亀谷敬正さん

【AJCC予想】AJCCは永久格言通り、主流とは別方向のタフな血統狙いで

「フレッシュ」さよりも強みになるのは…


 先日単行本『亀谷競馬サロン1 永久馬券格言』が発売。

 この本でも「競馬で要求される能力は一定ではない」ことからテーマが始まりますが、AJCCもまさに「東京のクラシックとは異なる方向性」の能力が問われやすいレース。

 AJCCは、ダービーや天皇賞秋など、東京の根幹距離で要求される能力とは別方向の能力が要求される舞台設定。欧州で実績を残した血統馬が走りやすいです。

 昨年の2020年1着ブラストワンピースの父ハービンジャーと3着ラストドラフトの父ノヴェリストはいずれもタフな欧州の大レースキングジョージ6世&クイーンエリザベスS勝ち馬。2着のステイフーリッシュは父が欧州の大レース凱旋門賞連対馬を複数頭出したステイゴールド。いずれも欧州指向の強い父。

 逆に東京芝や京都芝で高いパフォーマンスを発揮したフィエールマン。ダービー2着のサトノラーゼンは1人気に支持されるも敗退。東京や京都芝根幹距離での走りを期待されるも、その能力を発揮することはできませんでした。

 今年のAJCCも東京や京都芝、根幹距離とは別方向の能力の方向性が問われるレースに強い欧州血統を狙います。

 ヴェルトライゼンデの父はドリームジャーニー。タフな馬場の欧州競馬でも実績を残すステイゴールド系。昨年2着のステイフーリッシュもステイゴールド産駒。

 ドリームジャーニー自身もAJCCと同じ非根幹距離の中山芝中距離重賞有馬記念を優勝。同じく中山芝のGI朝日杯FSでも優勝。さらに非根幹距離で直線が短いコースで行われるGI宝塚記念も優勝。直線が短いGIや中山のタフな馬場、非根幹距離での実績、能力は日本の主流種牡馬に勝るとも劣りません。

 さらに母系も欧州指向が強く、タフな馬場、コースは得意。母父も欧州のドイツ血統アカテナンゴ。(同じ母の)兄ワールドプレミアは有馬記念3着。兄のワールドエースは皐月賞2着。父だけではなく、母の仔も中山芝が大得意。中山のスペシャリスト血統。

 ラストドラフトは先に書いたように昨年の3着馬。父ノヴェリストはYouTube「競馬血統事典」でも取り上げたように、非根幹距離のタフな馬場を苦としない血統(日本の主流血統よりも発揮できる能力を落としづらい血統)。2、3走前は主流の根幹距離。前走は非根幹距離でしたが、東京の軽い馬場。タフな馬場の非根幹距離への出走は昨年以来。

 なお、中山非根幹距離重賞は同じ馬が何度も走りやすい(20年近く前に命名したリピーターレースになりやすい)のは、日本は軽い馬場の根幹距離で走りやすい血統が主流なので競争相手が少ないこと。非根幹距離のタフな条件は、フレッシュさよりも経験が強みになることが大きいです。




単勝二頭流

AJCCの注目穴馬はこれだ!

単行本『単勝二頭流』担当編集者(以下、編) 石橋さん、先週は散々でしたな〜。

石橋 武(以下、石) いや〜、申し訳ない。ホント変な競馬が多くて。……というと言い訳みたいか。

編 いや、たしかに絶対読めないような変な荒れ方をしていましたよね。100万馬券もたくさん出ましたし。

石 まあ、でも当てている人がいるわけだからね。でもそのうえで冷静に分析すると、変なレースが多かったのはたしかで、まあ年に何回かはそういうイレギュラーが集中しちゃう日があって、それに当たっちゃったなと。

編 あと、小倉の芝がえらい速かったですよね。

石 そう、それも大きかった。この時期の小倉で高速馬場というのはあまり記憶がないんだけど、土曜日の未勝利戦で1分7秒前半の時計だったからね。めちゃくちゃ速い。で、それを修正した日曜日は風の影響で時計がかかるという。そういうところも荒れた原因のひとつだよね。

編 イレギュラー集中に天候もか〜。ま、終わったことをグダグダ言っても仕方ないので、先週のぶんは今週きっちり取り返してもらいましょう。

石 そうね。今週で中山も終わるし、最後はビシッと大きいのを獲っておかないとね。

編 で、その中山からアメリカJCCを取り上げたいんですが、これはどんなレースになります? やはり中山外回りらしいロングスパートが要求されるレースですか?

石 そうだね。もうこのレースは形が決まっていて、前半スロー、ラスト1000mから徐々に速くなって、ラスト800mのロングスパート。これがこのレースの定番だよね。あとは明け4歳馬の力関係。最近は4歳馬が連続して馬券に絡んでいるけど、今年はどうかなというのがあって。

編 と言いますと?

石 まだ調教を見ていないのでなんともいえないけど、菊花賞組の太め残りの懸念が大きいんじゃないかなと思っていて。これ単なる勘なんだけど。なんか菊花賞でタフな競馬をしたと思っている陣営が多そうな気がするんだよね。まあ、これは調教みて最終判断するわ。ただアリストテレスはいかにも勝ち切れないというタイプで、今後は2、3着付け決め打ちで狙ったほうがいいような馬だし、サトノフラッグは能力疑問だし、明け4歳で買いたいと思えるのはヴェルトライゼンデぐらいかな〜。もちろん調教次第だけど。

編 じゃあ、そのあたりを踏まえて現時点での注目穴馬を教えてもらえますか。

石 ステイフーリッシュ、ノーブルマーズ、モズベッロ。

編 ステイフーリッシュはこの舞台得意ですからね。

石 そうだね。去年もこのレースを2着しているし、秋のオールカマーも3着。コース適性は高いよね。最後にシュッと前へ出る脚がないぶん勝ち味の遅さを感じるけど、ラスト800mがタフになればなるほど1着の可能性が高くなる馬。ノーブルマーズと並んで伸びてくるようなら面白いけどね。

編 そのノーブルマーズですけど、近走はさっぱりですよね。さすがに能力の衰えを感じるんですけど。

石 全然でしょ。そもそもこの馬に合った舞台で走ってないからね。ここ3走は瞬発力がないと走れないようなコースだし、そういうレース展開になってしまったのもある。

編 たしかに。

石 ただ5走前の小倉記念は今回と同じようにロングスパートが要求されるんだけど、ペースが速くなりすぎて、後方からの馬が上位を独占。そんななか好位から競馬をした馬のなかで唯一掲示板を確保しているからね。

編 あ〜、53キロのアールスターが勝ったレースか。たしかに差し馬優勢のレースでしたね。

石 で、ノーブルマーズが5着で6着にこれも先行したランブリングアレーがいて、そのランブリングアレーは先週の愛知杯で相当強い競馬を見せて4着。

編 石橋さん、次は買いって言ってましたもんね。さっき。

石 対談が始まる前にな(笑)。でもそのランブリングアレーの件も踏まえて改めて小倉記念を評価すると、ノーブルマーズの強さは際立つ。ここでも決して評価は落とせないよね。馬券には入れておいたほうがいい一頭だよ。

編 そしてモズベッロ。

石 これも調教次第になっちゃうけど、前走をひと叩きされた上積みがあるようなら、このメンバーでは明らかに力上位。日経賞と宝塚記念でロングスパート気味の競馬を経験していて、ベストの適性ではないけど、こなせる下地はある。あとは戻っているかどうかだけだと思うよ。現時点ではこの3頭かな。

編 了解で〜す。では先週のぶん、巻き返していきましょう!

石 そうね、各場とも雨、雪の影響が多少ありそうだし、そうなればかなり面白いんじゃないかなと。ぜひ期待しておいてください。





田原基成さん

アリストテレスほか、2021AJCC出走予定馬17頭分析
・アリストテレス
上がり馬の勢いそのままに、菊花賞ではコントレイルの三冠を阻もうかというパフォーマンス。ここは今年の飛躍に向けて落とせないレースと言えるが、今回は自身未経験の冬の中山適性との戦いとなりそうだ。オール野芝の8→9月連勝、3000mの菊花賞2着はこの条件との関連性を見出せないもの。母父ディープインパクト馬の中山芝2200m成績【0-0-1-15】も含め、中心視するには躊躇してしまう。

・ウインマリリン
オークス以降、外枠を引き続けた昨年。フローラSがそうだったように、この馬の好走パターンは内枠から立ち回り良く抜け出す競馬だ。3戦2勝の中山適性は申し分なし。ここは枠順次第で評価を変えたい。

・ヴェルトライゼンデ
小倉→京都で連勝後、急坂コース替わりでいまだ未勝利。3走前の日本ダービー3着は7着馬と0秒1差、2走前の神戸新聞杯は1勝クラスのロバートソンキーとタイム差なし……これらは客観的な事実だ。昨年の秋2戦がまったくテンに行けなかった点から、ここで急な先行策は考えにくく、最後の急坂で切れ味を欠く可能性は考えておきたい。

・サトノフラッグ
3連勝の勢いに陰りが見られる近走。特に適鞍の2走前は勝ち切ってほしかったのだが……それでも中山適性を改めて証明した点は評価すべきだろう。レースに向けた中間の坂路調教において、4F52秒台をマークした際の成績は【3-0-0-0】。1週前、そして当週といずれも4F51秒台を記録しており、ここにかける陣営の勝負気配は良好だ。

・サンアップルトン
休み明け2戦目で変わり身を見せた前走。そこから再度間隔をあけて臨むわけだが、陣営の思惑として【2-1-0-1】と抜群の相性を誇る中山芝2200mをどうしても使いたかったのだろう。その期待に応えるかのように、最終追い切りでは6歳にして坂路4Fで自己ベストを1秒以上更新する猛時計。勝負気配の強い1頭ゆえ、評価を上げたいところだ。

・ジェネラーレウーノ
なかなか本調子とはいかない近走だが、冬の中山芝も中山芝2200mも重賞勝利実績がある条件。何らかの印は打っておきたい。

・ジャコマル
前走は前残りかつイン有利馬場、54キロの斤量とすべてが追い風となったレース。別定戦のGII、フレッシュな馬が揃うここで連続好走は難しい印象だ。

・ステイフーリッシュ
叩き3戦目かつC.ルメール騎乗で臨んだ昨年。見るも明らかな勝負駆けだったが、勝利を手中に収めることはできなかった。翻って、今回は秋競馬からの休み明け。冬の中山適性を無視することはできないとはいえ、当時ほど明確な勝負気配とは言い切れない。

・ソッサスブレイ
良績はダートや障害コースに限定。厳しい。

・タガノディアマンテ
久々の実戦復帰となったステイヤーズSで2着好走。改めて自力の高さを印象づけたレースだったが、雨降りしきる馬場を差し引いても道中14秒台のラップが2度刻まれた超スローだった点は見逃せない。前走から間隔を詰めた際の成績【1-0-0-5】も含め、信頼度としては物足りなく映る。

・ナイママ
中央場所での好走歴は洋芝に限定。急坂中山コースでは厳しい戦いが強いられそうだ。

・ノーブルマーズ
中10週以上の休み明けでは【0-0-1-7】。典型的な叩き良化型、ここはローテーション面で割り引かざるを得ない。

・ベストアプローチ
馬券圏内を確保したレースは12頭立て以下の頭数に限定。多頭数のここで一変を望むのは酷か。

・マイネルハニー
2年以上も好走歴がない馬。厳しい。

・モズベッロ
休み明け、関東遠征でマイナス10キロだった前走。レースにも見どころがなく、復調にはもう少し時間がかかりそうだ。

・ラストドラフト
冬の中山芝では【1-0-1-0】馬券圏外なし。前走アルゼンチン共和杯を含めた非根幹距離において【1-1-1-0】と大崩れがなく、この条件なら極端に評価は落とせない。

・ランフォザローゼス
3歳春以降、馬券圏内から遠ざかる現状。厳しい。


インティほか、2021東海S出走予定馬15頭分析
・アナザートゥルース
左回りのダート1800mで施行された日本テレビ盃、チャンピオンズCはいずれも勝ち馬から1秒以上離される競馬。全7勝中6勝が右回りである点を踏まえると、ここでの一変は容易ではないだろう。

・インティ
2年前の東海S勝利、チャンピオンズCでの2年連続3着……中京ダート1800m適性において右に出る馬はいないだろう。当然ここも注目の1頭だが、気になるデータが。1月中京開催の東海Sにおいて、前年未勝利の7歳馬は【0-0-0-14】。昨年のフェブラリーS、マイルCS南部杯があまりにもあっさり惨敗してしまった点をどう捉えるか。個人的には全幅の信頼を置ける馬とは思えない。

・オーヴェルニュ
際立ったスピードも強烈な末脚もないタイプ。前走は鞍上の立ち回りが極めて光ったレースで、それに応えた同馬も立派だが「何度走っても変わらない結果」とは言い切れないものだった。週末想定される脚抜きの良い馬場はプラスも、ここは枠次第。外枠を引くようなら評価を落としたい。

・グレートタイム
こちらもオーヴェルニュ同様、渋った馬場コンディションが向く馬。稍重-不良成績【2-3-1-1】はメンバー中随一だ。今開催の中京重賞で確変状態にある鞍上・福永祐一の存在も含め、ノーマークにはできない。

・ケイアイパープル
昨年同時期、冬競馬でパフォーマンスを落としていた馬。夏以来の実戦復帰が自身初の重賞レース、乗り越えるべきハードルは高い。

・コマビショウ
オープンクラスでは一度も馬券圏内がない馬。厳しい。

・タイキフェルヴール
鮮やかな末脚で制した前走師走S。レースぶりはもちろんのこと、デビュー時から数えて40キロ以上馬体重を増やしつつの勝利だった点にこの馬の奥深さが垣間見える。国内における左回りのダート戦では【2-1-0-0】連対率100%。侮れない。

・ダイシンインディー
ダート1800mで3勝を挙げる距離巧者だが、その勝ち時計はすべて1分53秒台。良馬場開催でも1分49-51秒台の決着がほとんどの東海Sかつ、脚抜きの良い馬場コンディションで高速馬場化が進むとなれば厳しい戦いが予想される。

・ダノンスプレンダー
これまで馬券圏外に敗れたのは3走前のシリウスSのみ。大崩れのない安定感は魅力だが、越えるべきハードルを「勝つこと」に設定した場合、1月中京開催の東海SにおけるポルックスS組の成績【0-0-0-14】は無視できない。同じ中山・良馬場開催だった師走Sとの比較で走破タイムも強調できるものではなく。ここは試金石の一戦となりそうだ。

・デュードヴァン
4連対はいずれも東京ダート1600m。芝スタート、ワンターンのコースに良績が偏っており、中京ダート1800m適性には疑問が残る。

・テーオーフォース
オープンクラスでは一度も馬券圏内がない馬。現級通用には時間がかかりそうだ。

・ハヤヤッコ
この馬で強調したいのは前走勝ち時計。良馬場・非重賞の東京ダート2100mで2分8秒台……これをクリアした4頭(マチカネワラウカド、ワールドクリーク、スナークレイアース、ミツバ)すべてが次走で馬券圏内を確保しているのだ。ダート1800mでは【2-3-1-2】掲示板外なし。レパードSと同じ左回りのダート1800mは守備範囲、注目の1頭だ。

・ムイトオブリガード
約10カ月ぶりの実戦に加え、1勝クラス以来となるダート戦。厳しい。

・メモリーコウ
牝馬限定の交流重賞で勝ち馬から2秒以上離される現状。こちらも厳しいだろう。

・ロードアクシス
脚抜きの良いダートを使われた2戦はいずれも掲示板外。良馬場の中山ダート1800m替わりを待ちたい。





重賞戦略アドバイザー・平井雄二のBe The Winner

昨年はコレでワンツー!穴馬を狙い撃てる激走パターン


先週の日経新春杯では、穴馬が続出する激走パターンとしてお伝えした『格上挑戦』に唯一当てはまったショウリュウイクゾ(7人気)が見事に勝利しました。

今週のアメリカジョッキークラブカップ(G2、中山芝2200m)にも、昨年該当馬2頭がワンツー決着を演出した激走パターンがあります。

それはズバリ、《4コーナーでのポジション取り》です。以下の成績をご覧ください(過去5年)。

4角3番手以内【4.3.2.9】複勝率50.0%
4角4番手以下【1.2.3.42】複勝率12.5%

興味深いことに4角3番手以内という前々のポジションにいた馬が高確率で馬券に絡んでいます。

20年1着ブラストワンピース(1人気)
20年2着ステイフーリッシュ(5人気)
19年1着シャケトラ(7人気)
18年1着ダンビュライト(2人気)
18年2着ミッキースワロー(1人気)
18年3着マイネルミラノ(8人気)
17年1着タンタアレグリア(7人気)
17年2着ゼーヴィント(1人気)
17年3着ミライヘノツバサ(3人気)

2020年のほかにも17、18年は馬券圏内を独占。しかもコンスタントに穴馬が激走しているのだから、軽視するわけにはいかないでしょう。

このような『先行有利』の決着が続いている要因は、中山芝2200mの特殊なコース形態にあります。

“おむすび型”とも言われる中山競馬場の外回りコースでは、3、4コーナーが緩やかで長く続き、直線距離は中央4場では最短の310mとなっているため、直線一気の差し切りは至難の業。前々で競馬できるか、小回り適性がある馬に有利な舞台です。

今年は、積極策でG1好走実績のあるウインマリリン、先行力が持ち味の中山巧者ジェネラーレウーノ、しぶとい競馬で昨年2着に粘り込んだステイフーリッシュが面白そうです。
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