田原基成さん

ホウオウピースフルほか、2020クイーンカップ出走予定馬14頭分析
・アールクインダム
夏以来の実戦となった前走菜の花賞は鮮やかな末脚で快勝。時計のかかる馬場を得意としており、今後も同じようなシチュエーションで激走のチャンスが訪れそうだ。とはいえ今回は東京芝。「適性」の物差しで捉えたとき、先週同様に速い上がりが求められた際の不安は残る。

・アカノニジュウイチ
新馬戦で使った上がり3Fは32秒9。東京芝の歴史上、2歳戦において33秒を切る上がり3Fで勝利した馬はこの馬を含め4頭しかいない(サトノグロリアス、スマートオーディン、クロノジェネシス)。そして3頭中2頭が3歳春までに重賞勝利……注目すべき共通点だ。今回がそのタイミングかどうかは別として、追いかけ続ける価値がある1頭だ。

・アミークス
渋った馬場を差し引いても前走勝ちタイムは物足りなさが残るもの。典型的なアメリカ血統である母系から、将来ダート替わりで大きく狙うチャンスが来ると捉えている。

・インザムービー
稍重→重で連対後、初の良馬場で惨敗。現時点では渋った馬場に高い適性がありそうだ。今後そういったシチュエーションが訪れたときに狙いたい。

・サナチャン
新馬戦勝利後はクラスの壁にぶつかっている印象。厳しい。

・シャンドフルール
鮮やかな逃げ切り勝ちを決めた前走の1000m通過は60秒3。その日行われた芝は4角2番手以内の馬が全レースで馬券圏内突入……トラックバイアスと展開が味方した印象は否めない。今回の舞台は直線が長く、終いの切れ味が求められる東京。勝ち切るためのハードルは高そうだ。

・セイウンヴィーナス
勝利実績がある東京替わりは歓迎も、重賞で勝ち馬から1秒4差をつけられた前走は負けすぎ。クラス通用には時間がかかりそうだ。

・チアチアクラシカ
稍重-不良成績【0-0-0-2】に対し、良馬場では【1-2-0-0】。適性の差は明らかだ。良馬場東京芝1600mは2走前に1分34秒1の時計かつ上がり3F33秒6の脚を使った条件。決め手勝負ならこのメンバー相手でも引けを取らない。

・ホウオウピースフル
1800→2000mと距離を延ばし、このタイミングで距離短縮。奇しくも2400→1800mで毎日杯を制した兄ブラストワンピースと同じような短縮ローテを歩むこととなった。初のマイルに多頭数と課題は多いが、前走百日草特別は折り合いに苦労しつつも直線に入るとターフビジョンで後方との差を確認する余裕の勝利。私のなかでの評価は高い。

・マジックキャッスル
レシステンシア、マルターズディオサといった同世代の強豪相手に接戦を演じた近走。着順以上の価値を感じさせる内容だった。とはいえ1200→1600→1400mときて1600mへの距離延長……ローテーションに一貫性がない点をどう判断するべきか。過去10年のクイーンカップにおいて、前走芝1400m組の成績は【0-0-0-9】。オークス好走馬を多数輩出するレース傾向を踏まえると、長めの距離適性がない点に不安を覚えてしまう。

・ミヤマザクラ
過去10年のクイーンカップにおいて、距離短縮で臨む関西馬の成績は【2-0-1-0】。抜群の相性を誇るローテーションには好感が持てる。ここも好勝負を期待したいところだが……東京芝未経験馬の勝利は2012年勝ち馬ヴィルシーナまでさかのぼる。洋芝の勝利、時計のかかる開催最終週の京都芝重賞2着を鵜呑みにすることはできず、全幅の信頼を置くには至らない。

・メルテッドハニー
現状、持ち時計に限界があるタイプ。いまの東京芝が合うとは思えない。

・ヤマニンプレシオサ
距離延長の前走は見せ場なく敗戦。厳しい。

・ルナシオン
進路を探しつつ、最後にエンジンがかかった前走。2着馬の鞍上が「勝ったと思いました」とコメントしたように、とても届かない位置から差し切った脚は称賛に値するものだ。とはいえその前走は稍重。兄スワーヴリチャードが稍重-重【3-1-0-0】だった点を考えたとき、馬場が味方した可能性は否定できない。過去10年のクイーンカップにおける前走新馬or未勝利の関東馬【0-0-2-27】も考慮すると、今回は様子見が妥当か。


マイラプソディほか、2020共同通信杯出走予定馬9頭分析
・アジュバント
芝レースを使われた2戦は5.11着。重賞のメンバー相手では厳しいだろう。

・エン
過去10年の共同通信杯において、地方所属馬の成績は【0-0-0-5】。未経験の芝、距離を考えると苦戦は免れられないか。

・ココロノトウダイ
デビュー以降、一貫して芝1800mにこだわる馬。そのなかで連勝を飾っているのだから陣営の戦略に間違いはないのだろう。近5年中4年で3着内馬を輩出する父or母父ミスタープロスペクター系に該当する馬。狙いすましたローテーションで臨むここは侮れない。

・シコウ
4→6→10着と使われるたびに着順が下がる近走。厳しい。

・シングンバズーカ
こちらはデビューから一貫してマイルを使われ続けている馬。出走した5レースすべてで1分35秒3-1分35秒6と、良くも悪くも安定したパフォーマンスだ。シングンオペラ産駒が挙げた芝での9勝中、稍重-不良が4勝。母数を考えると驚異的な道悪適性を誇っており、当日の馬場コンディション次第で評価を決めたい。

・ダーリントンホール
ブラックホール、サトノゴールドと札幌2歳Sで先着された2頭が中央場所で苦戦。この事実から、札幌2歳Sがハイレベルだったとは到底言い難いだろう。過去10年の共同通信杯において、前走1勝クラスで3着以下だった馬の成績は【0-0-0-15】。マイナス材料が重なる今回、評価を上げるには至らない。

・ビターエンダー
稍重3着→良馬場1着→稍重4着。この馬の適性は非常にわかりやすいものだ。取捨の基準は馬場コンディション。良馬場なら見限れない。

・フィリオアレグロ
前走の勝ち時計には驚かされた。重馬場の東京芝2000mを2分1秒7で走破……当時の重馬場といまの重馬場を一緒くたにするのは短絡的かもしれないが、かつてテイエムオペラオーやニッポーテイオーが記録した時計に新馬戦の時点で並んでしまったのだ。渋った馬場コンディションで計時したラスト3Fは11秒4-11秒4-11秒9。はっきり言って異常だ。重賞即通用の可能性は高い。

・マイラプソディ
無傷の3連勝で臨む東京芝の舞台。ダービーからの逆算で一度東京を経験しておきたい陣営の思惑が透けて見えるようだ。ここも通過点と捉える向きはあるが、私には後方一気の脚質が引っかかる。過去10年の共同通信杯において、前走芝2000mを初角7番手以下で勝利した馬の成績は【0-0-0-6】。ダノンバラードやハートレーも該当した項目に引っかかってしまった事実は見逃せず、死角なしの人気馬とは言い切れない。


クロノジェネシス、カレンブーケドールほか、2020京都記念出走予定馬10頭分析
・アメリカズカップ
3歳春以降の馬券圏内は非重賞レースに限定。このメンバー相手では厳しいだろう。

・アルメリアブルーム
この条件での好走歴もある馬だが、近走を見る限り時計のかかる小回りコースが好走レンジ。53→54キロに増える斤量、牡馬混合のレースと超えるべきハードルは決して低くない。突き抜けるのは至難の業だろう。

・カレンブーケドール
ドバイへのステップレースとしてここを選択。近年主流となりつつあるローテーションだが……レイデオロにハープスター、ジェンティルドンナと名だたるGI馬が連対を外した一戦である事実は見逃せない。ジャパンCを含めたGIで3度の2着は立派も、裏を返せば勝ち切るまでの決め手に欠ける馬。「馬券のアタマ」を基準にしたとき、死角が生じる1頭と言えるだろう。

・ガンコ
3戦連続フタ桁着順と精彩を欠く近走。とはいえ冬の京都適性は申し分なく、3着穴として警戒する必要がありそうだ。

・クラージュゲリエ
皐月賞5着、日本ダービー6着と3歳春は強豪相手に善戦。世代上位にランクされる力を十分に有する馬だ。ここは休み明けがどうかも、直線平坦コースでは馬券圏外なし。過去10年の京都記念で【2-1-1-3】複勝率57.1%を誇る池江厩舎所属馬でもあり、仕上げに抜かりはないだろう。軽視禁物。

・クロノジェネシス
こちらは3歳牝馬の世代トップクラスに位置する馬。新馬戦を含め中2カ月以上のレース間隔では負け知らずと、ローテーションにも好感が持てる。ただ、唯一引っかかるのが血統面。古馬になったバゴ産駒の芝重賞成績は【0-0-2-40】。1頭も連対圏に突入していないのだ。芝2200m以上で危うさを見せる馬でもあり、過大評価は避けたい。

・ステイフーリッシュ
AJCC時にも書いたが、この馬は矢作厩舎には珍しい「出たとこ勝負」型。中7週以上のレース間隔時における成績【1-2-1-2】に対し、中3週以内では【0-0-1-2】。C.ルメールを乗せ、同馬主のスティッフェリオが先導役を務めた前走は間違いなく勝負駆けだった。私のなかで当時ほど評価は高くない。

・ドレッドノータス
2走前の激走には驚かされたが、開幕週の前残り馬場が味方したのだろう。翻って、いまの京都芝は外差し天国と呼んで差し支えない先行馬不利の馬場コンディション。ステイフーリッシュとは異なり正統派(叩き良化型)の矢作厩舎所属馬でもあり、厳しい印象は否めない。

・ノーブルマーズ
古馬になってから、オープンクラスでの馬券圏内は5-8月の暖かい時季に限定。ここも勝ち切るのは困難と思われるが……A.シュタルケ騎手は京都芝2200mでの成績が【3-0-3-6】複勝率50%。1番人気馬の騎乗ゼロを踏まえると、数字の価値が知れるというものだ。連下候補として警戒すべき1頭。

・プリンスオブペスカ
過去10年の京都記念において、前走日経新春杯組は【0-0-1-18】。実績面でも見劣りしており、厳しい戦いが予想される。





田中正信さん

京都記念、全頭の調教診断

■アメリカズカップ
坂路コースで併せ馬。サンライズルーカスを相手に序盤から気合いをつけながら、ラストは首差先着。時計的には平凡だが、先週しっかりと負荷を掛けているのでこれは予定通り。フットワークは力強く、ちょうど3ヶ月ぶりの久々となるも気配は良好。馬場が渋ればより力を発揮できる状況になる。

■アメリアブルーム
坂路コースを単走で追い切られた。追い切り自体は終い重点だったとはいえ、活気あるパワフルな動きで前走・愛知杯2着時の好調をキープしている。小倉への遠征から間隔が短くとも引き続き好気配を保っている。距離もベストで得意の京都。舞台が替わっての一発も狙える出来。

■カレンブーケドール
1週前追い切りは津村を背に5F65秒1-1F12秒4の好時計マーク。僚馬に1馬身の先着を果たした。今週は2頭のあいだに入れて、より実戦を意識させた稽古。直線で並びかけると手応え、脚勢の違いは明らか。追われる両サイドを尻目に、やる気になればいつでも抜け出せる勢い。最後まで追う態勢を取らず、それでも5F66秒5-1F12秒6。走るエネルギーが有り余っており、レースを待ちきれないといった感じだ。状態面は太鼓判を押せる。

■ガンコ
坂路コースで併せ馬。終始しっかりと追われて、ペプチドオリバーと併入で駆け抜けた。昨夏の函館巴賞から7ヶ月半ぶりの実戦。脚色はそれほどでもなく、このひと追いで気配は良くなりそう。次につながるレースになれば…といった控えめな雰囲気だった。

■クラージュゲリエ
川田が手綱を取ってのCWコースで、シロニイを追いかける形でスタート。最後はぴったりと馬体を併せて併入した。ここまで毎週のようにコースでびっしり追われており、そのたびに動きは軽快さを増していき、状態アップが手に取るように伝わってくる。昨年春のダービー6着以来の休み明け、初めての年長馬相手と条件は厳しいだろうが、入念に乗り込まれているあたりを見ても仕上がりに関して心配はなさそうだ。55キロを生かしてどこまでやれるか。

■クロノジェネシス
北村友が手綱をとってCWコースで併せ馬での最終追切。序盤、ゆったりした流れから、3コーナー過ぎから引っ張り切りで進出。馬なりで5F68秒0-11秒6でフィニッシュ、余力十分にサマーセント(3勝クラス)と併入した。道中の手ごたえは文句なし。パワーアップも十二分に感じられる雰囲気。今回はエリザベス女王杯から3ヶ月ぶりの復帰戦、万全の出走態勢が整ったといっていいだろう。

■ステイフーリッシュ
AJCCで2着からの臨戦。岩田康が騎乗して坂路でホウオウライジン(2勝クラス)と併せ馬。手ごたえは余裕十分で僚馬を圧倒。4F52秒7-1F12秒6で最後は首差先着している。中2週でも、先週も坂路で4F51秒6をマークするなど引き続き元気いっぱい。京都2200mでは3歳時に京都新聞杯を勝っており、昨年は同レースで2着という絶好の舞台。重賞2勝目を狙える出来にある。

■トレッドノータス
タイセイトレイル(オープン)に10馬身先行し、CWコースで併せ馬。しっかりと追ってくる僚馬を楽な手応えのまま馬体を併せて、ゴールでは併入。天皇賞・秋から3ヶ月半ぶりの復帰戦。仕上がりは良さそうで、時計が掛かる展開になればなおよし。

■ノーブルマーズ
中山金杯4着から臨戦。先週に続きシュタルケが手綱を取って坂路単走で最終追い切り。いつも通りに脚色は力強く、走りに勢いがあった。シュタルケも感触を掴んだようで侮れないところ。前走の状態をキープしており、今の力のいる馬場の京都であれば上位に食い込む可能性も。

■プリンスオブペスカ
藤井が騎乗してCWコースを単走。前半はゆったりとしたペースで入り、直線ややペースを上げたものの、時計的には平凡で目を見張るほどではない。ただ、前走(日経新春杯、10人気5着)時も同じような雰囲気だった。
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