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第1687回 実績馬か上がり馬か伏兵馬か! 高松宮記念を分析

今年も春のG1シリーズは高松宮記念が開幕を告げる。復活を期すG1馬、悲願のG1制覇を目指す実力馬、連勝中の上がり馬、虎視眈々と台頭を狙う伏兵馬が集う一戦を、過去10年のデータから読み解いてみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。


■表1 人気別成績
馬場状態 人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率

1番人気 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 130% 65%
2番人気 1- 2- 0- 1/ 4 25.0% 75.0% 75.0% 137% 147%
3番人気 1- 1- 1- 1/ 4 25.0% 50.0% 75.0% 195% 177%
4番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番人気~ 0- 1- 3-31/35 0.0% 2.9% 11.4% 0% 302%
稍重~不良
1番人気 0- 1- 2- 3/ 6 0.0% 16.7% 50.0% 0% 73%
2番人気 1- 2- 0- 3/ 6 16.7% 50.0% 50.0% 100% 100%
3番人気 1- 0- 2- 3/ 6 16.7% 16.7% 50.0% 128% 113%
4番人気 1- 0- 1- 4/ 6 16.7% 16.7% 33.3% 108% 91%
5番人気 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 145% 108%
6番人気 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 81%
7番人気 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8番人気 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 463% 168%
9番人気 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 538% 135%
10番人気~ 0- 0- 1-53/54 0.0% 0.0% 1.9% 0% 83%

過去10年の高松宮記念は良馬場で開催されたのが4回と、半数に達しない。そこで人気別成績を「良」と「稍重~不良」に分けてみたところ、興味深い傾向が見て取れたため紹介したい。

良の場合、好走例は1~3番人気か10番人気以下のどちらかに限られ、中間の4~9番人気はすべて4着以下という極端な傾向が出ている。一方、稍重~不良の場合でも、1~3番人気はコンスタントに好走しているのだが、1番人気の1着がない点には注意したい。また、良馬場では好走なしの4~9番人気が合算して【4.3.1.28】、勝率11.1%、複勝率22.2%、単勝回収率209%、複勝回収率97%と、稍重~不良では悪くない成績を残している点も注目に値する。この通り、馬場状態に応じて、特に穴馬好走の人気ゾーンが変わってくるのが過去10年の高松宮記念の特徴となっている。


■表2 馬番別成績
馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2番 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 278% 66%
3番 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 78% 79%
4番 2- 1- 0- 7/10 20.0% 30.0% 30.0% 104% 262%
5番 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 77% 26%
6番 1- 1- 0- 8/10 10.0% 20.0% 20.0% 87% 38%
7番 0- 0- 3- 7/10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 732%
8番 0- 2- 1- 7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 60%
9番 1- 1- 2- 6/10 10.0% 20.0% 40.0% 55% 99%
10番 0- 0- 1- 9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 450%
11番 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 13% 11%
12番 0- 1- 0- 9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 20%
13番 0- 0- 1- 9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 123%
14番 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 60% 21%
15番 0- 1- 0- 9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 49%
16番 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 323% 118%
17番 0- 1- 0- 9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 35%
18番 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2は馬番別成績。まず気がついたのが、1番枠および18番枠から3着以内に入った馬が1頭もいないこと。特に、18番枠は1番人気と3番人気が1頭ずついて、それぞれ13着、12着に終わっている。また、全体を見渡しても、10~18番枠の複勝率は16番枠を除いて10.0%以下にとどまり、外寄りの馬番はやや不利の傾向があるようだ。


■表3 牡牝・年齢・所属別成績
項目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
性別
牡馬・セン馬 9- 5- 7-101/122 7.4% 11.5% 17.2% 61% 154%
牝馬 1- 5- 3-48/57 1.8% 10.5% 15.8% 56% 53%
年齢 4歳 3- 2- 3-30/38 7.9% 13.2% 21.1% 63% 73%
5歳 4- 3- 3-36/46 8.7% 15.2% 21.7% 93% 70%
6歳 2- 5- 3-33/43 4.7% 16.3% 23.3% 78% 258%
7歳 1- 0- 1-29/31 3.2% 3.2% 6.5% 20% 153%
8歳~ 0- 0- 0-21/21 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
所属
関東 2- 3- 5-44/54 3.7% 9.3% 18.5% 67% 289%
関西 7- 7- 5-104/123 5.7% 11.4% 15.4% 52% 48%
外国 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 325% 130%

表3は、牡牝別・年齢別・所属別の成績。「牡牝別」では、牡馬(セン馬を含む)の9勝に対して牝馬は1勝と、勝ち切れるのは牡馬。ただし、連対率や複勝率では大差ない数値が残っている。

「年齢別」では、5歳が4勝、4歳が3勝で、勝率でも6歳以上をややリード。ただし、近2年は6歳が連勝中。また、連対率と複勝率は6歳がトップの数値で、複勝回収率258%も際立っており、6歳までは十分チャンスがありそうだ。7歳になると好走率が下がるが、好走した2頭にはセン馬という共通項がある。そして過去10年、8歳以上の好走はなかった。

「所属別」では、中央所属だと関西馬7勝に対して関東馬2勝。1~3着数で見ても、関西馬が計19回、関東馬が計10回と、関西馬がリードしている。ただし、複勝率に関しては関東馬のほうが高く、複勝回収率289%も優秀。10番人気以下の好走5回のうち4回を関東馬が記録していることからも、激走に注意しておきたい。なお、外国馬も1勝しているが、今年は登録がなかった。


■表4 前走レース別成績
前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
シルクロードS・G3 4- 2- 1-23/30 13.3% 20.0% 23.3% 168% 132%
阪急杯・G3 3- 2- 3-38/46 6.5% 10.9% 17.4% 36% 36%
オーシャンS・G3 1- 2- 5-54/62 1.6% 4.8% 12.9% 44% 234%
香港スプリント・G1 1- 0- 1- 3/ 5 20.0% 20.0% 40.0% 120% 74%
チェアマンズSP・G1 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 650% 260%
京都牝馬S・G3 0- 2- 0- 4/ 6 0.0% 33.3% 33.3% 0% 100%
阪神C・G2 0- 1- 0- 7/ 8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 26%
フェブラリーS・G1 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 36%
※好走例のある前走レースのみ掲載

表4は前走レース別成績。過去10年の高松宮記念1~3着馬延べ30頭のうち、前走でシルクロードS(7頭)、阪急杯(8頭)、オーシャンS(8頭)のいずれかを使っていた馬が23頭を占める。そこで、この主要な3つの前走を比較すると、好走率、回収率ともに優秀なのは前走シルクロードS組。ただし、このレースが中京開催となった過去2年に限ると【0.0.0.7】で、本番につながっていない。今年のシルクロードSも中京開催だっただけに、気がかりなデータではある。

前走阪急杯組は単複の回収率がいずれも36%にとどまるが、これは本番の好走が当日1~4番人気に推された馬に限られている影響が大きい。そして、「前走で阪急杯に出走し、高松宮記念で1~4番人気」に該当すれば【3.2.3.5】、勝率23.1%、複勝率61.5%、単勝回収率129%、複勝回収率130%と優秀な成績を残しており、一気に有望な存在となりうる。

前走オーシャンS組は出走数では最多ながら、好走率としてはもうひとつ。ただし、複勝回収率234%を記録しているように、人気薄の激走には注意しておきたい。

これら以外の前走レースの好走例は、多くても2頭までに限られる。そのなかでは、前走で香港の芝1200mG1(表4では香港スプリント、チェアマンズスプリントプライズ)を使っていた馬は注目に値しそうだ。また、前走京都牝馬S組も出走6頭から2着馬2頭が出ており、こちらも侮れない。


■表5 前走シルクロードS出走馬の各種データ
前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走着順
前走1着 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 78% 82%
前走2着 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 145% 38%
前走3着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 1615% 405%
前走5着 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 78% 30%
前走6~9着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10着~ 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 368%
前走人気
前走1番人気 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 78% 30%
前走2番人気 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 461% 164%
前走3番人気 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4番人気 2- 0- 0- 1/ 3 66.7% 66.7% 66.7% 473% 156%
前走5番人気 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 442%
前走6~9番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10番人気~ 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走馬体重
前走減 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 538% 135%
同体重 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走増 3- 2- 1-12/18 16.7% 27.8% 33.3% 100% 176%

前項で述べた通り、高松宮記念では前走シルクロードS組、阪急杯組、オーシャンS組の好走が多い。そこで、この3レースに関連するデータを追加で確認しておきたい。

表5は、前走シルクロードS組に関する各種データを表したもの。上から順に、前走着順から見ていこう。10着以下から巻き返した例もあるが、これは19年2着のセイウンコウセイ。同馬が17年高松宮記念勝ち馬であることを考えると、例外的な存在とみるべきか。となると5着までには入っておきたい。前走人気は基準が明快で1~5番人気が目安。もうひとつ、前走馬体重の増減が興味深い傾向を示しており、この組から好走した馬の大半は、シルクロードSにプラス馬体重で出走していた。例外は20年1着のモズスーパーフレアだけで、同馬はシルクロードSがマイナス6キロでの出走だった。


■表6 前走阪急杯出走馬の各種データ
前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走着順
前走1着 2- 2- 0- 4/ 8 25.0% 50.0% 50.0% 112% 82%
前走2着 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 32%
前走3着 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 41%
前走4着 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 47%
前走5着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6~9着 1- 0- 0-11/12 8.3% 8.3% 8.3% 65% 26%
前走10着~ 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走人気
前走1番人気 2- 2- 1- 3/ 8 25.0% 50.0% 62.5% 113% 126%
前走2番人気 1- 0- 0- 6/ 7 14.3% 14.3% 14.3% 110% 37%
前走3番人気 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 47%
前走4番人気 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 46%
前走5番人気 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6~9番人気 0- 0- 0-12/12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10番人気~ 0- 0- 0- 7/ 7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4角通過順
1~4番手 2- 2- 2-13/19 10.5% 21.1% 31.6% 81% 73%
5番手~ 1- 0- 1-25/27 3.7% 3.7% 7.4% 4% 11%

表6は、前走阪急杯組に関する各種データを表したもの。なお、表4の項で述べた通り、この組の好走は高松宮記念で1~4番人気に推された馬に限られるため、当日の人気を必ずチェックするようにしたい。

このことを踏まえて、表6を上から順に確認していこう。前走着順は、阪急杯1~4着馬が好走例の多くを占めるが、19年にミスターメロディが阪急杯7着→高松宮記念1着と巻き返した例もある。むしろ、基準としては前走人気のほうが明快で、好走例は阪急杯1~4番人気に限られる。前述したミスターメロディも、阪急杯では1番人気に推されていた。最後にもうひとつ、前走4角通過順もチェックしておきたい。というのも、阪急杯で4角1~4番手だった馬と5番手以降だった馬では、本番の好走率にけっこうな差がついているからだ。できれば、阪急杯では4角を1~4番手で回っておきたいところ。5番手以降だった馬の好走も2例あるのだが、該当するのは13年1着のロードカナロア、21年3着のインディチャンプで、いずれもすでにG1を2勝という高い実績を持っていた。


■表7 前走オーシャンS出走馬の各種データ
前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走着順
前走1着 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走2着 1- 2- 1- 5/ 9 11.1% 33.3% 44.4% 308% 250%
前走3着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 0- 2- 1/ 3 0.0% 0.0% 66.7% 0% 2193%
前走6~9着 0- 0- 2-13/15 0.0% 0.0% 13.3% 0% 382%
前走10着~ 0- 0- 0-17/17 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走人気
前走1番人気 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 94%
前走2番人気 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 107%
前走3番人気 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 175%
前走4番人気 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 463% 110%
前走5番人気 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6~9番人気 0- 0- 1-17/18 0.0% 0.0% 5.6% 0% 250%
前走10番人気~ 0- 1- 1-11/13 0.0% 7.7% 15.4% 0% 520%
前走上がり3F順
1位 1- 1- 1- 3/ 6 16.7% 33.3% 50.0% 463% 196%
2~5位 0- 0- 0-24/24 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6位~ 0- 1- 4-27/32 0.0% 3.1% 15.6% 0% 418%

表7は、前走オーシャンS組に関する各種データを表したもの。前走着順で目を引くのは、1着馬は【0.0.0.9】とすべて凡走に終わっていること。また、10着以下から巻き返した例もない。これらを除いたオーシャンS2~9着馬は、【1.2.5.28】、複勝率22.2%、複勝回収率404%と侮れない数値を残している。前走人気は、オーシャンS1~4番人気馬の好走がやや多いものの、人気薄にとどまっていた馬にもチャンスはありそう。それ以上にチェックしておきたいのが上がり3Fタイム順。まず、オーシャンSの上がり1位馬は複勝率50.0%を記録。そして、上がり2~5位馬の好走はないのに、上がり6位以下馬が2、3着に入ったケースが5回あるのは非常に興味深い。複勝回収率418%も抜群で、穴党には見逃せないゾーンとなりそうだ。


【結論】

以上のデータ分析に基づいて、今年の高松宮記念で有望と思われる馬を紹介していきたい。登録20頭のうち、前走シルクロードS組が5頭、阪急杯組とオーシャンS組が各4頭を占めているのは、例年通りの傾向だ。

前走シルクロードS組は、そこで「1~5着」「1~5番人気」「プラス馬体重」を満たしておきたいことを表5の項で述べた。この条件を満たす登録馬は、ナムラクレア(前走プラス6キロ、2番人気1着)、トウシンマカオ(前走プラス12キロ、3番人気4着)の2頭。過去2年、中京開催のシルクロードS組が本番で好走できなかった点がどうかだが、軽視はできない存在だ。

前走阪急杯組は、そこで「1~4番人気」「4角1~4番手」であることが重要だった。この条件を満たす登録馬は、アグリ(前走2番人気、4角2番手)、ダディーズビビッド(前走3番人気、4角4番手)、グレナディアガーズ(前走1番人気、4角4番手)の3頭。そして、表4の項で述べた通り、この組の好走は当日1~4番人気に限られており、実際の人気順のチェックが欠かせない。

前走オーシャンS組は、そこで「2~9着」「上がり1位もしくは6位以下」が好走していることを述べた。この条件を満たす登録馬はディヴィナシオン(前走2着、上がり6位)だけとなっている。

以上の3レース以外から臨む馬では、前走香港スプリントのピクシーナイトとメイケイエールはもちろん注目。ただし、好走例があるのは前年の香港スプリント以来の出走であり、メイケイエールはいいとして、2年前の香港スプリント以来となるピクシーナイトはデータの埒外の存在となる。また、前走京都牝馬S組も侮れず、昨年の2着馬でもあるロータスランドの2年連続好走の目もあるだろう。




【高松宮記念】美浦レポート・栗東

【高松宮記念】美浦レポート ナランフレグ
ナランフレグについて宗像義忠調教師

(今朝の最終追い切りについて)
「ウッドチップで3頭併せ、一番後ろからでした。ゴール前で少し前に出る形で、馬なりでしたが自然にハミを取ってくれた感じで、よかったです」

(追い切りの狙いは)
「最終追い切りということで、レースが近いことを馬に伝えるという感じで考えていました。一度使って馬も締まった感じがありますし、ジョッキーもそのあたりの気配を感じ取ってくれたと思います」

(前走のオーシャンSを振り返って)
「ひととおり調教したつもりではいましたが、体も少し重めが残っていた気がします。ゲートに関しては、タイミングだとは思いますが59キロを背負っていたのも微妙に響いているとは思います」

(前走で得た手応えは)
「馬が少し変わってきたというか、シャキッとしてきたというか、そんな気配は感じられます」

(連覇へ向けて、レースのポイントは)
「去年はうまく内に"道"ができたのが良かったと思います。どれだけ馬ごみを捌けるか、だと思います」

(週末の天気予報が良くないことについて)
「ある程度、重ぐらいまでならこなしてくれるのではと考えています」

(相手関係について)
「若い元気な馬たちが出てきますし、胸を借りるような気持ちでいます」

(ファンへ一言)
「今年も高松宮記念に挑戦させていただくことになりました。順調に調整できていると思いますし、中京コースは得意ですから、なんとか頑張ってほしいと思います」

ナランフレグについて丸田恭介騎手

(連覇がかかるレースを前にした思いを)
「去年初めてGIを勝たせていただき、今年またこうして連覇を目指す形で、ナランフレグとこのレースに出られて嬉しいです」

(今朝の最終追い切りについて)
「先生からは、前の2頭を見て、併せても併せなくてもいいという指示でした。僕としては併入あるいは抜け出してゴールでもいいと思っていたので、前半から距離を近づけて追走して、最後並んでという追い切りになりました。馬なりで楽な追い切りができましたし、余裕を持って併入できたので態勢は整ったと思います」

(そのほか、チェックしたポイントは)
「前走が馬体重増でのレースだったので、息遣いや動きに素軽さが出ているかというところを気にしながら乗りました。昨日も乗せていただき、雰囲気が良くなっているのは感じ取れていたので、よかったです」

(前走のオーシャンSを振り返って)
「昨年は、年末ぐらいから使い続けていてのオーシャンS、高松宮記念でしたが、今回は香港から少し休みを挟んでのレースでしたので多少重めでもありましたし、59キロを背負って今までよりもタフな内容のレースになったと思います。ゲートでもいつもは見せないようなそわそわした動きをして立ち遅れ、いつも以上に後手を踏むレースになってしまいました。ただその中でも、多少詰まりながらも上がり33秒台で走ってこられたのを見ると、馬自身はちゃんと走っているのではないかと思いました」

(連覇に向けて、今回のレースでのポイントは)
「前半そんなについていける馬ではないので、ゆっくりと自分のリズムでの追走にはなると思います。そこからの捌きだと思います」

(名古屋は週末までぐずついた天気が続く模様。この馬にとってはどうか)
「昨年の高松宮記念は、重馬場で走るのがほぼ初めての経験でした。そこで走れたということもあり、同じ時期の同じ中京コースで、雨があっても大丈夫ではないかと思っています」

(今回のメンバー構成、相手関係は)
「去年勝たせてはいただきましたが、周りの馬は強いと思っています。連覇が懸かっていますが、チャレンジャーの気持ちで挑みたいです」


【高松宮記念】美浦レポート ウインマーベル
ウインマーベルについて深山雅史調教師

(今朝の最終追い切りについて)
「先週までにびっしりと、仕上がっているぐらいの状態にできたので、今週はレースに向けて疲れを残さない程度に息遣いを確認して、サラッと、という感じでイメージしていました。前に1頭先行させて後ろからも追いかけさせて、突かせるせるような形で、終いまで気を抜かないように集中させて走れれば、という追い切りをしました」

(時計は結構出たが)
「馬には無理をさせていませんし、状態がいいのだと考えています」

(1週前に松山騎手が騎乗しての追い切り。それよりも上がったということか)
「はい、本番に向けて満足のいく調教が積めたかなというところまで来ています」

(前走のシルクロードSを振り返って)
「トップハンデで外枠、内が伸びやすい馬場であった中で出負けをしてしまい、その中でも終いは差を詰めてきているように、前哨戦としてもちろん結果は欲しかったですが、次に繋がる競馬ではあったかなと考えています」

(前走を踏まえて、ゲート練習などは)
「ゲート練習は先々週と先週、何頭かで一緒に出して、しっかり反応してゲートを出られていたので、本番に向けてのゲート対策はこれで十分かと思っています」

(週末に向けて名古屋は雨予報。道悪について)
「ウインマーベルはスピートだけでなくパワーや力強さがあるので、時計のかかる馬場のほうが合っているのかな、とも思います。決して悪いイメージはないです」

(GI勝利に向けて、厩舎の思いは)
「このような馬に巡り会えるチャンスはこの先どれくらいあるかわかりませんし、こういうチャンスがあるときにしっかり結果を出せるような厩舎でありたいと思います。今回はなんとしても勝ちたいという思いで、みんなでやっているつもりです」

(今回のレースでのポイントは)
「状態としては、満足のいく仕上がりにできたと思っています。あとは当日の枠や展開を踏まえて、松山騎手がうまく乗ってくれれば結果が出るんじゃないかと考えています」

(理想となる展開や位置取りは)
「センスのある馬で終いも伸びる馬ですが、ある程度先行して直線抜け出すという形が一番力を発揮する競馬なのかなという感じはします」

(ファンへ一言)
「GIという舞台で注目していただける馬を手掛けさせていただいているので、なんとか結果を出せるように頑張ります。応援よろしくお願いします」


【高松宮記念】美浦レポート トウシンマカオ
トウシンマカオについて鮫島克駿騎手

(今朝の最終追い切りに騎乗。振り返って)
「もともと調教はやればどれだけでも動く馬で、もちろんいい動きでしたが、先週と比べてもう一段階上がった感触があります。道中の行きっぷりも自分から前進気勢が出ていますし、手前の替え方もスムーズで、最後の伸びもあまり促さなくても自分からしっかり動いていく感じで、そのあたりが先週と比べて良かったと思います」

(高柳瑞樹調教師とはどんな話を)
「トウシンマカオに関して、もともと1週前は美浦で乗せていただく機会が多かったのですが、当該週の騎乗は僕がリクエストしました。先生からは『前走よりも状態がいい』と聞いていて、乗っている感触としてもやはりいいと感じました。(当該週の追い切り騎乗は)より多くコンタクトをとりたくて先生にお願いしました」

(前走のシルクロードSを振り返って)
「内が有利な馬場状態のなか外枠で、レース前から難しいレースになると思っていたのですが、今回と同じ舞台の中京1200mを無駄にしたくないと思っていましたし、コーナリングや折り合いを確認したいと思っていて、着順はよくなかったのですがやりたいことはできました」

(相手関係について)
「もちろんGIなので強いメンバーですし、これだけ良いメンバーと戦えるのは楽しみです」

(位置取りや展開など、この馬にとって一番力をひきだせるものは)
「ポジションに関しては、どこを取りたいとかはあまりないですね。短距離のレースなのでもちろんスタートも大事ですし、道中のリズムというか、トウシンマカオがスムーズに走れるポジションや状況であったらいいと思います」

(週末にかけての雨予報について)
「中京自体が馬場状態が変化しやすく、だからこそ難しい競馬場なので、当日どんな馬場状態になるかは今のところ予想はつきません。土日とも中京で騎乗するので、しっかり馬場状態を見極めて、どこを通ったらいいのかなどしっかり考えて乗りたいと思っています」

(鮫島騎手自身のGIへの思いについて)
「今回に限らずたくさんチャンスをいただいていますが、勝たないと評価されない世界だと思いますし、まだGIを勝っていないのでGIジョッキーになりたい気持ちは当然あります。ただその気持ちよりは、トウシンマカオと一緒に良いレースができればと思っています」

(意気込みを)
「トウシンマカオは本当に素晴らしい馬ですし、当日は一緒に素晴らしいレースを見せられるように頑張るので応援よろしくお願いします」


【高松宮記念】栗東レポート アグリ
安田隆行調教師のコメントは以下の通り。

(4連勝で臨む気持ちは)GIに向かいますが、強いメンバーがいる中でチャレンジャーとして頑張って欲しいと思っています。

(前走の印象は)いいスタートを切って好位で運んで、安心して競馬を見ることが出来ました。

(中間は)在厩のまま調整をして順調にここまで来ています。

(最終追い切りは)横山和生騎手が乗っての1週前追い切りで、ビシッと仕上がった状態だったので、今週は息を整える意味で、軽くサッと流しました。状態に関しては順調でいい形でレースに向かえます。ただ週末が雨予報で、どうかという不安もあります。スピードがある馬ですから、良馬場で走らせてあげたいですね。

(使いつつの変化は)使う毎に馬が逞しくなっています。特に前走は重賞ながら内容も良く、素晴らしい競馬が出来たと思っています。1勝クラスを勝った後、牧場での鍛錬を越えて本当に馬が変わりました。

(久々の1200mです)距離経験はありますが、その時と馬の状態は違いますからね。今回は良い結果を期待しています。

(かつてこのレースを制した自厩舎の馬と重ね合わせて)劣るところはありません。まだまだ伸び代があると思います。今回は胸を借りるつもりで頑張ります。


【高松宮記念】栗東レポート ヴェントヴォーチェ
牧浦充徳調教師のコメントは以下の通り。

(前哨戦を勝ってGIに臨む気持ちは)秋のスプリンターズステークスは夏バテしながらだったので状態維持に苦心しましたが、今回はしっかり間隔を開けていい状態で本番に臨めそうです。

(前走を振り返って)久々でしたので本番を見据えて7分から8分で仕上げでした。その中でもしっかりいい脚を使ってくれて余力のある勝ち方をしてくれました。いい状態で本番に行けるという印象でした。

(中間の調整過程は)間隔も詰まっているので馬に負荷をかけすぎないように注意しました。今日は馬の後ろで我慢させて、上がりも前の馬に並びかけてから余力を持って脚を使ってくれました。いい追い切りだったと思います。

(最終的なジャッジは)一気にメンバーも強くなります。その中でどれだけ通用するかというところですが、秋(のGI時)に比べたらいい状態で臨めます。ですから楽しみです。

(今回の初もの尽くしの舞台は)左回りに関しては走ってみないとわからない部分がありますが、騎乗する西村淳也騎手は中京競馬場の実績もありますので心配はありません。また馬のことも熟知していますので状態面だけしっかり伝えたいと思います。

(道悪になった場合)大型馬でパワーがあるので、調教では(馬場が)渋っても動けます。問題無いと思っています。

(思い描くレースは)前走のオーシャンステークスのような競馬が一番良いのかと思っています。また西村淳也騎手が乗ったレースなら春雷ステークスのようなレースが理想です。

秋とは違い、いい状態で向かえます。このメンバーの中どこまでやれるかわかりませんが、いい結果が出るよう、皆さん応援お願いします。

西村淳也騎手のコメントは以下の通り。

(今の心境は)とても楽しみです。

(この馬の強味は)操縦性が高くいいスピードを持っています。全てにおいて合格ラインです。

(この馬にとっていいレースは)前走クリストフ・ルメール騎手のオーシャンステークスはいいレースだと思います。自分が乗った中では春雷ステークスが良かったと感じています。

(この馬の現状は)初めての左回りなどいろいろな不安はありますが対応出来ると思っています。GIに手の届く能力はあると信じています。

(枠順の希望は)とにかく1頭でも内が欲しいですね。

(道悪については)自分が(道悪で)乗ったことがありませんのでなんとも言えませんが、走りを見たところ大丈夫だと思っています。

(中京芝1200mのポイントは)まずスタートです。いいスタートを切ってレースに入りたいです。この馬と共にGI初制覇を目指します、応援よろしくお願いします。


【高松宮記念】栗東レポート ナムラクレア
長谷川浩大調教師のコメントは以下の通り。

(有力馬で臨む気持ちは)馬の状態も良く楽しみな気持ちです。

(前走のシルクロードステークスは)課題が多くありました。その中でその課題を克服して痺れるような競馬をしてくれました。結果も出て非常に良かったです。

(中間の調整過程は)激しいレースでダメージを懸念しました。レース後は状態を確認して放牧に出しました。放牧先でもしっかりケアをしてもらいました。いい状態で2月24日に帰厩できました。

帰厩したあとは、ほぼ私が騎乗する調整で(帰厩後)初めての追い切りも感触良く、2週前、1週前の追い切りもしっかり負荷をかけることができて、いい追い切りでした。

(最終追い切りは)先週のハードワークもこなしてくれましたし、その後の状況も良かったのでしっかり仕上がったという感じです。ですから後は気持ちの面と身体の動きを確認する程度の調教内容でした。今日の追い切りはとても良かったです。

(天気、馬場については)その点に関してはどの程度かということもあると思いますが、大きなマイナス要素になるとは思っていません。

(成長面に関して)2歳時から完成度は高いと思っていました。強い相手と戦ってくる中で、円熟味というところが出てきたと感じます。完成度というのはだんだん出てきましたし我々の想像を越える成長を感じます。背中とトモの連動性が高まり前肢への負担が減りました。そういう意味で完成度が高まっています。

(思い描くレースは)ある程度、どんな状況でもこの馬は自分のレースができます。後は勝ち運が欲しいですね。

(浜中俊騎手へは)小倉2歳ステークスの代打騎乗から乗っていただいています。いいコンビです。頑張ってもらいたいですね。

前哨戦はいい形でクリアできました。今回は豪華なメンバーで、各陣営の意気込みも強いと思います。その中でも自信を持って臨めます。応援していただけるとありがたいです。

浜中俊騎手のコメントは以下の通り。

(有力馬で臨む今の心境は)楽しみです。

(前走のシルクロードステークスは)前哨戦という意味でいい状態で、かつ本番と同じ舞台で結果を出してくれたことはよかったと思います。

(中間の追い切りについては)2回騎乗しましたが、共にいい動きでシルクロードステークスの時よりも良いと感じました。状態に関しては不安も無く、無事レースに向かえたらと思います。

(乗りながら感じる成長や強みは)元々完成度も高かったのですが、気性面の成長は著しいと感じます。それから瞬発力は強味ですね。

(思い描くレースは)枠順は馬場などがどうなるかわかりませんのでなんとも言えませんが、スムーズに競馬をして最後は力を発揮できるように導いていければと考えています。

(馬場については)小倉のフェニックス賞は道悪でも走っていましたが、私が乗って道悪は走っていませんのでわからないところはありますが、多少渋っても大丈夫だと思います。

(ミッキーアイルの子でGIに臨むことについては)とても嬉しいことです。結果を出してミッキーアイルの価値を高められればと思います。

(GIを勝つため、あと必要なものは)勝つ能力はある馬です。あと少し運が味方してくれればと考えています。この馬と共に今後の短距離界を引っ張っていく存在になれるように、しっかり騎乗していい結果を出せればと思います。応援よろしくお願いします。


【高松宮記念】栗東レポート ピクシーナイト
生野賢一調教助手のコメントは以下の通り。

(香港で落馬した後の状態は)直後は馬も痛そうでした。その後は放牧に出して多くの方のサポートを受けてよくここまできたという感じです。

(復帰に向けては)前回の阪急杯を目標に帰厩してゆっくり立ち上げて、様子を見ながら進めました。大丈夫かと思いましたが歩様の乱れがあり見送りました。その点が大変でした。

(高松宮記念に使えそうだと感じたのは)歩様の乱れはすぐに回復して、放牧に出した先でもしっかり検査した結果ゴーサインが出ました。

(1週前追い切りは)この時点で使う気があったので、しっかりとやることに主眼を置きました。能力があるだけに素晴らしい内容でした。迫力のある動きに映りました。

(最終追い切りは)1週前追い切りでしっかりやっていますので今週は、この馬にしたら楽な時計で上がりを重点的に伸ばす調教をしました。乗った感触は悪くありません。ただ久々という面はあります。また(落馬)事故が与えるメンタル面の不安も無いわけではありませんので使ってみないとわからないというのが正直なところです。ただやれるだけのことはやってきました。

(以前からの変化は)元々が大人しく扱いやすい馬ですので長期休養明けですが、変わったところはありません。

(戸崎騎手とのコンタクトについては)阪急杯に向けて動いていた時に一度追い切りには乗ってもらいました。その時にこの馬の癖などを話しました。「いい馬ですね」と話していました。

(思い描くレースは)スタート次第で後は騎手に任せたいと思います。

(レースへの抱負は)とにかく無事に走ってきて欲しいということが第一です。後GI馬らしい走りを見せてもらいたいですね。大きい怪我から多くの人の支えもあって戻ってきました。元気な姿で走ってくれると思います。応援よろしくお願いします。
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