水上学の血統トレジャーハンティング

【京成杯】1週遅れの成人式


【今週のポイント】
日曜の中山メインは京成杯。頭数はもちろんのこと、先々を期待できる素材が揃いそうだ。登録を見る限り、言葉は悪いが例年の「ここだけの重賞制覇となる一発屋」では勝てないレベルになっている。

関西馬の登録が7頭と多いのは、ここで勝ち負けしたら、トライアル出走で関東への輸送を重ねることなく、直行で同舞台の皐月賞へ向かうことを意図していそうだ。また異例の牝馬・超良血スカイグルーヴの参戦が何より注目される。

今年の冬は例年になく降水量が多く、馬場が柔らかいし、芝の発育もよく、かなり丈が伸びている。それだけ力の要る馬場になっており、2000mならなおさらパワーへ振れそうだ。

人気が割れそうでどこからでも入れそうな一戦。当該コースの今冬の好走傾向を睨みつつ、スタミナとパワーを兼備した血統を重視したい。

★土曜京都11R 淀短距離S(G3)
◎本命馬 カラクレナイ 3番人気3着
2番手からソツのない競馬はできたが、追われてから伸びを欠いて、逃げたジョーカナチャンも捕まえられなかったのはいただけない。大崩れしない点は評価できるが、重賞で通用するにはこのあたりの強化が必要。

$お宝馬 シヴァージ 2番人気4着
スタートでミス、さらに前が詰まるシーンが複数回あっただけに、それでありながらのこの着差は痛かった。まともなら勝っていたかもしれない。ただ、これほど人気になるとは思わなかった。お宝馬としての価値はなかった。

★日曜京都11R シンザン記念(G3)
◎本命馬 ルーツドール 1番人気7着
好位につけていたが、いざ追い出すと全く伸びず。いくつかの理由があるだろうが、考えられるのは前走超絶の時計で走りすぎたことから来る反動、さらに真冬ながらゼッケン下が白くなるほど発汗していたことから、メンタルがテンパっていた可能性も敗因として一番納得がいく。その発汗の理由として思い当たるのが、パドックでは何度か尾を持ち上げては下ろしを繰り返しており、牡馬に混じっての周回でフケ(発情)が来ていたのかもしれない。今回はノーカウントでいいだろう。

$お宝馬 カバジェーロ 6番人気8着
終始中団後ろから回ってきただけ。全く見せ場がなかった。

★月曜中山11R フェアリーS(G3)
◎本命馬 アヌラーダブラ 1番人気6着
こちらは道中の位置取り、手応え、どれも問題なかったが、馬を信じて外を回しての仕掛けになったら、いくら外が伸びない馬場と言っても全く動けず。鞍上にとっても意外だったそうだが、「距離が長いのでは」というコメントが気になった。1400mが強すぎるからかもしれないが、私は中山マイルの新馬戦が勝ったとはいえ低調だったことから、単に小回りがダメで広いコース向きなのではと考えた方が腑に落ちる。いずれにせよ、例年の好走血統にピッタリ嵌っていたことで逆らえなかった。反省。

$お宝馬 ウインドラブリーナ 13番人気7着
後方、大外回しのジリ伸び。7着は頑張った部類。自己条件なら戦いながら強くなりそうで、ローカルの芝中距離や道悪なら一気の巻き返しも期待できる。

【次回の狙い馬】
日曜 京都7R 8着
カルロスミノル
今回は2番手追走も、結果的に前が総崩れとなる展開。加えて休み明けで18キロ増でもあった。展開がまともになり、かつ馬体が絞れれば、次走は巻き返しが期待できる。

月曜 中山10R 11着
レイダー
今回は長期休養明け。ダート1200mでいつものように逃げに出るのは良かったのだが、馬が久々の実戦のために掛かり気味に飛ばしていこうとし、折り合えなかった。これでガス抜きができれば、次走はもともと得意としている東京戦になるはずで、一変が見込めると思う。



「虎の子」の一頭

【日経新春杯】3日間開催も京都芝で大穴の本命が連続激走。今週末もおいしいトラックバイアス!

コース替わりの影響が顕著な1回京都開催

 前年秋の京都芝は、開催前半の雨によって緩んだ馬場のなかで行われた日が多かった。今年の京都も、昨年秋の影響が尾を引き、路盤が傷んでいる。

 1回京都開催の芝は仮柵でカバーされていたAコース。前年秋の開催ではCコース。Cコース部分は馬場のダメージが大きい。Aコースでは芝が保護されていた内側が開放される。よってインコースが有利になる。さらに、今年の京都は馬場が重い。直線で末脚のスピードを発揮するのが難しい馬場だ。力を発揮できない差し馬が多いことで先行馬が有利になりやすい。

 今開催、外回りで行われた重賞レースを振り返っても、顕著なトラックバイアスが発生している。

 京都金杯は最初のコーナーを2番手で通過したボンセルヴィーソが14番人気で3着。勝ったサウンドキアラは2枠から最初のコーナー4番手通過。2着ダイアトニックは3枠。7枠から最初のコーナー17番手通過だった1番人気のカテドラルは17着に大惨敗。

 シンザン記念は最初のコーナー3番手以内で通過した馬のワンツー決着。9番人気3着のコルテジアは3枠から最初のコーナー5番手で通過。断然1番人気のルーツドールは8枠で7着に惨敗。

 私が公開した予想でもトラックバイアスを大いに利用した。京都金杯はボンセルヴィーソを本命にして的中。シンザン記念も人気薄で好走したコルテジアを本命にした。

 しかしシンザン記念は馬券は的中できなかった。馬場読みに自信がありすぎて、欲張りすぎた結果のミスだが、まだまだ今週末は取り返すことはできるだろう。

 日経新春杯も先行馬。なかでも、馬場の不利を受けて凡走した馬にまずは注目。

 ところが、今回のメンバーでは前走で馬場の不利を受けた先行馬は出走していない。先行馬はエーティーラッセンぐらいだ。

 同馬の前走はオリオンステークス。8番人気2着。トラックバイアスは「内有利・前有利」。軽ハンデで逃げる形。展開にも恵まれた好走だった。

 そして、今回も先行馬が少ないメンバー。ハンデもさらに軽くなっている。今の馬場状況を考えると再度恵まれて好走するチャンスも十分。

 もちちん、エーティーラッセン自身。そして他の馬の枠順も重要。最終予想はウマい馬券も参考にして儲けていただきたい。




回収率向上大作戦・須田鷹雄

【日経新春杯】今年も4歳馬が制するのか?

4歳上位人気馬には逆らえない日経新春杯


 日経新春杯はとにかく4歳馬が強い重賞だ。まずは過去10年の年齢別成績をご覧いただこう。

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 きれいに4歳>5歳>6歳となっていて、7、8歳馬は馬券に絡んでいない。

 完全昇級制が導入されたことにより、5歳馬と将来的には6歳以上馬のグループが弱まることはあっても(以前なら降級して準オープンにいる馬もオープンのままとなるため)、4歳馬が弱くなる道理はない。

 もともとの降級はこの後のタイミングに関することであって、明け4歳馬については以前と事情が変わらないからだ。

 この4歳馬、不在だった2018年を除く過去10回のうち9回においてすべて連対馬を出している。2016年と17年は4歳馬がワンツー、2011年にはワンツースリーを決めており、4歳馬抜きでは馬券が組み立てられない。

 さらに4歳で1番人気だった馬は過去10年[2-2-1-0]とすべて馬券に絡み、3番人気以内だった馬でも[5-5-1-2]と複勝率84.6%を誇っている。4歳馬は若くて勢いがあるだけでなく、古い時期の実績で無駄に重いハンデを背負うことがないのもプラスなのだろう。

 今年はレッドジェニアルが1番人気争いをしそうで、ここはまず逆らえないところ。

 あとはメロディーレーンあたりまで馬券圏内があるかどうかが焦点となる。




重賞データ分析・小林誠

【京成杯】大穴は来ないが中穴はガンガン来るレース!

■京成杯(G3・中山芝2000m)フルゲート17頭

★3行でわかる!京成杯 攻略の糸口

1.大穴はこないが中穴は頻繁にくる。7~9番人気が特注!
2.枠番はフラットで外枠でも問題なし。脚質は「前」が優勢。
3.距離延長組は軽視。早生まれや継続騎乗組を重視で!

データ特注推奨馬
 ★現時点ではなし

 本来ならばG2である日経新春杯を取りあげるべき週なのだが、現在のところかなり「うっすうす」の出走メンバーとなりそうな雰囲気。ならば、それなりに頭数が揃って、馬券的にも面白くなりそうな京成杯を取りあげたほうがいいと判断した。イレギュラーではあるが、どうかご容赦を。

 京成杯の最たる特徴は、大穴の弱さと中穴の強さだろう。ふたケタ人気の大穴は過去10年で1頭たりとも馬券に絡んでいないのだが、4~6番人気や7~9番人気といった中穴が絶好調で、ここから入る馬券はかなりオイシイはず。大穴がバッサリ消せるので買い目の点数を減らせる上に、中穴が絡めば配当はそれなりに跳ねる。

 これは中山芝2000mというコースの特徴でもあるが、外枠に入った馬でも問題なく買える。ただし、脚質に関してはかなり「前」優勢なので、後方からの競馬しかしたことがないようなタイプは割引が必要だ。また、持久力が問われるコース&レースでもあり、芝1600m以下からの一気の距離延長は大マイナス。前走で芝1800m以上戦に出走していることが、好走するための必要条件となっている。

 キャリアはここまでに3~4戦を消化している組が好成績で、キャリア5戦以上馬になると信頼度は一気にダウン。4月以降に生まれた馬よりも、1~3月に生まれた「早生まれ」の馬を狙ったほうが期待できるというのも、3歳限定戦らしい特徴といえる。現段階で特注扱いとなる馬はいないが、「強い買い材料がある中穴」はすべて買うくらいの勢いで、レースに臨みたい。


【コース総論】中山芝2000m Cコース使用
・コースの要所!
★1~3番人気など上位人気の強さが目立つ。穴なら7~9番人気が狙い目か。
★内容が優秀なのは外枠である馬番13~18番。外枠でも積極的に買えるはず。
★想定すべき決着パターンは「差し→先行」。後方に置かれる馬は大幅割引。

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 つい先日、中山金杯が行われたばかりの中山芝2000m。まだ期間も空いていないので、コース分析の結果はまったく変わらない。さらにいえば昨年末にはホープフルSも行われており、短期間で3回目。これらの内容をよく覚えているという方は、すっ飛ばしていただいてまったく問題もない。解説も、さらっと流させていただこう。

 当コースでは、瞬発力だけでなく先行力や器用さ、持久力など、総合力が問われる。それだけに紛れる要素は少なく、ホープフルSは1番人気のコントレイルが、中山金杯も2番人気のトリオンフがそれぞれ快勝している。大波乱は望み薄で、あってヒモ荒れ程度に考えたほうがいいコース。穴で狙うならば、7~9番人気を重視するのがオススメだ。

 枠番は基本的にフラット。内容については外枠である馬番13~18番がもっとも優秀といえるほどで、外枠に入ってもまったく問題なしだ。Cコースに替わってからもある程度の時間が経過したので、枠番の内外による有利・不利はさらになくなっているはず。中山芝というイメージにとらわれると、痛い目にあうので注意が必要である。

 脚質については、先行勢と中団待機組が拮抗しているイメージ。最速上がり馬が好成績であるように「中団からの差し」もけっこう決まる。このあたりは組み合わせ次第でもあるが、多頭数になって前が流れる展開になる可能性が高そうな場合には、勝率や単勝適正回収値が高い中団待機組を重視するのがベターだと思われる。


【レース総論】京成杯(G3) 過去10年
・レースの要所!
★ふたケタ人気馬は全滅も中穴はけっこう強い。チョイ荒れ狙いが面白そう。
★内枠である馬番1~4番が低調な成績も、基本的にはフラットと捉えるべき。
★脚質は先行勢が優勢。前走が1勝クラスの馬が好調で、未勝利でも好走可能。
★芝1400~1600mからの距離延長組は不振。キャリアは3~4戦の馬が好成績。

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 レースの平均配当は、単勝603円、馬連2886円、3連複9023円とかなり低めの水準。その要因となっているのがふたケタ人気馬の弱さで、過去10年で1頭も馬券に絡めていない。つまり、基本的には「人気サイドが強いレース」なのだが、4~6番人気や7~9番人気といった中穴ゾーンも非常に強く、ここから入る馬券がもっともオイシイ。チョイ荒れ狙いのスタンスを推奨したいレースである。

 次に枠番データ。こちらはコースデータ同様に「フラット」が結論だ。外枠である馬番13~17番が好成績であるのも、コースデータ同様の傾向。対照的に、内枠である馬番1~4番の内容がイマイチだが、メチャクチャ悪いというほどでもないので、これは単なる偏りである可能性が高い。外枠を理由に人気を落としているような馬がいれば、逆に狙ってみるのも面白そうだ。

 脚質は、コースデータよりも先行勢優勢。上がり3位の馬が勝率36.4%と、最速上がりの馬を上回る結果を出しているのが、その証明だ。後方からでもけっこう届いているように差せなくはないレースだが、主軸に据えるべきはやはり先行勢。昨年も、4コーナーを先頭で回ったラストドラフトと2番手で回ったランフォザローゼスが、そのままワンツーを決めている。

 前走クラス別成績から見えてくるのは「前走レースの格よりも素質や勢いが重要」という傾向だ。前走で重賞やオープン特別に出走していた組よりも、1勝クラスを勝って昇級する馬のほうが高信頼度。また、新馬や未勝利を勝ち上がった直後の馬の健闘も目立っている。前走重賞組の過信は禁物で、新馬・未勝利勝ちからのローテで出走する馬が7~9番人気に推された場合は、かなり激走が期待できるパターンといえる。

 注意したいのが、前走芝マイル戦出走組の不振である。出走数がけっこう多いにもかかわらず、前走が芝1600m以下戦だった馬はトータル[1-1-0-23]で複勝率8.0%、複勝回収値19という惨憺たる成績。4番人気以内に推された場合でも、すべて4着以下に沈んでいる。この組はかなり割り引いて、前走で芝1800~2000m戦に出走していた組を中心に、馬券を組み立てたいところ。前走がダート戦だった馬も「消し」でいい。

 レースキャリアと生まれ月について集計したデータからは「キャリア3~4戦かつ早生まれの馬」を狙うべきだという結論となる。クラシック路線の重賞で、キャリアが武器とならない傾向が強まっているのは周知の通り。京成杯でも、キャリア5戦以上馬の連対例は、たったの1回しかない。早生まれのほうが有利であるのもご覧の通りで、複勝率だと差はないが、勝率や連対率では2倍近くの大差が出ている。

 最後に騎手関連データ。こちらでは「勝つのは継続騎乗組、2~3着には乗り替わり組」という決着パターンが非常に多いことが見てとれる。トータルでの信頼度には大きな差はないが、単勝適正回収値における大きな差を考えると、ここは継続騎乗組から入ったほうがベター。あとは、ホームである関東所属騎手よりも、アウェイである関西所属騎手や外国人騎手のほうが期待できるという点を、ぜひ覚えておきたい。


【血統総論】

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 血統面では、ディープインパクト産駒とルーラーシップ産駒をプラス評価の対象とした。中山の路盤改修以降、ディープインパクト産駒の成績が一気に向上したのは、よく知られている話。最優秀2歳牡馬に選出されたコントレイルも、かなり荒れたAコースの馬場を苦にせず、ホープフルSを快勝している。ルーラーシップ産駒が当コースで見せている適性の高さもかなりのもの。次点は、現3歳世代が絶好調であるハーツクライ産駒か。


★出走予定馬 総論×各論

 特別登録前の段階で出走の意向が把握できているのは12頭。エリカ賞の上位馬であるヒュッゲとディアスティマ、京都2歳Sで3着に逃げ粘ったロールオブサンダー、そして新馬戦を馬なりで圧勝した牝馬のスカイグルーヴなど、なかなか面白そうなメンバーである。そして、逃げや先行策で結果を残してきた馬が多く、それなりにピリッとした流れになりそうな印象。決め脚も求められてきそうだ。

 現時点でのトップ評価は、芙蓉Sの2着馬であるウインカーネリアン。あくまで推定でしかないが、こちらは松岡騎手が継続騎乗すると思われる。今年の出走予定馬は鞍上が乗り替わる想定の馬が非常に多いのだが、このレースの勝ち馬は継続騎乗組であることが圧倒的に多いので、これは大きなプラス。中山替わりで好走したように、馬場適性もありそうだ。さらに、キャリアが4戦であるのも買い材料といえる。

 二番手評価にスカイグルーヴ。新馬を勝ったばかりで、しかも京成杯での近年好走実績がない牝馬ではあるのだが、デビュー戦の内容はまさに「圧巻」のひと言。引き続きルメール騎手が騎乗する場合、勝ち負けの期待度はさらにアップするだろう。ノーザンファームの生産馬らしく、1月23日とかなりの早生まれ。キャリアの浅さも割り引く材料にはならず、先々が本当に楽しみな1頭である。

 三番手評価に、エリカ賞の勝ち馬であるヒュッゲ。鞍上がどうなるのか把握できていないが、こちらは前走の川田騎手から乗り替わる可能性が高そうだ。ハーツクライ産駒らしい奥の深さを感じる馬で、1勝クラスを勝っての参戦は、もっとも信頼度が高いといえる出走パターン。3月生まれでキャリア3戦と、プロフィール面でも強調材料がある。課題は、先行勢の多いこの組み合わせで「どう乗るか」だろう。

 以下はディアスティマ、ロールオブサンダー、ゼノヴァース、ヴィアメントという評価の序列だが、これはあくまで最終的な出走馬や人気がまったくわからない段階でのもの。このレースでの好走例が多い「7~9番人気」が、出走予定が把握できていない馬である可能性も高い。この評価はあまりアテにせず、特別登録が出てからデータでしっかりふるいにかけていただきたい。
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