田中正信さん

宝塚記念の追い切り注目馬

■6月28日(日)
阪神競馬場 芝2200m 定量
宝塚記念(GI)


■2枠3番グローリーヴェイズ
厩舎:尾関知人(美)
騎手:D.レーン
馬主:(有)シルクレーシング
生産:レイクヴィラファーム

この馬の今回のポイントは非常に明確である。ドバイ中止の影響が残っているかどうか。確かにレースは行われていない。その分の消耗はなかったと言えよう。ただし、それ以外の負担というのは洩れなく受けているのである。過酷な輸送に帰国後の検疫等、どう考えても通常時のレース後と同じ流れでは疲れを癒せていないのだ。実際に今年同様にドバイへの空輸送を経験した馬達で結果を出せたのはアーモンドアイ1頭のみ。その他の馬達はもれなく力を発揮できていなかったのだから不安は高まろうと言うもの。正直、この馬も今回は怪しいと見ていたのだが…。だが、その不安は見事に裏切られる。目標がここと他のドバイ帰りの馬達(乗り込みは5月始め)よりも約1ヶ月(乗り出しは6月始め)充電期間が長く設けられたことが大きかったのか。詳細は解らないが少なくとも外厩先でほぼいつも通りの作業が行えたことは間違いなかろう。そうでなければ入厩後に、これだけいつもと同様のメニューを淡々とこなせるわけがない。1週前には持ち味である追って追って伸びてくる姿を見せて先着と確りとスイッチもオン。まず呆けていて競馬にならないということはあるまい。ドバイ帰りも珍しく割引き不要。好戦可能。


■3枠5番サートゥルナーリア
厩舎:角居勝彦(栗)
騎手:C.ルメール
馬主:(有)キャロットファーム
生産:ノーザンファーム

元々が無駄肉の付かない体質、性格的にも走る意欲に溢れているタイプで仕上がりに手間取ることはない。この中間も4週で8本と十分過ぎるほどの乗り込み期間を確保しているとなれば、まず整っているとみて間違いなかろう。内容にしても近2走とほぼ同様のパターン、鍛えるという観点から見ても全くケチのつけようがない。特徴的なのは、やはり直前週の2本か。共に2F24秒前後とトップスピードまでギアを上げてきている点。これこそがザ角居とも言うべきスパルタメニュー。常識的にはこれだけの強度をかけるのは週1本が限界であろう。だが角居厩舎は平気で行ってくる。それに耐えられるだけの基礎の構築、そしてケアが行き届いているからこそ。まさしく厩舎独自のオリジナルメニュー。それにこれがまた、同馬にマッチした。前述したような性格、乗り込めば乗り込むほど不必要なほどに気合いは乗ってしまう。その消耗を避ける意味でもガスを抜くという意味でも坂路で短い距離を全力で走らせるというのは効果覿面であった。今回も単走ばかりの調整を見ての通り、テンションは既にMAX気配。だが心配は無用、必殺の調整を施したことで常識の範疇に収まるのは近2走で証明済み。大丈夫、抜かりなく仕上がる。


■6枠11番ラッキーライラック
厩舎:松永幹夫(栗)
騎手:M.デムーロ
馬主:(有)サンデーレーシング
生産:ノーザンファーム

この中間も昨秋に確立したパターンで順調に調整されてきている同馬。コースで単走オンリーの調整、週末は主に解すことがメインで追い日の3本で滞りなく仕上がるスタイル。追い日の内訳としては2週前に動作確認、1週前が本負荷、直前が消耗を避けつつフットワーク等の最終チェックといったところ。そして解りやすいことに1週前の本負荷でどれぐらいの時計が出たかが、この馬の状態を現すバロメーターとなっていることをご存知だろうか。調教駆けするタイプ、稽古に真面目に取り組む性格、そして他馬に影響されない単走追いと以上のことにより、現在のデキが綺麗に時計となって数値化されてしまうのだ。では好調の目安はどれぐらいなのか。前述したように調教は動く馬、まず5F65秒を切ってからようやく好調域突入といったところであろう。ちなみに実戦でサッパリだった2走前は5F67秒台、海外帰りで本調子になかったことは明白であった。では今回はどうなのか、何と驚きの5F63秒台である。これは4走前のエリザベス女王杯時の1週前に叩き出した時計と同等のもの。つまりは当時とほぼ遜色のないデキにあるということ。唸る気合い乗りでモチベーションも文句なし。引き続き充実期の真っ只中。絶好調。


■7枠14番キセキ
厩舎:角居勝彦(栗)
騎手:武豊
馬主:石川達絵
生産:下河辺牧場

菊花賞馬のイメージとは裏腹に完全にスピードのかったタイプである。そして決して精神的に強い馬ではない。否、走りに真面目過ぎると言った方が表現としては正しいか。だからこそ極悪馬場の菊花賞を制したあと、しばらくスランプに…。要はストレス過多、心身共に消耗しきってしまったのだ。ただでさえ溢れんばかりのスピードで常に全力で走る。それをあんなドロドロの馬場の中、3000メートルも走れば…。しかも限界を越えに越えて勝ち切ってしまったのだから尚更、復活に1年近く要したのも当然と言えよう。だからこそ同馬の調整というのは単走で折り合い優先のものばかりとなっていった。基本的に気分を害さない程度に抑え込み、余力を残した状態で実戦へ送り出す。そう、調整のメインはストレスを溜めないことだったはずなのだ。だが今回は、その禁を犯してくる。何と真逆、単走は単走でも早めからガンガン踏んでいき、これでもかと言わんばかりに攻めてきた。あまりにも不甲斐ない近走に陣営が闘魂注入に打ってでたということであろう。とはいえ、この馬にこの一手が打てた意味は大きい。なぜなら、これに耐えられるだけのフレッシュな精神状態にあるということなのだから。これなら復活もあるか、侮れず。


■8枠16番クロノジェネシス
厩舎:斉藤崇史(栗)
騎手:北村友一
馬主:(有)サンデーレーシング
生産:ノーザンファーム

栗東ウッドでの最終追い切り(3頭併せ)で2歳未勝利に遅れる。これを聞くと良い印象を受けないだろうが、決してそうではない。というのも、先着した2歳馬ステラリアは稽古で抜群の伸びを見せている馬で今回の動きも通常運転に過ぎない。それを踏まえた上で、クロノジェネシスの最終追い切りを見ると印象は変わってくるだろう。大きく先行した僚馬2頭を目標に追われると、馬なりのままスムーズな加速を見せる。そして、直線では終始楽な手応えで伸びており、脚色で劣っているわけでない。先着を許した2歳馬に「お先にどうぞ」とクロノジェネシスが言っているかのような余裕のある動きと言える。この余力十分な末脚はゴールを過ぎてからもキープしており、今回の“先を行く僚馬を追走し楽な手応えで追い込む稽古”はしっかりと負荷がかかっている内容だ。この中身が濃い稽古を実現できた最大の理由は折り合い面。道中で無駄な力を入れずに走れたことが、スムーズな加速と最後の伸びに繋がっている。心身ともに充実していることが現れた動きで、『今がまさに全盛期』。そう感じざるを得ない稽古内容だった。前走の大阪杯よりも仕上がっていると言えるだろう。


■8枠18番ブラストワンピース
厩舎:大竹正博(美)
騎手:川田将雅
馬主:(有)シルクレーシング
生産:ノーザンファーム

ご存知の方も多いと思うが決して評判の良い厩舎ではない。登録師や餌やり師など、ちょっとネットで調べれば罵詈雑言が溢れているぐらい。簡単な話が外厩先の言いなり。全てが全てというわけではないのだろうが、それでもほとんどが外厩で整って入ってきて、いざ手元にきても行うことは判を押したように同じ調整ばかりとくれば先ほどの悪名もなるほどである。そして、これの最大の問題が調整パターンが増えていかないことであろう。外厩に基礎を任せる厩舎など今時はたくさんある。だが手元にいる間は色々と工夫し鍛えるもの。だが、ここの陣営にはそれがないのだ。前述したように入厩後の調整はいつも同じ、それでは何時までたっても引き出しは増えない。ただ、それでも今回は頑張っている様子が窺える。見た目通りなのだが、この馬は筋肉の鎧が厚過ぎて中々芯に響かない。だからこそ本負荷で実戦さながらにバキバキに攻めた時にしか結果が出ていない。要は前走のように直線でちょっと攻めた程度の5F66秒台ではスイッチが入らないのだ。だが今回はそこを修正、5F64秒台でこれでもかと言わんばかりにイジめてきた。すると直前で走りに軽さが出るのだから面白いもの。少なくとも前走以上は確実。






坂井千明さん

【宝塚記念の追い切り診断】好メンバーが揃った上半期GIの最終戦。中でも抜けて良く見えた馬が…

■アドマイヤアルバ【C】
走りが硬いし首も肩も出てなくて全然使えていない。だから力強さに欠ける動きになっているんだね。

■アフリカンゴールド【C】
時計はいつも出るんだけれど力が入っていないし、ちょこちょこした動きになってしまっていて、いい頃の迫力が見えない。

■カデナ【C】
馬なりのときは体を使えているんだけれど、追い出してからの反応や伸びが見られない。ただ、競馬ではこれで脚を使える馬だから、この馬なりに順調なのかもしれないね。

■キセキ【C】
頭が高くて、追われてから体が上に上に体を逃してしまっている感じ。終いに行くほど首が使えなくなっているから、坂路での追い切りが合ってないのかもしれないね。

■グローリーヴェイズ【B】
体は使えているものの、追い出したときにモタついている。併せから抜けるときはすごくスムーズだったけれど、そこからの伸びが物足りなかった。

■クロノジェネシス【-】
3頭併せの最内で、動きがあまり見られなかった。ただ、鞍上が動いて促しているわけではないから、順調に調整できているんだろうと思うよ。

■サートゥルナーリア【A】
頭が高いのは相変わらずとしても、体をしっかりと使いつつ、追われてからの反応も良かった。順調といっていいだろうね。

■スティッフェリオ【C】
トモが開くのはもうずっとだから、体を動かせているだけ順調なんだと思う。追い切りからはあまり褒められたものではないね。

■ダンビュライト【A】
体の使い方が良かったし、気分良く走れているところがいい。前回よりもトモの動きが良かった。至って順調でしょう。

■トーセンカンビーナ【A】
走り方がスムーズで、うまく体を使えている。力強さもあるし、この馬なりに順調。

■トーセンスーリヤ【A】
前回は全体的に硬くて、追ってからの伸びがワンテンポ遅れていたんだけれど、今回は体をしっかりと使って力強い動きをしていた。追ってからの反応も良くなっていたね。

■ブラストワンピース【A】
相変わらず頭が高い走り。それでも体を使えているし、動きも力強かった。この馬なりに順調といっていいね。

■ペルシアンナイト【C】
前回よりも反応が良くなっていた。ただ、反応が良くなっていても力が入っていない。走りに集中できていない感じだから、馬具で矯正できればいいのかもしれないね。

■メイショウテンゲン【B】
頭が高いんだけれど、高いなりに体は使えている。

■モズベッロ【C】
相変わらず動きがドタドタしている。右手前では硬くなるけれど、今回はコーナーを右手前で走っていた。だからか、前回よりはまだ動けていたねように見えたね、

■ラッキーライラック【A】
体の使い方も良かったし、気分良く走れていた。走りに伸びがあるのもいいね。体を全部使えているからスーッという滑らかな動きで、追ってからは沈み込む姿勢を取って動きが力強くなった。

■レッドジェニアル【B】
外の馬と被っていて序盤しか見えなかったけれど、追ってからスッと動けていたから順調そうに見える。

■ワグネリアン【A】
体を使えているし気分良く走れているのも、前回よりいいかたち。前回は左手前になるとトモが開きだして今ひとつだった。今回はそれが見えなかったから、だいぶ良くなっているんだと思うよ。

春GIの最終戦でメンバーが揃った一戦。どれもビッシリと仕上げてきた印象だったけれど、一番良く見えたのはラッキーライラックだね。それから前回よりも良くなっていたのが、ワグネリアンにブラストワンピース。それからダンビュライトも今回の距離のほうが確実に合うし、楽しみだね。もちろん、サートゥルナーリアも高いレベルで安定していた。それから、動きだけならトーセンカンビーナにトーセンスーリヤの2頭も良かったけれど、このメンバーに入っての力関係がどうかな。最後にクロノジェネシス。あまり動きが見えず順列はつけづらいけれど、順調なのは間違いなさそうだよ。


【A】=水準以上の動き。調整過程は良好
【B】=デキは平凡。特筆すべきポイントなし
【C】=状態面に不安アリ
【危】=好調時とくらべて著しく状態が悪い。危険な人気馬
【VIP】=先々が楽しみな素質馬





栗山求さん

阪神11R 宝塚記念(G1) 芝2200m OP 定量

◎5サートゥルナーリア
○11ラッキーライラック
▲3グローリーヴェイズ
△16クロノジェネシス
△18ブラストワンピース
△7ワグネリアン

<見解>
◎サートゥルナーリアは
「ロードカナロア×スペシャルウィーク」
という組み合わせで、
エピファネイア(ジャパンC、菊花賞)の半弟、
リオンディーズ(朝日杯FS)の4分の3弟。

母シーザリオはオークス(G1)や
アメリカンオークス(米G1・芝10f)を制した名牝で、
欧州血統サドラーズウェルズを抱えているため
スタミナが豊富。

したがって本馬は、
スピードを武器とする
ロードカナロアを父に持ちながら、
芝2500mの有馬記念(G1)で2着となるなど
距離の融通性がある。

デビュー以来、連対を外したのは、
レース前にイレ込んだ東京競馬場での
2戦(日本ダービー、天皇賞・秋)だけで、
それ以外のレースでは[6-1-0-0]。

阪神芝は2戦2勝と負けていない。

前走に引き続き今回も
無観客競馬なのでイレ込む懸念は小さく、
サドラーズウェルズを抱えた血統構成から
道悪適性は高いと思われる。

ちなみに、半兄エピファネイアは
不良馬場の菊花賞(G1)を楽勝している。

パワフルなフットワークからも
少し時計の掛かるコンディションは歓迎。

今回は条件的に申し分ないので、
持てる実力を発揮できれば凡走することは考えづらい。





競馬コラム「水島晴之の単複で買え」

ピンシェル少し渋り気味の馬場も合う/東京8R

東京8R (3)ピンシェルの勝機だ。爪の問題があって使い込めない弱さはあるが、潜在能力は1勝クラスにいる馬ではない。坂路でしかできない分、どうしても太めは残るが、それでも25日は坂路で53秒1-12秒1。7、8馬身先行したブラックヘイロー(古馬2勝クラス)に楽々と併入した。少し渋り気味の馬場も合う。ここは単勝で2000円。

東京10R (2)ニシノカツナリを狙う。前走は直線で内にもたれて届かなかったが、真っすぐに伸びていればという脚だった。スムーズな競馬さえできれば、いつ勝ってもおかしくない能力の持ち主。今度こそだ。単3000円。
阪神11R 宝塚記念は(7)ワグネリアンに期待した。前走の大阪杯は位置取りが悪かった。内ラチ沿いの前から3番目で、動くに動けなかった。ポジションが1列前なら結果は違っていただろう。雨で少し時計のかかる馬場になるのも歓迎。好位で流れに乗ればチャンスはある。単2000円、複3000円。(ここまでの収支 マイナス18万6500円)






【宝塚記念】阪神芝2200mコースデータ&注目馬
狩野雄太さん


◆宝塚記念のポイント◆

宝塚記念(G1、阪神芝2200m)は、王道路線で実績が無い馬の活躍が目立つ。2015年ラブリーデイ、16年マリアライト、17年サトノクラウン、18年ミッキーロケット、19年リスグラシューと、過去5年の勝ち馬(当時)は例外なく、JRAの2000mまたは2400mで行われるG1を勝った経験がなかった。

阪神内回りコースの芝2200mでは特殊な適性が求められるだけに、コース替わりでガラリ一変が見込める馬の激走に注意を払いたい。

◆宝塚記念の注目馬◆

ブラストワンピース
大阪杯で2年連続で着外に沈んだように、2000mまたは2400mのG1では好走できないタイプ。戦歴を見ても2200mと2500mで明らかにパフォーマンスを上げており、近年の勝ちパターンに合致する。

宝塚記念は有馬記念(中山芝2500m)の勝ち馬が多数馬券に絡んでくるレース。人気が落ちた今回こそ狙いたい1頭だ。





G1レース22勝の大騎手
安藤勝己


◎ ⑤サートゥルナーリア
○ ⑪ラッキーライラック
▲ ③グローリーヴェイズ
☆ ⑯クロノジェネシス
△ ⑭キセキ
△ ⑮スティッフェリオ
△ ⑱ブラストワンピース

G1ホース8頭の出走はレース史上最多っていう、無観客がもったいないくらいの宝塚記念。そんな中でも迷いなしの本命はサートゥルナーリア。東京コースの日本ダービーや天皇賞・秋が案外な競馬で「どうしたんやろ」って思うこともあったが、強豪相手の有馬記念でしっかり2着を確保して、年明け緒戦の金鯱賞は楽勝劇。再び軌道に乗り始めた。ウィークポイントは真面目に走りすぎるがゆえに使った後にガタっとくる傾向があること。ただし、今回は前走後に十分すぎるほどのレース間隔を取って対策バッチリや。普通なら大阪杯に向かうところを、パスしてここ一本に絞りおった。このローテなら反動の心配は皆無で、フレッシュな本来のサートゥルナーリアの走りが期待できると思うで。

対抗は充実一途のラッキーライラック。アーモンドアイにキャリアを阻まれてきただけで、そもそも素質は一級品。まさにビンゴの2200mでさらにパフォーマンスを上げてきそうや。それに比べると距離は忙しい気もするけど、グローリーヴェイズもメキメキと力をつけとる。ディープ産駒でも時計のかかる馬場のほうが向いてそうな走りをするし、昨年圧巻の手綱捌きをしたレーンだけに一発を警戒やね。惑星に外目でも枠の並びがいいクロノジェネシス。7枠に行きたい馬が揃ったで、その後ろをすんなりと追走できそう。馬場は不問やで他馬が道悪を苦にするようなら、秋華賞や京都記念の再現があるかもしれない。

ピンかパーかになるやろけど、すんなりが叶えばキセキも怖い。ユタカちゃんが続けて乗るアドバンテージもあるし、昨年然りこの時期の馬場はフィットする。乗り手を選ばずに大駆けしてくるスティッフェリオ、モマれ弱いブラストワンピースはむしろ大外枠が気になっての押さえ。




水上学の血統トレジャーハンティング

日曜阪神11R 宝塚記念(G1)

◎本命馬
⑯クロノジェネシス
(牝4、栗東・斎藤崇厩舎、北村友騎手)
フィエールマン、アーモンドアイ以外の中距離戦線トップ勢力が、ほとんど出てきてくれた。初夏のドリームレースにふさわしい決戦が楽しめそうだ。あいにく、天気は芳しくなく、重馬場か重に近い稍重になってしまいそうではあるのだが……。

小回り、短い直線に急坂、上がりは速くならず、かつ馬場は時計が掛かる。そうなれば、波乱の要素は十分だ。意外と人気になってしまったが、⑯クロノジェネシスは軸としては信頼できると思う。

上がりが速いレースでもそれなりに対応してきたが、重厚さを増してきたのは小回りコースでのG1、あるいは上がりが掛かるレースであることは、戦績を見れば一目瞭然。バゴ産駒だけに雨は歓迎だし、もちろん良馬場でも上がりを要する設定のコースだけに、何ら問題はない。

カレンブーケドール、ラッキーライラックとの戦いの内容を見れば、ここに伍しても見劣らない。特に前走は終始外を回って詰め寄り、勝ち馬以上に負荷がかかる内容だった。56キロは唯一のマイナス材料だが、その程度で泣いていては牝馬限定戦のみの要員になってしまう。馬券対象確実とみて本命を打つ。

$お宝馬
⑫モズベッロ
(牡4、栗東・森田厩舎、池添騎手)
とにかく持続力血統が走る宝塚記念。この馬の父は、ディープインパクト産駒としては当時は珍しかった持続力型の代表格だったディープブリランテだ。ディープブリランテ自身のパフォーマンスも、上がりが掛かる競馬の方が高かった。

道悪は問題なし、崩れたセントライト記念は関東への輸送と大きな出遅れが響いたもの。普通に出れば好位の立ち回りもできる。母が生粋のダート配合で、こちらからも持続力を受け継いだ。これほど人気がないなら面白い。

相手上位は ⑪ラッキーライラック、⑰カデナ、⑭キセキ。 押さえに ⑤サートゥルナーリア、①トーセンカンビーナ、⑱ブラストワンピース、⑦ワグネリアンと手広く攻めたい。




境和樹の穴馬券ネオメソッド

阪神11R 宝塚記念(GⅠ)(芝2200m)

2020takarazukakinen01.png

傾向自体は掴めていると思うのですが、どうも正解が引けない宝塚記念……。毎年本当に悔しい思いをしていて、今年こそは! と気合が入ります。

宝塚記念は、「非主流派のためのGⅠ」。この傾向はハッキリしています。

2020takarazukakinen02.png

まずはディープインパクト産駒の成績。

過去、このレースに出走したディープ産駒の成績は【1-2-4-18/25】勝率4.0%、連対率12.0%、複勝率28.0%。
まずこの全体成績自体が、GⅠにおけるディープ産駒としてはかなり物足りない数字であるということがひとつ。

また、上記成績において、4人気以内の馬が【0-0-2-6/8】であるのに対し、5人気以下の馬が【1-2-2-12/17】勝率5.9%、連対率17.6%。
人気に推された(それくらいの実績のある)ディープ産駒の成績が冴えず、来るのは人気がない(ディープ産駒にしては実績が足りない)方ばかりであるということがひとつ。

さらに、過去に馬券圏内に入った7頭のディープ産駒のうち、6頭が牝馬。牡牝の差が如実に出ているという点がひとつ。

日本のGⅠにおける支配血統であるディープ産駒が、これだけ偏った戦績に終わっているという事実が、宝塚記念というレースの特徴、すなわち非・主流性をよく表しています。

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もうひとつ。これも毎年言及していることですが、宝塚記念は「悲願のGⅠ制覇」が非常に多いレース。
直近では一昨年の勝ち馬ミッキーロケットが、7度目のGⅠ挑戦にして初めてこのレースでタイトルを奪取しました。
17年サトノクラウン、07年アドマイヤムーンあたりは、先に海外でGⅠ勝ちの偉業を達成していましたが、国内では複数回挑戦していずれも結果を出せていない馬でした。

これまでどうしてもGⅠに手が届かなかった馬が、このレースだけ突発的にパフォーマンスを上げてタイトルを奪取できる。
これも、宝塚記念というレースが他のGⅠとは異なった適性を要求するからに他なりません。

そんな特殊な適性を求められる宝塚記念。血統的にはキングマンボ系が大活躍。

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昨年は2頭の該当馬のうち、キセキが2着と連対圏を確保。
一昨年は7人気の勝ち馬ミッキーロケットが父キングカメハメハでテーマに該当。16年8人気1着マリアライト(母父エルコンドルパサー)、15年6人気1着ラブリーデイ(父キングカメハメハ)など、人気薄の激走例も多く、本質的な血統適性の高さが証明されています。

これまでGⅠに手が届いていない非・主流派で、キングマンボ系保持馬なら尚良し。このテーマから、今年の穴馬候補として以下の馬を取り上げます。

⑧レッドジェニアル
(父キングカメハメハ)

⑬ダンビュライト
(父ルーラーシップ)

⑧レッドジェニアルは、父にキングマンボ系キングカメハメハを持ち血統テーマをクリアする存在。
過去、3度のGⅠ挑戦でいずれも結果を出せていない無冠の善戦マンというキャラクターも、いかにも宝塚記念に向いています。

今回と同じ2200で重賞・京都新聞杯を制している点も魅力。上半期を締め括る大仕事に一票投じます。





採れたて!トレセン情報

関西事情通のちょっとイイ?話
フロック視は危険!?スランプ時期とは別馬に…


この春はコロナ騒動で競馬界も揺らいだが、クラシック戦線で牡馬・牝馬ともに2冠馬が誕生する歴史的な世代。開催が中止になって、この逸材2頭が埋もれる事が無くて本当になにより。

今週日曜は、その騒動の中いよいよ上半期最終日を迎える。

フィナーレを飾るGIは宝塚記念。

今年は2007年以来のフルゲート18頭立て、しかもGI馬8頭が顔を揃え、歴史的な年の上半期の締め括りに相応しいレースとなった。

前売り1番人気はやはりサートゥルナーリア。アーモンドアイの様に間を空けた方が良いパフォーマンスを魅せている馬、まして得意の阪神コースともなれば当然か。

以下は大阪杯でワンツーを決めた牝馬ラッキーライラックとクロノジェネシス、7着だったブラストワンピースと続いている。

大阪杯の1・2着、そして7着馬が単勝オッズ3桁の2~4番人気、5着ワグネリアンでも15倍程の配当となっている。ところが…

4着だったカデナは、単勝50倍近くある人気薄、ここに違和感を感じる方はいるだろう。

前走の大阪杯の好走が内を回ってのものでフロック視されているとこともあるのか…。

しかし、本来は差し馬のダノンキングリーが我慢できずに逃げたようなスローの、後方から追い込むには厳しい展開。

それを直線最後方から差して来たのだからフロック視するのは危険極まりない。

ましてメンバー中、上がり3F最速、しかも抜けた脚を使っているのだから。

少なくとも、同じく内を回ったワグネリアンよりは評価されていいと思うのだが…

2歳のデビューから弥生賞を勝つまで、全て出走メンバー中最速上がりの決め手を繰り出し、一時はクラシック有力候補とも言われたカデナ。ただその後しばらく、その決め手は影を潜めスランプに陥っていた。

それが昨年の夏前辺りから再び終いの決め手に切れ味が戻り、今年の2月の小倉大賞典では、やはり出走メンバー中で最速上がりの脚を繰り出し、久しぶりの勝利を挙げた。

どうやらここにきて、かなり馬も力を付け、一時のスランプの時期とは別馬になっているようだ。

今回の舞台は大阪杯とほぼ似たコース形態、今度は頭数が多くなるので馬込をどう捌くかの課題はあるものの、前走時とは違い先行馬も揃いある程度は流れてくれる事だろう。

また、今の梅雨時期の馬場というのも、小倉大賞典の時が良馬場とは言え、ひと雨あって緩い馬場だった事を考えれば、マイナスにはならない。

大阪杯組の中で、意外なほど評価の低いカデナ、注目してみたくなる。

美浦『聞き屋』の囁き
宝塚記念史上もっとも豪華


GⅠ馬が8頭も揃った今年の宝塚記念。

新型コロナの影響でドバイ国際競争の中止、香港競馬への遠征ができなくなったことで、強い馬たちの海外遠征がなくなり、その結果、国内トップクラスの馬たちが集結。

見方を変えれば、海外遠征には国内GⅠ以上の魅力があるから遠征するわけで、国内GⅠに魅力があれば毎回これだけの豪華メンバーが揃う、ハイレベルな戦いが見れるわけだ。

関東からは3頭だけだが、うちGⅠ馬が2頭。

中でも注目は。

昨年末の香港ヴァーズではラッキーライラックに3馬身差の圧勝。

宝塚記念のレーティングは堂々の1位ではあるが、人気は3~4番人気あたりと、ドバイへの輸送後、適鞍がなく間隔があいたことが嫌われているのか、人気面では妙味がありそう。

ただ、鞍上を務めるレーン騎手には、来日当初はほかの馬に騎乗する可能性があったというのだ。

それが、サートゥルナーリアとラッキーライラックの2頭。

というのも、昨年、リスグラシューで宝塚記念、コックスプレート、有馬記念とGⅠを3連勝。

ノーザンファームの関西圏を統括するしがらきトレーニングセンターと深い絆ができたことで、その関係からサートゥルナーリアかラッキーライラック、どちらに宝塚記念で騎乗してほしい、という打診が早々にあったとのこと。

ところが、サートゥルナーリアはルメール騎手で金鯱賞、ラッキーライラックはデムーロ騎手で大阪杯をともに快勝して、両ジョッキーともに、続戦での騎乗を強く強く希望。当然と言えば当然のことだろう。

好内容で勝っているわけだから、鞍上を変える理由がなかなか見つからずに、その結果、2頭ともコンビ継続が決定。

強い馬のどちらかに乗れると期待していたレーン騎手の落胆ぶりは相当だろうが、そこからグローリーヴェイズとコンビを組めるわけだから、やはり「持っている」騎手ではある。

グローリーヴェイズの追い切りに2週続けて騎乗。

マスコミ向けにはいいコメントを出しているが、本当のところは、「まだ完調手前かも」というシビアな感想。

今週の追い切りでどれだけ上向いてくるのか。

レーン騎手の成績は昨年に比べれば今年は勝ち星、重賞勝利数、ともに下回っており、GⅠ勝ちはまだゼロのまま。

3カ月の短期免許をすべて使い切っているので年末の騎乗はできない。

つまり、日本でのGⅠ勝ちのチャンスはこの宝塚記念がラスト。

本当に「持っている」騎手なら、結果で示してくれるはずだ。

競馬場から見た推奨馬券
ゆったりとしたローテンションにも好感

東京は土曜の1R発走時で良、稍重。
その1Rは芝の1400m。菜々子がラチ沿いで逃げ切っており、上がりタイムもしっかりしていた。4Rの芝の未勝利戦も、時計は少しかかったが、2番手の馬が勝つ先行決着。走りづらそうにしている馬も見当たらなかった。週中までの雨の影響は、気温が高いこともあって、それ程ではなかったようだ。
ただ、日曜は午前中は雨予報。芝コースは元々傷んでいただけに、走りづらい馬場になりそうだ。

更に馬場が悪くなるなら、芝での勝負は今さらって感じ。
とりあえずダートの東京2Rから。狙い馬は10番セイウンクルーズ。
馬っぷり、調教の動きから能力があることは間違いないが、とにかくズブくて器用さに欠ける。そういう馬だから東京ダート2100mはびったりだと思ったが、前走はいつも以上にズブくて脚を余した。レース後のコメントにて、ソエ気味だったとあったので納得。
その後中7週開けて、今回はソエは治まったとのこと。
その前の中山の2戦くらい走れば、広々とした東京ならチャンスは十分にあるはず。
内田への乗り替わりも、ズブい馬だけにプラスに働きそう。
今回は本来の走りを期待したい。

馬連 10-14 6-10 4-10
ワイド 10-14

自信度 C


ダート戦では他に食指が動く馬がいないだけに、危険を承知で芝の東京10Rに少し手を出したい。
道悪を苦にしない2番ニシノカツナリが中心。本来は、前走不利がありながら惜しい競馬をしたボッケリーニが、叩かれて狙い目だが、道悪では切れが鈍るタイプ…。
ニシノカツナリの方も、前走は勝負処で外から被されて、進路を確保するのにてこずった。ゴール前の勢い、着差から、もう少しだけスムーズだったら、勝っていたと思っただけに、こちらも狙い目は十分だ。
前々走は稍重で凡走したが、前日に寝違いしたもので、状態面の問題。
その前の東京戦は渋り気味の馬場で、好メンバー相手に完勝。前走も稍重の馬場だった。極端に悪くならなければ、馬場はこなすはず。
暑い時季だけに、ゆったりとしたローテンションにも好感が持て、スムーズな競馬ができればチャンス十分。

馬連 2-13 2-6 2-14
3連複 2の1頭軸 相手6.7.13.14

自信度 C





日曜メインレース展望・柏木収保

【宝塚記念】ベテラン人馬コンビの逆転に期待

フルゲート18頭で混戦の様相


 大活躍をつづける牝馬2頭か、それともまだ強くなる4歳サートゥルナーリアか、あるいは未知の魅力あふれるグローリーヴェイズか。買いたい馬が多すぎる。

 宝塚記念が18頭立てで行われるのは、アドマイヤムーンが勝った2007年につづいて史上2回目になる(当初18頭の2010年は取り消しがあり17頭)。過去、阪神2200mで17頭以上の多頭数は計5回、勝ち馬は「3、6、3、8、8」番人気だった。

 さんざん迷い、ベテラン6歳キセキ(父ルーラーシップ)の逆転に期待する。みんなが失速した不良馬場の2017年の菊花賞(この馬以外は上がり40秒台以上)を、底力で抜け出したあと、現在14連敗中。最近は父と同じようにスタート難が生じ、最後の粘り腰に欠ける。前走の天皇賞(春)3200mでは途中からハナに立ったものの、そこから息を入れたい中間の1000mをかかり気味に「60秒4」で飛ばしてしまい、残り1ハロンで失速した。

 もうかつてのキセキではないように映るが、菊花賞以降、昨年の大阪杯2着、宝塚記念2着など2200m以下に限れば【0-2-2-1】。昨年の宝塚記念2着はリスグラシュー(有馬記念を5馬身差独走)に3馬身差の完敗だが、押してハナを切り残り200mまでは先頭。

 自身の中身は前後半「60秒0-(11秒9)-59秒4」=2分11秒3。最近10年の平均勝ち時計(2分12秒21)以上で粘っている。

 父ルーラーシップ(2012年の2着馬)の勝ち星8勝は、日経新春杯2400m以外は2200m以下だった。この父子はイメージと異なり長距離型ではない。そこで、長丁場では甘くなるケースが多い。ルーラーシップ産駒は、(あくまで総じてだが)代表産駒のダンビュライト、メールドグラース、ムイトオブリガード、リオンリオン、サンリヴァル…など、2500m級までならこなせるが、それ以上になると良くない。

 キセキの母の半姉ダイワエルシエーロは、2004の年オークスを途中から巧みなペースで先頭に立って制したが、3歳馬同士のレースはスタミナを問われないことが多く、祖母ロンドンブリッジは1998年の桜花賞2着馬。総じて一族にステイヤー色はない。

 直前の追い切りは珍しく坂路で、自己ベストの51秒1で動いてみせた。難しい馬だが、武豊騎手は宝塚記念【4-3-4-15】。今度はコンビ2戦目になる。

 昨年の宝塚記念は最内枠で、押して追ってようやくハナに立ったほどだから、外枠は歓迎。ムリせずに途中からでもハナに行く形が取れる。さらに、速めの一定ペースを好むので主導権をにぎることが多いが、もともとキセキは逃げ馬ではなく、逃げて勝ったことは一度もない。現在のデキで、ベストに近い2200mを自身のリズムで走れるなら、簡単には止まらないと考えたい。

 有馬記念と同じで、嫌いたい馬もいないが、ノーチャンスという馬もめったにいない。

 人気薄で相手に買いたいのは、グローリーヴェイズ、スティッフェリオ、カデナ。
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