【漆山“教授”のGI因数分解】ガロアクリークが“第3の馬”
2020年5月26日(火) 04:59©サンケイスポーツ


 東大卒の知性派、漆山貴禎記者がGI的中への解法を探る「漆山教授のGI因数分解」。日本ダービーは、皐月賞でマッチレースを演じたコントレイル、サリオスに続く“第3の男”を見つけるべくデータを精査。ガロアクリークなどが浮上した。

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 第1冠の皐月賞ではコントレイルとサリオスが3着を3馬身以上も引き離すマッチレースを演じた。この2頭が日本ダービーでも有力視されるのは衆目の一致するところだ。そこで本稿では“第3の男”の可能性に絞って論を進めていきたい。

 (1)2着馬より…

 過去20年で前走・皐月賞組が13勝・2着11回と連対馬の6割を占めている。そこで、皐月賞での着順と日本ダービーの結果の関連性を示したものが表1だ。勝ち馬は【5・3・2・8】で連対率44・4%と一定の成績を残しているが、2着馬は【1・2・3・14】とひと息。むしろ、3着馬が【3・2・0・10】で連対率33・3%と健闘している。単勝回収率は284%を誇り、馬券的妙味という観点からもマークしておきたい。

 (2)早生まれのディープ産駒

 現3歳世代のオープン戦における生まれ月別成績が表2で、1、2月生まれが傑出した連対率を残している。出産の早期化は生産界のトレンドだ。ダービーでも1月生まれ馬の出走頭数は2000~10年で4頭にとどまっていたが、15年以降は11頭と急増。さらに、ディープインパクト産駒に限定すれば【2・1・0・1】の好成績だ。

 (3)東京無敗馬

 2000年以降、東京で2戦以上して無敗だった馬は計9頭が出走=表3。勝利こそ挙げていないものの、5頭が馬券圏内に好走と堅実な成績を残している。関西馬は東京初出走となるケースも多いだけに、当地での実績はアドバンテージになるはずだ。

 注目馬 今年の皐月賞3着はガロアクリーク。キンシャサノキセキ産駒は芝2400メートル重賞初出走だが、すでに血統の範疇(はんちゅう)を超えた活躍を見せている馬。距離延長が嫌われるようなら好配当も期待できる。

 1月生まれのディープ産駒2騎からはサトノインプレッサ。NHKマイルCは外枠から全く流れに乗れなかった。ゆったり流れる12ハロン戦でデビュー3連勝の軌跡を再評価したい。ワーケアは皐月賞を見送って、2戦2勝の東京に全力投球する。鞍上ルメール込みで不気味な存在だ。

 これらのダークホースに“2強”を上回るだけの可能性があるのか。追い切り気配や枠順からじっくりと探りたい。 (漆山貴禎)









「虎の子」の一頭・馬場虎太郎

【日本ダービー】昨年はロジャーバローズ本命で的中! 今年のトラックバイアスは?

 過去5年、ダービーのトラックバイアスと馬場コンディションは以下の通り

2015年(勝ち馬:ドゥラメンテ)
馬場コンディション「軽い」
トラックバイアス「超内有利」

2016年(勝ち馬:マカヒキ)
馬場コンディション「軽い」
トラックバイアス「超内有利」

2017年(勝ち馬:レイデオロ)
馬場コンディション「稍軽い」
トラックバイアス「内有利・前有利」

2018年(勝ち馬:ワグネリアン)
馬場コンディション「軽い」
トラックバイアス「前有利」

2019年(勝ち馬:ロジャーバローズ)
馬場コンディション「軽い」
トラックバイアス「内有利・前有利」

 昨年は単勝93倍で12番人気のロジャーバローズを「ウマい馬券」で公開した予想で本命に推奨。1枠1番から先行し強気の早仕掛けで、トラックバイアスを最大限に活かしきって勝利した。一昨年も逃げたエポカドーロが2着。16番人気で3着だったコズミックフォースも先行。

 2017年は馬券的には上位人気馬同士のカタイ決着だったが、内枠から逃げたマイスタイルが単勝188倍の14番人気ながら3着とはクビ差の4着に健闘している。馬場コンディションは毎年、安定して「軽い~稍軽い」の間で行われており、内を通る馬や先行が有利になるレース。

 今週からはCコース替わり。例年、Cコースになるタイミングでは「内有利率」が高まる。先週と比較して週中、週末ともに良好な天気予報。当日は先週よりもさらに軽い馬場コンディションも想定される。例年通りに内をロスなく立ち回ることが要求され、内枠が恵まれるだろう。

 ただし、現段階では枠順がわからない。前哨戦の皐月賞をトラックバイアスの観点から分析したい。

 皐月賞はトラックバイアス「内有利」と判定した。このレースに騎乗した騎手のコメントや世間的にも外有利だったとも言われているようだが、実際には内側を通ることが不利な馬場ではなかった。しかし、騎手もインコースを避けていたため、馬群自体が外側に寄っていた。その結果、外を通った馬のパフォーマンスが低くなり、内を通った馬の方が恵まれていた。

 勝ったコントレイルは1枠。1コーナーから2コーナー、道中は枠なりに内をロスのない立ち回り。3コーナー前から外に出して進出したものの、加速させた4コーナーでは外側に寄った馬群のさらに外を通らされた。

 対して、2着のサリオスは4枠から終始2列目を追走し、メンバー中で最もロスのないレース。サリオスとコントレイルとの着差は半馬身だが、コース取りで1馬身程度は差があり、コントレイルにはまだ余力もあった。コントレイルは着差以上の圧勝だった。

 馬場コンディションの適性に関しても、コントレイルは近2走の皐月賞、ホープフルステークスがどちらも馬場コンディション「稍重い」と判定している重めの馬場コンディション。3走前の東京スポーツ杯2歳ステークスは軽い馬場コンディションのなか衝撃的なレコードタイムで圧勝していることから、重めの馬場コンディションは向いていなかった可能性が高い。今回は近2走よりもパフォーマンスの上昇が望める。今年のダービーは2強ではなく、コントレイルの完全な一強だ。

 近年の皐月賞馬としてはドゥラメンテ級の能力を示している。そのドゥラメンテもダービーでは7枠14番。外枠で厳しいレースを強いられながらも、完勝。この年は2着に1枠1番からロスなく立ち回ったサトノラーゼンが入り、2枠3番から先行したコメートが16番人気5着。トラックバイアスは「超内有利」と判定している。

 今年もコントレイルは仮に外枠だったとしても、最有力。その他は混戦。馬券的には内枠に入って恵まれる相手馬に妙味があるだろう。馬場枠順を考慮した最終見解は「ウマい馬券」で公開する。




水上学の血統トレジャーハンティング

【日本ダービー】史上初の大偉業!?

【今週のポイント】
2強、いや1強なのか。コントレイルが勝てば、デアリングタクトに続く無敗の春2冠馬となり、同一年度での牡牝無敗2冠は日本競馬史上初のこととなる。大偉業をみたいような、しかし予定調和が崩れるのが競馬の醍醐味ではないかと否定したい自分もいて、なかなか厄介なダービーウイークだ。天気の心配が要らない予報であることが救い。

気が付けば、2015年以降はディープインパクト産駒かキングカメハメハ産駒しか勝っていない。今年はキングカメハメハ産駒が不在ならディープのもの?さらにディープ産駒同士で見ても、皐月賞を見ればコントレイルを逆転するのはかなり難しいという感じは正直、ある。ならば2013,14,18年のように、3着の大穴馬を探してヒモ荒れを狙うべきなのか?いや、2着までの浮上はないのか?

そして血統からは、正直、ダービーで連対してきたディープ産駒とコントレイルのイメージは違うところもあるのだ。

Cコース替わりとなる東京、ダービーと言えば近10年で6連対している1枠を引くのはどの馬なのか。ここにコントレイルが入ったら目も当てられない?とにかく思いは千々に乱れる。コントレイルを1着で信じるか、2着もありとするのか。ここが予想のすべてとなりそうだ。

★土曜京都11R 平安S(G3)
◎本命馬 ロードレガリス 1番人気10着
騎手によれば、ゲート内で耳を絞って出ず。押っ付けて促しても上がっていかず、内にもたれ通しで戦意が全くなかったとのこと。確かにパトロールで見ても、馬が内へ行きたそうにしているシーンが目についた。能力の壁とか出遅れ云々というよりも、メンタルの問題では。全く競馬をしていない。しばらく休ませた方がいいだろう。

$お宝馬 ヒストリーメイカー 10番人気4着
こちらは大健闘。20キロマイナスには驚いたが、馬のシルエットがくっきりしているようにパドック映像では見えた。いつもより折り合って強敵相手に直線ジリジリ詰めており、相手次第ではG3なら勝ち負けになるかもしれない。

★日曜東京11R オークス(G1)
◎本命馬 クラヴァシュドール 3番人気15着
道中は、少し離し気味に逃げるスマイルカナの3馬身くらい後ろのインという絶好のポジション。手応えも良さそうで、鞍上が仕掛けて勝ちに行ったが、残り150mで脚色一杯、そのまま後退してしまった。この程度のペースで崩れるようでは、距離が無理だったというのが一番の敗因なのだろう。また馬体重も減り続けており、一度シッカリ休ませた方がいいのかもしれない。前走大きな不利から無理をして盛り返した反動も大きかったのだろう。

$お宝馬 ホウオウピースフル 10番人気8着
イレコミ目立ち、レース中も折り合うことで精一杯という感じ。やはり2000m以下の馬なのかもしれない。

【次回の狙い馬】
日曜 京都10R 6着
テーオーケインズ
ゲートに入ってから長く待たされてガタガタし出したところで開き、3,4馬身の大きな出遅れ。これで終わってしまった。道中シンガリ付近で砂を被りながら、直線だけで大外ブン回しで追い込んだ。まともなら勝ち負け必至の脚。もったいなかった。ユニコーンSは除外だろうから、次は古馬混合の2勝クラスだと思うが、問題ないだろう。

日曜 新潟9R 1着
アヴォンリー
終始2番手からいつでも交わせる手応え、早めに逃げたメイショウカササギを交わすと突き放す一方。1勝クラスではものが違った。最終レースの2勝クラスは手薄だったとはいえ、その勝ち時計を0秒8も上回っている。今回が連闘だったので、夏の新潟までひと息入れるのか、続戦するのかは分からないが、ダート1200mならどこの場でも昇級即通用だ。




回収率向上大作戦・須田鷹雄

【日本ダービー】なにかあるとしたらまた内枠馬!?

Cコース替わりで「前・内」が怖い


 先週のオークスでは、デアリングタクトが強烈な末脚を発揮して優勝した。脚質と枠を考えると外差しになって内枠馬や先行馬の前残りを捕らえられない可能性があるのでは……と個人的には考えていたが、そのような不安を一掃する走りであった。
 
 ただ2着は先団につけたウインマリリン。オークスはBコース最終週。Cコース替わりとなるダービーは、昨年のロジャーバローズのようなパターンも視野に入れたほうがよいのではないだろうか。
 
 以下に示すのは、2010年以降の5~6月開催・Cコース使用時における枠番別成績である。Cコース2週目以降も含むものだ。

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 1枠の単回収率はほかならぬロジャーバローズが1頭で伸ばした面があるのだが、複回収率の1位が1枠・2位が2枠だし、勝率や複勝率も同様である。

 Cコースの1~2枠は昨年急に成績を伸ばした面もあるのだが、10年前よりは昨年の結果のほうが今年との連続性があるだろうし、データを離れて競馬を見ていても、東京芝は「前・内」が怖い。

 コントレイルもサリオスも好位に構えるという選択肢はある馬だし、その上で内枠を引いたらより盤石になる可能性もある。逆に、外枠に入ったうえでスタートが悪かったときなどは、内枠の穴馬にチャンスも出てくる。

 枠が決まらないうちにあれこれ考えても仕方ないが、枠を見て、土曜の傾向を見て馬場に合わせた馬券を組んでいきたいものである。







重賞データ分析・小林誠

【日本ダービー】今年は「強い馬が勝つ」ダービーに!

■日本ダービー(GI・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録23頭

★3行でわかる! 日本ダービー 攻略の糸口

1.Cコース替わりで内枠有利&先行勢優勢のレースに!
2.堅く決まるかドカンと荒れるかの二択。今年は堅そう?
3.乗り替わりは大マイナス。馬体が「絞れた」馬を重視で!

データ特注推奨馬
 ★現時点ではなし

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 ダービーでもっとも注目すべきポイントといえば、やはり「Cコース替わり」だろう。開催が進むにつれて、どんどん高速化していくこの時期の東京開催。そのトドメを刺すのがコレで、距離を問わずに前残りが頻発する。オークス週にどのような結果が出るかさだかではないが、おそらく今年も「前」がスーパー有利になることだろう。

 しかも今年は、上位人気が確実なコントレイルとサリオスの2頭が、いずれも前々で流れに乗れるタイプ。皐月賞では後方からの競馬となったコントレイルも、おそらく今回は前目のポジションを取ってくるだろう。登録馬の組み合わせ的に速い流れになるとは思えず、そうなれば皐月賞の再現となる可能性が大。荒れるときはドカン!と荒れるレースだが、今年は堅く決まる確率のほうが格段に高いと思われる。

 そう考える理由のひとつが、ここで掲載している前走での着差別成績である。ダービーは「前走が僅差負け」だった馬が強いレースで、前走2着以下から巻き返した馬のほとんどが、前走着差0秒5以内。0秒6以上の着差をつけられていた馬は、前走1番人気馬を除いて、巻き返せずに終わっている。となると、コントレイルに0秒7以上の着差をつけられていた前走皐月賞3着以下馬は、かなり買いづらいのである。

 また、青葉賞1着馬のオーソリティが回避し、別路線組にもコレという存在が見当たらないというのもある。さらに、鞍上が乗り替わる馬が期待薄なレースであることなども加味して考えると、勝ち負けになりそうな馬が「二強」以外に見当たらない。この両馬が外枠にでも入れば話は別だが、そろって内~中枠に入った場合には、波乱はないと考えたほうがいいだろう。


【コース総論】東京芝2400m Cコース使用
・コースの要所!
★1番人気は高信頼度。配当妙味があるのは4~6番人気と10~12番人気あたりか。
★内枠有利&外枠不利の傾向。馬番1~6番は回収値も高く素直に高評価すべき。
★上がり上位馬が好成績であるように差し優勢。中団待機組を重視したい条件。

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 掲載しているデータ自体は、先週のオークス分とまったく同じ。ダービー週から使用されるCコースに限定したデータを掲載するのも考えたのだが、ただでさえデータ母数が少ないコースでそれをやると、精度がメチャクチャ下がってしまう。同じ内容の繰り返しになってしまうので、今週はさらっと流させていただこう。

 基本的には広々とした「紛れのないコース」で、当然ながら1番人気馬は高信頼度。ここは素直に信頼したい。配当妙味があるのは4~6番人気と10~12番人気のゾーンで、波乱含みの一戦ならばここから入るのもアリだろう。枠番は「内枠有利&外枠不利」で、Cコース替わりとなる今週は、なおさらこれを意識すべきタイミングといえる。

 脚質は、基本的には差し優勢。上がり上位馬の好成績が、それを証明している。先行勢も健闘しているのだが、逃げた馬が全敗しているように、東京の長い直線を最後まで踏ん張り抜くのは、かなり難しい。ただし、近年は「超高速馬場で物理的に差せない」といったレース結果になることが増えてきている点に注意が必要だ。


【レース総論】日本ダービー(GI) 過去10年
・レースの要所!
★なぜか3番人気がメチャクチャ強い。人気薄では10~12番人気が要チェック。
★コースデータ以上に内枠有利&外枠不利。馬番13~18番は大幅な割引が必要。
★好成績なのは差し馬ではなく先行勢。レースキャリアは「5戦」の馬が最良。
★マイナス体重で出走の馬が絶好調。鞍上が乗り替わる馬はその時点で期待薄。

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 レースの平均配当は、単勝1687円、馬連5105円、3連複6万3301円という高めの水準。同じ舞台で行われる3歳馬限定戦だが、オークスとは明らかに傾向が異なる。2015~2017年のように順当に決まるか、もしくはドカンと荒れるかという、両極端な結果に。昨年は12番人気の伏兵ロジャーバローズが勝ち、一昨年は16番人気のコズミックフォースが3着に激走するなど、人気薄が存在感を発揮している。

 注目したいのが「3番人気馬」の強さ。2012年以降で3番人気馬が馬券に絡まなかったのは、なんと2018年(キタノコマンドール12着)だけである。今年どの馬が3番人気に推されるかは読みづらいが、コレを理由に馬券が買えるほど絶好調。直前のオッズを必ずチェックしたいところである。人気薄では、10~12番人気が狙い目だろう。

 次に枠番だが、やはりCコース替わりの影響が大。よく知られているように内枠が好成績で、とくに、過去10年[3-2-1-4]という馬番1番の強さは、目をみはるものがある。枠番の評価序列は「内>中>外」で、外枠は大幅割引。スタートダッシュを決めてポジションを取りにいける馬でなければ、なかなか勝ち負けには持ち込めない。

 脚質別での成績にも、Cコース替わりの影響が色濃く見られる。4コーナーを6番手以内で通過した先行勢がもっとも優秀な内容を残しており、上がり3F順位も「最速の馬よりも2位のほうが好内容」とあらば、差し優勢とはいえない。差し優勢というイメージが強く、実際にコースデータからは差し優勢なのだが、ここはレースデータを重視すべきだ。

 前走レース別成績では、順当に皐月賞組が好成績。京都新聞杯や青葉賞といったトライアルからのローテもそれなりには上位にくるが、アテにはしづらい。レースレベルが高い皐月賞組の上位馬を信頼するのがベターだろう。レースキャリア別成績では、ここまでに5戦を消化している馬の活躍が目立つ。ただし「3着」に関しては、キャリア6戦以上馬がくるケースが多いので注意したい。

 面白いのが前走→今回での馬体重増減別成績だ。現段階では評価できないデータになるが、日本ダービーは前走から「マイナス体重」だった馬が好成績のレース。トータル[7-6-5-62]で複勝率22.5%、複勝回収値124と、申し分のない内容を誇っている。プラス体重で出走してきた馬は、当日3番人気以内であるのが好走条件。4番人気以下だと、期待値は大幅にダウンする。

 最後に騎手関連データだが、オークス同様に鞍上の乗り替わりは大マイナス。1985年のシリウスシンボリ以降、ダービーを乗り替わりで制した馬は30年以上も出ていない。つまり、鞍上が乗り替わるガロアクリークやサトノフラッグが勝つ確率は、きわめて低いのである。2~3着にくるのが精一杯という前提で、馬券を組み立てるべきだ。


【血統総論】

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 血統面では、ディープインパクト産駒、ルーラーシップ産駒、オルフェーヴル産駒をプラス評価の対象とした。もっとも安定感があるのはやはりディープインパクト産駒で、波乱決着だった昨年もワンツー。過去4年のダービー馬のうち3頭がディープインパクト産駒なのだから、コース適性が高くて当たり前だ。次点をあげるならば、単勝適正回収値とギャップ値が優秀であるハーツクライ産駒か。


★特別登録馬 総論×各論

 さて、今年もダービーがやってくる。無観客となるのは残念だが、ここまで競馬が途切れずに続けられたことに対する喜びのほうが、はるかに勝る。冒頭でも述べたように、今年のダービーはおそらく「二強対決」の様相。皐月賞で強い内容を見せたコントレイルとサリオスに、人気が集中することだろう。

 特別登録段階での上位評価組は5頭。トップ評価は、順当にコントレイルである。皐月賞の内容は強いのひと言で、中山であんな位置から一気の脚で突き抜けたとなると、ダービーは「盤石」といえるほど。距離適性に関しても、サリオスよりコントレイルのほうが上だろう。偉大なるディープインパクトが送り出した晩年の傑作が、その卓越した能力をここでも発揮してくれそうだ。

 二番手評価も超順当にサリオス。この中間は外厩には出されず、美浦トレセンで調整が進められている。ダービーで強い「前走僅差負け」という条件を満たす数少ない存在で、鞍上もD.レーン騎手が継続騎乗予定。さらにいえば、中間の調整過程から推測するに、前走から馬体を絞っての出走となりそうな雰囲気である。買い材料の多さだけなら、コントレイルに勝るほど。もし逆転があるなら、この馬だけだろう。

 大きく離れての三番手評価にワーケア。弥生賞での完敗で一気に評価を下げた感があるが、素質はこちらも一級品のはず。前走の敗因がメンタル面などにあるのであれば、巻き返せる可能性はあるはずだ。デビュー戦からルメール騎手が乗り続けているのが、高いポテンシャルの証明。皐月賞をパスしてダービーに全力投球したことが、プラスに出るケースも十分に考えられる。

 そして、四番手評価にサトノフラッグ、五番手評価にマンオブスピリット。以下は、枠番と人気次第でガラッと入れ替わる程度の差しかない。馬番1番を引き当てた馬や、ダービー当日の「3番人気馬」も高く評価すべきだが、あまり手を広げると今年はトリガミの危険がありそう。昨年とは違って、買い目を絞って厚く張る方向で攻めたいところである。





鈴木康弘「達眼」馬体診断

【日本ダービー】コントレイル120点!皐月賞時「龍」から止まらぬ進化 まずは2冠へ王手

 無敗2冠は通過点。「王将」の先に見えるのは伝説の最強駒だ。鈴木康弘元調教師(76)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第87回ダービー(31日、東京)では無敗の皐月賞馬コントレイルに満点超えの120点を付けた。達眼が捉えたのは皐月賞時の「龍」の姿から「王将」への進化。王将の成り駒「自在天王」の域にも近づく不世出の大器だ。ダービー全出走予定馬のボディーを皐月賞に続き将棋の駒になぞらえながら解説する。

 桜が散る4月半ばからアジサイのつぼみが膨らむ5月下旬までの1カ月半。晩春から初夏へと季節が移り変わるこの期間は短いようで長い。首都圏に発令されていた緊急事態宣言もほぼ同じ1カ月半です。つくばの自宅周辺を歩けば、静まり返っていた街が活気を取り戻しつつあります。閑古鳥が鳴いていた芝生の公園からは将棋の乾いた駒音が聞こえてくる。皐月賞の4月中旬にはコロナ禍のため自宅にこもって将棋ソフトと対局していた愛好家たちがマスク着用で広場に戻ってきました。3歳馬にとってのこの1カ月半も短いようで長い。

 将棋の駒になぞらえた皐月賞の馬体診断。コントレイルは飛車の成り駒「龍」に例えましたが、1カ月半で「王将」に進化していました。460キロ前後の体重以上に大きく見せる馬体。その写真は等身大より大きく描くことで権威を示す国王の肖像画のようです。頂点に立つ古馬然とした風格。歴戦の競走馬らしい鋭い顔立ちをカメラマンに向けながらハミを穏やかに受け、尾を自然に流して悠然とたたずんでいます。3歳春にここまで大人びた立ち方ができる馬はまずいない。

 立ち姿が気性の成熟を示すなら、馬体は2400メートルの適性を告げています。長距離もこなせるゆとりのある骨格。疲労が蓄積しづらい筋肉。2歳時からディープインパクト産駒らしい柔らかい筋肉が前後肢にバランス良く発達し、均整の取れた造形をつくっていました。非凡さがひと目で分かる、しなやかな体つきをホープフルS時は縦横無尽の広い利きを持つ「飛車」に例えました。その大駒が飛躍的に馬体を成長させたのが皐月賞。未発達だったキ甲(首と背の間の膨らみ)と首差しが抜け、肩とトモに筋肉の厚みが加わった。飛車は斜め前後方にも利く最強駒「龍」に成ったのです。

 この1カ月半の間に蹄も持ち直しました。皐月賞時には両前蹄に施されていたエクイロックス(接着装蹄)が消えています。順風満帆で迎える無敗2冠馬の座。しかし、若き王将にとってダービーは通過点にすぎません。体が固まっておらず、全体のつくりに余裕がある。その余裕とは今後の成長を受け入れる余白。途方もなく大きな器を持った王将はさらに進化します。

 平安時代後期に創案された「摩訶大(まかだい)将棋」には「自在天王」と呼ばれる王将の成り駒があるらしい。駒の配置されていないあらゆる場所に飛べる全知全能の駒です。桜が散る4月半ばからアジサイのつぼみが膨らむ5月下旬までの1カ月半は自在天王へ進化する過程。まずは2冠へ王手です。(NHK解説者)


【日本ダービー】サリオス90点 完成度高止まり「金将」 変わりようがない整い過ぎた立ち姿

 サリオスの立ち姿は分厚い鎧(よろい)姿の「金将」を想起させます。肩とトモには鎧のような分厚い筋肉。特にトモはハーツクライ産駒らしからぬボリュームです。ごつい上半身を支える下半身も丈夫。飛節が立派で膝のつくりも頑丈。守りの要であり終盤の寄せや詰めでも多用される金将のように接近戦にも耐えられる肉体…と、ここまでは絶賛した皐月賞時と全く同じ姿です。
 それから1カ月半。金将の馬体に特筆すべき変化は見られません。強いて違いを挙げれば、腹周りが少し細くなって肋(あばら)が目立っているぐらいです。皐月賞の段階で高い完成度を示していたため、変わりようがないのでしょう。金将が成り駒に進化できないように…。

 敵の急所は自分の急所…とは有名な将棋の格言。金将にとっても距離延長が課題になる。2400メートルを走るには体つきが整い過ぎているのです。馬体のどこかに遊びが欲しい。立ち姿には金将のような安定感があります。ハミのくわえ方も穏やか。この心のゆとりは距離克服に生かせます。


【日本ダービー】ダーリントン90点 一気呵成ボディー「角行」 切れ味生きるシャープな輪郭

 ダーリントンホールは英国生まれなので将棋よりチェスに例えたほうがいいかもしれない。りりしい立ち姿はナイト(騎士)のイメージ。気負いなく穏やかに立っているのに目には闘志が宿っています。引き手は弓なりでもハミをしっかりくわえています。静の中の動。充実ぶりが伝わるたたずまいです。首差しと肩は筋肉でたくましく盛り上がっている。「あとはトモにも筋肉がついてくれば円卓の騎士になれる」。皐月賞時にはナイトになぞらえて、こう指摘しましたが、薄手のトモも当時より少し筋肉量を増やしています。

 もっと変わったのはボディーライン。英国製のVネックセーターを着たようにスッキリ見せています。それでいながら腹周りは落ちていない。皐月賞以上に切れ味を生かせそうなシャープな輪郭。その馬体をチェスのピース(駒)になぞらえれば一気呵成(かせい)に斜めへ移動できるビショップ。将棋の「角行」と同じ動きをする大駒です。


【日本ダービー】マイラプソディ85点 2400合う長距離型「成銀」

 鍛え抜かれた筋肉でボリューム満点ですが、全体に重たさも感じます。皐月賞同様に重厚な斜め駒、銀将の進化形「成銀」をイメージさせます。毛ヅヤは良好。胸の深さがもう少し欲しいが、背中、腹下とも長い長距離体形です。緊張不足とさえ思えるほど落ち着き払った立ち姿。2400メートルは合っています。


【日本ダービー】コルテジア85点 力み取れ落ち着き「成香」

 漆黒の毛ヅヤが際立っているのがコルテジア。ツゲなどの木地に天然の漆を用いた山形・天童産の将棋駒のように黒光りしています。「香車」になぞらえた皐月賞時の力みが取れ、リングハミで遊びながらゆったり立っています。2400メートルは体形的に微妙も、落ち着きが出たのは大きな前進。「成香」に例えます。


【日本ダービー】ヴァルコス85点 完成度18騎中最高「成桂」

 ダービー戦士18騎の中で最も完成度が高い。成長のバロメーターとも言えるキ甲がすっかり抜けています。キ甲の発達に合わせて肩も立派。桂馬の進化形「成桂」になぞらえます。顎っぱりがいいので食欲旺盛なのでしょう。立ち方にもゆとりがある。毛ヅヤはもう少し欲しい。前肢のつなぎと膝には余裕が欲しい。


【日本ダービー】サトノフラッグ85点 貫禄重厚ボディー「成銀」

 ディープインパクト産駒らしからぬ重厚なボディー。パワーに秀でた馬体が生み出すのはナタの切れ味です。皐月賞時には重厚な攻め駒、銀将に例えました。今回も重たさを感じさせる体つきですが、立ち姿には皐月賞以上に落ち着きがある。気性の成長をのぞかせる穏やかなハミの受け方。「成銀」になぞらえます。


【日本ダービー】アルジャンナ80点 重厚な「銀将」中距離型のつくり

 460キロ前後の体重以上にボリュームを感じさせる重厚な馬体。サトノフラッグにも言えることですが、ディープインパクト産駒ならもう少し軽快さがあってもいい。重厚な斜め駒「銀将」に例えます。2000メートル前後が向きそうな中距離型のつくり。立ち姿を見ると、尾を上げ気味にして気持ちを高ぶらせています。


【日本ダービー】マンオブスピリット80点 気負いなし「銀将」 鼻孔をつままれ舌を出す珍しい光景も

 スタッフに鼻孔をつままれながら舌を出して立っています。何があったのか…。とても珍しい光景です。ともあれ、馬に気負いはありません。尾も自然に流しています。首が太く、「銀将」のような重さを感じさせる体つき。2200メートルの重賞(京都新聞杯)で好走していますが、詰まり気味の中距離体形です。


【日本ダービー】ウインカーネリアン80点 成長した「と金」 バランス良い筋肉

 ここが凄いという体の部位は見当たらないが、いい筋肉をバランス良くつけています。キ甲の発達で凹背(おうはい=へこんだ背中)が目立っていますが、毛ヅヤは抜群。明るい栗毛が初夏の日差しを浴びて金色の光沢を放っています。成長した「と金」の輝き。体調はかなりいい。距離延長にも対応できる体形です。


【日本ダービー】ガロアクリーク80点 皐月賞時と同じ「と金」 力みのない立ち姿

 カナダの金鉱山から命名されただけに、皐月賞時と同じ「と金」になぞらえます。曇り空の下での撮影だったため毛ヅヤは見えませんが、馬体は筋肉で十分に張りがあります。詰まり気味の体形だけに、2400メートルは微妙ですが、立ち姿に力みはありません。もう少し肩にゆとりがあれば、申し分ありません。


【日本ダービー】ヴェルトライゼンデ80点 尾を上げキンキン「桂馬」

 半兄ワールドエースは穏やかな立ち姿でしたが、こちらは尾を上げてキンキンしている。父がディープインパクトからドリームジャーニーに替わるとこれほど気性が違うのか。かえる跳びのような動きをする「桂馬」に例えた皐月賞時同様に落ち着きがない。馬体は筋肉で丸みを帯びたトモと飛節の絶妙な角度が魅力。


【日本ダービー】レクセランス80点 顔つき一転険しく「桂馬」 皐月より力み目立つ

 毛ヅヤがとてもさえている半面、皐月賞時よりも力んでいます。おとなしかった顔つきが険しくなり、尾の位置が高くなった。肩にも力が入り過ぎています。皐月賞では「成桂」になぞらえましたが、今回は「桂馬」。肩とトモは筋肉量、角度とも申し分ありません。距離延長にも対応できる体形。力みさえ取れれば…。


【日本ダービー】ディープボンド80点 力み返った「桂馬」 毛ヅヤもう少し…

 鋭い目つきで耳を開きながら尾も上げています。首にも力が入っている。力み返った立ち姿です。跳ねっ返りの「桂馬」になぞらえます。詰まり気味の中距離体形。2400メートルに対応できるかは…微妙です。毛ヅヤはもう少し欲しいところ。中2週のレース間隔でも腹周りにゆとりがあるのはとても心強い。


【日本ダービー】ワーケア80点 鍛え抜かれた臀部 落ち着きない「桂馬」

 トモの中心にあたる臀部(でんぶ)に凄い筋肉を付けています。顎っぱりがいいので食欲旺盛なのでしょう。しっかり食べて、しっかり鍛えてきたなと思わせる体つきです。毛ヅヤも良好。ただし、立ち方に落ち着きがない。ぴょんぴょん跳ねる「桂馬」のイメージ。コロッとした体形なので距離延長は微妙です。


【日本ダービー】サトノインプレッサ80点 飛節の浅さ目立つ「香車」

 ディープインパクト産駒にしては筋肉量の多い体つきです。腹周りこそ少し細く映りますが、首差しも肩、トモも立派。その半面、飛節の角度が浅い“直飛”です。ひたすら直進する「香車」のように頭の低い姿勢でトモを前踏みしているため飛節の浅さが余計目立ちます。体形的には2400メートルも問題ありません。


【日本ダービー】ビターエンダー80点 気性の成長見える「香車」

 父オルフェーヴル譲りの威嚇するような立ち姿。眼光鋭く、尾を上げ、耳は反り返っている。毛ヅヤは良好。背も腹下も長いステイヤー体形とはいえ、トモの筋肉量が少なくパワー不足の印象です。半面、「香車」に例えた皐月賞時のようにトモを落とすことなく立っている。多少なりとも気性の成長がうかがえます。


【日本ダービー】ブラックホール80点 線が細く小づくり「香車」

 出走予定馬の中で最も小さな馬体。「成香」に例えた皐月賞時は432キロでした。それから1カ月たっても線が細く、全体に小づくり。もう少しパワーが欲しい。今回は「香車」のイメージです。祖父ステイゴールド譲りの激しい気性の持ち主ですが、顔つきは穏やかになってきた。首の短い体形は中距離向きです。
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