単勝二頭流

NHKマイルCの注目馬を大公開!

単行本『単勝二頭流』担当編集者(以下、編) 石橋さん、期待された天皇賞(春)でしたが、残念ながら不的中となってしまいました。

石橋 武(以下、石) 期待していただいた方、申し訳ありませんでした。

編 無印にしたテーオーロイヤルが3着に好走してしまいましたからね。

石 適性は間違いなくなかったんだけど、上位3頭とそれ以外の力量差が大きかったな〜。その見極めができなかった。あと本命に推したディープボンドはまさかのカラ馬に前に入られるという競馬で、不運すぎたな〜。

編 そうなんですよね。もっとタイトルホルダーを突いていきたいところで、カラ馬が蓋をする形になってしまいました。

石 カラ馬が外に逃げてくれればよかったんだけど、めちゃくちゃ上手い競馬で(笑)好位の内をキープするという。カラ馬はどう動くはわからないので、あれは交わしにいけないんだよね。

編 そうなんですよね。逆にタイトルホルダーにとっては、カラ馬のおかげでかなりラクな競馬になりましたね。

石 そうだね。中盤を緩めて菊花賞と同じような競馬ができた。あの展開は二度はないと思っていたけど、ホントまさかの展開で……。

編 これも競馬と思うしかないですね。そのぶん今週末のNHKマイルCで鬱憤を晴らしてもらいます!

石 ホントだよ。先週はモヤっとするレースが多かったので、今週はスカッとしたいよね。

編 お願いします! ということでNHKマイルCですね。NHKマイルCの攻略ポイントはどのあたりにあります?

石 NHKマイルCの攻略ポイントは、クラシック路線で惜敗してきた馬たちののレースにもかかわらず、レース展開はクラシック路線と逆になるということ。

編 わかるようなわからないような(笑)。

石 最近のNHKマイルCって、最初からこのレースを目標に調教されてきたというより、クラシック路線に進みたいけどちょっと距離が長かったり、あとはトライアルで負けたりという馬の出走が多いよね。

編 たしかにそうですね。

石 で、クラシック路線は基本的に末脚を溜めて直線で爆発させるというレース展開が多いんだけど、NHKマイルCは腐ってもG1ということで、道中はわりと速いペースで流れる。少なくとも中盤に緩むことがない。つまりクラシック路線の溜めて末脚を伸ばすという展開とは違うレースになるんだ。

編 ということは、クラシック路線で好走してきた馬は割り引いて、力を発揮できなかった馬を狙うということ?

石 その通り。それに加えて今週は好天が続いた東京競馬場だから、日曜日はパンパンの良馬場で行われる可能性が高い。そうなると東京芝はかなりの高速馬場になるから、後方から末脚で一発というタイプは不利なんだ。前が止まりづらいから。

編 後方から速い脚を使っても、前もそれなりに速い脚を使っているということですね。

石 そう。物理的に追いつかないんだ。先行有利と決めつけるのは土曜日の競馬を見てからでもいいけど、ただ、中団より前にいる馬に恵まれるレースになる可能性は頭には入れておきたいよね。

編 なるほど。ではそれを踏まえて現時点での注目穴馬を教えていただけますか?

石 まずはキングエルメスに注目しようか。

編 京王杯2歳Sでは本命を打っていましたよね。

石 あ〜、そうそう。まあ、京王杯2歳Sはレベル的にもまったく評価はしていないんだけど、ただ前走のアーリントンCが良かったなと。

編 でも内が恵まれる馬場で先行、残ったというレースですよね。あまり高く評価できない感はあるんですけど。

石 完全に馬ができている状態であの競馬だったら残念きわまりなけど、当時の勝負予想にも書いたと思うんだけど、あの時は調教も全然していなくて、仕上がり途上もいいところだったからね。それをあのペースで行ったら直線ですぐにタレると思ったんだけど、しっかり3着には残した。

編 今回の上積み、上昇度が高いということか。

石 そういうこと。前走よりもスピードの持続力が上がるうえに、立ち回りのうまさを活かせる好枠となれば、好走の期待が高まるよね。

編 たしかに。

石 続いては京王杯2歳Sでキングエルメスの2着したトウシンマカオ。

編 京王杯2歳Sはレベルが低かったんですよね?

石 そう。だからこの馬を評価したのは朝日杯FSと前走のファルコンSだよ。特に朝日杯FSは差し有利の展開となったなか、セリフォスとこの馬だけが好位から僅差の競馬をしているんだよね。

編 トウシンマカオは3番手、セリフォスは5番手で受けての競馬でしたね。

石 かなり強い競馬をしているのは間違いない。しかもトウシンマカオは厳しいペースのなか一瞬伸びかけたから。前走のファルコンSも中盤が緩まない流れを先行して不利の影響もあるなか5着。こういう馬は今の東京の馬場を味方につけられるよ。

編 この馬も3枠6番と好枠を引きましたし。

石 あとはアルーリングウェイ。

編 アルーリングウェイは桜花賞で恵まれすぎじゃないですか? 内枠しか来ない馬場で内枠スタートで先行という。

石 たしかにね。ただ、この馬の本質はデビュー戦だと思うんだよね。

編 芝1200mの?

石 そう短距離、1200mがいいという意味ではなく、スピードが活かせる流れのほうが合っているという意味で。要は溜めて脚を伸ばす適性はそんなに高くなくて、持続力を活かしたいということなんだけど。

編 ああ、なるほど。それはわかります。溜めて切れるタイプではないですよね。

石 そう。一瞬の伸びはあるけど、そういう瞬時に加速させるよりもスピードに乗せてブレーキをかけずにいたほうがいい馬だよね。だから前走は恵まれつつも8着という着順だと思うんだ。あれで瞬時に加速できるようだと着順的にももうちょっと上があったはず。

編 あ〜、たしかにな〜。じゃあ、現時点ではこの3頭に注目しておきますね。

石 そうね。あ、あと勝負予想の土曜日版ではケンタッキーダービーも配信しますので、そちらもお楽しみに。

編 お、いいですね。じゃあ今週末は不運のないように祈りつつ(笑)、高配当を目指していきましょう! ありがとうございました!





亀谷敬正さん

【NHKマイルC予想】NHKマイルCが創設された意義

このレースによって繁殖に影響があった馬もいる


 今週末はNHKマイルCの前にケンタッキーダービーの馬券を日本でも楽しむことができます。

 2019年当時の本命はカントリーハウス。繰り上がり1着と同時に14人気だったことも幸運でしたが、例年の血統傾向にピッタリだったことも事実。血統の創造、想像はどの国のレースでも楽しいものです。今年、日本で馬券が楽しめるのはクラウンプライドが出走してくれたから。改めて感謝と敬意を示します。

 同馬の父はリーチザクラウン。Youtube「亀谷敬正の競馬血統辞典」でも「今年の3歳世代からは、ダートの中距離で馬券も含めて活躍する」と解説したのですが、まさか本場のダービーに出走する産駒まで出るとは想像以上でした。

 リーチザクラウンの3代母シックスクラウンは、ニューヨークの牝馬三冠馬クリスエバートと歴史的名馬セクレタリアートとの配合馬。リーチザクラウンの父父もサンデーサイレンスですから、アメリカダート中距離の名馬を凝縮された血統構成。

 リーチザクラウンは日本の芝では機動力負けしてダート馬が出やすくなってしまうのですが、才能そのものは超一流。アメリカの超一流血統が礎になっているクラウンプライドが本場のダービーに逆輸入の形で出走するのはとても興味深いことです。

 逆輸入といえば、日本の砂と芝と環境では、その才能を最大限に発揮できなかった種牡馬エンパイアメーカーの産駒(メッシェー)もケンタッキーダービーに出走。同種牡馬の産駒パイオニアオブザナイル産駒(パイオニアオブメディーナ、トーニーポート)も出走。こちらも注目しています。

 ケンタッキーダービーの後は、NHKマイルCが行われます。当レースは、26年前に創設。まだまだ、世界的評価は高くないレースですが、繁殖選定の舞台としては、世界的なスケールで見ても重要な位置づけのレースだと思うのです。

 このレースが創設されていなかったら、フレンチデピュティの価値もここまでは見抜けなかった…とまでは言いませんが、繁殖、育成のレベルが少し落ちて、ここまでの繁栄はなかったかもしれません。

 NHKマイルC創設6年目にはフレンチデピュティ産駒のクロフネとグラスエイコウオーが1、2着。2007年にもピンクカメオが17人気で優勝。孫の代ではさらに影響力を発揮。

 2013年はフレンチデピュティの孫マイネルホウオウとインパルスヒーローが1、2着。馬連は218倍。15年もフレンチデピュティの孫であるクラリティスカイとミュゼスルタンが1、3着。16年も同孫のレインボーラインが12人気で3着。17年もアエロリットが優勝。

 なお、昨年アメリカのブリーダーズカップディスタフで歴史的勝利を収めたマルシュロレーヌも母の父はフレンチデピュティ。日本の芝マイルで選別した繁殖がアメリカの大レースを勝った意義を(勝手に)強く感じました。

 今年のNHKマイルCに出走予定のフレンチデピュティの孫はアルーリングウェイとダンテスヴュー。

 もちろん注目はするのですが、少し気になるのは、18年以降はフレンチデピュティの孫は馬券になっていないこと。18年以降は3頭しか出走はしていないので「今や向かない」と結論付けるのは、早計すぎるでしょう。

 その一方で、馬場や血統配合情勢は日々変化してゆくもの。最終見解では、ここ3年ほどのNHKマイルCのレースパターンとフレンチデピュティ以外の血統についての考察も進めます。






田原基成 さん

セリフォスほか、2022NHKマイルC出走予定馬18頭
・アルーリングウェイ
最高の競馬ができた前走桜花賞も掲示板内は叶わず。牡馬混合GIのここでの変わり身は期待薄か。

・インダストリア
5着に敗れた前走弥生賞。一線級の相手では厳しい印象も受けたが、当時の中山芝はイン有利で前残り傾向が強く、勝ったアスクビクターモアや9人気3着ボーンディスウェイなど先行馬の好走が目立った。その状況で後方待機かつ3-4コーナーにかけて外々を回らされた不利は大きく、勝ち馬と0秒3差まで追いつめたことを評価すべきだろう。過去10年のNHKマイルCにおいて、前走芝2000m重賞で5着内だった馬の成績は【3-0-0-1】。得意のマイル替わりで見直したい1頭だ。

・オタルエバー
朝日杯FS、ファルコンSで先着を許した馬が多数出走する今回。さらなる前進を望むには酷に映る。

・カワキタレブリー
前走アーリントンCは11着と惨敗。厳しい。

・キングエルメス
馬番ふた桁番の馬が上位の多くを占めたアーリントンC。そのなかにあって1枠1番から3着に入った同馬のレース内容は決して悪いものではなかった。とはいえ当時は故障明けでマイナス8キロ。個人的にはもう少し余裕残しでも良い印象を受けてしまった。3着好走→間隔が詰まるローテでの東京遠征は楽ではなく、マイルでの勝ち鞍がない点も気がかりだ。

・ジャングロ
逃げ切り勝ちをはたした前走ニュージーランドT。マイルをこなした点は収穫も、コーナー4つでごまかしの利く中山芝1600mというシチュエーションが味方した印象は否めない。4走前に使われた東京芝1600mは6着。この舞台で評価を上げるには至らない。

・ステルナティーア
近2走は牝馬限定戦で掲示板外。厳しい。

・セイクリッド
はじめての芝レースがGI。厳しい。

・セリフォス
朝日杯FS以来の実戦復帰となる今回。ローテーションに一抹の不安を覚えてしまうが、ぶっつけ本番での参戦は割と早い段階で決まっていた。臨戦過程はさほど気にしなくて良さそうだが、上がり3Fにおいてメンバー中最速を記録したレースでも次位との差はわずか。スパッと切れるタイプではない。テンションの上がりやすい馬が自身初の関東遠征を敢行する点も含め、全幅の信頼を置くには躊躇してしまう。

・ソネットフレーズ
昨年11月以来の実戦復帰となる馬。順調なら牝馬クラシック戦線を歩んだ馬であり、阪神JFはおろか桜花賞すら出走が間に合わなかった事実は否定できない。経験値の部分においても不安を抱いてしまう。

・ソリタリオ
初の右回りとなった前走スプリングS。【8-9-11-11】の道中通過順が示すようにスムーズな立ち回りとはいえず、前残り決着も凡走に拍車をかけた。翻って、今回の舞台は【2-3-0-0】連対率100%を誇る左回り。このレースと好相性の距離短縮ローテで臨む点も見逃せない。

・タイセイディバイン
マイル以下では安定した成績を残す馬。ただ、今回が年明け5戦目かつ関東遠征と上積み度には疑問が残る。過去2戦で先着を許した馬が出走する点も気がかりだ。

・ダノンスコーピオン
実績はこのメンバーでも上位にランクされる馬。前哨戦の前走アーリントンCは鮮やかな末脚を披露したが、今回は間隔の詰まったローテーションが鍵となりそうだ。施行時期変更以後、アーリントンC勝ち馬は【0-0-0-4】。厳しいローテに加えて2走前に凡走を喫した東京替わりもプラスとは言えず、不安要素は尽きない。

・ダンテスヴュー
未勝利脱出後は東スポ杯2歳S→きさらぎ賞→皐月賞とクラシックの王道路線を歩んだ馬。ハイレベルなメンバー相手に培った経験値は何よりも高い価値がある。クラレントにフラムドグロワール、キングズオブザサンなど前走2000mから参戦した馬の激走が目立つNHKマイルC。侮れない。

・トウシンマカオ
1人気に支持された前走ファルコンS。スムーズさを欠いた場面もあり5着に敗れてしまったが、600m通過33秒1の激流でも追走に苦労しなかった点は収穫と言えるだろう。左回りのマイル戦は1戦1勝。先行馬総崩れの朝日杯FSで3番手から勝ち馬と0秒5差は及第点を与えられる内容で、見限るには早計だ。

・フォラブリューテ
2度使われた重賞はいずれも馬券外。厳しい。

・プルパレイ
逃げ戦法を主としていた2歳時から一転、出遅れたクロッカスSをきっかけに差し脚質へと転換。その成果が出たファルコンSは時計のかかる馬場をものともせず勝利を収めた。マイルの未勝利戦をレコード勝ちしたように高速馬場への対応力はピカイチ。【2-2-0-0】と大崩れのない左回りで再度警戒したいところだ。

・マテンロウオリオン
前走ニュージーランドTは逃げてラチ沿いを通った勝ち馬との比較で、かなりロスがあった印象。「負けて強し」の表現がふさわしい一戦だった。先行・差しとレース展開に応じて脚質を変えることができるのが最大の武器。このレースで3勝を挙げるダイワメジャー産駒に加えてキングカメハメハ、トニービンと東京適性が強調された血統を持つ点も魅力だ。


ブラックブロッサムほか、2022京都新聞杯出走予定馬12頭
・アスクワイルドモア
札幌2歳Sはのちの皐月賞馬ジオグリフの2着。実績は申し分ないものの、その後は馬券外のレースが続いてしまっている。4連対はいずれも時計のかかる洋芝。きさらぎ賞も稍重馬場が向いた感があり、開幕週の中京芝適性には疑問が残る。

・アップデート
11人気1着の未勝利戦はフロックにも思われたが、前走アザレア賞で3着と一定の結果を残した。とはいえ当時は4着馬が直線の進路取りを失敗したレース。その恩恵で着順が上がった印象は否めず、ここでの苦戦は免れられないか。

・ヴェローナシチー
デビュー以降、馬券内を続けている安定株。舞台問わず大崩れがないレースセンスは魅力だが、裏を返せば勝ち切れるだけの決め手に欠けるタイプとも言える。持ち時計も強調できるものではなく、押さえ程度が妥当か。

・ショウナンアデイブ
良馬場では【1-4-0-0】連対率100%。前走敗因を道悪と決めつけたとき、良馬場替わりでの巻き返しは警戒すべきだ。

・ストップザタイム
新馬戦で先着されたマイネルクリソーラは次走1勝クラスで馬券外。前走も展開が向いたレースで、重賞即通用は難しい注文と言えそうだ。

・ブラックブロッサム
新馬→1勝クラスと中京で連勝。舞台適性には関しては文句のつけようがない1頭だ。再度中京を狙ったローテーションも好印象だが、唯一気になるのは高速馬場への対応。過去2戦の上がり3Fは35秒4→36秒4。時季や馬場コンディションがあるため仕方ないが、速い上がりを使っていないのは事実だ。前走負かした相手はお世辞にも強力とは言えず、不安要素がある点は気に留めておきたい。

・ポッドボレット
前走すみれSは逃げ馬をマークする形で勝利。ダラッとした流れになりやすい芝2200m替わりもプラスに働いたのだろう。その後は皐月賞に見向きもせず得意の2200m戦を選択。前走に引き続き「中京の鬼」福永祐一が騎乗する点も大きなアドバンテージだ。

・ボルドグフーシュ
テンに行けない脚質は相変わらずだが、前走ゆきやなぎ賞は上がり3F33秒3の脚で突き抜けた。2走前は中京芝で勝ち馬と0秒1差の競馬をしており、広いコースが合うのだろう。展開に左右されるタイプゆえ中心視はしにくいが、何らかの印は必要か。

・ミスターホワイト
初芝の前走は2着に6馬身差をつける圧勝。稍重の阪神芝2000mで2分0秒9は優秀な部類に入るものだ。高速馬場への対応は未知数だが、ダートとはいえ中京は2戦2連対の得意舞台。ヒモ穴候補として警戒したい。

・メイショウラナキラ
積極的に先手を主張した前走は2着に4馬身差をつける勝利。タイトルホルダーがその典型だが、切れ味に欠けるきらいのあるドゥラメンテ産駒は逃げ戦法が最適解なのかもしれない。昨年の京都新聞杯デーにおける逃げ馬の成績は【1-3-0-1】。前走と同じ積極策なら残り目の可能性は十分だ。

・リアド
2人気に支持された前走毎日杯だが、結果は5着。悪化途上の阪神芝で持ち味を発揮できていない印象を受けた。翻って、今回は開幕週の中京芝。新馬戦で上がり3F33秒5を使ったこの馬にとって願ってもない条件と言えるだろう。川田将雅×友道厩舎の中京芝2200m成績は【4-2-0-0】。昨年の京都新聞杯もレッドジェネシスとのコンビで勝利を収めており、軽視は禁物だ。

・リカンカブール
ローカルの未勝利戦を勝ったばかりでの重賞参戦。厳しい。


シュヴァリエローズほか、2022新潟大賞典出走予定馬15頭
・アイコンテーラー
新潟芝外回りでは【3-0-0-0】と負け知らず。現役屈指の新潟芝外回り巧者といって差し支えないだろう。斤量52キロも魅力的な1頭で、ノーマークは禁物だ。

・アルサトワ
昇級初戦の前走大阪城Sは2番手追走から押し切り。実績が乏しかった直線の長いコースを克服したあたり、充実期に入ったのだろう。その前走は1000m58秒7の激流。間隔があいたときにパフォーマンスを上げるタイプで、重賞でも侮れない。

・カイザーバローズ
差す形で勝利を飾った前走。1000m通過62秒0の前残りで1着同着に持ち込んだのだから立派と言えるだろう。スローの上がり勝負を得意とする馬ゆえタフな新潟芝外回り適性はどうかも、何らかの印は必要か。

・シュヴァリエローズ
リステッド競走を中心に良績を重ねている馬。その半面、重賞では【0-0-0-4】と厚い壁に跳ね返されてしまっている。一度使われた新潟芝外回りは勝ち馬と1秒以上離される惨敗。全幅の信頼を置くには至らない。

・ステラリア
昨年のエリザベス女王杯2着馬。当時も含め、直線の短いコースに良績は集中している。左回りでは【0-1-0-3】、馬券外に敗れた3戦はいずれも掲示板外だった。一変を望むには酷に映る。

・スマイル
得意の中山芝を使われた近2走だが、いずれも掲示板外。2戦とも外枠が響いたようなレースぶりだった。距離短縮ローテでは【1-3-1-1】とほとんど大崩れなし。良馬場の芝2000m成績【1-1-0-0】も含め、強調材料の多い1頭と言えよう。

・ダノンマジェスティ
掲示板外が続く近走。厳しい。

・トーセングラン
昨年6月以来の実戦復帰となる今回。ローテーションに一抹の不安を覚えてしまうが、その前走が約1年3カ月ぶりだったことを考えれば大きな心配はいらないのかもしれない。新潟芝外回り2000mは【2-0-0-0】と負け知らず。いきなりの好走があっても驚けない。

・プレシャスブルー
テンに行けない同馬にとって展開がすべて。前走は1000m通過57秒7の激流が味方したのだろう。極端なハイペースが見込めないここは厳しい印象だ。

・マウントゴールド
9歳を迎えた古豪だが、昨年同時期に斤量58キロでリステッド競走を勝利。そのレースを含め、左回りの芝2000mでは【2-0-1-0】と安定した成績を残している。ヒモ穴のゾーンでケアしておきたい1頭だ。

・モズナガレボシ
小倉や福島など、好走は直線非急坂コースの右回りに集中。今回は不適条件と言わざるを得ない。

・ヤシャマル
左回りで全4勝を挙げるサウスポー。昨年の新潟記念でも勝ち馬と0秒1差と健闘しており、何らかの印は必要か。

・ラインベック
この馬で強調したいのは昨年の新潟記念。今回と同じ条件で行われたレースを2番手追走から5着に粘った。当時は1-4着馬まで4角10番手以下という極端な外差し決着。開幕週の新潟替わりなら一変があってもおかしくない。

・ラストドラフト
1年以上馬券内から遠ざかる現状。厳しい。

・レッドガラン
2年前に使われたこのレースは1人気6着。左回りでは【0-0-2-3】と不振傾向にあり、57.5キロの斤量もマイナスだ。




重賞戦略アドバイザー・平井雄二のBe The Winner

浅いキャリアの3歳レースはこれに尽きる!好条件が揃って戴冠を狙う2頭

先週の天皇賞・春(G1)では、「勝つためのポジションを取れるかがカギ」という金言通り、馬券になった3頭全てが先行した馬。レビューで取り上げたディープボンドも2着に入りました。

今週も皆さんの馬券に役立つ金言をお伝えしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

NHKマイルCの金言
スムーズなレース運びができること

今週から5週連続で東京でのG1が続きます。その初戦であるNHKマイルC(G1)は1番人気が5連敗中と波乱続きですから、予想が難しいイメージを持っているファンが多いかもしれません。

この背景には、東京芝1600mの重賞を経験する機会が少ないことがあります。

同コースの重賞(サウジアラビアRC、アルテミスS、クイーンC)で好結果を残した馬は、そのままクラシック路線に進むことが多く、NHKマイルCに出走するほとんどの馬にとっては初めての条件となります。

東京コースは広くて馬場が綺麗だから走りやすそうに思われますが、最後の直線は約525mと長く、速いスピードで走る区間が長いため、単純なスピードだけでは押し切れないタフなコースです。

このような舞台設定を踏まえて、力を発揮しやすい条件が隠されています。過去5年の枠順別成績をご覧ください。

過去5年の枠順別成績
1枠【0-0-0-10】勝率 0.0%・複勝率 0.0%
2枠【0-1-0- 9】勝率 0.0%・複勝率10.0%
3枠【0-0-2- 8】勝率 0.0%・複勝率20.0%
4枠【0-0-1- 9】勝率 0.0%・複勝率10.0%
5枠【0-2-1- 7】勝率 0.0%・複勝率30.0%
6枠【2-0-0- 8】勝率20.0%・複勝率20.0%
7枠【1-1-0-13】勝率 6.7%・複勝率13.3%
8枠【2-1-1-11】勝率13.3%・複勝率26.7%

好走馬の多くが外目の枠に集中しています。6枠は20年1着ラウダシオン(9人気)、7枠は17年2着リエノテソーロ(13人気)、8枠は19年2着ケイデンスコール(14人気)など人気薄の激走も後押ししています。

外からドッと被される心配がなく、馬群に揉まれずスムーズな競馬がしやすい外枠はキャリアの浅い3歳馬にとって絶好枠。自分のリズムで欲しいポジションを取りやすい利点もあります。

東京芝1600mは向正面も長く、コーナーがとても緩やかなため内外の距離差が生じにくく、それなら外を通れる方が結果的にプラスという見方ができるわけです。

これを踏まえて2頭レビューしていきます。

※5月6日(金)時点のレビューとなります。

1頭目 ダノンスコーピオン
共同通信杯はまだ良化途上だったことと1800mの距離で力を発揮できずに終わりましたが、アーリントンCでは本来の力を見せることができました。朝日杯FSでも僅差の3着だったように適距離はマイルと見ていいでしょう。

今回は大外枠を引くことができました。決して揉まれ弱いタイプではありませんが、それでもやはり3歳馬ですから上記のように揉まれずスムーズなレース運びができることはプラスに働くはず。何となくで外枠が嫌われるようなら馬券妙味も期待できるのでは。

川田騎手ならポジション取りに関しても安心感がありますし、外から他の有力馬を見ながら最後の直線勝負に臨むことができます。そのまま堅実な末脚を使って好勝負に持ち込めるのではないでしょうか。

2頭目 ジャングロ
マイペースの競馬ができた前走のニュージーランドTで1600mを攻略しました。1200mでもハナに立てるスピードがあるように、ここに入れば大方の予想通り逃げることができるでしょう。

ただ、内枠からだと他の速い馬に競られたり突かれたりする可能性があるので、この外枠、周りの馬の脚質ならよりスムーズな競馬が期待できます。ジワっとハナに立つことができればしっかりスタミナを残して直線に向くことができるはずです。

こちらも武豊騎手ですからペースについて心配はいりません。他の有力馬は自身の折り合いや脚を溜めることに必死でしょうから、自分のリズムでノビノビと運んでどこまで粘り切ることができるか注目です。
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