アメリカJCC(G2)血統的考察
先週の日経新春杯(G2)は
53kgの軽ハンデを活かした
ショウリュウイクゾ(7番人気)が
好位から抜け出して快勝。
大外から飛んできた
ミスマンマミーア(13番人気)が
2着に食い込み、
3連単は96万円という大穴となった。
ショウリュウイクゾの父
オルフェーヴルは
11月以降の3ヵ月間で
重賞6勝、2着3回
という活躍ぶり。
2020年の総合種牡馬ランキングでも
4位と健闘している。
少し力の要る馬場、
上がりが掛かる展開が得意なので、
冬場の洋芝や
荒れた芝はフィットする。
さて、今週は
アメリカJCC(G2・芝2200m)。
過去10年間で
1番人気馬は6頭連対し、
現在4年連続連対中。
その4頭のうち
3頭は4歳馬だった。
【アリストテレス】
今年、1番人気に推される可能性が高い
アリストテレスも4歳馬。
「エピファネイア×
ディープインパクト」
という組み合わせは、
ホープフルS(G1)2着馬
オーソクレース、
ローズS(G2)2着馬
ムジカ、
未勝利戦から
3連勝中の
ベデザンジュと同じ。
母ブルーダイアモンドは
未勝利馬だが、兄弟に
ヴィクトリー
(皐月賞)、
リンカーン(重賞3勝、
菊花賞と天皇賞・春で2着)
がいる。
バレークイーンにさかのぼる
ファミリーからは
他にフサイチコンコルド
(日本ダービー)、
アンライバルド
(皐月賞)
などが出ている。
父エピファネイアは
牝馬三冠馬デアリングタクトの父で、
スタミナと成長力が持ち味。
本馬は
サドラーズウェルズ4×4で、
スタミナと底力の争いに強いタイプ。
母の父にディープインパクトを持ち、
なおかつサドラーズウェルズの
クロスを持つ
エピファネイア産駒は、
36戦19連対(連対率52.8%)
と圧倒的な成績を収めている。
芝2000m以上に限ると
9戦7連対(連対率80.0%)。
3歳夏を越して
心身ともに充実し、
前走の菊花賞(G1)は
コントレイルのクビ差2着。
最後の直線では
三冠を阻止するのでは
と思える瞬間もあった。
勝ち馬と同タイムの3分05秒5は、
馬場が荒れていたことを
考えれば優秀で、
内容的に高く評価できる。
少なくとも並の菊花賞馬と
遜色ない実力の持ち主で、
今回のレースぶりによっては
今年の中長距離路線の主役に
躍り出ることも考えられる。
【サトノフラッグ】
サトノフラッグは
「ディープインパクト×
ノットフォーセール」
という組み合わせ。
これは2歳牝馬チャンピオンの
ダノンファンタジー
(阪神ジュベナイルフィリーズなど重賞5勝)
と同じ組み合わせ。
全きょうだいに
阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で
2着と健闘した
サトノレイナスがいる。
母バラダセールは
亜オークス(G1・ダ2000m)、
亜1000ギニー(G1・ダ1600m)
などを制し、
アルゼンチンの
3歳牝馬チャンピオン
となった名牝。
亜オークスは
後続に11馬身差をつける
逃げ切り勝ちだった。
本馬は牡馬ということもあり、
牝馬のサトノレイナスに比べると
距離適性は長めに出ている。
前走の菊花賞(G1)は
コントレイルの3着。
前々走のセントライト記念(G2)は
バビットに逃げ切りを
許したものの2着を確保した。
中山芝2000~2200mでは
[2-1-0-1]で、
唯一馬券圏内を外した
皐月賞はG1だったので致し方ない。
ディープインパクト産駒らしい
スパッと切れる脚を
持っているわけではないので、
上がりが掛かる
中山芝2200mは合っている。
【ヴェルトライゼンデ】
ヴェルトライゼンデは
「ドリームジャーニー×
アカテナンゴ」
という組み合わせで、
ワールドエース
(マイラーズC、
きさらぎ賞)、
ワールドプレミア
(菊花賞)の半弟にあたる。
父ドリームジャーニーは
オルフェーヴルの全兄で、
現役時代に有馬記念(G1)、
宝塚記念(G1)、
朝日杯フューチュリティS(G1)
などを制覇。
産駒のサイズが小さめなのと
気性の激しさがネックだが、
短距離から長距離まで
活躍馬を出しており、
芝3400mのダイヤモンドS(G3)を勝った
ミライヘノツバサを出している。
本馬は490kgと大柄で、
道中の折り合いも
スムーズなので
父の欠点を受け継いでいない。
ドリームジャーニー産駒は
中山芝2200mで過去22戦8勝、
連対率36.9%
と優れた成績を挙げており、
ミライヘノツバサが
17年に3着となっている。
前走の菊花賞は
2番人気で7着と敗れたが、
この条件ならおもしろい。
中山芝コースでは
[0-2-0-1]で、
ホープフルS(G1)と
スプリングS(G2)で
2着となっている。
2走前、中京で行われた
神戸新聞杯(G2・芝2200m)は、
熱発によりセントライト記念(G2)を回避し、
当初の予定を変更しての出走だったので、
2着という成績以上に評価できる。
2200mへの適性は高い。
【ステイフーリッシュ】
ステイフーリッシュは
「ステイゴールド×
キングカメハメハ」
という組み合わせ。
重賞は3歳春に
京都新聞杯(G2)を勝ったきりだが、
2、3着を再三繰り返している。
中山コースは
過去4回走り[0-2-2-0]。
すべて重賞で、
芝2200mでは
昨年のアメリカJCC(G2)と
オールカマー(G2)で
いずれも2着となっている。
母カウアイレーンは
ブラックホーク
(安田記念、
スプリンターズS)、
ピンクカメオ
(NHKマイルC)の兄弟。
「ステイゴールド×
キングカメハメハ」は
インディチャンプ
(安田記念、
マイルCS)と同じ。
中山で威力を発揮する
ロベルトが入る点は評価でき、
少し時計の掛かる
現在の中山芝も合う。
過去10年間の勝ち馬の
上がり3ハロン平均は35秒3。
かなり遅い。
たいていの年は
一定のラップを刻む
平均ペースとなって、
中団よりも前につけた馬が流れ込む、
という競馬になりやすい。
後方に控えるタイプなら
マクれる馬を狙いたいところ。
調教の動きなどを加味しつつ、
週末に最終結論を出したい。
【AJCC】美浦・栗東レポート
【AJCC】栗東レポート アリストテレス
クリストフ・ルメール騎手のコメントは以下の通り。
・(菊花賞)アリストテレスはコントレイルといい競馬をしてくれました。残念ながらあとちょっとで負けましたがいい結果を出してくれました。
・今回は休み明けでいいメンバーがそろいました。まだトップコンディションとはいかないかも知れません。でも能力が高いのでいい競馬をすることができると思います。
・(一週前追い切りの印象は)手応えは良かったのですがまだ少し太く感じました。今週の追い切りでコンディションがアップすると思います。
・(中山芝2200mは)この馬には合いそうですね。前回は3000mでした。コーナー6回でしたから、今回のコースはそれほど難しくは無いと思います。心配はありません。
・(セールスポイントは)瞬発力があります。最初は子供っぽい感じでしたが段々大人になっています。前回はトップクラスの馬といい競馬が出来ましたからね。
・去年菊花賞でいい競馬をしてくれました。今年はアリストテレスの活躍を楽しみにしています。今回は大きなチャンスがありますので応援して下さい。
【AJCC】栗東レポート ヴェルトライゼンデ
池江泰寿調教師のコメントは以下の通り。
・(菊花賞は)3コーナーから4コーナーにかけて脚を取られてバランスを崩してその影響もあったのか、距離が長かったのか、ハッキリはしませんが残念な結果になりました。
・レース後は脚を取られてバランスを崩して歩様が乱れましたが骨折などというアクシデントでは無く筋肉痛でした。その点もすぐに解消されその後は順調に牧場で乗り込んできました。
・(調教に関して)先週はビシッとやって今週は少し強めに促す程度でしたが十分仕上がっていると思います。
・(中山競馬場の走りの印象は)相性の良さは感じています。それは結果にも出ています。
・(距離は)そんなに悪いとは感じていません。今回はアクシデントもあって休養明けです。使いつつですね。
【アメリカJCC】美浦レポート サンアップルトン
柴田善臣騎手のコメントは以下の通り。
(前走のアルゼンチン共和国は3着でしたが、振り返って下さい)
「馬の状態も良く、どのくらいあのメンバーで走れるかと楽しみな気持ちでレースに臨みました。意外と直線に向いた時、手応えがあってすごくいい感じでした。直線でちょっと苦しくなったのか内にもたれ気味にはなりましたが、力は出せたと思います」
(今回3ヶ月ぶりのレースとなりますが、馬の雰囲気はどうですか?)
「雰囲気はすごく良いです。以前は手前を替える時にバラバラになったり、バランスを崩すことがありましたが、先週、今週と乗せてもらって、手前を替える時にバラつきがなくなって、ここに来て馬がしっかりしてきたかなという印象です」
(今日の追い切りは坂路でしたが、どういった狙いでしたか?)
「1週前までは平坦なコースで追い切って、先週の時点でだいぶ仕上がっていたので、今週は調整程度に坂路で行うという、この馬のパターンの追い切りでした。今日の坂路の動きは、内を回ったせいか時計的にかなり速くなってしまいましたが、それだけしっかりしてきたのかなと思いますし、本当に良い感じですね。レースへ向けた状態としても良いと思います」
(中山の芝2200mという舞台は?)
「2200mという距離は気にしていません。それ以上の距離の方が良いのかなという気もしますが、2200mも十分守備範囲です。メンバーも良い馬たちが揃いましたので、この相手にどれだけ走れるか楽しみです」
(柴田善臣騎手にとっては、最年長JRA重賞勝利記録もかかりますね)
「大丈夫です。(記録を)抜く人がいっぱい出てきますので、全然気にしていません(笑)」
(また柴田善臣騎手は、先週復帰されたばかりですが、レースの感覚はどうですか?)
「やはり悔いの残る部分がありますね。あそこで何でああいう風に動かなかったのだろうというように、考えることが多かったです。ただ、先週何頭か乗せてもらって、100%に近いぐらい感覚は掴めたので、今週は平常通りに動けると思います」
(最後に意気込みをお願いします)
「今年、かなり成長できる馬だと思いますので、その成長具合をみなさんも一緒に楽しんでもらえたらと思います。僕も応援してますので、みなさんも応援よろしくお願いします」
【東海S】栗東レポート
【東海S】栗東レポート インティ
野中賢二調教師のコメントは以下の通り。
・(前走のチャンピオンズカップは)スタートで後手を踏んでしまって2番手の位置をとるのに結構脚を使ってしまいました。その上3コーナーで前の馬を抜きにかかって少しハミを噛むところがありましたが、それでも「あわや」という感じで直線は頑張ってくれていましたしだいぶ元のインティに戻ってきたと思うレースでした。
・(中間は)前走後もここを目標に短期放牧を挟んでリフレッシュして戻ってきましたが、以前より今回の方が調整しやすかったですし状態も安定しているのかなと思います。
・(調教は)先週ある程度しっかり負荷をかけて馬もかなり心臓などが出来上がっているということで、今週は調整程度でさらっとという感じでした。先週も今週も予定通りの動き で悪くないと思います。
・(中京ダート1800メートルは)悪いイメージはありませんし前走でも少しロスがありながら踏ん張りを見せてくれたのでいい感触しかありません。
・(昨年は58kg、今年は57kg)その辺もいいですね。昨年は京都競馬場で今年は中京競馬場に戻ることもいいですね。
・ここ何走かは少し成績を残せなかった中、チャンピオンズカップで彼らしい走りを見せてくれました。その後も順調ですので今回いい結果を出してGIであるフェブラリーステークスに向かえればと思っています。応援よろしくお願いします。
【東海S】栗東レポート オーヴェルニュ
余田宏章調教助手のコメントは以下の通り。
・(前走ベテルギウスステークスは)スタートしてからすぐハミを噛んで力んでしまうところがありましたが、早めに落ち着いてくれて、最後は押し切ってくれて完勝だったと思います。
・(成長に関しては)馬体全体ということもありますが、トモの丸みが良く感じます。
・(中間は)順調に来ていますし追い切りを重ねても、以前から坂路の調教ではハミを噛んでしまうところがありましたがそれもかなり解消されてきました。
・(調教については)いつものパターンです。これで結果が出ているのでなんの心配もありません。
・(中京競馬場は)左回りでも右回りでも関係無く走っていますし、中京で走った時はタイムも優秀なんでむしろ得意なんではないかと思います。
・(今回久しぶりの川田騎手です)やっぱり川田騎手が教え込んでくれたことが身になっていたことが多いので心強いです。
・最近勢い的にも馬体の張りも(今回)ひけをとらないと思うので応援よろしくお願いします。
【東海S】栗東レポート タイキフェルヴール
牧浦充徳調教師のコメントは以下の通り。
・(師走ステークスは)その前のレースが屈腱炎明けで一年半ぶりに使いました。その後夏バテで間隔が開いてのレースでした。スタートで後手を踏んでしまい、ちょっと厳しいかというところから脚を使って押し切ってくれたので、なんとか復活してくれてよかったです。
・若馬の時はまだまだ(身体の)薄い馬でしたが、前回のプラス体重を見ても筋肉がついてパンプアップをして、その分しっかり体重が増えてダート馬らしい、いい身体になってきたと思います。
・(一週前追い切りは)予想より(時計が)速くなったというところはありますが、それでも手応えがいいまま余力残しでのものだったので状態としてはいい動きでした。
・(最終調整は)最後まで溜めを意識させて、我慢させた状態で上がり切らすということで調教しました。予定通りの内容です。脚元のことがあるので無理に負荷をかけきれないというところがありますが順調にここまで来ました。なんとかいい結果を残したいですね。
・(セールスポイント)いろいろな競馬場で走って、(レースも)どこからでも運べます。そのオールラウンドなところが強みですね。
・(内田騎手も)賞金的に出られるかどうかわからない時点で是非乗せて欲しいと言ってくれたので、騎手も期待してくれていると感じています。
・脚元の故障からしっかり復帰してくれて頑張っています。さらに羽ばたいていければと思っています。応援よろしくお願いします。
「虎の子」の一頭・馬場虎太郎
【AJCC予想】AJCCは週末に雨なら重い馬場適性が問われる馬場
今週末の中山は雨予報。特に日曜はまとまった雨のなかでの開催が濃厚。今季は雨が降る中での開催はほぼなかったものの、芝は開催の序盤から路盤の状態が悪かったことで、順当に傷みが進んでいる。今の路盤の状態を考慮すると極悪の「重い」馬場コンディションになるだろう。
過去のアメリカジョッキークラブカップでは、2012年に近い馬場コンディション、状況が想定される。2012年も前日から当日にかけて雨が降り、JRAの馬場発表でも「不良」。アメリカジョッキークラブカップは11頭立てで緩んだペースになったが、最初のコーナーを4番手以内で通過した馬が全滅。上がり順位通りに1~3着までが決着した。末脚のしっかりしたタイプを狙いたい。
ラストドラフトの前走アルゼンチン共和国杯はトラックバイアス「外有利」と判定。軽めの馬場コンディションで内をロスなく通るメリットはない。外を回して直線でどれだけ速い上がりを出すことができるかが重要なトラックバイアスだった。
6番人気での2着と人気より走ったものの、決して恵まれた好走ではない。1枠から道中も内を通っていたことを考慮すると強い競馬だった。
2200m以上では去年のアメリカジョッキークラブカップでも3着。当時もトラックバイアス「外有利」と判定した外枠が有利なレースで2枠。隣の枠から道中も似たような位置取りで進めて最終的に先着したミッキースワローは次走の日経賞で勝利したことからも、着順よりも価値の高い走りだった。2200m以上ではまだまだ底を見せていない馬だ。
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