【大阪杯】3年連続好走!G1昇格により重要性が増したポイントとは
大阪杯は、G1に昇格して今年で4年目。これまでの3回を振り返ると、ある共通点がありました。
それは、《最終コーナーで5番手以内》と先行集団につけた馬の好走が目立つことです。
■2019年
1着アルアイン 4番手
2着キセキ 2番手
■2018年
1着スワーヴリチャード 1番手
3着アルアイン 5番手
■2017年
1着キタサンブラック 2番手
2着ステファノス 4番手
前に行った馬が活躍している要因として考えられるのは、阪神芝2000mのコース形態でしょう。
毎年この週から内ラチ沿いに仮柵が設置されるBコース替わり、コーナーが4つの内回り、直線が359mと短いため、追い込み一手では厳しいです。上がり3ハロンの1~3位が【0.1.3.7】と勝てていないことからも、位置取りの重要性がうかがえますね。
今年の出走メンバーを見ると確固たる逃げ馬が不在。クロノジェネシス、ブラストワンピース、ラッキーライラックといった実力馬が先行すると面白そうです。
このように、競馬はレースの性質やコースによって求められる能力は実に様々です。
田原基成さん
ダノンキングリー・クロノジェネシスほか、2020大阪杯出走予定馬12頭分析
・カデナ
約3年ぶりとなる重賞勝利を飾った前走。ロングラン開催となった最終週小倉芝の外差し馬場を味方に鮮やかな末脚を繰り出してみせた。今回の焦点は当時の再現が可能か否かだが……GI昇格後の大阪杯において道中10番手以下を進んだ馬の成績は【0-0-0-16】。好走パターンが後方一気に限られる同馬にとって向かい風と言える数字だ。
・クロノジェネシス
昨春以降挙げた2勝はいずれも稍重-重。新馬戦を含め、渋った馬場では3戦3勝と際立った成績を誇る。翻って、良馬場で施行された2週間前の阪神芝2000m若葉Sは1分58秒6……いまの阪神芝は高速馬場だ。切れ味勝負に屈した2走前の内容から、今回想定される条件では死角が生じる1頭と言える。
・サトノソルタス
1000m通過63秒6の超スローで流れた金鯱賞。その展開で道中3番手から粘り込んだのがこの馬だ。ペースを見越した鞍上のファインプレーと言えるレースゆえ、明確に「強さ」を感じられなかったことは事実。5歳にして初の関西圏・右回りと課題を抱える今回、前走ほどの評価を下すには至らない。
・ジナンボー
先行馬総崩れの展開で4角先頭の前走小倉大賞典。早仕掛けは明らかだった。それでもレース時の馬体重はデビュー時との比較でなんと44キロ増。ボリュームアップに成功した点は好材料と受け止めたい。ディープインパクト×キングカメハメハの配合馬は阪神芝2000mで【4-1-2-5】複勝率58.3%。この距離の持ち時計1分57秒5は出走馬中TOP3にランクされるものであり、侮れない。
・ステイフーリッシュ
芝2000mでの馬券圏内は1分59秒台以上に限定。高速馬場適性に乏しく、時計の速い馬場が見込まれる週末阪神芝がマッチするとは思えない。
・ダノンキングリー
新馬戦を含め、中10週以上の休み明けでは【4-0-0-0】と負け知らず。好走ローテを見方につけた前走は見事なレースだった。皐月賞のパフォーマンスを見るより急坂内回りの芝2000mは問題ないと思われるが、休み明け勝利→間隔を詰めて関西圏に臨むローテは2走前5着時と同じ……少なくともプラス材料ではない。萩原厩舎は関西圏のGIで【0-0-0-9】。高速馬場適性はメンバー中随一も、不安要素は少なからず存在する。
・ブラストワンピース
稍重の有馬記念、洋芝の札幌記念、稍重のAJCC。直近に挙げた3勝はいずれも時計のかかる馬場コンディションだった。日本ダービーやダービー当日の目黒記念など、高速馬場では脆さを覗かせる馬。コーナーの多い小回りコースでは3-4コーナーから盛んにジョッキーの手が動くシーンが目立っており、急激なギアチェンジが求められるスローの上がり勝負濃厚なメンバー構成では割り引かざるを得ない。
・マカヒキ
昨年はGIで2度の4着。ダービー馬がここまで現役を続けるケースは稀だが、能力の衰え云々より他馬のレベルが下がったタイミングで相対的に浮上する馬なのだろう。その観点で捉えると、今年の大阪杯は明らかにメンバーが手薄。ぶっつけ本番のローテも1.1.2.4.2.4着と大崩れのない右回り芝2000mに全精力を注ぐものだとすれば、軽視はできない。
・ラッキーライラック
秋競馬は府中牝馬Sから始動、叩き2戦目のエリザベス女王杯を勝利。返す刀で香港ヴァーズを好走し、遠征後の国内初戦で2着……恐ろしいほどリスグラシューに瓜二つの戦績だ。ヴィクトリアマイルに目もくれず、牡馬混合GIに挑むのは陣営が得た昨年の手応えに起因するものか。古馬になってから非根幹距離に良績が偏る点は気がかりも、近走の充実ぶりをみると重い印を打つ選択肢に気持ちが動かされる。
・レッドジェニアル
直線平坦コースでの成績【2-0-2-2】に対し、急坂コースでは【0-0-0-3】。この距離の持ち時計にも乏しく、厳しい印象は否めない。
・ロードマイウェイ
スタート後に接触の不利があった前走。1コーナーまで舌がハミを越すようなシーンもあり、まったくレースにならなかった。2走前重賞勝利の舞台で見直したいところだが……当時の勝ちタイム1分59秒1は2017-2018年の1分58秒台と比較して物足りない。前走6着以下から臨むジャスタウェイ産駒は重賞で【0-0-1-11】。自身が得意とする内枠を引き当てた際に印を回す程度か。
・ワグネリアン
休み明けで大阪杯参戦の臨戦過程は昨年とまったく同じ。ローテーションに不安はないだろう。ここでの懸念は距離。昨年はこのレースを含め芝2000mを3戦したが3.4.5着と勝ち切れず。イメージほどスパッと切れるタイプでもなく、仮に外枠を引き当てるようなら馬券圏外の可能性も考えるべきだ。
プリモシーンほか、2020ダービー卿CT出走予定馬16頭分析
・エメラルファイト
昨秋以降は精彩を欠く成績。厳しい。
・カツジ
約1年ぶりのレースとなった前走は勝ち馬と0秒6差。数字だけを見ると一変を望むのは酷な印象も、1000m通過57秒4の淀みない流れを大外から早め進出の内容は見どころ十分だった。一昨年のニュージーランドT、マイルCSをはじめ好走は斤量56キロ以下に集中。57→56キロの斤量減で挑む今年は軽く扱えない1頭だ。
・クルーガー
左回りでの成績【0-0-1-5】に対し、右回りでは【5-3-2-5】。適性の所在がどこにあるかは明らかだ。豪州GIでは33連勝を飾ったウィンクス相手に斤量59キロで2着。見限るには早計だろう。
・ケイアイノーテック
好走は上がり3F33秒台が出現する高速馬場に限定。度重なる悪天候で荒れ馬場が深刻な今の中山芝が合うとは思えない。
・ジャンダルム
馬番ひと桁番時での成績【3-0-2-2】に対し、フタ桁番では【0-1-0-6】。ロスなく運べる枠を引くかどうかで明暗が分かれる馬だ。すでにコース適性は証明済み、評価基準は馬番次第。
・ストーミーシー
「馬主孝行」という言葉はこの馬のためにあるのかもしれない。2018年秋以降目立った長期休養もなく、その間に何度も掲示板内を確保。前走に至っては勝ち切ってしまった。その前走から0.5キロの斤量減で迎える今回、ノーマークは禁物だ。
・ドーヴァー
11-3月にまとめて好走するのがこの馬のパターン。気温上昇期の4-5月は【0-0-0-5】とパフォーマンスがガクンと落ちてしまっている。得意の時季でフタ桁着順に敗れた前走内容から、一変は困難なミッションと言える。
・トーラスジェミニ
4走前、そして前走と中山マイルを勝利。舞台適性は申し分ないものの、当時は道中2番手を進んだ馬が2着馬を確保する前残りのレースだった。先週の中山芝は「差し馬天国」と言って差し支えないレベルの外差し馬場。条件的に向かい風が吹いていると言わざるを得ない。
・ナインテイルズ
フタ桁着順が続く近走。厳しい。
・ブラックムーン
オープンクラスでの馬券内はすべて直線の長いコース。器用さが求められる中山芝1600mはいかにも適性外だ。
・プリモシーン
不振が続いた昨秋から一変をはたした前走東京新聞杯。3走前は馬場、2走前は良績に乏しい関西圏が影響したと捉えてよさそうだ。中山芝1600mは重賞勝利実績に加え、昨年このレースでも2着。大崩れは考えにくい。
・ペプチドバンブー
ダートを主戦場としていた馬だが、前走は芝で待望の勝利。レース選びの幅が広がった意味で収穫の大きいレースだったと言える。ただ、当時は不良馬場まで悪化した特殊な馬場コンディション。完全に芝適性を証明した一戦とは言いがたく、良馬場濃厚のここは評価を落としたい。
・ボンセルヴィーソ
デイリー杯2歳S、京都金杯をはじめ好走は直線平坦コースに集中。本質1400m向きの馬でもあり、一変を望むのは酷か。
・マイスタイル
昨年このレースの3着馬。当時は自身が得意とする距離短縮ローテが功を奏した印象だった。翻って、今年は1400→1600mの距離延長。57.5キロの斤量も楽ではなく、厳しい戦いが予想される。
・ムーンクエイク
戦列復帰後は見せ場のないレース続き。厳しい。
・レイエンダ
エプソムC、富士Sと古馬になってからの好走は道悪競馬に限定。パンパンの良馬場が想定される土曜中山はこの馬にとってマイナスだろう。
栗山求コラム「血統の裏庭」
大阪杯(G1)血統的考察
先週の高松宮記念(G1)は、
好位から伸びたクリノガウディー(15番人気)が
1位入線したものの、
ダイアトニックの進路を妨害したとして4着降着。
逃げてハナ差2位入線の
▲モズスーパーフレア(9番人気)が
繰り上がって優勝した。
外国産馬の優勝は2年連続で、
牝馬の優勝は
2012年のカレンチャン以来となる。
道悪や前残りの展開なら
G1でも通用するところを見せたので、
同じような舞台では今後も侮れない。
さて、今週は大阪杯(G1・芝2000m)。
G1レースに昇格後、
今年が4回目となる。
17年は1番人気と7番人気、
18年は1番人気と6番人気、
19年は9番人気と2番人気で決着した。
毎年、本命サイドの1~2番人気と、
中荒れの6~9番人気が連対しており、
馬連はいずれも2000~3000円台の配当となっている。
堅く決まっているわけではないが、
大波乱にもならない、
という古馬G1らしい結果となっている。
今年は断然人気馬こそいないものの、
有力馬の実力が拮抗しているので、
意外に難しいレースとなりそうだ。
【ダノンキングリー】
ダノンキングリーは
「ディープインパクト×ストームキャット」
という組み合わせで、
ダノンレジェンド(JBCスプリントなどダート短距離重賞9勝)の半弟。
共同通信杯(G3)を含めて
デビュー3連勝のあと、
皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)で
それぞれタイム差なしの3、2着と健闘。
秋の毎日王冠は出遅れながら
楽々と差し切って優勝した。
マイルCS(G1)5着以来のレースとなった
前走の中山記念(G2)は
並みいるG1馬を向こうに回して
横綱相撲で完勝した。
「ディープインパクト×ストームキャット」は、
キズナ、アユサン、
ラキシス、リアルスティール、
エイシンヒカリ、ラヴズオンリーユー、
サトノアラジン、スタディオブマンと、
これまでに8頭のG1ホースが出ているニックス。
父ディープインパクトは
阪神芝2000mで連対率28.3%と優秀な成績を挙げており、
これは2010年以降、
当コースで産駒が20走以上した49頭の種牡馬のなかで第1位。
まだG2時代とはいえ
「ディープインパクト×ストームキャット」の
キズナとラキシスがこのレースを制している。
母マイグッドネスは
ウェストコースト(トラヴァーズS)の半姉で、
2代母カレシングは
米2歳牝馬チャンピオンという良血。
母の仔は全兄弟を含めて
マイル以下を得意としている。
本馬は3戦全勝の芝1800mがベストで、
芝2000mは一度だけ走り3着だが、
強敵がそろった皐月賞(G1)で
タイム差なしだったので高く評価できる。
1800mと同等のパフォーマンスが期待できる。
機動力があり好位で
レースを進めることができるのは
大きなアドバンテージ。
まだG1を勝ったことはないが、
ここで戴冠する可能性も十分考えられる。
【クロノジェネシス】
クロノジェネシスは
3歳時に秋華賞(G1)を勝ち、
4歳緒戦の京都記念(G2)を1番人気で制した。
デビュー以来9戦、
馬券圏内を外したのは
エリザベス女王杯(G1)の
一度だけという安定性が強み。
「バゴ×クロフネ」という組み合わせで、
ノームコア(ヴィクトリアマイル)の半妹にあたる良血。
母クロノロジストは現役時代2戦1勝。
2代母インディスユニゾンは
名牝フサイチエアデール(重賞4勝)の全妹にあたる。
父バゴは凱旋門賞馬で、
ビッグウィーク(菊花賞)、
クリスマス(函館2歳S)、
オウケンサクラ(フラワーC)、
タガノアザガル(ファルコンS)、
コマノインパルス(京成杯)などの父。
バゴ産駒は一般的に決め手の甘さが見られるが、
本馬は十分な決め手を備えており、
スローペースにもハイペースにも対応できる。
オークス時の馬体重は432kgだったが、
前走は460kg。
心身ともに成長してきており、
リスグラシュー的な
大化けの可能性も秘めている。
牡馬相手のG1でも
割り引く必要はないだろう。
【ラッキーライラック】
ラッキーライラックは
阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を制した2歳女王で、
3歳クラシックは
アーモンドアイの台頭もあり勝ち切れず、
その後も善戦を繰り返していたが、
4歳秋にエリザベス女王杯(G1)を制覇した。
「オルフェーヴル×フラワーアリー」
という組み合わせで、
母ライラックスアンドレースは
アメリカでアシュランドS(G1・ダ8.5f)を勝った一流馬。
ミッキーアイルやアエロリットと同じく
ステラマドリッドの牝系に属している。
母の血統はアメリカ色が強く、
スピードや瞬発力に弱点がある
父オルフェーヴルとフィットしたのだろう。
同じ父から誕生した
皐月賞馬エポカドーロと同じく
母方にフォーティナイナーを持っており、
2代母の父シアトルスルーも父と相性抜群で、
このパターンからサラス
(今回と同じ阪神芝2000mでマーメイドS快勝)、
シャインガーネット、
エスポワールなど活躍馬が目白押し。
以前のようなモタレ癖も
出さなくなってきており、
小回りコース向きの
スピードの持続力も備えているので、
あとは状態面と相手関係。
前走負かされたダノンキングリーとの斤量差は、
1kg→2kgに広がるので有利になる。
【ブラストワンピース】
ブラストワンピースは
「ハービンジャー×キングカメハメハ」
という組み合わせ。
18年の有馬記念(G1)優勝馬で、
2019年は札幌記念(G2)を快勝した。
母ツルマルワンピースは
阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)5着馬で、
トライマイベスト=エルグランセニョール4×3
という大胆な全兄弟クロスを持っている。
女傑アーモンドアイは、
トライマイベスト≒ロッタレース5×2
という4分の3同血クロスに加え、
サンデーサイレンスと
キングカメハメハを併せ持つので、
ツルマルワンピースと配合構成がよく似ている。
また、ハービンジャー産駒で
母方にサンデーサイレンスと
ヌレイエフを併せ持つ配合は、
ペルシアンナイト(マイルCS)、
ディアドラ(ナッソーS、秋華賞)、
プロフェット(京成杯)、
ハービンマオ(関東オークス)など
多数の活躍馬を生み出しているニックス。
昨年のこのレースは
1番人気に推されたものの6着。
序盤で位置取りを悪くし、
勝負どころで外から進出したものの、
直線で伸び切れなかった。
ペースが落ち着いて前が残る展開となり、
なおかつ馬場状態が回復しつつあったため
内が伸びるコンディションだったのも痛かった。
持てる能力を出し切れなかったものなので、
あのパフォーマンスが実力ではない。
【ワグネリアン】
ワグネリアンは
昨年秋のジャパンC(G1)以来の実戦。
同レースは3着だったが、
道悪にへこたれることなく
よく頑張ったほうだろう。
「ディープインパクト×キングカメハメハ」
という組み合わせ。
3歳時に日本ダービー(G1)を快勝し、
昨年のこのレースは
半年ぶりのレースとなったが3着と健闘した。
昨年夏の札幌記念は両前落鉄、
天皇賞・秋は16頭立ての14番枠と、
それぞれ敗因があった。
母ミスアンコールは
現役時代に1勝を挙げるにとどまったが、
2代母ブロードアピールは
驚異的な追い込み脚を武器に
ガーネットS(G3)、根岸S(G3)など
6つの重賞を制覇した名牝。
「ディープインパクト×キングカメハメハ」
という組み合わせは、
デニムアンドルビー(フローラS、ローズS)をはじめ
コンスタントに活躍馬が出ている。
この組み合わせの阪神芝2000mの成績は[4-1-2-5]、
勝率33.3%、連対率41.7%、複勝率58.3%と抜群だ。
昨年は内の経済コースを通った利があったが、
今年は昨年よりも体調面が良さそうなので期待できる。
調教の動きなどを加味しつつ、
週末に最終結論を出したい。
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