎)
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