水上学の血統トレジャーハンティング

【東京新聞杯】チャンプへの挑戦権

【今週のポイント】
一昨年の勝ち馬は昨年最強の座に就いて退いたリスグラシュー、そして去年の勝ち馬は、その後春秋マイル王に輝き、現役最強マイラーであるインディチャンプ。一気に出世レースとして箔が付いた東京新聞杯。今年は例年に増して多士済々、インディチャンプへの挑戦権を掴みたい一戦だ。

上がり馬ヴァンドギャルド、マイルG1実績がありながらその後雌伏しているクリノガウディー、ケイデンスコールの4歳3頭に注目が集まるが、今年は5,6歳馬も粒揃い。未完の大器サトノアーサーにとってはベストコース。また富士S2着のレイエンダ、ヴィクトリアマイル2着のプリモシーン、そして血統的には、兄姉がこのレースで連対しているレッドヴェイロンも強調したい。

ただし血統的には、父サンデー系が強いという特徴も重視すべき。2015年以降は5勝、2着4回。その中でディープインパクト産駒が2勝、2着4回を占めている。土曜のトレジャーハンティングでは、この辺を軸として本命馬を選びたい。

★土曜小倉11R 海の中道特別
◎本命馬 グラットシエル 5番人気12着
前走が14キロ増だったので、今回の18キロ減はさほど影響はなかったはず。しかしレースぶりは先行したものの早々にバッタリ止まってしまい、勝ち馬から5秒離された。まともにレースしていないことは明らか。異常が発生していたのではないだろうか。

$お宝馬 トーホウアルテミス 6番人気1着
こちらは文句なし。ブリンカーも効いたのか、積極的に運んで早め先頭、そこから突き放す強い競馬。かなり選択肢が広がる勝利。

★日曜東京11R 根岸S(G2)
◎本命馬 コパノキッキング 1番人気2着
結果論だがマーフィー騎手の言うように、序盤にやや強気な競馬をしすぎて、終い甘くなってしまった。一番強い競馬をしていることは間違いないのだが、相手が悪かったとしか言いようがない。

$お宝馬 ドリームキラリ 10番人気14着
飛ばしたが、意外と付いてこられて突き放せず。こうなると苦しいのは逃げ馬の宿命で大敗も致し方ない。

【次回の狙い馬】
日曜 京都10R 8着
シフルマン
久々でやや太目、しかも外回りの1800mでスローの切れ比べでは、この馬の良さは出ない。血統からは、阪神2000mのような内回りコースで適鞍があれば一気の巻き返しもある。

土曜 東京12R 4着
キタサンバルカン
こちらも合わない舞台を使ってしまった感。東京1800mのような速いコースでかつ上がりが必要な舞台は、この馬には合っていない。冬場の芝だからこそ4着まで伸びてきたが、東京なら2000m以上は必要だし、また中山や中京のようなパワー必須のコースの方が断然向いている。




データde出~た

第1392回 きらさぎ賞の上位人気馬を考える

今週日曜日に京都競馬場できさらぎ賞が行われる。翌週の共同通信杯と並び、クラシックへの登竜門と言われる注目レースだ。過去10年ではサトノダイヤモンド(菊花賞)やルージュバック(オークス2着)、ワールドエース(皐月賞2着)が勝利を飾っている。また、例年出走頭数が少ないレースでもある。2012年の13頭立てが最高頭数だ。今年も1週前の段階で10頭しか登録がなかった。
いつものように過去10年のデータを分析するが、今回は上位人気馬の傾向に注目してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。


■表1 きさらぎ賞の1番人気馬成績(過去10年)
年 馬名 着順 性 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
19年 ヴァンドギャルド  4 牡 ホープフG1 6 ディープインパクト Motivator
18年 ダノンマジェスティ 9 牡 新馬 1 ディープインパクト Essence of Dubai
17年 サトノアーサー   2 牡 シクラメ500 1 ディープインパク トRedoute's Choice
16年 サトノダイヤモンド 1 牡 500万下 1 ディープインパクト Orpen
15年 ルージュバック   1 牝 百日草特500 1 マンハッタンカフェ Awesome Again
14年 バンドワゴン    2 牡 エリカ賞500 1 ホワイトマズル Unbridled's Song
13年 リグヴェーダ    8 牡 新馬 1 ディープインパクト Nureyev
12年 ワールドエース   1 牡 若駒S 2 ディープインパクト Acatenango
11年 ウインバリアシオン 4 牡 ラジオNIG3 4 ハーツクライ Storm Bird
10年 レーヴドリアン   2 牡 福寿草特500 1 スペシャルウィーク Highest Honor

表1は過去10年におけるきさらぎ賞1番人気馬の成績。2016年サトノダイヤモンド、15年ルージュバック、12年ワールドエースが勝利を飾っている。この3頭は冒頭で触れた馬たちで、後にクラシックで連対を果たした。2着馬は17年サトノアーサー、14年バンドワゴン、10年レーヴドリアンでこちらも3頭。これら連対馬6頭中5頭は前走1勝(500万)クラスのレースを勝利していた。

一方、4着以下に敗れた馬は4頭いる。その内2頭は前走新馬を勝ったばかりだった。残る2頭は前走重賞に出走し、4着以下に敗れていた。つまり重賞の実績は必須ではない。かといって、素質があっても1勝馬が簡単に通用するレースでもない。前走1勝(500万)クラス組が有利という傾向だ。

また、血統面でも興味深い傾向が出ている。種牡馬(父)はディープインパクトを中心にサンデーサイレンス系が大半を占めている。母父は横文字の英語馬名がズラリと並ぶ。案外見慣れた名前が多いものの、内国産馬や日本に輸入された外国馬の名前がない。これは大きな特徴だ。具体的な系統はRedoute's ChoiceとOrpenのダンジグ系と、Unbridled's Songのミスタープロスペクター系に注目してみたい。後ほど述べるその他の好走馬にも同系統が多いのだ。


■表2 きさらぎ賞の2番人気馬成績(過去10年)
年 馬名 着順 性 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
19年 アガラス      7 牡 東京スポG3 2 ブラックタイド ブラックホーク
18年 グローリーヴェイズ 2 牡 こうやま500 2 ディープインパクト スウェプトオーヴァーボード
17年 ダンビュライト   3 牡 フューチG1 13 ルーラーシップ サンデーサイレンス
16年 ロイカバード    3 牡 福寿草特500 1 ディープインパクト Jade Hunter
15年 ポルトドートウィユ 2 牡 シクラメ500 1 ディープインパクト クロフネ
14年 トーセンスターダム 1 牡 京都2歳 1 ディープインパクト エンドスウィープ
13年 ラストインパクト  6 牡 エリカ賞500 2 ディープインパクト ティンバーカントリー
12年 ベールドインパクト 3 牡 未勝利 1 ディープインパクト ドクターデヴィアス
11年 オルフェーヴル   3 牡 シンザンG3 2 ステイゴールド メジロマックイーン
10年 ダイワバーバリアン 5 牡 フューチG1 3 マンハッタンカフェ Kingmambo

表2はきさらぎ賞2番人気馬の成績(過去10年)。1着馬が1頭、2着馬が2頭、3着馬が4頭いる。複勝率は70%で、1番人気を上回る成績だ。前走レースの成績を見ると、旧京都2歳S(OP特別)や、シクラメンS・福寿草特別といった1勝クラスの勝ち馬が好成績を挙げている。前走新馬組はいないが、前走重賞の東スポ杯2歳Sや朝日杯フューチュリティSで好走した馬が負けている。このあたりの傾向は、1番人気馬のケースと似ている。

種牡馬を見ると、やはりサンデーサイレンス系が圧倒的に多く、中でもディープインパクトは産駒が6勝をマーク。母父はミスタープロスペクター系が非常に多い。17年のダンビュライトは父がミスタープロスペクター系で、母父がサンデーサイレンスという逆の配合だ。


■表3 きさらぎ賞の3番人気馬成績(過去10年)
年 馬名 着順 性 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
19年 ダノンチェイサー 1 牡 こうやま500 1 ディープインパクト Rock of Gibraltar
18年 カツジ      5 牡 デイリーG2 2 ディープインパクト ホワイトマズル
17年 プラチナヴォイス 4 牡 京都2歳G3 6 エンパイアメーカー マンハッタンカフェ
16年 ロワアブソリュー 7 牡 新馬 1 ゼンノロブロイ Souvenir Copy
15年 アッシュゴールド 3 牡 フューチG1 8 ステイゴールド メジロマックイーン
14年 サトノルパン   6 牡 未勝利 1 ディープインパクト ダンシングブレーヴ
13年 アドマイヤドバイ 3 牡 福寿草特500 2 アドマイヤムーン サンデーサイレンス
12年 ジャスタウェイ  4 牡 東京スポG3 4 ハーツクライ Wild Again
11年 トーセンラー   1 牡 福寿草特500 3 ディープインパクト Lycius
10年 インペリアルマーチ4 牡 新馬 1 ネオユニヴァース ダンシングブレーヴ

表3はきさらぎ賞3番人気馬の成績(過去10年)。昨年の優勝馬ダノンチェイサーの名前がある。前走はこうやまき特別で1着。血統は父がディープインパクト、母父がダンジグ系のRock of Gibraltarという配合だ。11年1着のトーセンラーは前走福寿草特別3着。父はディープインパクトで、母父はミスタープロスペクター系のLycius。この配合はきさらぎ賞と相性がいい。

4着以下に敗れた馬を調べると、前走新馬を勝ったばかりのロワアブソリュー(16年)やインペリアルマーチ(10年)が残念な結果に終わった。前走重賞組ではカツジ(18年)やプラチナヴォイス(17年)、ジャスタウェイ(12年)が人気よりも走らなかった。血統的には感触が良さそうでも、前走1勝クラス組以外は割引が必要かもしれない。


■表4 きさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬(過去10年)
年 馬名 着順 人気 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
19年 タガノディアマンテ 2 6 エリカ賞500 3 オルフェーヴル キングカメハメハ
19年 ランスオブプラーナ 3 7 なずな賞500 2 ケープブランコ マンハッタンカフェ
18年 サトノフェイバー  1 4 新馬 1 ゼンノロブロイ Distorted Humor
18年 ラセット      3 5 未勝利 1 モンテロッソ アグネスタキオン
17年 アメリカズカップ  1 6 フューチG1 9 マンハッタンカフェ Coronado's Quest
16年 レプランシュ    2 4 シクラメ500 1 ディープインパクト Fasliyev
14年 エイシンエルヴィン 3 6 未勝利 1 Shamardal Monsun
13年 タマモベストプレイ 1 6 シンザンG3 3 フジキセキ ノーザンテースト
12年 マズルファイヤー  2 5 未勝利 1 ホワイトマズル Saint Ballado
12年 ヒストリカル    2 4 福寿草特500 4 ディープインパクト ノーザンテースト
11年 リキサンマックス  2 8 未勝利 1 キングヘイロー テンビー
10年 ネオヴァンドーム  1 5 未勝利 1 ネオユニヴァース トニービン
10年 ステージプレゼンス 3 6 未勝利 1 アグネスタキオン Highest Honor

最後にきさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬もチェックしておく。表4の通り、過去10年では13頭いる。出走頭数が少ないこともあり、二けた人気馬はいないが、伏兵馬の出番も十分あると言える。近年は母父ミスタープロスペクター系かサンデーサイレンス系の馬が食い込んでいる。前走成績は1勝クラスで好走していることが望ましい。一方、18年はサトノフェイバーが前走新馬戦1着、ラセットが前走未勝利戦1着という成績で好走した。10年~14年にかけては前走未勝利1着馬が5頭も好走している。穴馬に関しては格よりも調子・勢いを重視して選んでみたいところだ。


【結論】
それでは今年のきさらぎ賞を展望する。出走予定馬は表5の通りだ。

■表5 今年のきさらぎ賞出走予定馬
馬名 性 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
アルジャンナ   牡 東京スポG3 2 ディープインパクト Tiz Wonderful
ギベルティ    牡 新馬 1 オルフェーヴル Dubai Millennium
クリノプレミアム 牝 未勝利 1 オルフェーヴル Giant's Causeway
グランレイ    牡 フューチG1 3 ルーラーシップ ファルブラヴ
コルテジア    牡 シンザンG3 3 シンボリクリスエス ジャングルポケット
サイモンルモンド セ 未勝利 1 ダノンシャンティ サクラローレル
サトノゴールド  牡 札幌2歳G3 2 ゴールドシップ Fusaichi Pegasus
ストーンリッジ  牡 新馬 1 ディープインパクト フレンチデピュティ
デアリングタクト 牝 新馬 1 エピファネイア キングカメハメハ
トゥルーヴィル  牡 新馬 1 ディープインパクト Fasliyev

まず人気を推測すると、前走東京スポーツ杯2歳S2着のアルジャンナは上位人気が濃厚だろう。同レース優勝馬のコントレイルが次走ホープフルSを制していることも大きい。グランレイは前走朝日杯フューチュリティSで3着と好走。14番人気という超人気薄だったが、G1で好走したのは事実。この点が評価され、今回はある程度人気になりそうだ。そして、前走札幌2歳S2着のサトノゴールドや、前走シンザン記念3着のコルテジアも実績的には上位だ。ただ、きさらぎ賞は前走重賞組が不振。上位人気馬でも過信は禁物だ。血統面でもやや心配。アルジャンナは父ディープインパクトだが、母父はTiz Wonderfulというややマイナーな系統だ。サトノゴールドは父がゴールドシップで、母父がミスタープロスペクター系のFusaichi Pegasus。配合は本馬の感触が一番いい。

その他の馬に目を向けると、なんと前走1勝クラス組がいない。これはかなりめずらしいケースであり、予想も難しくなってしまった。そこで、前走新馬を勝ったばかりだがギベルティはどうか。父がオルフェーヴルで、母父がミスタープロスペクター系のDubai Millennium。血統的にはサトノゴールドと同じぐらい感触がいい。仮に上位人気に支持されると逆に買いにくい感じもするが、注目してみたい。
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